皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ALFAさん |
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平均点: 6.63点 | 書評数: 233件 |
No.2 | 9点 | オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー | 2017/03/16 10:57 |
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採点はむつかしい。
とにかくこのトリックを小説化しただけでもう満点ともいえるし、その分犯行のリアリティや、謎解きの楽しさが犠牲になっているともいえる。 でも読まないより読んだほうが「一度目は」思いっきり楽しいのでこの評価。 映像に向いた作品と見えて、映画もTVドラマもそれぞれ名作になっている。 映画はオールスターの演技合戦が見もの。アルバート・フィニー(ポアロ)の速射砲のような尋問を「食い」ながら返していくウェンディ・ヒラー(公爵夫人)の緊迫感あふれるやり取りが印象に残っていたがDVDでは別テイクになっていた。 TVドラマ版は重厚でシリアスな改変は見事だが、一部のキャスティングが物足りない。 追記 ケネス・ブラナーの最新作も楽しい。ジョニー・デップの絵に描いたような悪役がいいし、堂々たる英国紳士になってしまったポワロは笑える。 いずれも評点9。 |
No.1 | 8点 | 葬儀を終えて- アガサ・クリスティー | 2017/03/16 10:10 |
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お屋敷、富豪の死、遺産相続、連続する死者、と絵にかいたような古典本格派ミステリの構成。
しかも開始早々、たった一言のセリフでいきなりミステリモードに突入する。 比較的後期の作品のわりに人間ドラマの要素が少ないので落ち着いてフーダニット、ホワイダニットが楽しめる。登場人物がいささか多すぎるが。 どの作品でもそうだが、現実世界のリアリティとミステリ内のリアリティとの距離をどうとるかによって楽しみ方は変わってくる。現実寄りにリアリティを設定すると、この犯人がフェルメールを換金することは全く不可能だから、この作品は評価できなくなる。同様に入手方法としてこんな仕掛けをするかという疑問もありうる。そして例のトリック、ミステリではおなじみだが、現実ではまず使えない(厳密な意味では)。 私はここでは、いずれもミステリ内のリアリティ基準としてアリとする。ただしクリスティも多用する例のトリックは作品によって、またその前提条件によって評価は変わってくると思う。 なお、デヴィッド・スーシェ主演のドラマ版ではストーリーが若干改変されていて、個人的にはより楽しめた。 細かいところでは、フェルメールがレンブラントになっているし、きわめて礼儀正しい犯人が最後の最後にタガが外れたような壊れっぷりを見せる。鬼気迫る演技で見ごたえがある。 ドラマ版もおすすめ。(こちらは10点) |