皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
YMYさん |
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平均点: 5.90点 | 書評数: 380件 |
No.40 | 5点 | 堕天使拷問刑- 飛鳥部勝則 | 2019/03/29 19:24 |
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本格ミステリー小説、ホラー小説、冒険小説さらには恋愛小説が混然一体となっている作品で、詰め込みすぎの感はあるが、途中のとんでもない謎解き、そしてラストの謎解きと共にいい感じ。
ただ全編に渡り、ラノベ調なので好き嫌いは大きく分かれると思う。 |
No.39 | 5点 | 刑事シーハン 紺青の傷痕- オリヴィア・キアナン | 2019/03/21 10:47 |
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舞台はアイルランドのダブリン。主人公のシーハンは、警視正という階級だが、現場での捜査を好む根っからの刑事。彼女は共感を武器に捜査を進める。そのため、真相を追う過程で、自らも心に傷を負わざるを得ない。丁寧に描かれた警察の捜査活動と、体当たりで事件に挑む刑事の姿が心に焼き付く小説。 |
No.38 | 7点 | オブジェクタム- 高山羽根子 | 2019/03/14 19:44 |
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短編三作を収めている。
描かれている世界にはリアリティーがあり、現実そのもののように見える。だが、その世界は少しだけ、でも決定的にわれわれの「現実」とは違っている。 例えば、表題作では、壁新聞や秘密基地など懐かしいモチーフに彩られているものの、注意深く読めば、実は近未来が舞台であることが分かってくる。変化に乏しい日常の中に、ささやかな奇跡が立ち現れる。たまにはSFもいいなと思わせてくれた作品。 |
No.37 | 5点 | 消せない女- 多岐川恭 | 2019/03/02 18:06 |
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命を狙われつつも本人が気がつかないうちに、強運で助かってしまう人物と、その人物を殺そうとするその他の人物、さらにその計画を頼んでもいないのに阻止しようとする第三勢力まで加わり、本人がのんびり構えている間に周囲で悲喜こもごもの人間模様が繰り広げられるという変わった物語。
作者ならではのユーモアが楽しめるが、プロットは今一つ。 |
No.36 | 4点 | イヴの夜- 小川勝己 | 2019/02/21 20:25 |
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恋人が殺害された揚げ句マスコミに犯人呼ばわりされてしまう男、風俗業界で働く周囲と全くそりが合わない女。二人の共通点は、生き方がこれでもかというくらい不器用なところ。
ミステリのガジェットをところどころ使いつつも、どちらかといえば恋愛小説に近いミステリ。 |
No.35 | 5点 | 殺人群衆- 河野典生 | 2019/02/14 18:42 |
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学生運動が全盛の時代。持て余される若さのエネルギーと狡知に長けた打算とがぶつかるハードボイルド青春小説。
物語は一種の倒叙形式によって進められる。大物政治家の秘密を握り、自らが立つという野望を胸に秘めた秘書と、その姿に反発し同等に渡り合おうとする主人公。さらに無思慮な若者が三者三様の動きを見せる展開はスリリング。 |
No.34 | 6点 | 剣と薔薇の夏- 戸松淳矩 | 2019/02/10 16:03 |
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奇妙な死体の状況に不可解な爆破。見立て?不可能犯罪?その狙いは?そして犯人は誰?
当時の風俗、地理、文化、政治、庶民の生活など、あらゆる角度から丁寧に描かれている。本格ミステリであり、歴史小説でもある。 |
No.33 | 5点 | プロジェクトぴあの- 山本弘 | 2019/02/01 19:24 |
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アイドルグループの一員である結城ぴあのは、天然キャラだが、実は物理学と天文学に秀でた天才少女。
そんな彼女が巻き起こす騒動を描いた本書は、ハードSFとライトノベル感覚が融合した痛快ストーリー。 |
No.32 | 5点 | 秘密資産- マイケル・シアーズ | 2019/01/26 08:58 |
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元花形トレーダー、ジェイスンが主人公で、ニューヨークを舞台にした金融サスペンス。
急死した父親の巨額の隠し資産を探してほしいという依頼に、金に困っていたジェイスンは飛びつくが、彼ばかりか息子の命まで狙われはじめる。このシリーズの読みどころである息子への深い愛情に加え、今回は母性愛にも心を揺すぶられた。 |
No.31 | 8点 | カササギ殺人事件- アンソニー・ホロヴィッツ | 2019/01/20 17:05 |
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たくらみに満ちた作品。
実は作中作であるアガサ・クリスティばりの古典的ミステリと、それを読む担当編集者の物語からなる二重の構成を持っているからだ。 上巻を読めば、下巻を読まずにいられない。入念極まりない計算に感嘆させられた。 |
No.30 | 5点 | ガットショット・ストレート- ルー・バーニー | 2019/01/16 19:33 |
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刑期を終えたシェイクは裏の仕事で出会った女ジーナを救い、大金をめぐる追いつ追われつの争いに巻き込まれる。
カール・ハイアセンを思わせる軽妙な会話、とぼけた味のある登場人物、悪賢い美女とお楽しみが盛りだくさん。 |
No.29 | 5点 | ロング・ドッグ・バイ- 霞流一 | 2019/01/06 10:53 |
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人間から見ると多少不思議に過ぎない事件が、犬の視点からすると通常では、実現不可能となっているところがユニーク。
謎に対して犬たちによる討論場面、一つの謎が明かされないまま現れる謎の数々。裏側には大掛かりなトリックがあり、さらにその解決方法も犬を主人公としているだけに工夫がみられる。 タイトルからしてかなりふざけている。バカミスが合わない人にはおすすめできない。 |
No.28 | 5点 | 天国通り殺人事件- シュテファン・スルペツキ | 2018/12/09 10:37 |
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目の前で起きた殺人事件の濡れ衣を着せられそうになった元刑事が、無実を証明するため、被害者が働いていた療養所に潜入捜査する。
癖の強い語り口は読者を選ぶかもしれないが、登場人物たちの強烈な個性で読ませる物語となっている。 |
No.27 | 7点 | 容疑者- ロバート・クレイス | 2018/11/19 19:50 |
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ロス市警の刑事スコットは銃撃戦で相棒を失い、それがトラウマになっている。彼は心と体の傷が癒えないまま、主人を失ってやはり傷ついているシェパードのマギーの訓練に取り掛かる。そんな時、銃撃戦の捜査に新たな展開があったことを知り、マギーとともに探り始めるのだった。
スコットの不器用だが粘り強い捜査ぶりも新鮮だが、なによりマギーとスコットが少しずつ心を通わせていく過程が胸を打つ。 犬というのはなんて愛情あふれる忠実な生き物なんだろうと、健気な姿に胸がしめつけられた。 |
No.26 | 5点 | 極夜の警官- ラグナル・ヨナソン | 2018/10/25 19:48 |
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アイスランド最北の小さな町の警察官アリ=ソウル。邦訳としてはシリーズ第2作となる。
一日中太陽が昇らない極夜の時期が近づいたある日、警察署長が町はずれの空き家で襲撃を受けて重傷を負う。住民の誰もが顔見知りの町で、アリ=ソウルたちの捜査が始まる。 狭い共同体という特徴を生かした謎解きが描かれる。陰のある、驚きに満ちた物語を堪能できる。 |
No.25 | 8点 | 白墨人形- C・J・チューダー | 2018/10/17 19:44 |
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1986年夏。僕ら4人は「あの少女」のバラバラ死体を発見したが、犯人とおぼしき人物の死で事件は事件は幕を下ろしたはずだった。30年後、大人になった僕らに「真犯人を知っている」と手紙が届く。
過去の悪夢がじわじわと現在に忍び寄るホラーミステリ。巨匠スティーヴン・キングがツイッターで「私の書くものが好きなら、この本を気に入るはずだ」とつぶやいたことでも話題に。巧妙な語りと最後まで続く予想外の展開で引き込む。新人作家とは思えない出来。 |
No.24 | 6点 | 遭難信号- キャサリン・ライアン・ハワード | 2018/10/08 21:09 |
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豪華客船を舞台に繰り広げられるサスペンス。ただし、舞台が船に移るのは後半から。
出張でバルセロナに向かった恋人のサラが失踪した。アダムは不安に駆られて彼女の足取りを追う。やがて、サラのパスポートと、彼女の字で「ごめんなさい」と記されたメモが届く・・・。 冒頭から不穏な要素が散りばめられ、不安を煽り立てる。謎と焦燥感で読者を五里霧中に引っ張る。 最終的には、意外な真相が明らかになり衝撃度は高い。 |
No.23 | 8点 | バットランド- 山田正紀 | 2018/10/02 20:20 |
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五つの中短編を収録した最新作は、力作ぞろい。
認知症を患った詐欺師のユーモラスな逃走劇から始まる表題作は、廃坑を利用したニュートリノ検出施設に生息するコウモリの異変や、ブラックホールの「蒸発」などが次々と判明し、宇宙消滅の危機へと急展開する。 たたみかけるようなテンポの良さとスケールの大きさは、まさに山田ワールドといえるでしょう。 |
No.22 | 6点 | モリアーティ- アンソニー・ホロヴィッツ | 2018/09/24 09:50 |
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シャーロック・ホームズの異色のパスティーシュ(がん作)。
ホームズと宿敵モリアーティがライヘンバッハの滝に消えた。現場を訪れた英国の警部は、米国のピンカートン探偵社から来たという男と出会う。2人は手を組んで、モリアーティに接触を図っていた米国人犯罪者を追跡する。 ホームズは登場しないが、彼の手法を模倣する警部の存在が印象深い。意外な結末へと至る物語の仕掛けも鮮やか。 巻末には、ワトソンが語るホームズ短編「三つのヴィクトリア女王像」も収録。 |
No.21 | 6点 | これ誘拐だよね?- カール・ハイアセン | 2018/09/11 21:02 |
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アイドル歌手のチェリーがドラッグ中毒だということをマスコミに隠すための影武者アンが誘拐され、欲の皮が突っ張った人々は右往左往する。その愚かしさをユーモアたっぷりに皮肉と風刺をまぶして描き出す作者の魅力が炸裂している。 |