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ぷちレコードさん
平均点: 6.32点 書評数: 208件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.8 10点 白夜行- 東野圭吾 2023/12/13 21:49
出足こそ質屋殺しを刑事たちが追う警察小説風だが、だんだんと青春小説の趣になっていく。事件の関係者、つまり質屋の息子と自殺を図った女性の娘が事件の影響を受けて、どんな生活を歩んだかをなんと二十年に渡って追跡し、同時に二十年前の事件の謎を解いていく。
物語の時間は先へ先へと進みながら、逆に関係者たちはひたすら過去に向かい探索の道を探り、徐々に夜とも昼ともつかぬ白夜を歩まざるを得なかった男と女の絶望的な孤独を、痛ましいトラウマを通して描き切る。
警察小説、青春小説、サスペンス、暗黒小説の魅力が渾然一体となった一大叙事詩の傑作。

No.7 6点 プラチナデータ- 東野圭吾 2022/04/22 23:12
犯罪捜査における情報を問題にしている。作品の舞台である近未来の日本では、DNAデータの提供が国民の義務になろうとしている。このデータが登録されれば、犯罪者はその網から逃れる術がなく、凶悪犯罪もすべて検挙可能になるという理屈からである。DNAデータを集めるとことそのものは難しくない。だが、問題はその膨大な情報を検索可能にするシステムの構築だ。
そのシステムにもし不備が生じたら、あるいはこのシステムを恣意的に統御しようとする者が現れたらどうなるか。作者は、お得意の超絶技巧ミステリの体裁を借りて、情報の恐怖という現代の喫緊のテーマに挑んでいる。

No.6 6点 麒麟の翼- 東野圭吾 2022/02/08 22:49
被害者の足取り調査と、その界隈を歩いた理由に迫っていく、地味ながらも二段構えの構造の謎解きが読みどころ。
中途半端な解決は、被害者家族の救済にならないという加賀の言葉には胸を打たれる。

No.5 7点 新参者- 東野圭吾 2021/12/23 23:06
正面からではなく、背面や両サイドからの視点を変えることで、「被害者は誰か?」「一体何が起きたのか?」と同時に「なぜ殺されたのか?」「刑事は何をしたいのか?」という謎が多層化した物語。
しかも、八つの断片からなる連作短編集が、最後の一章で一気に長編となり意外な全貌を浮かび上がらせる。物語としても奥深くコクがある技巧派の面目躍如たる作品といえる。

No.4 5点 真夏の方程式- 東野圭吾 2021/10/23 23:13
資源開発か環境保護かで揺れる海辺の町が舞台。
書かれたのは震災前だが、震災後に読むと現実の問題とリンクした読み方ができると思う。
「無知ゆえの幸福」と自他に許さないのが湯川の矜持で、そこはぶれていない。ただ得失を冷静に計算すれば未来を最適に制御できるという信念が通用しないのが、震災で露になったリスク社会の実相。その意味で、今回の湯川の判断は適切だったのか。いささか中途半端な気がしてならない。

No.3 7点 むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 2021/03/01 22:53
記憶、思考と人間に絡む謎を取り上げている。抽象的な枠組みの中で、謎そのもの、執拗に繰り返される推理そのものが、緊密かつ必然的にテーマに繋がっている。

No.2 9点 容疑者Xの献身- 東野圭吾 2020/11/20 19:25
中心に据えたアイデアを成立させるために計算し尽くされた人物像と設定、事件の捜査につれて予想外の展開をみせるサスペンスの妙。テーマの複数解釈を可能にさせる狡猾な筆致。
驚天動地な仕掛けを用いながら、それが本格初心者にも容易に分かる単純明快な構造である。さらに人間ドラマとしても充分に楽しめる。

No.1 7点 沈黙のパレード- 東野圭吾 2020/04/03 18:10
被害者遺族側の苦悩を描きつつ、トリックもどんでん返しもしっかりしていて、その上で久しぶりのガリレオコンビがやっぱり魅力的。
作品の中で流れた時間分、ゆっくりと登場人物の心情が変化していく様を描きつつ、そしてその変化が物語が進むには不可欠というそのバランスが素晴らしい。

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ぷちレコードさん
ひとこと
中学生の頃、ミステリにはまった。でも続いたのは3年間ぐらい。今また、ミステリにはまりつつある。やっぱりミステリは最高だ。
好きな作家
採点傾向
平均点: 6.32点   採点数: 208件
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