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レッドキングさん
平均点: 5.25点 書評数: 823件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.31 3点 ドラゴンの歯- エラリイ・クイーン 2020/11/27 20:05
ヴァン・ダイン「ドラゴン殺人事件」の方は竜の足跡だったが、こっちは歯型。そっか、指紋なみとまで行かずとも血液型なんかより人物判定の決め手になるのか、歯型。「BはAと同一の人物である」と言う明白な証拠が証言で否定されれば、「BはAになりすましたと論理を立て直し・・」って、それ「論理」って程、たいそうなもんでもないような気が・・・

No.30 5点 第八の日- エラリイ・クイーン 2020/09/25 19:33
米国アーミッシュに中国桃源郷を加えたような共同体に偶然迷い込んだエラリィ・クイーン。半世紀間、犯罪一つなかった外界に閉ざされたコミュニティに起きた殺人事件に関わる羽目に・・。事件解決より失われた旧約聖典「MKh(ミカ書)」を巡る謎(オチがマインカンプ!て)の方に興味がわく。事件そのものはたわいないが、有栖川有栖ともかく何で麻耶雄嵩までがクイーンに拘るのか、この作品で分かった気がした。

No.29 3点 盤面の敵- エラリイ・クイーン 2020/09/24 20:44
奇怪な遺書により4つの同型の五角形屋敷に住む、4人のイトコ達に降りかかる連続殺人。その都度、屋敷同様の五角形カードが送られ、それぞれに「J」「H」「W」「H」の文字。 4文字の謎の解明は・・ダイイングメッセージ「face」や「ホー〇」なみに脱力・ズッコケ「つ、つまらん」オチ。んなもん分るわけないし、分かったところで正直どうでもよい、われら非聖書民族としては。  で、肝心な、操り・多重人格ネタは・・まあ、ミエミエだった。

No.28 4点 緋文字- エラリイ・クイーン 2020/09/10 22:57
売れない小説家の夫と富豪で演出家の妻、そして名うてのジゴロ。夫の異常な嫉妬心と妻の不貞疑惑が、恐るべき結末を迎えるのを防ごうと奮闘する探偵にしてミステリ作家のクイーンと女秘書。目次で、ん?「ABC・・Z事件」?て振っといて、結局、クリスティ十八番の人間関係トリックものだったが、半ひねりツイストのオマケつけて終結する。

No.27 4点 三角形の第四辺- エラリイ・クイーン 2020/08/18 22:19
あれ?今クイーン読んでんだよな?ってな位に、こじゃれたフランスミステリ風味サスペンスで話が進み、お!クイーンで久しぶりの7・いや8点?て期待させといて、終盤で、おい!ミステリ十戒の「爺やはイカン」に触れるだろが!3点まで急降下か・・と思わせて、アガサの二大十八番の一つにダミー返しして、結果4点。
アガサの「女の恨みって怖いわよ」に、クイーンは「いやあ、実際に手を出しちゃうのは圧倒的に男だし」と返歌。ま、女は心の底にため込んじゃうってことね。

No.26 3点 - エラリイ・クイーン 2020/07/06 20:28
殺された女の書き残したダイイングメッセージは「顔:face」だった。トリックはアガサ・クリスティーの十八番のあれだが、「不連続殺人事件」ラストの犯人セリフが連想・・あんな風にカッコよくないが・・された。
で、肝心のダイイングメッセージ種明かしだが・・・面白くない。
※クイーンにビートルズが出て来るとは思わなかった。息子の方はともかく親爺の警視って何歳設定なんだ?

No.25 3点 最後の女- エラリイ・クイーン 2020/06/25 18:21
撲殺された大富豪のダイイングメッセージは「ホーム」(あほらしいが個人的に大受けした。ホー〇!) 容疑者は三人の元妻・・歌手、女優、看護婦・・二人の美女と一人の地味女。莫大な遺産の遺書を巡る殺人と見せかけて、意外なフー・ホワイダニット真相の結末は・・。書かれたの1970年か。このテーマ、60年代以前のピューリタニズム米国では書けなかったろうな。
※ところで、あのネタ、チャイコフスキーは有名だがベートーヴェンての初耳だぞ。

No.24 5点 帝王死す- エラリイ・クイーン 2020/06/23 18:54
なんと予告密室殺人。「密室」出すとポイント高いよ。二部屋の完璧な密室。一部屋には自称犯人と凶器の銃、別の部屋に撃たれた男と気絶した妻、いったい銃はどうやって移動し・・・でも種明かしには何の外連味もなく、「アメリカ銃の秘密」「孤島の鬼」の方がマシな位のレベルのトリックで・・・クイーンにカーを期待してもなあ。

No.23 5点 日本庭園の秘密- エラリイ・クイーン 2020/03/30 22:54
喉を切り裂かれた女の部屋と、屋根裏部屋の間のドアは内側から閉まっており、窓には鉄格子、もう一つの出入り口はずっと別の女の眼があり、犯人の出入りが不可能な「密室」だった・・。当初、「ニッポン扇~」てなタイトルで雑誌に載ったが対日外交状況から「The Door Between」で刊行されたとかの風説あるが、眉唾らしい。でもこれ内容からして、「ニッポン樫鳥~」ていうのが一番よいかと。三津田信三「凶鳥の如き忌むもの」もそうだったが、「密室」には猿や蛇より鳥を使うのが良いのではと思った。
※ところで、殺人鬼を毒殺しちゃう探偵はともかく、証拠を捏造する探偵てのはいただけないぞ。

No.22 3点 悪の起源- エラリイ・クイーン 2020/03/15 17:39
ホームズ長編風伝奇浪漫と操りネタの結合。ヤツメウナギ(なんじゃそれ)-マグロ-カエル-ワニ-鳥-犬猫・・・イマイチ切れ悪いな、この「環」。 でも殺人者を側近にしちゃう探偵ての素敵よ。子供の殺人鬼を毒殺しちゃう探偵てのもよかったが。

No.21 4点 ダブル・ダブル- エラリイ・クイーン 2020/03/05 17:10
ダブル・ダブル・・・二重・ウラオモテ・見せかけ・・。「悲劇の連鎖」に見せかけた「計画犯罪」、「数え歌連続殺人」に偽装した「合目的犯罪」、「探偵を操り連鎖を企図する犯人」と「連鎖自体に操り返される犯人」・・。
※手元のハヤカワ訳本、野生児という設定の娘に「ようござんすわ」「面白うござんしたわ」なんてセリフ言わせちゃってる。明治35年生の訳者の文体が実にアウトオブファッション。

No.20 5点 ガラスの村- エラリイ・クイーン 2019/12/12 21:37
米国北部の寒村で起きた女流画家の殺人事件。閉鎖的な共同体に紛れ込んだ怪しげな異邦人の容疑者をめぐる裁判。裁判自体が奉行所~裁判官と、良く言えば「プロ」悪く言えば「おかみ」の物だった我が国と違い、住民から選ばれた陪審員の評決で決せられるシステムの近代西洋。だがそれは必ずしも素晴らしい物とは言えず、共同体のおぞましさをあぶりだしてゆくこともある。

「全体集合Xの中に殺人者がいる」「異邦人Aは犯人で『あり得る』」「A以外は犯人で『あり得ない』」「従ってAが殺人者である」・・「災厄の町」「フォックス家の殺人」同様に犯人特定のロジックのトリック見破りのミステリ。ただ2作に比べると設定が甘い。➀いくら閉鎖的な小村とはいえ集合X以外に、あるBが存在していたかも知れない。➁「A以外にはあり得ない」の縛りが弱い。私でさえ、ある人物のアリバイについて「ん? それウラとらなくてよいの?」となり、結局そいつが犯人だった。だからミステリとしてはせいぜい3点。

せいぜい3点だが、
「・・この討伐隊はインディアンの村をかたっぱしから焼き払って・・大人も子供も全部虐殺してしまった・・」
「あなたは本当の恐怖を知っていますか? 地獄とはこのことです。ヒロシマはこの世の地獄でした・・・」
いくら西洋のアウトサイダーのユダヤ人とは言え、「反乱の60年代」以前に、こんなセリフを二人の主役に言わせた作者に敬意を表し点数はオマケ付き。

No.19 6点 十日間の不思議- エラリイ・クイーン 2019/11/08 16:50
殺人事件が起きるまでが実によい。サスペンス超えて狂気と情念の美学・・・まるで「嵐が丘」か「白痴」か。ここまでならば「シャム双生児」と並ぶクイーン小説の双璧として8点献上。
全体4分の3まできて殺人起きてミステリになって、「十戒見立て」オチで尻つぼみに一件落着。マイナス1点。一年後に、どんでん返し「操り」オチして最終解決。さらにマイナス1点。で、計6点。
ところで「操り」って魅力的なテーマとは思うが、催眠術同様に何か噓くささが付きまとう。東野「悪意」や京極「絡新婦」にしても「そんなうまくいくか?」てなる。そのへん「Yの悲劇」はあの偶然性が見事だったかな。

No.18 6点 フォックス家の殺人- エラリイ・クイーン 2019/10/13 16:31
「殺人が行われた。」「Aには犯行が可能だった。」「A以外には犯行は不可能だった。」「したがって犯人はAである。」・・・完璧な密室のごとく組み立てられた完璧なロジック。
だが探偵には「密室のトリック」を破る様に「ロジックのトリック」を破ることを要求される。よくできた「密室」が、結局は作者が読者を騙す「叙述トリック」であるように、この作品の「ロジック」も巧妙に読者を欺く「叙述トリック」により構成されている。
そして「本格ミステリ作家」エラリイ・クイーンには、そうした「欺き」でさえも「フェア」であることが要求される。ここでの叙述は「フェア」か?自分は「OK」だった。

No.17 4点 靴に棲む老婆- エラリイ・クイーン 2019/10/07 01:21
マザーグース見立て殺人ものの一つだが、登場人物達の「フリーク」具合が、カーに比べてイマイチ。カーならば、もっともっとホラーでドタバタでグロテスクかつファンタスティックな童話的キャラで楽しませてくれたろう。
「全く同じサインというのは偽造である。」てなロジックは目からウロコだった。

No.16 4点 中途の家- エラリイ・クイーン 2019/07/26 08:43
「もしAが女ならばAは口紅を持ってる」「もしAが女ならばAはパイプを吸わない」・・こんなのロジックとして「あり」か? 最初から一番くさい奴が犯人で終わったが、一歩前のダミー犯人の方が面白かった。
「・・僕らは推理小説の中の登場人物ではないし・・」には笑った。明らかに「三つの棺」の「わしらは皆、推理小説の中の登場人物なんだから・・」への返しネタ。
ところで、あの凶器の指紋だが、あんなもん残ってたら我が日本の裁判では、間違いなく有罪の「疑い得ない」証拠とされてしまうだろう。弁護士が必死に由来の「ロジック」で反証してみても。

No.15 5点 九尾の猫- エラリイ・クイーン 2019/05/11 11:26
ニューヨーク連続絞殺事件。関連性がなさそうな九人の被害者の「環」は何か、絞殺犯はだれか・・・。容疑者がパクられても残りの頁数がだいぶあって「真犯人」が分かってしまう。もう二捻りくらいほしい・・・。

No.14 5点 災厄の町- エラリイ・クイーン 2019/05/04 12:31
クイーン版「カラマーゾフの兄弟」(大げさ)かな。陪審員(わが国では裁判員)に選ばれてしまったら、誰しもが有罪を選ばざるを得ない様な、「AはBであり得て」「A以外はBではあり得ない」という「絶対的」な状況証拠の中での裁判。しかし、もし、「Bそれ自体」が「B」ではなく、「C」であったならば・・・
作者自ら(半分だけだが)も、クイーンの専門家も「最高作レベル」と評価したという作品・・その評価については「半分」だけ賛成。

No.13 6点 レーン最後の事件- エラリイ・クイーン 2019/04/25 21:47
こんな言葉が許されるのならば「蛇頭龍尾」。十代の頃の初読では「アクロイド」より衝撃的だった。これ読んで初めて「Y」のラストが理解できた。

No.12 4点 Zの悲劇- エラリイ・クイーン 2019/04/22 18:46
「竜頭蛇尾」その一言。それも「龍」でなく「竜」。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.25点   採点数: 823件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(88)
ジョン・ディクスン・カー(55)
エラリイ・クイーン(51)
F・W・クロフツ(33)
二階堂黎人(27)
カーター・ディクスン(25)
トマス・H・クック(23)
アーサー・コナン・ドイル(23)
麻耶雄嵩(21)
ジェフリー・ディーヴァー(19)