皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ミステリーオタクさん |
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平均点: 6.97点 | 書評数: 155件 |
No.5 | 7点 | グランドマンション- 折原一 | 2022/03/05 17:38 |
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作者の作品集としては「幸福荘」シリーズ以来かと思われる、集合住宅が舞台の連作短編集。
《音の正体》 折原らしいと言えばらしいが、あまり変わりばえしないなあ、という感想。 《304号室の女》 ちょっとアンフェアな気もするが、前作よりは読み応えもあり、なかなかサスペンスフルで面白い。まあ、絶対無理だが。 《善意の第三者》 これも、よーやるよ。 《時の穴》 イマイチよくわからん。辻褄合ってなくない? 《懐かしい声》 ストップ詐欺被害!私は騙され・・・ 《心の旅路》 ネタ自体は二番煎じだが、構成が実に巧みだし、読み物として非常に面白い。 滅多にないことだが思わず(飛ばし飛ばしではあるが)確認のために読み返してしまった。 《リセット》 最後の、古き良きミステリー風の解決シーンは悪くなかったが、真相はイマイチすっきりしない。 《エピローグ》 なくてもいいような気もするが・・・前作のラストでは作品集のシメとして美しくないからかもしれないが、それなら前作の最終段落として付加するだけにしておいた方が余計な期待を抱かされずに・・・でもまあこれも悪くはない。 この作者の短編はとにかく文体が読みやすくて程度の差はあれスパイスが入っているので、疲れた時や仕事の合間などの息抜きに(個人的には)ピッタリ。 登場人物の殆どが何となく漫画チックなのも気楽に読めて吉。 |
No.4 | 8点 | 疑惑- 折原一 | 2020/08/01 22:14 |
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折原短編集の中では結構いい線いってる方だと思うんだけどな・・・
『偶然』 いかにも折原短編らしいスパイシーなショートミステリ。 『放火魔』 うーん、いつもの折原とはチョッとテイストが異なった意外性。 読後感は・・・言えない。 『危険な乗客』 設定が面白いし、よくできていると思うが、途中ちょっとダラついた感も否めず。 少しフレドリック・ブラウン風かな?(知ったかぶりはやめた方がいいよね) 『交換殺人計画』 これもグイグイ読ませてくれるし、ネタもまあまあ。 少しヒッチコック風?(だからさ・・・) 『津村泰造の優雅な生活』 ツカミはイマイチだが途中からグングン面白くなり、「読めた」と思ったり、変転があったりするが、最後は・・・ 〈ボーナストラック〉『黙の家』 何で?と思ったがボートラを冠するだけのことはある内容。 折原らしいと言えばらしいし、らしくないと言ってもらしい。 滅多にないことだが再読したくなった。 本書自体文庫で250ページという薄さだし書評者数も少ないけど、自分的には掘り出し物と言ってもいい短編集だった。 |
No.3 | 7点 | 倒錯のオブジェ 天井男の奇想 - 折原一 | 2020/07/01 21:50 |
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登場人物も場面も少なくて、(シビアな作品でない時の)折原らしい漫画チックな文体でとても読みやすいし、彼の作品に時々出てくるキャラ・・・腰が曲がって小汚くてシワクチャだけど実は頭はしっかりしているババア・・・もよかったが、それでもネタの割りにはチョッと長すぎる感は拭えなかった。
それに20年近く前の作品ではあるが、当時でもこのメイントリックはさほど斬新なものではなかったのではないだろうか。 でも、まあ読んでる間は楽しかった。 |
No.2 | 8点 | 幸福荘の秘密―新・天井裏の散歩者- 折原一 | 2020/06/13 18:00 |
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『天井裏の散歩者』の続編連作短編集。
「幸福荘」も少し現代的になり、携帯電話も普及する時代になる。 [密室の奇術師] 倉阪の三崎や四神みたいなアホバカトリックでも使ってくるのかと思ったが、一応合理的な・・ [後ろを見るな] フレドリックブラウンの短編とは殆ど関係なかった。 [最後の一人] 合間のリドル・・・ [作者の死] ・・・そして炸裂。 [ファンメール] まあまあ。 [実作者] またしても、やはりそうきたか。 [パラレルワールド] ???だが、またまたそうくる・・・よなあ。 [幸福荘の秘密] ???の答え。依井貴裕トリック。(おっとっと) 何はともあれ楽しかった。 「バカ笑いできる多重叙述ミステリ」を書けるのは一っちゃんぐらいじゃないか? |
No.1 | 7点 | 天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記- 折原一 | 2020/06/05 21:13 |
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作者の初期の作品は殆ど読んだが、なぜか本短編集は抜けていたので今更ながらヒッサビサに折原作品を手に取る。
読み始めて、改めて折原さんの読みやすさを思い出し「合間合間に気楽に読み流すのに丁度いい」と嬉しくなったが、2話目を読んだところで「なんだ、紋切り型の水戸黄門パターンか」とゲンナリ、しかもこの話では「被害者の電話器」が無視されるという落ち度ぶり。(こういう話にロジカルなクレームをつけるのも野暮だとは思うが) しかし3話目は少し毛色が変わったので気を取り直すが、4話目はまたまた・・・と思ったら5話目以降は・・・まあ読んでみてのお楽しみ。 最終話の「正体」は分かりやすかったけどね。 作者特有のバカっぽいキャラクターたちも息抜きにピッタシ。 何はともあれ流石折原さん、凡作家が書いて自己マンに陥るようなノリだけの連作短編集なんか書くわけないよな。 |