皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
mediocrityさん |
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平均点: 6.23点 | 書評数: 286件 |
No.8 | 6点 | メルカトルかく語りき- 麻耶雄嵩 | 2021/12/21 05:26 |
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<少しネタバレあり>
①『死人を起こす』 1年前の殺人は、恐怖症+アルコールでありうる話かもしれないが、突飛すぎていまいち。当日の殺人の解決は私には完全にすべっているように思えた。3点。 ②『九州旅行』 設定も結末も非常に面白かった。8点。 ③『収束』 冒頭の3つの殺人事件はどこに行ってしまったのかと思ったら、最後にそのからくりが。傑作だと思う。9点。 ④『答えのない絵本』 試み自体はつまらなかった。この結末で書けと言われれば、ほとんどの推理作家は楽に書けるのでは。普通は構想時点で却下するでしょう。ただし、推理自体は良かったので4点。 ⑤『密室荘』 前作以上に評価するポイントがない。セメントの用途も中盤でバレバレ。まあ前作の続きのおまけ作品ということにして点数は付けない。 平均して6点で。 |
No.7 | 6点 | 貴族探偵対女探偵- 麻耶雄嵩 | 2021/10/14 04:03 |
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<ネタバレあり>
『白きを見れば』5点 どうも貴族探偵側の推理はしっくりこない物が多い。一本取れずポイントで上回ってなんとか勝ったという感じ。殊にシャッターの指の跡に関しては、左手の人差し指のけがで云々という女探偵側の推理の方が遥かにまともだと思う。傘なんて頭を傾けて首と肩の間に挟むとかどうにでもなるでしょう。 『色に出でにけり』3点 これも納得の行く推理には程遠い。貴族探偵が犯人でないという条件下で真犯人を強引に作った感じ。特に占いの件は無理やり感がすごい。名前の字が兄と母の名前の組み合わせだから2人の子供って・・・。話自体は面白かったので余計に失望感が強い。 『むべ山風を』8点 無駄がないし、何より妙な論理展開がない。名作だと思う。 『幣もとりあへず』6点 これ、ほとんど同じ仕掛けを他作品で使ってましたよね。でも、今回の方がきれいに決まってると思う。それにしても女探偵が気の毒すぎる。推理小説を読んでいて「なつき」とか「ゆうき」とか「〇美」とかいう名前が出てきたら身構えますけど、現実にこんなレアパターンに当たることなんてまずないでしょうから。 『なほあまりある』7点 女探偵よくがんばった!見事な推理でした。最後は、女探偵には不本意かもしれないけれど、きれいに収まりました。貴族探偵、やはり何もしてないのね。 |
No.6 | 3点 | 螢- 麻耶雄嵩 | 2020/07/16 18:14 |
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前にもどこかで書いたが、置いてなさそうな所にトリックが置いてあれば、それが大したものでなくても驚けるのだが、間違いなく仕掛けてるのが分かっている所にどんな見事なトリックが置いてあっても「へえ、うまくできてますねえ」で終わってしまう。
この作品はまさにそのパターンだった。もうちょっとトリックのありかをうまく隠せないものかと思う。入念に読んでいれば違和感を感じる箇所が多すぎるのだ。凝っているとは思うんだけど予定調和で驚きが全くない、非常にもったいない作品だと感じた。 エピローグもなんでこんな結末にするのかよくわからない。この方はこういう結末が多いが、私にはワンパターンですべってるようにしか思えない。 |
No.5 | 5点 | 貴族探偵- 麻耶雄嵩 | 2020/03/10 04:43 |
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<ネタバレあり>
①『ウィーンの森の物語』 あれの取り換えはあまりにもベタだし、車を出す前に中身を確認しなかったのもちょっと変だと思う。普通、財布のありかくらいはきちんと確認するのでは。事後の処理の見事さで盛り返したけど4点。 ②『トリッチ・トラッチ・ポルカ』 まず、前日に殺された死体の死亡推定時刻が8時間というのは異例の長さだと思った。前に西村京太郎氏の作品で一か月前の殺人事件の死亡推定時刻を1時間に限定してしまって吹き出したことがあったけども、逆パターンですね。 あと、事件の真相には直接かかわらないことだから傷というほどではないけども、推理の過程で2つ疑問点が。 1つ目、傘に関して色々と推理しているが、あんなのはあくまでそういう傾向があるという程度で、仮にあれがメインの証拠になっていたなら大減点。 2つ目、強い雨で風もあったのに窓を閉めなかった理由。作品中では「実は雨が降っていなかった」と結論付けて正解だったが、「風があれば、風向きによっては風も雨も全く入って来ない」というのは考慮に入れないのだろうかと思った。 メイントリックは危なっかしいですが面白いですね。なんだか東川さんが使いそうなトリックだ。6点。 ③『こうもり』 これはよくわからない。貴生川という名前の男が突然出てきて、まさか貴族探偵の本名ということはないだろうから、流れ的に作家大杉の本名なのかなとか思いながら読んでいたんだけど何か違う。双子ならアリバイも崩れるけど反則らしいし、いったいどう決着付けるんだろう?と思っていた所にあのオチだから、ズッコケたとしかいいようがない。4点。 ④『加速度円舞曲』 地味な見取り図の割には思ったより動きがあって楽しかった。6点。 ⑤『春の声』 ロジカルというより強引に納得させた感が強い。5点 |
No.4 | 4点 | さよなら神様- 麻耶雄嵩 | 2019/09/19 22:56 |
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前作『神様ゲーム』は平均点よりかなり低い点数を付けてしまいましたが、本作は2014年度本格ミステリ大賞ということで読んでみました。
①『少年探偵団と神様』 全く見所なく終わる。なにこれ?1点。 ②『アリバイ崩し』 テレビの音が消えた謎の偶然さが好きじゃない。それを除けば水準作か。6点。 ③『ダムからの遠い道』 つまらなさすぎて笑ってしまった。1点だけど笑っちゃったから1点プラスして2点。 ④『バレンタイン昔語り』 冒頭の叙述トリックの方は、前作から主人公変えてる時点でバレバレだが(その後もヒントかなりありましたし)プロット自体は面白い。今時あんなことが実際に起こりえるのかな。7点。 ⑤『比土との対決』 小学生設定でこれはいくらなんでも無理があるような。まあ、今更ですけど。6点。 ⑥『さよなら、神様』 まあオチは普通。4点。 平均4.3点を四捨五入で。なんだか出来不出来の差が激しいように思いました。この方の作品、この作品に限らず、どうも高評価の方がものすごく驚いている箇所で、自分は何とも思わないことが多いんですよねえ。理由はよくわからないのですが。ゆえに平均点より概して低い点数を付けているんですが、別に嫌いなわけじゃありません。 |
No.3 | 2点 | 隻眼の少女- 麻耶雄嵩 | 2019/08/19 04:57 |
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<思いっきりネタバレあり>
日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞ダブル受賞作ということで期待して読み始める。 冒頭のスガル縁起・抄。安っぽい時代劇風RPGゲームみたいな設定でいきなり読む気をなくす。気を取り直して読み進んでみるが、やはりライトノベルぽい。ゲーム風だからと言って、一番信頼していた人間が最後の最後で「実は私こそが大魔王(犯人)なのだ!」なんていうよくあるパターンではないよね?と思ってたら、まさにそのまんまで閉口。 種田静馬、種馬で子供でも作ってヒロイン?の娘のパパとかまさかやらないよな、と思ってたらこちらもその通りで、もうどうしていいものやら。 この方のデビュー作の書評でも同じことを書いたのだが、どんでん返しがベタすぎて全く驚けなかった。もはや何も起こらず和生が犯人で終わった方がビックリしたかもしれないレベルである。動機まではさすがに全く予想できませんでしたが、これは驚きというよりそんなのありなの?という感じです。 500ページ中450ページあたりまではそれなりに楽しめたので最低点は付けません。 |
No.2 | 3点 | 神様ゲーム- 麻耶雄嵩 | 2019/05/13 03:34 |
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同級生が神様という設定を面白いと思えるかどうかはさておき、そもそも話のメインである殺人事件と謎解き部分が大して面白くなかった。3点(あまり面白くなかった)くらいだが、解決の後味が悪いのでマイナス1点させてもらってこの点数。
<追記> この作品、同じく「井戸」が謎に大きく絡む超傑作『首無の如き祟るもの』から1ヶ月くらい後に読んだんです。だから明らかに劣ると感じて上の評価になったようなんですが、ちょっと点数が低すぎる気がするんで1点プラスで。 |
No.1 | 5点 | 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件- 麻耶雄嵩 | 2019/04/07 18:13 |
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点数を付けにくい作品だ。
9章が終わった時点では8点±αくらいの感じで面白かった。ただ、どんでん返しのやり方がベタ過ぎて、大してミステリを読んでない自分でも「ああ、やっぱりそのパターンね」とか「ふーん、そうだったの」とか「そこまで人間関係くっつけちゃうのか」みたいな感想しか出て来ない。あの犯人が犯行を実行できるかとかも問題なんだろうけど、それ以前の問題。 そもそも、どんでん返しは物語が完結してると思わせた後で行うから驚かされるわけであって、この本の9章を読み終わって一件落着と思う人間がいるのだろうか? 自分の書評数はこの本で63冊目だけど、最終章でここまで極端に評価を下げた作品は初めてかも。 ところで『黒死館殺人事件』を読んだ後の方が楽しめるみたいな評もありますが、自分はむしろ逆じゃないかと思いました。ぶっ飛び具合やその他もろもろ、こちらの方がずいぶん薄味だから。先月あちらを読んでいたから免疫が付きすぎて、本来驚くべき所で驚けなかった気がする。 |