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風桜青紫さん
平均点: 5.62点 書評数: 290件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.14 5点 まほろ市の殺人 夏- 我孫子武丸 2016/07/17 14:42
サプライズうんぬんより、我孫子は演出が下手だなあ、と改めて感じた。この話の一番の面白味は、主人公が犯人のアリバイを作り出してしまうってところだろうに、そこらへんの後味の悪さがいまいち伝わってこない。中編という制約もあったから仕方ないのかもしれんけど……この作者はトリックメイキングに関しては天才的なのに、ストーリー作りのほうがいまいちぎこちないなあ、という印象だった。

No.13 4点 狩人は都を駆ける- 我孫子武丸 2016/01/18 03:44
本格ミステリとしては薄味だが、だからといって私立探偵ものとして面白いかと問われたら微妙。『セント・メリーのリボン』はおろか『犬はどこだ』の水準に届いているかも怪しい。作者は傲慢ちきななんちゃって大御所なのに作品はなんだかスイーツになってしまっているのが悲しいところである。「野良猫嫌い」はその点でまだ楽しむことができたが、表題作や「失踪」はどうにも甘ったるくて「これでいいの?」という感じだし、「狙われたヴィスコンティ」に関してはあまりに投げやりな終わりに哀しみすら感じてしまった。「我孫子武丸はこんなものではないはずだ!」と思いながら読んでいたが、冷静に考えれば我孫子から奇抜なアイデア力をとってしまえばこんなものなのかもしれない。しかしもっと頑張ってほしかったなあ……。

No.12 4点 眠り姫とバンパイア- 我孫子武丸 2015/12/19 21:28
ロリコン小説。……ってほどでもないか。軽く読めるアットホームなライトミステリ。結末は、意外性を求めた結果の着地点なんだけど、素直に納得できかねる。優希のおとうさんLOVEもいまいち伝わってこない。あいつ、ダメ親父じゃん。この年頃の子どもにもなれば、親に対して無条件にLOVEってわけにもいかんだろうし、ページ数的にきつかったかも知れんが、もっと読者がおとうさん好きになれるようなエピソードがほしかったかな。そこまでつまらんわけでもないけど、面白いわけでもないので、4点。

No.11 7点 殺戮にいたる病- 我孫子武丸 2015/12/19 21:17
ラストは確かに驚くんだが、だからと言って、「だまされたー」と痛快な気分に浸れたわけでもなかった。真相が明らかになったところで、頭で描いていた絵の全体図が変わらなかったせいかも。どちらかといえば、違和感がすーっと解消されるので、「そっかぁ……」というような読後感。あと、蒲生稔による殺人模様が面白かった。わりと読んでいてゾクゾクする。描写が上手いというよりは、作者の楽しげな筆運びが伝わってくる感じ。我孫子らしい作品かと問われれば微妙だけど、まあ、完成度は随一だと思う。

No.10 6点 弥勒の掌- 我孫子武丸 2015/12/19 21:01
パーツひとつひとつを見ていけば実にベタな作品。しかしまあ、二人の視点人物の背景がつながる瞬間の苦々しい痛快さや、ラストシーンのやっつけっぷりは嫌いじゃない。盛大なブラックジョーク小説とでも形容するのがいいかも。実に我孫子らしくてよろしい。

No.9 5点 人形はライブハウスで推理する- 我孫子武丸 2015/12/19 20:44
シリーズ一作目の『人形はこたつで推理する』と同じく短編集。一作一作トリックの切れ味がなかなか良く、人形シリーズではこれがベスト。『ママは空に消える』や『ゲーム好きの死体』は難易度が高いわけでもないけど、我孫子の目の付け所の鋭さを感じさせられる。なるほど、そう来るかって感じで。ミステリとしては『腹話術志願』が一番よくまとまってたけど、インパクトではこの二作品。朝永くんとおむつは嫌いじゃないけど、二人の空気読めないイチャイチャ&ノロケには興ざめ。やっぱり我孫子にはとは趣味が合わないのかも……。続編出たらなんやかんやで読むだろうけどね。

No.8 5点 人形は眠れない- 我孫子武丸 2015/12/19 20:31
軽いものを読みたいときにいい。……以外の言葉はとくにないかな。科学トリックだけは妙に印象に残るけど、なんせ事件に巻き込まれてる側の人間のありかたがまったく描かれないから、いまいち事件に興味がもてない。まあ、気分転換には悪くないライトミステリってところ。恋愛小説っぽいみたいな意見もあるけど、大して良くできた人間模様でもないと思う。こち亀にたまに出てくる恋愛話ぐらいの感覚で読むといいかもしれない。

No.7 2点 人形は遠足で推理する- 我孫子武丸 2015/12/19 20:20
いい人なのかただのチンピラなのか安定しないバスジャック犯(たぶん両方)に終始イライラさせれた。言ってしまえばバスジャックをやったり、人を殺そうとしたりする人間は大いに人格に問題があるので、共感しようといわれても無理な話。まりおをバスから投げ捨てやがって。そのバスジャック犯に無理に共感しようと四苦八苦するおむつにもイライラ。途中の謎解きも我孫子にしては薄味だし、結末もあまり後味がいいものじゃない。こんなんダメだ!

No.6 5点 人形はこたつで推理する- 我孫子武丸 2015/12/19 20:14
トリックは『人形はテントで推理する』がよく出来ていて、あとは小粒な感じ。でも、読み心地がライトだし、謎解きもクイズをやっている感覚で挑めたから、十分に楽しめた。これを一般受けさせようと思って書いてた我孫子のセンスにはちょっと問題があるけど……。ライト調な本格ミステリといったところか。

No.5 3点 ディプロトドンティア・マクロプス- 我孫子武丸 2015/12/19 20:11
我孫子武丸の学生っぽいテイストは好きなんだけど、それはアイデアに関してのことであって、キャラ立てや作風のことじゃないのよね。ただ馬鹿馬鹿しいだけじゃ面白くない。書いてて楽しいんだろうなってイキイキさが伝わる(獣医とかバイトの子とかいいキャラしてるし)のはいいけど、ハチャメチャな設定で引きつけようって魂胆ではそこらの三流ライトノベルと同じになっちゃう。我孫子はちょっと米澤から小説の書き方を教わるべきじゃないかな、とすら思えてしまった。

No.4 6点 探偵映画- 我孫子武丸 2015/12/19 19:59
アイデアの面白さに関しては文句なし。途中の「犯人になりたがる推理合戦」もドタバタしていて笑えたし、それぞれの提出する推理もよく出来てる。『毒入りチョコレート事件』のオマージュと称してくだらんパクりの詰め合わせをやらかしていた米澤穂信の某作品を圧倒してるのは確か。けどまあ、アイデアが良くても、登場人物のやりとりにさして魅力があるわけでもないので、中盤は妙にぐだぐたして読み進めづらかった。アイデアが枯渇したあと我孫子が失速した理由もたぶんここ。できりゃゲームにはまってる間にそのあたりを磨いてほしかったかな。

No.3 4点 メビウスの殺人- 我孫子武丸 2015/12/19 19:42
辻村深月にアイデアを持ってかれてしまったあたり、着想は悪くないと思う。でも、結末は前二作ほどインパクトがないし、途中の謎解きもしょうもなくて首を傾げたくなるんだよね。我孫子はある種のしょうもなさがウリとは思うが、それにしたってもう少し驚きが欲しかった。慎二、探偵役だけどいまいちキャラ薄いよね(兄と妹と比べても)。そういうところも学生的っちゃ学生的なんだけど。

No.2 6点 0の殺人- 我孫子武丸 2015/12/19 19:38
文章は稚拙でストーリーは手作り感全開。でもまあ、この作品はむしろそこが味になっている。なんていうか作者の遊び心満載で、実に新本格らしい作品。犯人候補が次々と姿を消していくから、「どうなってんだこれ?」って先行きが気になったし、そこから飛び出す苦笑いが出るオチもいい。小説を形作ろうと変に気合いを入れるより、自分のアイデアを見せつけてやりたいって思いで書いたほうが良作ミステリを生み出すって典型じゃないかと。

No.1 5点 8の殺人- 我孫子武丸 2015/12/19 17:00
軽いタッチの本格小説。カーみたいなメイントリック、どうも好きになれないんだよね。我孫子はカー好きみたいだから、たぶん趣味の違いだろうけど。どちらかといえば、軽いタッチのやや寒くてほんわかするギャグ(犯人指摘シーンの緊張感のなさとか)がいい味出してて好感が持てた。不遇のあまりか単なる頑固親父と化してしまった現在の我孫子には悲しくなるばかり。

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風桜青紫さん
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