皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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レッドキングさん |
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平均点: 5.27点 | 書評数: 888件 |
No.3 | 5点 | だれも知らない女- トマス・H・クック | 2022/09/03 10:23 |
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フランクシリーズ第一弾。何不自由ない環境のハイクラス美少女の謎の死。事件を追い求める虚無的な刑事と、描かれて行く米国白人男女の静かなる絶望感・・「信仰深くて楽天的、能天気」に見える米国人の心の底に潜む静寂なる虚無。
※そう言えば、「The Sound of Silence」は、「暗い日曜日」の欧州や、「ラバー・ソウル」Beatlesの英国ではなく、米国産だった。 |
No.2 | 7点 | 緋色の記憶- トマス・H・クック | 2020/02/16 21:04 |
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敬虔な寒村社会の少年の前に現れた浪漫的な男女の「英雄」。かつて「遥かな国遠い世界」を夢見た少年が、老いさらばえて追想する残酷な事件の顛末。
日本語タイトル「いまを生きる」という、厳格な男子校に現れた型破りな教師と彼に憧れた少年達を描いた映画があったが、その原題は「Dead Poets Society(死せる詩人の会)」だった。この小説で少年が心惹かれたのもまた「詩の仲間たち」・・放浪の女画家とラテン語教師、身寄りのない少女・・ だが結局、少年の偶像達も、たんに情事の苦い結末を噛みしめる不倫男女に過ぎなかった。三島由紀夫「午後の曳航」と同じテーマ・・色褪せたかつての輝かしき英雄への少年の失意。 あらためて読み返すと、厳格な学校校長でもある少年の父親もまた、女教師に内心心惹かれ、彼女も最後に父親の浪漫に気付いていたことが分かる。 そして何より、生涯に三回・・親と夫と少年と・・三回にわたり捨てられた、あの奥さんの死の前の絶望感があまりにも痛ましい。それ故にこの少年には死ぬまで魂の安らぎは許されない。 |
No.1 | 7点 | 石のささやき- トマス・H・クック | 2020/02/12 10:36 |
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現人類以前の古代人類には聴こえていたという「声」。偉大な詩人や狂者病者犯罪者の耳に通底して聴こえた「声」。父から姉弟その息子娘へと受け継がれるおぞましい血と「声」。静謐な筆致で描写されて行く絶望感と恐怖。
それでも、一体、何が起こってしまったのか?のホワットダニットの結末は、「声」による救いだった。 |