皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ミステリーオタクさん |
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| 平均点: 6.98点 | 書評数: 188件 |
| No.4 | 7点 | ノッキンオン・ロックドドア- 青崎有吾 | 2026/09/02 21:43 |
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| 不可解専門の片無氷雨と不可能専門の御殿場倒理のコンビ探偵の事件簿短編集。
《ノッキンオン・ロックドドア》 名刺代わりよろしく主人公たちの事務所名が作名である表題作だが、このタイトルは事件のシーン描写でもある。 よくできているとは思うがトリックや捜査推理過程が少し技巧的過ぎるきらいが否めないし(図解がなければまず理解できない)、都合よくでき過ぎという感も避けられない。更に「トリックの動機」もあまり納得感が得られず。 《髪の短くなった死体》 1作目でこの短編集の語り手は氷雨かと思ったが、本編では倒理が語り手となる。 本作もよくできていると思うし不可解性や意外性も十分だが、推理には飛躍やコジツケが感じられるし真相も無理っぽ感が否めない。 関係ないけどドアノックで「スットン」なんていう音を出すのは無理だろう。 《ダイヤルWを廻せ!》 ある日、ノッキン事務所に珍しく2つの依頼が舞い込み氷雨と倒理は分かれてそれぞれ1つずつの案件に当たることにするが・・・ これはなかなか面白い構成とトリック。細かいツッコミどころはあるがそこまで野暮になることもないだろう。 《チープ・トリック》 絶対に捕まらない最強の敵、糸切美影が仕掛けたトリックへの挑戦。 美影自身、また解決編で探偵達が言っているように、多くの偶然が積み重なって出来上がった不可能不可解現象。 そういうのもたまにはいいと思うが、自分が一番引っ掛かったのは「その時の体の向き」・・・これは予測不可能だし殺人計画の成否に大きく関わるファクターなのに、これをイチカバチカの運任せにしたのだとしたら、緻密に計画した割にはあまりにも杜撰というかいい加減ということになる。 それはともかく自分が一番大きな偶然性を感じたのは同じ大学の同じ学年の同じ学部の同じ学科の同じゼミに世にも奇特な4人の人間が集まっていたということ。 《いわゆる一つの雪密室》 このシチュエーションのミステリはいくつか読んだと思うが、どんなトリック、どんな真相だったかは全て忘れてしまった。 本作の不可能現象も非常に魅力的で興味深く読み進め・・・そして始めの解決編では思わず唸らされた。が、修正解決でガッカリして更なる修正解決で更に興ざめした。 《十円玉が少なすぎる》 本編ではノッキン事務所の家事全般アルバイトの薬子ちゃん(本名が薬師寺薬子であることが初めて紹介される)が語り手となり、また問題提起を行い、ロジックゲームといった様相のストーリーとなる。推理過程はよくできていて感心しながら読み進んだが、最後のピースには漏れがある。結果的には正解だったが「そこ」に当てはまるのは◯◯だけではない。 そして微妙な後味。 《限りなく確実な毒殺》 最後は再び絶対に捕まらない最強の敵、糸切美影が仕掛けたトリックに挑む。 今回はマジシャンズセレクトかとも思わせられる事件。 これがテーマのミステリもいくつか読んだと思うが、やはりどんなトリック、どんな真相だったかは全て忘れてしまった。 本作が本書の中で氷雨と倒理を一番悩ませた事件のようだが、正直真相にはあまりカタルシスを得られなかった。タイトル、途中挿入されている美影と犯人の会話、そして探偵の最後の説明が作者のちょっとした言い訳になっているようだ。 ふと思いついて本書の登場人物をシャーロックホームズ作品のそれに当てはめてみると・・・ ・氷雨と倒理 : 専門分野が異なれども推理能力、事件解決貢献度は互角だが地味キャラの氷雨は傍若無人な倒理に「ワトソンくん」とからかわれるし、また初対面の人にも「助手さんですか?」と言われることもある。よって一応便宜的にホームズ相当は倒理、氷雨はホームズと対等のワトソンということで。 ・穿地決 : レストレード警部。キレッキレで駄菓子常携の女性警部補だけどね。 ・糸切美影 : モリアーティ教授。絶対死なないけどね。 ・薬子ちゃん : ハドソンさん。これはちょっと可哀想かな。可憐な女子高生なのに。 そして「チープトリック」の感想で述べたように薬子ちゃん以外の4人は大学時代の同級生という奇遇。 何にせよこのシリーズの第2弾を引き続き読む気にはなった。 |
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| No.3 | 7点 | 早朝始発の殺風景- 青崎有吾 | 2026/07/11 17:41 |
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| 千葉県の北西部の南東部〜北東部の南西部が舞台となっていると思われる短編集。
海浜幕張以外は全て架空の地名で特にモデルとなっている地域もないものと思われる。 《早朝始発の殺風景》 いきなりの変な名前登場に驚きと失笑。そんな名前の奴いるわけねぇ。 本作は始発電車内での小さな推理合戦。ロジックに漏れやスキップがなかったかは分からないが悪くはない。 《メロンソーダ・ファクトリー》 いつも一緒の帰宅部女子高生3人組。 いつものようにファミレスに寄って安いセットをオーダーするが、この日はクラスから任された学園祭のTシャツのデザイン会議となる。しかしなぜか意見が食い違い、次第にそれが深刻な問題であるかのような様相を呈してくる。 一体何なんだ、この話は、と思って読み進めるとやがて・・・・ なるほど、そういうことだったのか、やられた。 このネタは初めてではないが巧く使われている。気づけなかったことは少し悔しい。 《夢の国には観覧車がない》 このランド、本当にこの場所にできてほしいと一瞬思ったが、メッセでゲームや車などの人気イベントがある日の周囲の凄まじい渋滞を思い出してすぐにその思いは打ち消された。あとその天候でその高さならスカイツリーも富士山も見えるって。 そんなことはともかく本作も前2作に続いて Why? がテーマになっていく。前作では解答提示と同時にあっと驚いたが、本作では提示の少し前に読めた(殆ど読めたことにはならんがね)。 最後は正直少しキモ。 《捨て猫と兄妹喧嘩》 この話の推理過程もよくできているとは思うがメインの手掛かりのシーンの情景描写がやや頭に残りにくかったことやその他の手掛かりも少し説得力が弱く感じられたことなどからカタルシスは幾分低めの印象になった。 《三月四日、午後二時半の密室》 卒業式後の2人の同級生の話だが、ぎこちない会話や行動が延々と続く。一体いつどんなミステリになるのかと思いながら読み進めていくと最後から10ページ位のところでそれは始まる。 しかしこのメインの手掛かりは粗探しっぽいし、読者が事前に気づくことはまずあり得ない。ネタも含めてミステリとしては前作以上にカタルシスが少ないが、本作ではミステリはオマケのようなもので、描きたかったのは対照的と思われていた2人の女子高生そのものだったのだろう。 最終作に相応しい話と言えると思う。 《エピローグ》 まぁ方向性は予想どおり。 とにかく話の内容も文体も軽くて読みやすい(重い内容も少しあったが)。 この作者の本はまだ数冊しか読んでないが、発想の豊かさという点ではミステリ作家の中でもでも多分トップクラスなのではないかなと感じた。 |
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| No.2 | 8点 | 地雷グリコ- 青崎有吾 | 2026/06/30 21:36 |
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| 今月、この短編集の文庫が販売開始になるという情報を入手したので発売日前に予約してゲット。
1144円! 単行本と間違えたかと思った。 収録作品は全て「ゲーム」だと聞いていたが・・・ 《地雷グリコ》 ルールは至極簡単だが本書の主人公である女子高生、射守矢真兎と、対する頭脳明晰な生徒会役員の「読み合い」が深すぎてよく理解できないところもあった。が、ゲームの最後は痛快。 《坊主衰弱》 個人的には表題作より面白かったかな。 ミステリ的要素もよくできていたし。 ゲームの最後は痛快、かつ笑った。 《自由律ジャンケン》 この話のプロローグで初めて真兎が語り手となる。 そして本編では一風変わった生徒会長(実はウチの娘も・・自慢してゴメンナサイ)との対決。 半分位のところでゲームの進行具合の割に残りのページ数が多いなと思ったがゲームの最後、というよりその直後に明かされる決定的なタネ明かしは爽快そのもの。缶コーヒーの使い方がお見事過ぎる。 ただその後の説明がちょっと長かった。 しかもそれだけでは終わらなかった。次話へ続く。 《だるまさんがかぞえた》 ベールに包まれた超エリート校の生徒会役員との対決。 これもシンプルかつ綿密(意味深)に作られたゲームだが、開始直後の「彼」の顔、振り向いた瞬間の顔とその後の変化を想像すると笑ってしまう。もう一人の「彼」の耳はふざけ過ぎだが、おかげで真兎の「字」にも笑えた。 ゲームの最後はここまでで最も驚かされるものであったが、カタルシスはやや低めだったかな。 真兎の最後の一言「雨季田絵空をつれてこい」が静かに強烈に響く。 《フォールーム・ポーカー》 そして最強の敵、前話の超エリート校の生徒会の切り札にして真兎の中学時代の友達、雨季田絵空との対決が絵空事ではなくなる。ページ数も130を超える。 ポーカーは子供の頃から好きだったので目次を見た時からこの本編最終話は楽しみだった。 ゲームはオープニングこそ静穏だが第1セットの終わりから波乱が生じ、今までの4話とは異なりゲームの趣旨を外れた「死闘」の様相を呈してくる。 しかし絵空の最早ゲームとは言えない犯罪行為は決して許されるものではない。真兎も犯罪ではないもののかなりヴァイオレントな手段に出る。次第に何でもありの無法ゲームと化していくかの如く。 そしてゲームの最後は・・・ついに射守矢真兎が・・・ 《エピローグ》 そして新たな変なゲームへ。 全て面白そうな頭脳ゲームなのでやってみたい気もするが、現実にできそうなのは坊主衰弱ぐらいかな。他の4つもできなくはないだろうが、いずれも頭のシッカリした審判が必要なのでその辺りがネックになりそう。 |
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| No.1 | 5点 | 11文字の檻- 青崎有吾 | 2024/10/10 20:40 |
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| この作者のデビュー10年目にしての初の短編集・・・・かな。
《加速してゆく》 あれからもう19年も経つのか・・・ ルポルタージュ風の社会派かと思いきや・・・ 《噤ヶ森の硝子邸》 不可解極まる密室殺人だか・・・超△△ミス。全員△△か●●か。 《前髪は空を向いている》 何かあるのかと思ったが・・・ ここからの3編は掌編になる 《your name》 これは何かのアンソロジーで読んだことがあった。 さほどの鋭さは感じられないが悪くはない。 《飽くまで》 前作以上に凡庸。 《クレープまでは終わらせない》 この人は掌編には向いていないと思う。 再び中短編へ 《恋澤姉妹》 「生きる伝説を追う冒険物語」は嫌いではないがこれはチョッと人間離れし過ぎ。殆ど超人バトルアニメの世界。 《11文字の檻》 帯にはこの表題作に対するミステリ作家達の絶賛コメントが並んでいるが・・・自分にはそこまでの高評価が理解できなかった。解答に至る必然性もよく分からなかった。 アンソロジーだと言われても微塵も疑いそうにないノンシリーズ作品集だが正直半年もしたら殆ど忘れていそう。まぁ「噤ヶ森」と「恋澤」は記憶に残るかな。 |
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