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みりんさん
平均点: 6.70点 書評数: 237件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.197 9点 飢餓海峡- 水上勉 2023/09/17 23:06
take5様の書評に釣られて高得点配布おじさんが駆けつけてきましたよ(王者の如き〜は大好きな作品ですけどね笑)
社会派はほぼ食わず嫌い状態なのでチラッと読んで合わなかったらやめようと図書館で借りると、一気に200ページほどノンストップで進んでしまいました。60年前に書かれたとは思えないほど文章が読みやすい(これ大変ありがたい^^)上に風情があり、1000ページの長さを感じさせない抜群のリーダビリティです。

蟷螂の斧さんと斎藤警部さんも仰っていますが再度警告を。
【新潮文庫で読む方は裏のあらすじを絶対に読まないこと】
これめっちゃ大事です。そこが作品の真価でないにしてもネタバレのオンパレードで笑ってしまいました。

【ネタバレがあります】


1963年刊行の作品ですが最初の舞台は終戦直後の1947年。とうもろこしが6円で買える時代。船の転覆事件に扮した2つの身元不明死体が発見され、事件の影には六尺の大男。六尺ってそんな大きいのかと調べると180cmらしく「アレ?そこまで目立たなくね?」と思ってしまった。

上巻では貧困と病魔が蔓延る退廃的なこの時代における娼婦の艱難辛苦がありありと描かれ、読み応え抜群。そういえばそれこそ三津田先生の物理波多矢シリーズもこの時代&こんな雰囲気でしたねぇ…『飢餓海峡』が好きな方はぜひ。
下巻ではガラリと雰囲気が変わり、警察の執念の捜査編。倒叙ミステリの色が濃くなります。上巻に登場したキャラクターが10年後に再登場するこの同窓会感には込み上げるものがあります。私が再会したのは数時間後でも、作中で10年経っていれば私の脳内でも10年後になっているのです。

下巻p110より引用
「徒労の日々が、今大きく助けになったと、弓坂はよろこんでいるのである。10年前の苦労を、弓坂はいま、いっきに思い起こしたのだ。誰にぶつけるようにも出来なかった10年の憤懣を、いま、消し飛ばすことが出来たのだ。」
その中でもやっぱり弓坂警部が報われるここがグッときましたね。

主題は"刑余者保護制度の欠陥"だと思われますが、東京という魔都や舞鶴・大湊などの田舎が抱える種々の問題点、そして人間としてのあり方など1000ページの中に大小様々なテーマが見え隠れします。



"ミステリたるものトリックが肝心だ。トリックのないミステリなんて皮だけのブドウ、ヘタだけのトマトみたいなもんだ"
↑こんな本格に染まった私の凝り固まった考えを見事打ち砕き、浄化させた素晴らしい作品でした。
正直なところは8点だけど、大作を読み終わった後の達成感+犯人の独白に心打たれたので9点に。なにより説教臭くなく、全てのメッセージが物語に自然に落とし込まれているところがイイですね!

※本格だらけのランキングに紅一点の社会派 
1件目の空様の書評から13年を経て10件揃うって本サイト新参者の私でも何か感慨深いものが…

No.196 8点 瓶詰の地獄- 夢野久作 2023/09/16 14:56
『ドグラ・マグラ』を読んでから頭が夢Qで埋め尽くされ、いつのまにか購入していました。角川の可愛いカバーで読了。収録作は『瓶詰の地獄』『人の顔』『死後の恋』『支那米の袋』『鉄鎚』『一足お先に』『冗談に殺す』の7作ですが、そのうち『瓶詰の地獄』と『死後の恋』は他の短編集で既に読んでいましたねぇ… もしかして夢野久作って作品数少ない?(泣) ちなみに解説はあの中井英夫です。滅多に見ないので驚いてしまいました。

【ネタバレがあります】


瓶詰の地獄 9点
再読です。代表作ですね。現代にも通用する趣向が見事。これは兄妹ではなく兄弟という可能性もあるのか?だとしたら聖書燃やしたくなるのも当然よね。

人の顔 6点
作中唯一のコメディタッチですね(嘘)

死後の恋 9点
再読となったがやはりこれが1番素晴らしい。臓器と宝石、猟奇と耽美の融合がなんとも美しく、初読時でもあのシーンでゾワッと鳥肌が立ったのを覚えています。なるほど『死後の恋』か

支那米の袋 7点
この作者の独白体好きですねぇ。しかしアレ、当時の日本で本当に流行っていたのでしょうか

鉄槌 7点
稀代の悪女の色気や艶かしさには読者も幻惑されてしまいます。しかし主人公、そこまで悪魔か?

一足お先に 8点
これはドグラ・マグラを構想するきっかけとなったオリジナルではないかと思われます。片足を無くしたモノに発症する特有の夢遊病、まさに短編版ドグラ・マグラという感じです。答えは闇の中ですねぇ… いつか整合性を分析して、論理的に犯人を導き出したいです。

冗談に殺す 6点
完全犯罪を完遂させた男による自供の謎。
ようわからん。自分が認識している時点で完全犯罪はあり得ない。必ず鏡にソレが滲み出る、鏡の恐ろしさといったテーマか。

No.195 7点 黒いトランク- 鮎川哲也 2023/09/15 15:45
地理・地名・駅名に疎く、時刻表で思考停止する私には途中まで殺人現場やどこが犯罪不可能とされてるアリバイなのかを把握するのですら難解でした(笑)
しかし物語中盤、久々のアリバイリスト表に出会って興奮はマックスに。鮎川哲也の自信満々な声が幻聴する。「ヒントをたくさん示したぞ。このトリックがお前には見破れるか?」と…
複数の人間やトランクが錯綜する複雑な物語の末には、大変シンプルにして絶大な効果をもたらす仕掛けが明かされる。評価の高さにも納得ですね。星影龍三より鬼貫警部シリーズを少しずつ読み進めていけたらいいなと思います。
読破には8時間とページ数を考慮すると最長クラスの時間がかかった。やはり古典はまだまだ読むのがニガテだ。

※作品と関係ない余談
なぜ私の好きな作家が揃いも揃って鮎川哲也が好きなのか少し垣間見えました。なんと私は鮎川も連城も泡坂も土屋も笹沢も未読作ばかりですよ幸せ者ですなあ。本作品の元ネタ(?)らしいクロフツの『樽』も当然未読なので読まんと。 いやでも昔の作品は読み疲れるのでたまにで(笑)

No.194 7点 パノラマ島奇談- 江戸川乱歩 2023/09/13 21:17
冒険モノを期待して読むと耽美で絢爛な幻想小説でした。
ここまでこの舞台を映像で見せてくれ!!と思わせたのは初めてで、パノラマ島の幽玄な描写に魅了されました。初恋の女性かずっと夢見たユートピアのどちらを選び取るのか見届ける作品でもあります。


江戸川乱歩の文章は咀嚼するのにカロリーを消費しますが、味があって素敵ですね。

No.193 8点 八つ墓村- 横溝正史 2023/09/12 21:58
当サイトのジャンル分けを全面的に信用すると、冒険/スリラー小説を読んだのは『孤島の鬼』に続いて2作品目。これはまずい。こちとら本格だけで手一杯なのに冒険小説の面白さに目覚めてしまう…

『八つ墓村』は横溝正史の代表作5つ(という認識で合ってるかは分からないが)の中で唯一冒険モノとなっていたので余り読む気力が湧かなかったんだけど、島田荘司の某作で気になり手にとって見た。

が、これはまさしく極上のエンターテイメント!!『孤島の鬼』同様私はラブストーリーに弱いのかもしれないし、ラブストーリーと冒険小説の相性が抜群なのかもしれない。
横溝正史の描く芯の通った頼もしい(時には恐ろしい)女性像はどれも心に残ります。
この名作に一つだけケチを付けるなら金田一耕助がちょっと頼りなさすぎ…(笑) その分典子の頼もしさが際立つのでアリだとは思いますが…

個人的には著者の代表5作品のうち本作品と『悪魔の手毬唄』が突出して好きですねぇ

No.192 10点 ドグラ・マグラ- 夢野久作 2023/09/10 15:40
書評200作品目(嬉しい!)はコレで。拙い感想ばかりですがとりあえず300作まではがんばりたいところ…

私はライトな文体の新本格が大好物、古典は読むのが超ニガテ。しかしながら、読書歴の浅い私の早合点だとしても『ドグラ・マグラ』は他の追随を許さない作品、国内で最高評価を受けて然るべき作品ではないかと思ったので満点を献上。この作品を心の底から好きかと聞かれると答えはノーですが、宇宙からミステリ星人がやってきて「この国で1番優れた作品を出せ」と言われれば、迷いなく『ドグラ・マグラ』を差し出します。

一文一文が何一つ妥協のない選び抜かれた文章。構想に10年を要するのも納得の「胎児の夢」「脳髄論」などといった凄まじいガジェット。斬新奇抜にして驚天動地、眩暈のする真相には読了後に思わず本を置いて天を仰ぎ、こんな作品を世に出した夢野久作に感謝していました。
作中のとある絵巻物の魔力は1000年持続し、人々を狂わせていった。時代と共に節々に色褪せを感じさせる作品が多い中、本作品が内包する魅力はこの絵巻物と同様に、1000年後も色褪せない不変なモノであるとそう信じたいです。夢野久作の心理を遺伝した作家は今後現れないものか

【ネタバレなしのただの感想文】
社会進出を志した女性が大正時代に生きることの理不尽さや空虚さを描いたのが同じ夢野久作の『少女地獄』なら本作はさしずめ『狂人地獄』といったところか。な〜んだ奇書だとか良いつつ分かりやすいテーマじゃねぇかと序盤は思っていた。しかし、「キチガイ地獄外道祭分」あたりから一気に奇書らしくなり、やにわに探偵小説の頂点たる「脳髄小説」が始まる。

上巻182pより引用
「探偵小説というものは要するに脳髄のスポーツだからね。犯人の脳髄と、探偵の脳髄とが、秘術を尽くして鬼ゴッコや鼬ゴッコをやる。その間に生まれるいろいろな錯覚や、幻覚、倒錯観念の魅力でもって、読者の頭を引っぱって行くのが、探偵小説の身上じゃないか。ねッ。そうだろう」

いやあこれ、大変共感ですなあ。その脳髄の本質を探究するとはまさに絶対的探偵小説… 探偵小説の頂点に相応しい。さらに、作中で提唱されるトンデモ新学説「胎児の夢」では作者の美しい言葉選びに納得せざる…いやペテンをかけられているような…なんにせよこの陶酔感はなかなか味わえるものではない。



【要注意】【ここから核心に触れるネタバレあり】




語り手が犯人なんていう作品はたくさん読んできたが、語り手が実は胎児だったなんて作品は探偵小説においてはおそらく空前絶後だろう。この胎児、心理遺伝を考慮すると呉一郎とモヨ子の子供かなあ?
この作品は「心理は細胞単位で遺伝する」「胎児は10日で森羅万象の夢を見る」という2つの仮説を正木教授が倫理観を犠牲にしてでも証明する物語であり、それ以外のほとんどが作者からの目眩し(=ドグラ・マグラ)なのではないか。前者は正木自身が完遂し、後者は未遂に終わったため、この世界の創造者たる作者自らが答えを提示したんだと個人的には思っている。素人意見で全くの見当ハズレを言っているかもしれないが、こう考えると入り組んだ大迷宮に見えて本筋は実にシンプルな気がします。しかし、私が多くを理解できるほどシンプルなら三大奇書などと呼ばれるはずもなく、「斎藤教授は正木に殺害されたのか?」「絵巻物を呉一郎に見せたのは正木なのか?」「夢遊病者が執筆したドグラ・マグラは何だったのか(あくまでメタフィクションとしての役割としか持たないのか?) 。」「呉モヨ子は本当に生き延びて病棟にいるのかそれとも替え玉なのか。」「正木教授の自殺もしくは他殺の真の理由は?」などなど一読では曖昧な(ドグラマグラな)部分がその他多数存在する。初読よりむしろ2読目、3読目の方が楽しめるんではないかと思われます。
夢野久作の作品は大衆小説とは言え、私には大変重く、700ページ読むのに14時間もかかった。ので、古典文章を読み進められる熱量とこの作品を奥深くまで読みとこうという気概がある時に再読できたらいいな…いつになることやら…スカラカ…チャカポコ…スカラカ…チャカポコ

No.191 7点 ちぎれた鎖と光の切れ端- 荒木あかね 2023/09/10 15:25
【ネタバレなし】
乱歩賞作家の2作目繋がりでこれを読もうと手に取った。ハードカバーで450ページとなかなかのボリュームです。
前作『此の世の果ての殺人』の魅力的な舞台設定には敵いませんが、本格としては数段パワーアップしている印象を受けました。前作が合わなかった方も本格好きや人情モノが好きなら一読の価値は大いにあると思います。私だけかもしれませんが、第二部を読んで2000年代のあの国内作品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか(伝わるんかなこれ)
とりあえず本ミスで3番には入って欲しいなと期待を込めて8点を付けたいところですが、この分量を支えるにはあと一つ衝撃成分が欲しかったのでこの点数で…申し訳ない。
あと帯の「Z世代のクリスティ」ってのいる??

No.190 6点 数学の女王- 伏尾美紀 2023/09/09 15:16
【ネタバレなし】
博士号を持つ異色のノンキャリ警察官・沢村依理子シリーズ
『北緯43度のコールドケース』で江戸川乱歩賞を受賞した伏尾美紀先生のシリーズ2作品目。書評がゼロなのが寂しいところ。

偉大なるドイツの数学者カール・フリードニヒ・ガウスは数論が美しい理論であるだけでなく、他の分野に役に立たないことから「数論は数学の女王である」と言ったそう。
美しさと孤高を兼ね備えたのが『数学の女王』、本作品のタイトルの由来はここから来てるのかな?しかし、数学に関する記述はとても平易で最低限に留められており、ガウスのガの文字も出てきません。よって、そちらを求める方にはあまりお勧めできません。どちらかというとジェンダーバイアスや理系の女性研究院の苦悩がテーマです。
作品内では1990年代の大学院の情勢ですが今でも院に進学する理系の女性は非常に少ないですよね。自分の所属する研究室は20人中たった2人です。リケジョって言うの失礼なのかな〜って己の発言などを内省する機会となりました。

No.189 9点 涙流れるままに- 島田荘司 2023/09/03 19:39
吉敷竹史シリーズ第15弾
15作品も読んでられねーよって方は『北の夕鶴2/3の殺人』→『羽衣伝説の記憶』→『飛鳥のガラスの靴』と読んでから『涙流れるままに』を読むと満足度が上がると思います。
あと読んでないの自分だけかもだが、横溝正史の『八つ墓村』も読んでおくと良いかも。横溝代表5作(?)のうち唯一未読だったので近々読むのが楽しみになった。

No.188 6点 飛鳥のガラスの靴- 島田荘司 2023/08/29 22:11
吉敷竹史シリーズ第14弾 宗肖之助氏による解説にはシリーズの第十作にあたると書かれているがこれ如何に?

『奇想、天を動かす』から始まった吉敷と主任との対立は深まるばかりです… 無事、犯人を突き止めるが、主任にギャフンと言わせるわけでもないので読者の溜飲は下がらん。が、あえてそうしているのでしょうね。根強く残る男性中心主義から徐々に性差が緩和される昭和から平成への移り変わり。その構造が犯罪動機を生み、悲劇をもたらすこともしばしば。日本という特殊な島国が内包するあらゆる問題について考えさせられる一冊です。

No.187 5点 ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 2023/08/27 18:56
吉敷竹史シリーズ第13弾
このシリーズの中で異彩を放っていて気になっていたタイトルでした。
「ら抜き言葉」を下品で軽薄で無教養で最低の言葉だとみなす「ら抜き言葉」撲滅論者vsら抜き言葉を使ってしまった人気作家の2人によるしょうもないバトルが繰り広げられます。ヒジョ〜に読んでいて楽しかったです。

No.186 7点 羽衣伝説の記憶- 島田荘司 2023/08/26 19:00
吉敷竹史シリーズ第12弾 (どうやら『展望塔の殺人』も吉敷竹史シリーズに入るらしいので、過去のシリーズ第○弾と書いたのが1つずつズレている笑)

【ネタバレあります】

『北の夕鶴』以降シリーズ9作品を跨いで5年ぶりの登場となった加納通子。いやもう待望でしたよ。最近読み始めた私なんぞは10日ぶりの再会でしたが、シリーズ読者は待ち焦がれていたことでしょう。
そして、10日前に読んだ『北の夕鶴』の展開を結構忘れている私の記憶力に絶望しましたよ。
本編はミステリーが本当にオマケで、吉敷竹史と加納通子の5年ぶりの再会がメイン。『北の夕鶴』ではラブストーリーと事件がややミスマッチな感じがしましたが、こちらは程良い謎、程良い解決でした。麻衣子さん恐るべしです。

No.185 8点 奇想、天を動かす- 島田荘司 2023/08/24 17:55
吉敷竹史シリーズ第10弾
【ネタバレあります】


今まで密室殺人、死者の亡霊、人間消失、列車消失と数々の不可能状況を演出してきた作者はシリーズ10作目で「もうこれ流石にオカルトに頼らないと解決不可能だろ」ってレベルの謎を提示してきます。
特に"トイレからの人間消失"の不可能っぷりには蟻の這い出る隙間もありません。あるけど。

しかし、ここまでされるとハードルが上がりすぎて、この世の法則を捻じ曲げてしまう程のトリックを期待してしまいました(タイトル的にもね)。解決編は驚く部分もありましたが、やはり即席の殺人なのもあって少々チープな真相も… あらゆる不可能状況は連動していて、一つの真相で全てが解けるタイプの方が私は好みなんだなぁとふと思いました。そういった観点では『北の夕鶴』の方が好きかな〜とか…
社会派との兼ね合いも難しいところだとは思いますので贅沢な要望ですが(笑)

遊郭の情景描写や社会的背景の蘊蓄、『冤罪』や『日本人の罪』をテーマにした社会派要素、最後の吉敷竹史の信念など島荘ベストに上げる方がいるのも不思議ではありません。しかし、これに満点をつけるのは自分自信を騙しているような気がするのでこの点数で

No.184 6点 幽体離脱殺人事件- 島田荘司 2023/08/22 05:56
吉敷竹史シリーズ第9弾
関西弁の女が強烈すぎて電話シーンだけで既に面白かった。『毒を売る女』でひたすら梅毒を移そうと奮闘するヤベー奴がいたけどあいつより印象に残った。
「女の親友同士は結婚する相手に、その男っぷりも経済状態もあまり差がついてはいけないということだ。相手と同程度の男と一緒にならなくてはいけない。」
そうなんですか世の女性の皆さん

No.183 5点 夜は千の鈴を鳴らす- 島田荘司 2023/08/21 04:57
吉敷竹史シリーズ第8弾
この作品『異邦の騎士』と同時期なのか・・・『斜め屋敷』〜『異邦の騎士』の間に吉敷竹史シリーズが7作品も出てるなんて当時はゴリゴリの本格モノはやはり嫌われていたんでしょうかねぇ…
今作トリックはわかってしまったけど、小説として楽しめましたよ

No.182 6点 灰の迷宮- 島田荘司 2023/08/20 11:58
吉敷竹史シリーズ第7弾
【ネタバレがあります】



こういうフーダニットでもハウダニットでもなく"独立した個々の不可解な事象に関連性を見出して一つの連続的な真実を導き出す"系のミステリ(名称あるのか?)が読んでる途中は1番モヤモヤします。そのモヤモヤに対して解決編で得られるカタルシスは少し足りなかった。そして、吉敷竹史の思考回路は少し飛躍しすぎというか御手洗潔に片足突っ込んで来てる気がしますね… ピタゴラスイッチとかアレとか諸々。

偶然要素は多いですが、良くできてるとは思いますし、最後の電話はウルッときましたよ。まあ満足です。
いや、満足じゃねぇ。『北の夕鶴』で登場した元妻の通子はいつ登場するんや。あんな良いキャラを使い捨てはやめてくれ〜シマソ〜と思いつつ続きも読みます。

No.181 7点 Yの構図- 島田荘司 2023/08/19 19:22
吉敷竹史シリーズ第6弾
いじめを苦に自殺した少年の亡霊、一つのホームの両側に到着した新幹線から服毒死体、死体には桔梗の花や蝶が…
相変わらず不可能状況を作り上げるのが上手い。
そして吉敷竹史モテすぎ。課長時代の島耕作かよってくらいモテる(シマコーよりは遥かに紳士だが)

No.180 6点 確率2/2の死- 島田荘司 2023/08/17 18:59
吉敷竹史シリーズ第5弾(のはず)
2時間でサラッと読めた。前作あたりから文体がスリムになったのかなあ?読むスピードが異常に上がった。なんか超不評ですが、私は楽しめました。

やっぱり誘拐ものってある程度の面白さは保証されてると思う。犯人の目的がわからない誘拐モノは特にね。そしてタイトルもイイ皮肉ですね。
しかし、前作『消える水晶特急』同様に推理で真相を引き当てることは不可能だと思う。どうせヒントをもらっても推理を組み立てられないので私には問題ありませんが(笑)

No.179 7点 消える「水晶特急」- 島田荘司 2023/08/17 06:38
島田荘司「その列車 消えるよ」 な、なんだとぉ??
人間消失程度では飽き足らなくなった島荘は遂に列車消失も演出してしまいます。草。

吉敷竹史シリーズ第4弾

本作はなんか知らんが前3作に比べてリーダビリティが異常に高い。私は小説を読む時に100ページごとに時間を測るという奇特な習慣があるんだが、島荘作品は大体100ページで80〜90分くらいかかるのね。でも今作はなぜか100ページ55分ペース(これは東野圭吾クラスw)。なんでだろうね。やっぱり立て篭もり事件はサスペンスフルで読む手が止まらなくなるのかな。それとも今回は語り手が吉敷竹史じゃなかったからかな。ともかく一気読みできる快作でした。

最後の"感動の再会"シーンは作者のサービス精神に拍手です。いや〜面白かった。
この愛らしい女性コンビはこれからも登場してくれないかな〜なんて思っちゃったわけです。

No.178 8点 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 2023/08/16 17:38
私は本格ミステリに"実現可能性"というあまりに些細なことを気にする余り、『斜め屋敷』や『姑獲鳥の夏』を読んでブチギレそうになったのも今は昔。今読めばどちらも傑作という評価を下すでしょう。いつか読み返そうと思いつつ、なかなかタイミングがねぇ…

この『北の夕鶴2/3の殺人』も実現可能性が著しく低そうなトリック、それでいい(保険付きなのは笑った)。『占星術』『斜め屋敷』そして今作『北の夕鶴』。一生忘れられないであろうトリックを島荘はいくつ生み出しているのだろうと楽しみにこれからも読んでいきます。

吉敷竹史シリーズは3作品目。奇妙奇天烈で掴みやすい御手洗潔と違って冷静な好青年というぼやけた印象しかなかった吉敷竹史がこんなに情熱的で感情的なキャラクターだったとは。男とはこうあるべきだという少々古臭い価値観だが、元妻の幸せを心から祈る元亭主の命懸けのラブロマンス+サスペンスとしても優秀だと思います。しかし、あのユニークな物理トリックとこのラブロマンスがややミスマッチな気がしないでもない笑

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