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ロマンさん
平均点: 8.08点 書評数: 177件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.12 8点 ナイルに死す- アガサ・クリスティー 2015/10/24 23:18
徹頭徹尾読み手を飽きさせないリーダビリティの良さ、シンプルでありながらも細やかな登場人物たちの人物描写、無数の伏線と手掛かりが散りばめられたストーリー展開、納得の動機、アッと驚かされる真犯人と結末、愛あるポアロの名推理、どれを取っても素晴らしいとしか形容できない。ポアロの灰色の脳細胞と洞察力が登場人物たちそれぞれの胸に秘められた欲や愛情を見抜き、真相へと収束していく様は緻密で美しく圧巻。手の込んだトリックの作品も確かに面白いのだが、自分が本当に好きなのはこういったミステリなのだと改めて実感できた傑作。

No.11 7点 エッジウェア卿の死- アガサ・クリスティー 2015/10/22 15:41
エッジウェア卿が屋敷で殺害され、夫人が離婚問題で揉めていた為に、犯人ではないかと思われる。しかし夫人は同じ頃、知人の晩餐会に出席していたのが確認され、アリバイが成立する。犯人は誰なのか、それとも夫人のアリバイはトリックなのか。この時期のクリスティ氏は、様々なパターンに挑戦していて割と複雑であり、ポアロの失敗例の一つとして描いている。謎解きが偶然による事も、そこから犯人の仕掛けた罠が一気に剥がれていく流れも、他に無いパターンで楽しめる。

No.10 6点 スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー 2015/10/21 16:37
昔から何度も読み返してきた名探偵ポアロ初登場にしてクリスティーの処女作。のどかな田園のお屋敷で傷病兵として休暇を過ごすはずだったヘイスティングズ大尉。滞在するスタイルズ荘の女主人が毒殺され、旧友ポアロと共に事件解明へ踏み出した。容疑者は複雑な事情を抱える家族か大勢の家事使用人の誰か? 終盤の一同集めた推理披露までに犯人の目星はついてもアリバイとトリックに悩まされる。ポアロの卑劣な犯人追求の執念と目くらましはお見事。ロマンチストなヘイスティングズの手記形式で恋愛沙汰が色濃く反映されるのも楽しい。

No.9 9点 オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー 2015/10/21 10:54
雪に閉ざされたオリエント急行の中で一人の男が殺された。体にはバラバラの十二の刺し傷。乗客は十二人。果たして犯人は誰なのか、そしてバラバラの傷が示すものは・・・。言わず世知れたアガサ・クリスティの代表作の一つ。『アクロイド殺し』と並び、推理小説をもっと自由な存在へと導いてくれた作品。

No.8 7点 愛国殺人- アガサ・クリスティー 2015/10/20 23:09
老いも若きも地位も名誉も関係ない場所、それは歯医者。半年に一度の定期健診を嫌々受けにいったポアロ。晴れ晴れとしてそこを去った数時間後に歯医者が死んだ。一見自殺に見える現場だが、患者に英国随一の経済界の重鎮がいたことで殺人の疑いも出てくる。医者はテロに巻き込まれたのか、それとも…。複雑に織られた布の中の1本の糸を辿っていくような事件だった。

No.7 8点 ABC殺人事件- アガサ・クリスティー 2015/10/20 20:35
クリスティーを「読んだ事がない」という人でも、『ABC殺人事件』の名前くらいは聞いたことがあるだろうか。灰色の脳細胞を持つ、名探偵エルキュール・ポアロ。そのポアロの元に、ある日届けられた「ABC」を名のる人物からの手紙。ABCのイニシャルを持つ人間が次々と殺され、現場に残された「ABC鉄道案内」。やがて、ABC殺人事件と名づけられたその事件は、大衆を揺るがす騒ぎとなっていく。「有名すぎるから」という理由で、手に取らないのはあまりに勿体ない面白さ。クリスティーの傑作ミステリ。

No.6 8点 三幕の殺人- アガサ・クリスティー 2015/10/20 16:23
あまりにも大胆。ポアロの一言も、実に当を得た発言。故にアガサ・クリスティーが構成した三幕の演劇としてこの小説を読めば、あまりにも犯人は明白である。それでいて、ポアロの立場に立った時にはミステリの難易度が跳ね上がる。怪しい人物が乱立し、完全なる証明が難しい。けれども正しい論理でなければ頂点まで組み上がらない。そのバランスは流石クリスティ。

No.5 8点 ポアロのクリスマス- アガサ・クリスティー 2015/10/20 15:47
クリスマスの華やかさと殺人の血の滴りのアンバランスが効いた良質の本格ミステリー。偏屈な当主を始め一族の人物描写が鮮やかで、不穏な空気をかもし惨劇を予想させる。このハレの雰囲気こそが読者の目をミスリードする著者最大のトリック。盲点を突くフーダニットと、何気ないダブルミーニングの言葉の巧さに舌を巻く。血みどろの密室殺人や謎の盗難事件というお約束をあえて踏襲しつつ、そこに“Why”の引っ掛かりをつけ状況を逆に見る推理に繋げる捻りといい、よく考えられている。

No.4 8点 白昼の悪魔- アガサ・クリスティー 2015/10/20 14:19
どんな男も虜にする美しき元女優の登場で、避暑地の平穏は破られた。元女優を中心に二つの三角関係が形成され、険悪な雰囲気が漂い始める。そしてついに、元女優が何者かに扼殺される事件が発生。しかし、関係者いずれにも鉄壁のアリバイがあり……。序盤にぬけぬけと張られた伏線や、シンプルながら切れ味のあるアリバイトリックが見事。

No.3 9点 葬儀を終えて- アガサ・クリスティー 2015/10/20 12:00
大富豪の葬儀を終えて、遺言公開の場で発せられた「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」この鮮烈なひとことがすべてを支配する。大胆かつ周到に構築されたミステリ。本作の素晴らしいところは「トリック」が「ミスディレクション」であり「伏線」であり「手がかり」でもある不可分な物語構成にあると思う。老獪なクリスティーは更にその語りの中に罠を仕込む。意外な犯人にも文句なし。実に巧い。傑作。

No.2 10点 そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー 2015/10/20 11:33
10人の客人が招待されたのは岩肌にそびえる屋敷だった。そこで告げられたのは客人たちが犯した罰せれられることのない犯罪の歴史。次々と客たちが殺されていくが、依然として犯人は分からないまま。世間から隔離された孤島でいったい何が起こったのか? テンポよく進んでいくストーリーは小気味よく、張り巡らされた伏線は緻密で隙がない。さあはじめよう、判決と断罪の晩餐会を。

No.1 10点 アクロイド殺し- アガサ・クリスティー 2015/10/20 10:52
(ネタバレ) 叙述トリックの代名詞というくらいの予備知識しかなく読み始めたが、読んでいるうちになんとなく「そういうことなのでは?」というのは感じられた。語り手でありワトソン役である登場人物が犯人であり、実は全てを語っていなかった、という叙述トリックはたしかに当時は斬新で賛否を巻き起こしたことだろう。ただ、嘘を書いていたりするのではなく、書いてある事自体は全て事実なので、当時これをやってのけたアガサ・クリスティーの目の付け所が素晴らしかった、ということだけは確かだろう。

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