皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ミステリ初心者さん |
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平均点: 6.19点 | 書評数: 390件 |
No.11 | 6点 | レーン最後の事件- エラリイ・クイーン | 2023/01/12 18:36 |
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ネタバレをしております。
これまで、レーン4部作を読んできませんでしたが、このたび遂に読破しました! 気合を入れて読み始めましたが、なかなか殺人が起こらず、読み進めるのに苦労しました;; シェイスクピア関連の話は、あまり興味がわきませんでした…。犯人当てに関してだけ言えば、300ページぐらいがほぼ無駄なページとなっており、前半のシェイクスピア関連のトレジャーハント(?)のような歴史ミステリのようなものが楽しめるか否かがこの本の評価につながりそうですw 私はイマイチ楽しめませんでした。 推理小説的要素について。 まず、なんといっても、これまで名探偵として君臨してきたレーンが犯人であるというのは、この本だけでなく、4部作を巻き込んだ大ドンデン返しでしたねw 今では探偵役犯人系統の推理小説もよく見るので珍しくはなくなったのですが、当時はみんな騙されたのではないでしょうか? 実は私は、レーン最後の事件というタイトルから、ある程度メタ的な予想をしてしまいましたw ただ、それは事前にいくつかの探偵役犯人系統の本を読んだからです。 また、探偵役犯人だけにとどまらずに論理的にそれにたどり着けるようになっているのが、エラリー・クイーンが並みの小説家ではない証拠ですね! 国名シリーズ並み…とは言いすぎかもしれませんが、ちゃんと論理的に犯人にたどり着けるようになっております。私はメタ的にレーン犯人の可能性に気づきましたので、アラーム時計のロジックには気づきました。細かい点は少々逃してしまいましたがw 難癖をつけるとするならば、手斧で暴れまわるレーンがあまりにもドワーフで、名探偵にそぐわない気がするということですw 壊された時計の時間を狂わせておくぐらいはしそうなものですが…。レーンのセリフである、犯罪者は本質的にみんな愚鈍…みたいなセリフは自己に向けたものかもしれませんが。 総じて。 探偵が犯人であるようなドンデン返し系統の小説は論理性が犠牲になるか、叙述トリック一本釣りな作品が多いです。しかしクイーンの作品はちゃんと論理的に犯人を指摘できるつくりになっており、ドンデン返しと犯人当てが両立した良い作品と思います。ドンデン返しと犯人当ては相性が悪く、両立する作品は少ないと思います。 ただ、もう少し小説全編にわたって犯人当てのヒントがちりばめられていたらもっと高評価でした。前半は好みではなく、やや退屈でした。 ちょっと厳しめかな?と思いますが6点で! |
No.10 | 6点 | Zの悲劇- エラリイ・クイーン | 2022/10/05 22:50 |
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ネタバレをしております。
XとYの悲劇を読んでからすさまじく長い時間が経ってしまいました(笑)。X、Yとそれぞれ趣の異なった名作ですが、ZはややXよりの、もっというと国名シリーズ初期のような細かい論理の積み重ねによる消去法で犯人を指摘するタイプの推理小説でした。本格度は極めて高く、早川版あとがきいあるおうに、国名シリーズに使うはずだったものを流用したのではないかと疑惑がもたれるぐらいです。 珍しい?ことに、神の視点でもなく、レーンの視点でもなく、ペイシェンスという女性が主観の文章でした。それにより、若干のサスペンスや冒険、恋愛の要素も加わり、なんだかみずみずしい小説になっていました(笑)。 殺人が早くに起こるものの、すこし社会派なストーリーが続いたため、社会派が苦手な私にとってはやや読みづらさを感じました。 レーンの推理は見事だったものの、あまりの細かさにピンとこないことも多々ありました(笑)。 また、私の苦手な右手左手問題もありました。これは小説によってまったく異なった話や論理になってしまい、あまり好きではありません。 さらに、医者ならば生死の確認をミスするはずがない…というのは何となくわかりますが、あれって素人でも判断を誤るものなのですかね…? ほとんどの人がそうだと思いますが、そういった経験が皆無なので、なんとも想像に難しかったです。 電気椅子での処刑のシーンは、クイーンがわざわざ書くのなら推理に必要なシーンなのだ…と予感しつつも、1から10までまるでわかりませんでした。私の推理は、推理と呼べるものすら形成できない完敗でした(笑)。 |
No.9 | 5点 | 九尾の猫- エラリイ・クイーン | 2022/05/13 19:12 |
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ネタバレをしております。
正直に言うと、かなり相性の悪い本でした。 まず、非常に退屈で読みづらい文章でした。興味がそそられず、ページが進むのも遅かったです。500ページ近くありますが、250ページぐらいに収めてほしいぐらいです(笑)。 主人公エラリー・クイーンがあることで自嘲的というか、自己卑下がしつこくて、煩わしかったです(涙)。 推理小説的要素は、もっとガッカリなものでした。 読みづらい文章を我慢して読んでいて、ラストのどんでん返しがコレ…? 国名シリーズのようなロジカルな要素もなく、不可能犯罪もなく、意外な犯人がいるかと思えばミステリ好き100人中98人が予想するような犯人…。この作品の良いところがわかりません。アガサ・クリスティーならミスリードに使うような犯人で、さらにどんでん返しがあるでしょうね(笑)。 エラリー・クイーンの作品ということで期待値が上がりすぎてしまったようです。ただ、最後のエラリーを激励?する博士のセリフは良かったです。 |
No.8 | 8点 | 中途の家- エラリイ・クイーン | 2020/08/25 18:26 |
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ネタバレをしています。
"国名○○+秘密"というタイトルではなかったため、なんとなく読んでいませんでした(とはいえ、国名シリーズを制覇しているわけではなく、つまみ食い的に読んではいますが)。しかし、国名シリーズでも屈指のフェアさと論理性を兼ね備えた名作でした! ページ数が結構あり、ビルとアンドレアの恋愛パートが冗長に感じられるところもありましたが、全体的に読みやすく、不満はあまりありません(下に書いてますが(笑))。 非常にフェアなため、やや犯人がわかりやすすぎるとは思います。しかし、論理的な犯人当てというのは犯人が犯人臭いことよりも、犯人以外が犯人ではない理由のほうが大事だと思っています。犯人ではない理由も読者に推測が可能で素晴らしいです。不満点もありますが(笑)。意外な犯人を演出しようとし過ぎる他作品より100倍は好みです。青崎有吾さんの小説もこれぐらい論点をわかりやすく書いてくれるとよいのですが(笑)。 私は何回か読み直し、ほぼほぼエラリーの推理を当てる事ができました。実は、犯人が一番犯人らしい犯人すぎて絶対に外していると思い、フィンチ以外の人物の検証をしまくりました(笑)。 以下、好みではなかった部分。 ・犯人が女性でない理由がやや不満。"犯人が女性であれば自身の口紅をペン代わりに使っただろうし、アンドレアの口紅を使うという発想も出たはず"というのはどうでしょうかね? また、女性がパイプをやったっていいはずです。さらに、ギンボール夫人がパイプをやらないという描写はなかったような…?(勘違いならすいません)。 ・アンドレアの犯人でない理由は、心理的アリバイだと思います。クロロホルムを嗅がされたとき、近くにクロロホルムがしみ込んだハンカチ的なものが落ちていない(たぶん)ので、狂言ではないとは思いましたが。まあ話の流れ的に犯人ではありえないのですが(笑)。 ・題名は"スウェーデン燐寸の秘密"のほうが絶対に良いとおもう(笑)。 |
No.7 | 5点 | チャイナ蜜柑の秘密- エラリイ・クイーン | 2020/02/11 18:28 |
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ネタバレをしています。
非常に変わった犯行現場になっており、興味を惹かれました。新訳(2015年のもの)を読んだせいなのか、著者の文力のたかさなのか、とても読みやすかったです。 エラリーらしからぬ(?)アリバイトリックも面白かったです。犯行現場の密室ではなく、自分を密室にしてしまうとは(?)。すっかり騙されてしまいました。トリックを用いた”意外な犯人”は大好きです。 以下難癖部分。 被害者の特徴である神父を隠したくて、わりと大掛かりなことをやっている犯人ですが、私は神父の服装についての知識がなかったため、あまりピンときませんでした。なので、もちろんネクタイの謎についてもさっぱりわかりませんでした。ネクタイが持ち去られている…ではなく、被害者がネクタイをしていない人物かつ、犯人がネクタイを調達できなかった…という考えが及ぶまで、敷居が高すぎました(笑)。これは単に私の知識不足なだけかもしれません…。 死体と槍をつかった閂を閉めるトリックはこれまでに見たことがないパターンでした。しかし、機械仕掛けのトリックは好みではありませんでした。 タイトル名から待合室にあるオレンジについてあれこれ考えてしまいました(笑)。むかつきますね! |
No.6 | 6点 | ギリシャ棺の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/11/30 19:39 |
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ネタバレをしています。※無駄に長い書評をしてしまったため、大幅に短くしました(笑)。
後半までは、容疑者一人一人を除外していく行為をを楽しめる最高のフーダニットでした。私は何度も読み返し、容疑者がいなくなってしまう事態になり、困りました(笑)。 解決編を読んだ時は、悪い意味で衝撃でした(笑)。いや、そりゃこの犯人ならば出来るだろう・・・と思ってしまいました。警察まで犯人に含めると、作中全ての登場人物のアリバイ検証をしなくてはならず、本能で犯人候補からはずしていましたね。ただ、この犯人ただ一人にしか犯行ができなかった点は非常にフェアだと思います。好みの話になってしまいますが、フーダニットにおける意外な犯人やどんでん返しは相性が悪いなぁと再認識しました。 |
No.5 | 6点 | エジプト十字架の秘密- エラリイ・クイーン | 2014/02/16 23:11 |
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ネタバレがあります
犯人が論理で当てられる、犯人当ての楽しい小説でした。 それに加えて殺し方が変わっていたり、沢山殺されたり、衝撃の展開だったり、話がダレません。 残念なのは、ロジックの緻密さというか厚みが無い気がします。ちょっと無駄な部分が多いというか、犯人を断定させる部分が少ない気がしました。ロジックだけで見たら、短編でもいい気がしました。 評価と関係ありませんが、訳が古く、めちゃくちゃ読みづらかったです。サンマーハウスの意味について、ちょっと悩みました |
No.4 | 9点 | オランダ靴の秘密- エラリイ・クイーン | 2013/05/27 12:22 |
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ネタバレをしています
前作、前々作と同じく、犯人当てが楽しめる作品でした。安心して犯人当てを楽しめる=犯人が1人に断定できる作品です。 前作や前々作よりも、さらに読みやすくなっています。この作品の犯人の犯行方法は、ちょっと大胆で面白く、だれません。さらに、おそらく訳者の腕があがった??読みやすい日本語になっていました。 読みやすかった為か、難易度が低いのか、自分でもそこそこ謎が解けました。第2の殺人はヒントが大きくてキワキワですね。殆ど当たらない自分がそこそこ分かったので、難易度のたかいものを求めている人には向かないかも。 嫌いな部分をあげるとすれば、犯人に共犯者がいること。ただ、犯人当ての邪魔にはなっていません。 完成度の高い、本物の本格推理小説でした。 ※ちょっと印象が変わり再評価 |
No.3 | 6点 | フランス白粉の秘密- エラリイ・クイーン | 2012/12/25 15:10 |
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細かいロジックが最高の作品。推理小説らしい推理小説。
ただ、犯人を特定するロジックがわかりづらかったというか、あまりピンとこなかったです。細かすぎてついていけない気味でした。こりゃ、犯人は当てられないや。自分が頭が悪いだけかもしれないけど。前作のほうが好みです。 あと、めちゃくちゃ読みづらかったです。訳が古く、読みづらい日本語だったり。物語に起伏がなくダレやすかったり。 ※新訳がでてるみたいですね! もし新訳を読んだら、評価を変えるかもしれません(7くらいに) |
No.2 | 8点 | Xの悲劇- エラリイ・クイーン | 2012/07/28 11:14 |
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読んだ当時は、アガサ・クリスティーが大好きだったこともあり、この作品のよさが分かりませんでした。今改めて見直すと、犯人を一人に断定する、納得の行く推理がすばらしい。
ただ、解決編の前に、犯人をバラしている感じがあり、犯人当てを純粋に楽しめないかもしれません。ロジック好きを自称している人が、解決編を前に興味を失っているのを見ました。でも、犯人当てというのは、なぜ犯人といえるのかの過程のほうが大切だと思うので、本当のロジック好きの人にお勧めです。 |
No.1 | 8点 | Yの悲劇- エラリイ・クイーン | 2012/07/28 11:07 |
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すばらしい発想。ヒントも面白いです。
ただ、ほとんど犯人が当たらない自分でも犯人が分かるほど簡単です。っというか、途中でバラしている感じがあり、この作者の作品にしては犯人当てがあまり楽しめないと思います。 |