皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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斎藤警部さん |
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| 平均点: 6.69点 | 書評数: 1433件 |
| No.953 | 7点 | 銀座幽霊- 大阪圭吉 | 2020/05/06 22:00 |
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| 三狂人 7.3点
奇想熱波の予見の果ては、あらぬ小さな結末へ。だがその奇想の幻こそ、心に刻む。 銀座幽霊 6.2点 濃密な文章の旨みと、してやられるチョィと浅い物理トリック。ドラマチックな種明かしと小癪なオチが連なるエンドはなかなかいい。 寒の夜晴れ 7.6点 足跡トリックは物理心理の両面からなかなか興味津々。そしてこの人情悲劇! 後付けだろうと心を揺さぶる。 燈台鬼 7.1点 この人の海や港の話はいいなあ。アマリア・ロドリゲスが聴きたくなる。創元文庫、初出雑誌の挿絵も良し。大味な大型物理トリックと、深く刺さる人情物語。この二つが恐ろしく噛み合ってないが … 同名の南條範夫人気短篇とは、表題の意味方向からして全く異なる内容です。 動かぬ鯨群 6.5点 湊町の殺人(コロシ)で始まるサスペンス展開が魅力。事の真相、半分は意外豪快だがもう半分は当たり前過ぎるかな。。でもいいさ。 花束の虫 7.8点 ホゥムズ風犯罪暴露譚。乱闘の形跡らしき足跡に秘められた経緯が興味深い。眼前に浮かびあがる岸壁の風景も素晴らしい。やはり圭吉っつぁんは海浜地域の話がいいねえ。圭吉っつぁんにしてはチョィとハッタリ効かせた部分が天晴レなんだが、このハッタリスピリットが物語全体に沁み渡ってたらそれこそ準ホゥムズ級の傑作になってかもなあ。惜しい! 闖入者 5.6点 大胆な心理的物理大トリックが登場するが、物理のほうの大胆な壮大さに比べて心理のほうがちょっと、、イリュージョンでチャンチャカチャンか。色々とバランス悪くてこけるわア。ミステリ要素とは別に、物語風景の美しい部分は心に残る。 白妖 5.8点 ミステリの根幹はチャンチャンもいいとこのズッコケいじわるクイズ(おゝ死語)だが、暗闇情緒と、最後唐突に姿を顕す(申し訳程度の伏線あり)人情余韻はなかなか。 大百貨注文者 3.5点 ずっこけバカミス。この底の浅い真相はほとんど意外な結末の域。物語の締めだけは、多少いい感じ。 人間燈台 8.8点 これほどに胸熱な物理トリックがありますか!! 人情と残酷と物理が奇蹟の三つ巴を形成。 表題が絶妙に際どい半ネタばらしなのも納得。 人情派事件の迸(ほとばし)りを受けてみよ! 最後の台詞も最高に清冽です! 幽霊妻 6.0点 何やら不可能犯罪めいた謎めきのナニは、そこのそれか?! 怪しからんのは自死、ではなくそこに追い込んだ素朴故に厄介な疑いだ!! ずいぶんとギャフンな結末だが、不似合な義憤が溢れ出て仕方無し。 |
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| No.952 | 7点 | ウェルズSF傑作集1 タイム・マシン- ハーバート・ジョージ・ウェルズ | 2020/05/05 19:15 |
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| 塀についたドア
美しく愉しそうな楽園の描写が沁みる。寓話的側面は微妙。 奇跡を起こせる男 ドラえもんみたいな無際限お気楽ドタバタ。 オチに至るまで、何もかもドラえもん。 悪くない。 ダイヤモンド製造者 擬随想のようなショートショート。 時代の空気が魅力。 イーピヨルニスの島 寓話風哀しき冒険譚。頗る短い話だが、独特の気が遠くなるよな遠大感がある。 水晶の卵 小宇宙の話と思いきや。。小市民的仄暗さの中に沈んだ宇宙のファンタジーは奇妙に壮大。 タイムマシン センスオヴワンダーと、勇敢な智恵の中篇。 魁偉なる一品。 何故本作が古くならないのか、小説家でなくとも、考察を巡らしてみる価値が充分にあり。 全体の半分を占める表題作への評価に引っ張られ、この点数。 |
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| No.951 | 9点 | 盗まれた手紙- エドガー・アラン・ポー | 2020/05/03 11:12 |
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| 隠しのトリックにしても有名な「アレ」ってだけじゃなくリスク回避の念には念が入っているし、捜し出す方だって単に「アレ」に気付いたってだけじゃなく事件解決理論と実践の濃やかなハーモニーが薫ること薫ること。犯人、探偵双方の行状に備わったその冒険性も相俟って(挟まれた演説も猛威を揮う)、誠に読み応えのある知性横溢ミステリに仕上がっています。隠し場所の興味のみならず、手紙の盗まれた経緯の機微がまた素晴らしい。だが探偵の仕掛けた「盗難●●●●●●●●おく」という大トリックとその狙いの効用こそ本作最大の肝でしょうか。いくつもの滋味深い逆説が大に小に交差する絶景の一篇。ブラウン神父の直系尊属にあたる作品ですね。物語の締めがまたグッと来ます。
※弾十六さんの註釈群が凄く良いです。「鍵」の件は私も気になっています。どうも有り難うございました。 |
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| No.950 | 7点 | すばらしい新世界- オルダス・ハクスリー | 2020/04/28 18:56 |
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| 「快適さなんて欲しくない。欲しいのは神です。詩です。本物の危険です。自由です。美徳です。そして罪悪です。」
本作のメイントリック(??)、と呼びたくなる安定社会の創造メソッド、これぞ逆転の発想!! 。。。 ところが、事故は起きる。。おかげでこの物語は存在した。。。あれ!? これはシンプルでもナイーヴでもない逆説の物語、いや、むしろ逆説なんかじゃあないんじゃないか!? 個人的に(終結間近までは)ただただエンタメ書として愉しめました。まるで作者の意図を飛び抜けて、本作中の世界統制官共にまんまと誑し込まれたようだ(った)。。。。??? 地球社会の基盤がとても二十六世紀中葉に見えずフューチャーノスタルジアに浸れないのは残念だが、そこが却って良い。しかしその頃はデーモン小暮も十万六百歳近くなってるのか、生きてれば。 作者自身も後年語っている様だが、やや若書きというか、”ジョン”や”バーナード”を始め主要登場人物の辿る道にもう少し選択肢の幅の陰影が染み渡っていても良かったかな。そこを犠牲にした代わりに、この重く心を揺らす印象深いラストシーンが生まれたのかも知れないが。。でもそこで天下の奇書になり損ねた、業の深過ぎる涙の書になり損ねた感はある。 “チャリングT”には笑ったがちょっとしつこい。 シェイクの引用やたらに頻繁(表題も)。 ブラッドベリの短篇で、たしかポオの諸作や何やらと並び”禁書”として羅列されてた本ですね。 ジョージ・オーウェルが、上流出身たる著者の教え子だったそうですね、イートン校で。 新型コロナウイルス支配下の世で読むと余計に沁みるような気がする箇所が、いくつもありました。 “沈黙があった。悲しいにもかかわらず ーー いや、悲しいからこそ。というのは、悲しみは三人が互いのことを大事な友達だと思っている証拠だからだ。三人は幸福な気分だった。” |
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| No.949 | 6点 | 痛み かたみ 妬み- 小泉喜美子 | 2020/04/27 18:55 |
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| 痛み La Peine/かたみ Le Mémento/妬み La Jalousie/セラフィーヌの場合は/切り裂きジャックがやって来る/影とのあいびき (オリジナル短篇集6篇)
またたかない星/兄は復讐する/オレンジ色のアリバイ/ヘア・スタイル殺人事件 (中公文庫増補4篇) ミステリ、パラミステリ、ファンタジー、サスペンス、奇妙な味、、水増し推理クイズさえ快い。 おっとガチの推理クイズもあった! お洒落で魅力のストーリー展開なんだけど、着地点の地盤がちょっと柔らかい、でもそこがいい、みたいな作が目立つ。 意外性より形式美で勝負の作も際立つ。 読者を、カットバックの手際が予想外の方向へ振り回したり、じんわりするエンディングが暫し包み込んだり。。 本格味のある某作、アレの正体については伏線もしっかりあったんだな。。 増補4篇の内、2篇は露骨にオマケだが、ブラウン神父的味わい深い逆説ものもあったりする。 |
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| No.948 | 4点 | QED 百人一首の呪- 高田崇史 | 2020/04/23 11:30 |
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| 智恵と知識とバカの妙なる融合暴走!! 革命チックなようで微妙なアリバイ顚末。 犯人像も微妙。 中身も形もバランスおかしい。 文庫の解説陣、ちょっと無理してないか? でも愉しく読めました。 但しそれは久方ぶりに百人一首の歌世界に一気にドバァーと浸らせてくれた恩恵に多くを負う。(百人一首の謎解き自体は、まあまあ) | |||
| No.947 | 7点 | D坂の殺人事件- 江戸川乱歩 | 2020/04/15 18:33 |
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| 二癈人/D坂の殺人事件/赤い部屋/白昼夢/毒草/火星の運河/お勢登場/虫/石榴(ざくろ)/防空壕 (創元推理文庫)
道徳ってのは一大事なんだなあと思いが沁みわたる。 道徳律あってこその不道徳ファンタジーでいっぱいの短篇集。 変格の鬼、乱歩さんの本格力作「石榴」はグッと来る。旅情も効いている。 「虫」の馬鹿に悍ましい展開には初期アシュ・ラ・テンペルがよく似合う。 「表題作」地味ながら堅実。 何度読んでも笑っちゃう「某作」。 どれも読んでも損は無がっぺ。 |
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| No.946 | 6点 | 数奇にして模型- 森博嗣 | 2020/04/09 19:55 |
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| まず、登場人物表に大きな謎がある。 ●●●、●●●ど●●●●ようだ。
「まあ・・・・・、少し残念」 国枝君の大演説には驚いたが、代わりに恋も冷めたかな。 「ただね、あなたが、それを生き方や人生に密接に関係しているみたいな理由で断ろうとしたから、わたしは反論しているだけなの」 表題の意味が序盤からじわじわ染み込んで、はらはら剥がれ溢れ落ちてくるのが熱い。中盤にはかなりにマブい推進力。 ラス前シーンの、ある人物に ‘時間が無い’ という設定も心地良かった。 “世にも不思議なこの動機は、しかし、他のすべてを掛け合わせた数よりも、はるかに大きな素数で、何ものによっても割り切れなかった” だが、どうにも拭い切れぬ或る種の気持ち悪さと、折角の真相意外性と真犯人意外性が何だかすれ違って衝撃薄め合っちゃった感じ、この辺がどうにもなあ。原理はなかなか斬新と思えるだけに。。 まあ、面白いミステリですよ。 ← 或ることについてはわざと触れませんでした 「煙草のことですか?」 「煙草のことだ」 エピローグの最後、 アッと思わせておいて、 沁みますねえ。。 |
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| No.945 | 6点 | 姫椿- 浅田次郎 | 2020/03/31 19:18 |
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| 獬 (xie) /姫椿/再会/マダムの咽仏/トラブル・メーカー/オリンポスの聖女/零下の災厄/永遠の緑 (文春文庫)
日常のトワイライト・ファンタジー8篇。中には”イヤ”だったり厳しいのも混じるが、それもどこか優しい。きれいなパラミステリに触れたい人へ薦めます。 まあでも、日常(?!)の反転物語としていちばんグッと来るのは、中ではちょっと異色の力強さで泣かせる「マダムの咽仏」かな。 |
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| No.944 | 6点 | 松本清張あらかると- 評論・エッセイ | 2020/03/29 11:51 |
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| “私たち編集者には、女性に関するなまな感じは絶対見せようとはされなかったですね。きれいごとですまされました” 鼎談篇より
エッセイ調の巻末解説集(+上記鼎談)。その昔阿刀田氏自身が編んだ「松本清張小説セレクション(全36巻)」に書いたもの。評論のSOWには遠くとも、丁寧な語りの積み上げに清張愛がひしひしと。 読んでない作が読みたくなる。 この類の書だから仕方無いが、ときおり妖怪ネタバラシも出没するだでに、注意。 |
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| No.943 | 6点 | 隠花の飾り- 松本清張 | 2020/03/26 19:14 |
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| 足袋/愛犬/北の火箭/見送って/誤訳/百円硬貨/お手玉/記念に/箱根初詣で/再春/遺墨 (新潮文庫)
日陰に生きる女たちのショートストーリーズ。その割にちょっと薄味。読みやすい。軽くても印象の良い、人間関係ミステリ/サスペンス作品集。 しかしまあ、清張にしては畳み掛ける迫力に欠けるなあ、とは思う。 それはそれでいい。 中では異色かも知らん「見送って」の万感迫るブライトエンディング(... )は心に残ります。 |
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| No.942 | 8点 | 戌神はなにを見たか- 鮎川哲也 | 2020/03/24 12:56 |
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| 強めのユーモア、ほど良い旅情、不穏なもの言い、乱歩の縁。 ミステリ分泌の薄いもたせの弛緩帯は無く、冒頭から終結までみっちり詰まった良質の子持ちニシン。ストーリー、趣向、各種ネタに探偵小説蘊蓄の詰め込み感、前半に打ち込まれた古い芸能や男色の要素が後半とんと忘れられるバランス悪さなどは可惜斬れ味を鈍らせているが、もっさりしながらも豪華な主菜副菜勢揃いっ振りはやり過ぎ幕の内駅弁みたいで嬉しい。詰めの甘さは露骨でも大いに許せてしまう作家力。メタ方面に滑り気味の、質実ながらユーモラスな筆致も流石は信頼のブランド。いっけん安易げな際どい所で奇抜さ孕む、念の入ったアリバイトリックに、凝った構えの容疑者絞り。 ところで「一万冊サイン」の件、伏線としては扱われ方が微妙だな。。 | |||
| No.941 | 8点 | 暗闇の薔薇- クリスチアナ・ブランド | 2020/03/19 12:14 |
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| 夜中、尾行車から逃れようと風雨の中を飛ばすヒロイン。最悪のタイミングで目の前に大木が倒伏。万事休すと思われたが、倒れた大木の逆側にも一台の車が立ち往生。ヒロインはその車を運転する男に「車を交換してそれぞれの目的地まで行き、後でも一度交換しましょう」と、連絡先ともども持ちかける。よく見ると偶然にも男の車は自分の車と全く同じ型!。。無事家にたどり着いたヒロインは翌日、自宅に止めておいた「男の車」バックシートに女の屍体を発見。女は、昨夜ヒロインが映画館の発券所で会話を交わしたばかりの昔馴染みだった。ヒロインがその映画を観に行ったのには切実な理由が。。。。そして「男」の正体が。。。。
時系列が前後する、心理状態はコロコロ変わる、後半より謎めいたフラッシュバックが頻発。この不親切さには大いに幻惑されましょう、相手はかのクリスチアナ師匠です。微妙に後から色んなことが明かされる。物語が混乱しているのか、読者側だけ混乱してんのか、まるで謎の叙述トリックが、見えないどちらかの方向に突き刺さっているかの様な不信感、このへんは大いに味わいましょう。 スケールの巨大な(国家レベルの、、)尾行。 優しい(?)ボヘミアンたち、、それはヒロインの「親友」として生き残った者たち、、うち一人はゲイの同居人、、何人かは嘗てヒロインも属した映画界で関わった者たち、、の織り成す違和感、違和感、こりゃたまらん。でも好きな関係性だ。何となくスーパーオーガニズムを思い出す。フレンド族殺人事件もちょっとだけ思い出す。 “その組合せと計算は無限だった“って、ほんまかいな。。 “おしっこ”。。。。 創元推理文庫の惹句にある通り型破りの一作、師匠最後のミステリ長篇。 エンディングが色々じんわり過ぎます。。。。 久々登場のチャールズワース警視正がいながら(地位に見合ってない!)、生意気な若い部下もいながら、まさかの。。。。 それとやっぱり、クリスチアナ師匠ならではの明るいブラックユーモアが横溢。これがたまらんのです。 本作は、鍵を握る屍体移動トリック故「黒いトランク」に擬えられる事があるようですが、それはちょっと、どうですかねえ。。 |
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| No.940 | 7点 | 貴族探偵- 麻耶雄嵩 | 2020/03/12 12:25 |
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| ウィーンの森の物語 8点
■■ミスの更なる■■を暴く、素晴らしく甘美なロジックの響きを無駄なくスッキリと! ロジッカーでないわたしもこれには大萌え。 さり気ないようで重大な叙述ギミックも最高に効いている。 刑事なんとかへのオマージュみたいな決定的シーンも好きだ。 トリッチ・トラッチ・ポルカ 7点 面白く読めるが、猟奇的(!)真相も、何ソレ?的なラストシーンも、ちょっと無理があったかな。屍体切り刻みの理由にはなかなか凄いものがありました。ところでこのメイントリック、もしかして英国古典名作「なんとかのかんとか」へのオマージュか? こうもり 8点強 これは読み返す!パンダ鍋?! 地の文、とは何か。。人は地の文●●人の主観を嗅ぎ付けてしまう、ってが。あと、中篇とは何か、的な。このナニをうまうまと成就させるには長篇でも短篇でも短パンでもまた難からずや!? アレを余裕で二度も見せ付けて、伏線というか大ヒントも何気にバッチリ。喧伝される「逆●●トリック」とは何と魅力的なワードか。。決して親切設計ではなく一発理解は難しいかも知れないが、これは許せる。更に事件真相そのものがもー~っとディープで相乗効果上げまくり上等だったら。。とも夢見てしまうが。。でもこの‘語りたくなる’吸引力はイニシエーションなんとかを彷彿とさせますね。鮎川さん存命だったら絶賛してたんじゃないかな。最後のアレは、反転てよりダメ押しの落ちか。 某サイトで「原作に忠実に映像化するとしたら?」の試案が図付きで詳述されており、なかなか興味深いです。実際のドラマではまあ色々あきらめて、その代わりなかなかの新趣向を出して来たらしいですね(私は観てません、いつか観たい)。 ま、俺なら斉藤の役をやりたいね笑 さて、これ言うと●●神経敏感な人にはネタバレっぽいですが、麻耶さんひょっとして、今はなき「笑っていいとも!」のオープニングからパーーンとインスパイアされてたりして。本作の逆●●トリック。 加速度円舞曲(ワルツ) 5点 これは、、尻すぼみでつまんなくなっちゃったな(加速てより減速)。とは言え順を追ってロジックで追い詰める所(たしかに加速してる)はなかなか良いが、、あまりに見え見えの「◯◯」がダミーだか麻耶さんらしく新趣の逆手掛かりかと思ったら、まさかのそのまんま。。。。(ですよね??) でも物語の風景は何故だか心に残る。不思議なもの。 春の声 8点強 ゲーム性、企画性過剰なようでいて、この不思議な味わい深さは、やはり”裏の裏の”主役、貴族探偵氏の造形の味わい深さに因るのだろう。あっちかこっちか、どっちか系の大技で締めるだろうが、どっちだろうかとソワソワしちゃうスリルも良し。反転趣向が二段構えで、ワンクッションと本チャン真相と両方存在するのも趣がある。しっかし、あのバカバカしいエピソードがまさかの致命的大伏線に化けるとはな。。ラストシーン、というか最後の台詞は本当に美しい。(この題名で、それまでと異なる物語舞台だし..) それってきっとそういう意味ですよね。。 各作の題名はヨハン・シュトラウス二世の代表曲から取られているようですが、捻ってサニー・ボーイ・ウィリアムスン二世の曲名通しで「乞食探偵」短篇集やってくれないかな誰か。ちょっと無理がありますか。 |
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| No.939 | 7点 | 幻の百万石- 南條範夫 | 2020/03/09 18:30 |
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| 「幻の百万石」
まだまだ戦国の江戸初期BLスパイスリラー。歴史の大中小要素が絶妙に絡み合い、中心をしなやかなミステリ興味が吹き抜けて行きます。 「逆心の証拠」 これも大きく分けてスパイ物。歴史ミステリならではの(前提知識込み)瞬殺収束エンドが面白い。 「惨たり笠松城」 連続殺人、に殺人未遂、の後の完遂、が入り混じってちょっと複雑なフーダニット、かと思いきや、、ロジックで何する類の本格ミステリではない、それは別に良いが、ストレートな推理小説をやろうとして消化不良に果てたような気配も少し。時代物ならではの凄まじいエンディングと、無惨な詩情を放つ構成の妙(!)が記憶に残る。 迷い無くミステリ範疇に入れられるのは、わたくし基準で上記三作かと思いますが、南條氏独特の残酷味滾る切迫力で、どの作もミステリ愛好者との相性はよろしいかと。(実は一作だけ、小説というより歴史の教材に近い叙述のがありますが、、わたくし的にはそれも面白し) 戦国末期~江戸期の歴史乃至時代七篇。 実は明治もチラリと顔を出す(タイトルで見当付くかも知れません)。 幻の百万石/太閤の養子/悲願二百六十年/最後に笑う禿鼠/逆心の証拠/眼(まなこ)を突く剣士/惨たり笠松城 (旺文社文庫) |
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| No.938 | 7点 | ウォリス家の殺人- D・M・ディヴァイン | 2020/03/05 20:21 |
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| 「 『違う方だった』 ってさ。 『そう言えば、分かるから』 って 」
地味な導入展開と文章。本格なりのおとなしいサスペンス。だがこれは他ならぬディヴァインなんだから、と心理の担保がはたらく。うむ、やはり小説味と本格ミステリの薫りがする。絞り過ぎず拡げ過ぎずの容疑者配置も魅惑の源泉。指紋の機微はまずまず(「災厄の紳士」ほどのインパクトは無いが)。 真犯人、そこにいたのか。。。 露骨でないが故に無意識を揺さぶるミスディレクションが本当に良く効いている。 エンディングはなかなか沁みる。 日本人なら10人に7人は「ノリスケの殺人」と聞き違えるので、電話注文の際は注意を。 しかし、クリケットの時間と来たか。。。 【↓ ネタバレ】 またしても。。「私」が犯人ではないかとうっすら疑惑を抱かせられた。。 上手いなあ、ディヴァイン。 |
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| No.937 | 7点 | ダイイング・アイ- 東野圭吾 | 2020/02/27 18:30 |
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| 糸屋の娘じゃあるまいし。。。。 主人公の記憶の失わせ方が絶妙。。おかげで読者にとって謎に被さる謎が次々と奔出! 一方で、すぐにカタが付いたり解明出来たよな気にさせられたりする案件も続々。 筋立てはどんどん曲がりくねるのに混乱無く、頼もしき剛速球感、面白いです!! それにしてもホラーだか何だかにしか思えない事象がいつまで経ってもおさまらないのだが、はて。。。。 そう来るのか。。。。。。 だけど終結のドタバタで違和感が急襲。ここさえピシと決めてたら8点級だよなー 惜しいー んで交通問題から派生した社会派ミステリ(?)とも見えるし、それはダミーの騙し絵とも見える。 某登場人物(名脇役)がまさかの被害者になってたのは違和感じたんだけど、、やっぱ交通事故で殺されるより意志ある殺人者に殺されるほうが怖い、って事を匂わせたかったのかも?? でも結局、ホラーとは謂わずともサイコ的なもやもやの切れ端が微妙に残ったかなあ、、本格ミステリ/本格サスペンスだと思って読んじゃうと。
発刊当時 『今度の東野圭吾は、悪いぞ!』 ってキャッチコピーが意味ありげに踊ってた本ですよね。 悪い、のか。。。。。 |
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| No.936 | 6点 | 少女- 連城三紀彦 | 2020/02/20 19:40 |
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| 熱い闇 5点
官能ホラーファンタジー in 現実世界。反転の肝暴露がタイミングは性急、スピードは緩慢で、連城らしいピリッとした魅力には欠ける。半端に文学づいた佐野洋がエロ短篇を書いたみたい。(佐野先輩、大好きです) 連城基準なら4点弱 少女 6点 小澤陽子が登場!w 所々クソキモいのはともかく、無実証明の為の興味深いねじくれ現象やら、味のありそうな社会派暗闇をも絶妙にチラつかせつつ、、 軽く一点突破のその、その反転でカタ付けたってか。。小せえよ。。 で刑事の最後の台詞、この世の性差別の肝を凝縮した論点のレトリックで、胸糞悪いこと無双の響きあり、最高の締めだ。 連城基準で5点強 ひと夏の肌 6点 まさかの 。。。。でも良かったです。 ただ、去年のアレの動機が明かされずじまいなのは、どうなのか。 でも、この手の としては、そこはっきりさせるよりもこういう方が味わい深いかな。 盗まれた情事 7点 羊頭狗肉、の疑いを俊足の落とし前で晴らす最後の数頁。連城としてはまあまあ。 金色の髪 8点 この反転のキレにはやられたわ。。熱さもコクも奥行きもさほど無いが、とにかく驚いた(全体的に緩い本なんで油断してたからかも?)。 でなんともおフレンチ。 全体通してエロさ爆発、変態度は表題作除いて低め、文学とミステリの味は連城にしちゃあ幾分落ちる、そんな短篇集。 |
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| No.935 | 6点 | あなたは誰?- ヘレン・マクロイ | 2020/02/18 18:10 |
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| “こんな面白い人が殺されるはずがない”
騙し絵だよねえ。謎の脅迫電話に始まる心理学応用サスペンス。某ネタの嚆矢と言われる作だそうですな。その上でフーダニットともう一つフーズ■■■■の趣向が見事に共存共栄。或る主要人物についてのアレがアンフェアでないの? とも思ったけど、流石のプロット構築力に丸め込まれちゃいましたねえ。。 甘いばかりじゃないようでやっぱり甘~いエンドも良し(めちゃ印象に残るわけじゃないが)。 あと、原題より邦題の方が格段に味わい深いですよね、その理由はここでは詳しく言えないわけですが。。原題いっそ”Who’s Calling ?”より”Who Are You ?”が良かったんでないかと。 安易な考えかも知らんが。 【伏字ネタバレ】 ●ー●ーが実はすんげ悪い奴だったら面白かったのに。またはいい奴だけど犯人とか。 |
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| No.934 | 7点 | あした天気にしておくれ- 岡嶋二人 | 2020/02/13 12:30 |
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“私の不安はそこにある” 画期的身代金強奪トリックさえ呑み込む構成の妙で大いに読ませる煌めきの一篇。 複雑な取り込まれの渦に、予想を呑み込む加速のやばさ、わずか2ページ足らずの隙間に。。そんなシビレる核心の一幕を経、大トリックが明かされてもまだ積み残される、違和感と謎と人間ドラマ。 “あの人”が真犯人なら、ミステリ的に最高に素敵だなと(実人生だったら最低だが!)妄想しながら読み進めたところ。。。。 いっけんドライな行動描写の中に考え落ちならぬ考え情感が溢れる(ハードボイルド文体とは微妙に違う)、そんなシーンによく出くわす。 そして今から動き出すラストシーンも、気持ちが深い。。。 「そうしましょう。牧場にそうするように言っておきます。」 ← この哀しきユーモア、哀しいのに噴き出したw で、何故このタイトルなのかという疑問はおいといて、バランスちょっと悪いとこもあるけど、この創作パッションは見逃せません。 講談社文庫、ミスタ・ヨー・サノの巻末解説、いいねえ。特に最後の四行。“そして、この有名な方法は、さらに、競馬の外の社会で頻繁に行われていることからの応用だろうと思います”という一文も拡がりがあって素敵。 【最後はネタバレ(メイントリックについて)】 本作の身代金トリック、昔どっかで読んだ奇想麻雀漫画のネタを彷彿とさせます。点数計算を、その日に実際打って和了った手の占有率(誰かが和了る毎に変動する!)で倍率配分したらどうなるか、みたいなの。 たとえば早い段階で四暗刻単騎行っちゃったら。。 |
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