皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ミステリーオタクさん |
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平均点: 6.97点 | 書評数: 155件 |
No.6 | 7点 | 追想五断章- 米澤穂信 | 2024/06/20 22:19 |
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古書店アルバイトの主人公がある人からの依頼により、ある故人が書いた、同人誌などで少数の人にしか読まれていない昔の5つの掌編小説を探し回っていく話だが、小説はいずれも「リドルストーリー+切り離された1行の解答」になっているのが何ともユニーク。
主人公は探し求めるうちに依頼の枠を越えて、作者の人生、人間性、重大な疑惑と関連した作品群の意図と家族との繋がりにまでも踏み込んでいく。 特段に感心したところはなかったが奥が深く、良し悪しはともかく綺麗に纏まったヒューマンミステリだと感じた。 |
No.5 | 7点 | Iの悲劇- 米澤穂信 | 2022/11/21 13:24 |
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廃村の復興をテーマにした連作短編集。
地味だがとても読みやすい「ヒューマンドラマ+ライトミステリ」が連ねられている。 いくつか印象に残ったストーリーに触れると・・・ 《第二章 浅い池》 不可思議な現象が起きるが・・・・殆どバカミスで笑った。 《第四章 黒い網》 マジシャンズセレクト。これは解ってしまった。 《第六章 白い仏》 不可思議な現象が起きて、一応説明が付けられるがスッキリしない・・・・と思っていたら次の終章で・・・ 《終章 Iの喜劇》 まとめの章。回収の章とも言える。確かに多少驚いたが、結局地方の貧困行政の愚かな上層部がもたらした虚しい悲喜劇と言えよう。 城塚翡翠もいいけど、こういう連作もTVドラマ化したら静かな人気を博するかも。 |
No.4 | 6点 | 真実の10メートル手前- 米澤穂信 | 2020/11/06 17:24 |
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ベルーフシリーズとやらの最終巻?とのことだが、自分は本書以外は未読。
《真実の10メートル手前》 推理クイズの積み重ねのような展開は興があるが、閉め方は如何だろうか。平凡なのか叙情性を狙ったのか。 《正義漢》 20ページ弱の取り分け短い短編だが面白い構成になっている。 《恋累心中》 掘り下げが少し物足りない気もするが、よくできていると思う。何と言っても動機の意外性。 《名を刻む死》 例によって、推理クイズ的ないくつかの小ネタは悪くはないが、全体として何か理屈っぽい感じだし、また「そんな拘りを持つ奴」もいるかもしれないが、それをミステリー小説にしあげても、あまりしっくりこない。 《ナイフを失われた思い出の中に》 これも緻密な造りだが、やはり理屈っぽすぎる推理と抽象的なメディア論にいささか疲れる。 《綱渡りの成功例》 この真相が何か問題に? まあ、コレもメインテーマはメディアの意義だろうが、ちょっとピンボケな気がする。 全作力作だとは思うが、総じてミステリーとジャーナリズムの関連づけに少々コジツケっぽさを感じてしまった。 |
No.3 | 8点 | 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 | 2020/08/29 17:51 |
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5つの「旧家の屋敷や資産家の館」を舞台にした、お嬢様、家族、関わった者、そして何より《使用人》たちの5つの尋常ならざる物語。
『身内に不幸がありまして』 ・・・コレは途中で見えちゃうよね。つーか作者自らネタバレしてるようなもんだ。(勿論故意にだろうが) 『北の館の罪人』 『山荘秘聞』 ・・・ともに趣深い館モノだが、動機を受け入れられるかどうか。 『玉野五十鈴の誉れ』 ・・・個人的にはコレがベストかな。 タイトルは本文中でも少し触れられているようにチェスタトンの作品へのオマージュでもあるだろうが、何といってもグイグイ引っ張られるストーリーフローと、その果ての最後の一行だね。 『儚い羊たちの晩餐』 ・・・メインのネタの凄惨さにも関わらず一番薄味に感じた。まあアレは殆ど描写されてないわけだからしょうがないが、それならあのネタを日記の最後の一行で分かるような組み立てにしたら、かなりゾッとできたのではないだろうか。 全編作者らしい高いリーダビリティを纏い、ハイクオリティなテイストを醸し出す5粒のブラックダイヤモンドのような短編集。 連城作品を彷彿させる昭和初期の上流層の耽美的な情景描写、それに当たっての作者の教養ひけらかしまくりにも賛辞を送りたい。 |
No.2 | 8点 | 満願- 米澤穂信 | 2020/07/14 18:04 |
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史上初のミステリーランキング三冠に輝いた故野村克也氏のような中短編集。
『夜警』 美談の真相がジワジワと・・・ 『死人宿』 変わった趣向の「犯人探し」。途中でチョッとホームズの「三人の学生」を思い出したが、だんだんグダグダ感が鼻についてくる。そして終盤、「何それ...」と思ったが、しかし・・・ 『柘榴』 うーん、そう行ったか・・・ 何か今邑彩の短編集にでも出てきそうな話だ。いや、湊かなえかな。 『万灯』 本書の中で唯一100ページ超の中編だが、とても面白い読み物になっている。ただ最後は・・・助かる目はあると思うが。(出だしが「私は今、裁かれている」だからネタバレじゃないよ) 『関守』 これも中編に近いヴォリュームの作品でチョッとダラついてる感も否めなかったが、やはり面白かった。 本書の中で唯一「ある程度」ヨメた。 『満願』 イマイチすっきりしないが、これもよくできているし趣深い。 凡作なし。 実力派作家の真価が遺憾なく発揮されている好作品集。 |
No.1 | 8点 | インシテミル- 米澤穂信 | 2015/12/19 10:46 |
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下の方の「子供や阿呆に人気の」に笑ってしまったぜ
俺は阿呆だから途中ドキドキもしたし大いに楽しめたぜ(苦笑) |