皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ボンボンさん |
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平均点: 6.51点 | 書評数: 185件 |
No.13 | 6点 | 禁断の魔術- 東野圭吾 | 2019/01/27 12:46 |
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短編「猛射つ」を長編化したものを文庫本で読んだ。(短編「猛射つ」はまだ読めていない。どんなふうに違うのだろう。)
数々の理不尽に耐えて、道を外さずに生きていかなければならない苦悩の物語。大人のグレー対応や薄汚い本音が建前に勝つ現実を次から次と並べられて、フラストレーションが溜った。気晴らしの楽しい読書とはいかない重さがある。ただ、その割に意外と一つ一つのエピソードはありきたりで、読み心地として浅く感じられてしまうのが残念。 それでも、湯川准教授が自分自身をかけて若者を救おうとした覚悟、責任の取り方にはグッときた。 ※「虚像の道化師」と「禁断の魔術」、単行本と文庫本でここまで内容が異なると、評価が入り混じって混乱しますね。まあ、他の作家でも時々あることだし、仕方ないですかね。 |
No.12 | 6点 | 虚像の道化師- 東野圭吾 | 2019/01/10 23:27 |
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文庫本で読んだのだが、これは、ここに書評をしてもいいのかな?単行本『虚像の道化師』と『禁断の魔術』を(1編を除き)合本しているので、7つの短編がまとまっていて豪華。つまり、単行本の『虚像の道化師』とは、だいぶ違ってしまう。
久々に読んだガリレオシリーズの短編は、単純に面白かった。やはり、草薙刑事と湯川先生のコンビは安心して楽しめる。特に草薙刑事が多めだと肩の力が抜けて良い。トリックも推理も科学も人間ドラマも短編であるためにサクサクしており、傑作!という訳ではない。どちらかというと、疲れた時の現実逃避に適している。 それにしても、湯川先生のキャラがどんどん変わっていくなあ。こんなにいい人になっちゃってどうするんだろう。 |
No.11 | 5点 | 白馬山荘殺人事件- 東野圭吾 | 2018/01/28 00:55 |
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犯人や結末に驚くような意外性はないが、結構複雑で良く練られている作品だ。だからといって、密室と暗号が特別面白いかというとそれほどでもなく、淡々と進んでいく感じ。序盤に本筋と無関係に叙述をチラつかせる変なノリや、あまり必要とは思えないクセのあるキャラ設定などがひっかかる。しかし、終盤に重層的な事件がどんどん膨らんでつながって、最終的にそもそものはじまりの物語が明かされるが、これが期待通りにドラマチックだったので満足した。 |
No.10 | 9点 | ナミヤ雑貨店の奇蹟- 東野圭吾 | 2017/12/16 17:48 |
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これはちょっと別格の巧さだ。
著者の作品は、もちろん大抵面白いのだが、あまり人物や物語に共感することがなく、最近すっかり遠ざかっていた。ところが、本作は、どうしたんだ?というほど素晴らしい。 数々のエピソードもいいし、全体の構成がとにかく魅力的。関係図と年表に書き起こしたくなる。 様々な人生の選択に良し悪しの評価をしても意味がない。登場人物が皆、自分で考えて、考えて、考えて、人生を選んでいくところがとても良かった。 そういえば昔、生協の白石さんが話題になったが、ナミヤのじいさんもすごいよ。 |
No.9 | 6点 | 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 | 2017/10/26 23:18 |
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(ネタばれあり)
謎だ。ひとつひとつ既視感だらけだが、既読だという確信が持てない。再読かどうか最後まで不明だった。湖に、別荘での避暑に、婚約者に、ピルケースに、バレエ・・・。 きちんと構成されていて、立派な出来ではある。こういう、本人がそれと意識していない、本人自身が完全に枠外と思い込んでいる系の話は、結構好きだ。 |
No.8 | 5点 | マスカレード・ホテル- 東野圭吾 | 2015/11/17 16:56 |
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深みはないが、トリックは面白かった。いかにも怪しさ満点な人がオチにどうつながるか私にはヨメなかったので、結末では一応、なるほど、となった。
事件そのものの説明は、ごく簡単にし、一方で、ホテルに現れる様々な客については、本筋と関係あるのか無いのか判らないまま長々と書かれている。読みどころをそこにしてあるのだから、それで悪くはないのだが、そのために中盤までは何となく散漫な感じ。 ホテルで働く人々の心意気(商売中心主義の腹黒さも含め?)が爽快で、プロの機転の利かせ方、言葉の選び方は、お見事。こんなに頭が良く回ればいいだろうなと羨ましくなった。 |
No.7 | 5点 | マスカレード・イブ- 東野圭吾 | 2015/11/02 15:16 |
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なんの引っかかりもなくスラスラ読めました。ほとんど苦労せず、試行錯誤もなく、観察と推理で事件解決。
フロントクラークの山岸さんは、すっきりと強い、なかなかいい感じのキャラクターでした。 |
No.6 | 6点 | ガリレオの苦悩- 東野圭吾 | 2013/06/23 21:12 |
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ドラマを見ての再読。
小説では、内海薫がかなりちゃんとした刑事だったことを思い出し、感心した。 ただ、トリックの見せ方や話の整理は、どうしてもドラマの方が勝っているように思う。 この作品辺りから湯川先生の人間の面白さが描かれだして、見所になっていく。 |
No.5 | 6点 | 真夏の方程式- 東野圭吾 | 2013/06/09 16:25 |
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子どもと湯川先生のやり取りが面白く、いつまでも見ていたいようないいシーンが数々あった。
親と、親に限らず広く大人が持つ、子どもを守り育てる責任について、繰り返し表現されていたように思う。 事件のカラクリに、様々な人の過去だけでなく、観光地の衰退、環境のこと、子どものこと、そして定番の科学的理屈などが複雑に絡み合っていて、解決も大人の対応で収められるところがいい。 |
No.4 | 4点 | 放課後- 東野圭吾 | 2012/09/16 21:48 |
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結構単純で、よくある感じの筋がいくつかあり、それらが絡み合った末、きちんと整理されて終わる。流れとしては巧くできているのだが、一つ一つの出来事が、どうも陳腐な感じ。
女子高生、女性教師、奥さんなど、いろいろな女性が出てくるが、表面的で、みな扱われ方がひどく、気分が悪くなった。 |
No.3 | 5点 | 聖女の救済- 東野圭吾 | 2012/08/19 15:22 |
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単純な事件に、少しずつ時間軸や人間関係で深みが出てくるが、その展開に無理やりな感じがなく、流石に上手だなあと思った。ただ、台所の一角でトリックの検討が行ったり来たりしているうちに、なんだか全体の印象が薄くなってしまって、読んだ後しばらく経ったら何だったのか忘れてしまいそう。
基本的に女性の心象表現にリアリティがない作者だが、今回は頑張ってみました、という感じか。内海が、他の刑事と全く違う視点で事件を見るのは面白いけど、”男と女は感覚が違う!”ということに神経使い過ぎでは? |
No.2 | 7点 | 幻夜- 東野圭吾 | 2012/04/13 23:56 |
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「白夜行」とほぼ同じ構造の話なのに、表現の趣向が正反対なので、またまた楽しめる。本作は、本人たちの内面が分かるので、人物に魅力を感じられる。
(自分としては、「白夜行」を読んでからかなり時間がたっていて細かいところを忘れていたので、話が繋がっていることにぱっと気付けなかった。残念。) あの分厚さを難なく読み進められる面白さだが、ラストだけは、映画の「模倣犯」(宮部みゆき)の中居君の最期並みに漫画っぽかった。「白夜行」の終わり方のほうがよく出来ている。 |
No.1 | 5点 | 犯人のいない殺人の夜- 東野圭吾 | 2012/03/10 23:28 |
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何とも悲しく嫌なことばかり起こる短編集。どれも話がぐるんとひっくり返るような意外な展開でよくできている。しかし、表題作の”名前の件”だけは、何それ・・・と脱力、こんなことでいいのかと納得いかなかった。 |