皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
風桜青紫さん |
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平均点: 5.62点 | 書評数: 290件 |
No.8 | 7点 | 三つ首塔- 横溝正史 | 2016/02/11 17:09 |
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『八つ墓村』と並んで好きな横溝作品だが、なかなか賛同は得られず(笑)。推理要素はほとんどなく、もっぱらせこいエロシーンとメロドラマ風味を楽しむ小説。しかし主人公の音禰が良い感じにウブな箱入り娘で、なんだか妙に応援したくなってしまう。少女マンガのイケメンキャラみたいな高頭五郎とのやり取りといい、読んでいてにやにやが止まらない。登場人物がストリップだの双子プレイだのを披露してはポテトチップスのようにサクサク死んでいく有り様も妙に面白く(不謹慎)、読んでてワクワクできる作品だった。 |
No.7 | 6点 | 女王蜂- 横溝正史 | 2016/02/11 16:56 |
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このあたりになると、もはやミステリ要素はほとんど薄味になってくる。どれもこれも実に古典的……。しかし僕の場合、横溝作品は、好兵衛さんのおっしゃる通り、古臭いミステリ風ドラマとして読んでいるので、こういうのも結構楽しめるのです。九十九龍馬や文彦クンのような変てこな登場人物たちや、ころころ死んでいく登場人物たち、無能な耕介、趣味の悪い真相、といったようないかにもな雰囲気のお膳立てを楽しむわけなのです。しかし智子が「絶世の美女!」などと持て囃されてるわりに、ところどころ普通な女の子っぽくて笑える。お風呂でおよぐwww。 |
No.6 | 5点 | 悪魔の手毬唄- 横溝正史 | 2016/02/11 16:33 |
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本格読みを自称するかたにはなぜか評価が高いが、個人的には「衝撃」もなければ「必然性」も大してないような真相だった。見立て殺人の意図についてはりゅう氏が指摘している通りなのだろうが、いかんせんメリットに対してリスクが大きすぎたのではないかという印象が拭えない。というかそれが原因で犯行がばれちゃってるのだから犯罪者失格じゃないの(犯罪者合格が何かと問われれば困るけども)。手鞠歌という魅力的な道具で雰囲気を盛り上げるのは横溝らしいといえば横溝らしいのだけれどと、どうもこの作品は「謎のためのトリック」という部分が大きく出すぎたように思えた。もちろん、舞台のおどろおどろしさや、複雑な人間模様、過去の事件、耕介と磯川さんの友情(?)ストーリーなど、見るところは多いし、それなりに楽しめたのは確かなのだが……。私の周りにもこれをベスト横溝にあげる人間が多いのだけども、どうも納得できない。たぶんそこらへんは趣味の違いなのだろう。 |
No.5 | 6点 | 夜歩く- 横溝正史 | 2016/02/11 16:17 |
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トリックは古典的だけども、それなりに楽しめた。古い作品には古い作品なりの奥ゆかしさがあるということでww。元ネタ(?)と同じく首のない死体ものの作品なんだが、せむし男だの夢遊病だのなんだか乱歩っぽい道具が散りばめられていて、空気もなんだかエログロっぽい。しかし最後のどんでん返しには意表をつかれた。横溝もこんなネタを使うんかい。彬光のあれと同じで、「話題になってるからとりあえず使ってみた」という感じがあるけども、まあ、許容範囲。「八千代は処女だったぜ!」とかいちいち台詞が笑えるし。一風変わった横溝を楽しめたということで6点。 |
No.4 | 6点 | 犬神家の一族- 横溝正史 | 2016/02/11 15:59 |
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スケキヨくんが有名すぎる一作。トリックは今となってはベタ(というか使うやついるのか?)なもので、犯人サイドも「女に残虐な犯罪は無理」とかなんだかよくわからない理由で行動しているし、なんともご都合主義な作品。でもなんだかんだで面白く読めた。遺産相続バトルだとかグロい見立て殺人だとか、先行きを気にさせる道具をどんどんぶっこんでくれるんだなあ……。日本的な空間での殺伐さを演出することにかけては横溝先生は国内最高クラスでしょう。 |
No.3 | 7点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2016/02/11 15:43 |
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典子のサクセスストーリーww。不美人として登場したはずなのに読んでいるうちに可愛く思えてきてしまう。横溝先生の手のうちにまんまとかかってしまったな。
小難しい論理をこねるより、どんどん人を殺して主人公をピンチにしていってしまうほうがエンタメ小説としては面白いんじゃないかって思えることはよくあるんだが、この作品は本当にそれ。いくらなんでも人が死にすぎwwそのうえ村人たち怖いwwww。犯人当てがおまけになってしまっているけども、閉鎖された環境を舞台にしたアクション&ホラー小説としては良くできた作品。 |
No.2 | 7点 | 獄門島- 横溝正史 | 2016/02/11 15:32 |
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『悪魔の手毬唄』や『犬神家の一族』のほうがよほど粗が多くて見立て殺人の必然性が薄い作品ではないかと思う。少なくとも『獄門島』は犯人にもアリバイ作りというそれなりの理由があったし。
横溝的なおどろおどろしさが本格ミステリとよくマッチングした作品。横溝って(割と細部描写を正確に書くし)読みやすい文章ではないんだろうけど、さくさく人が死んでくれるからどんどん読めるww。「きちがい」の四文字であっさり殺されていく女の子たちはかわいそうな限り。いかにもといった道具で雰囲気を作るだけじゃなく、それをトリックに絡めていくあたりがすぐれた作品の所以か。後の方の作品になると、道具ばかりが前にくるんだよなあ……。話の都合上、耕介がなんとも無能なんだけど、奴はもとの性格がへぼっちい感じだから、『人形はなぜ殺される』のカミーよりは納得がいきました。アイデア豊富だからかそこまで長い作品でもないのに、かなりボリュームがあったような読後感。 |
No.1 | 6点 | 本陣殺人事件- 横溝正史 | 2016/02/11 15:13 |
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なんじゃこりゃというようなバカミスで、犯人も割と予想通りの人物だが、面白かった。冒頭の三本指の男といい、猫の死体といい、いかにもといったような御膳立てがたまらない。小谷野たんが「横溝なんぞ乱歩の亜流の二流作家だ!」とか書いていたような覚えがあるけど、この時点ではどっちかといえばカーに近い気がする。怪奇性やトリックもそうだが、探偵がイケメンとは言いがたい憎めないやつなところとか。耕介の剽軽なキャラがなんともいいのですよ。
それにしても酷い動機だww。彬光にしろ鮎川にしろこの手の話題は出てくるけど、このあたりの時代ではえらく重要視されてたのね……。 |