皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
|
---|---|
平均点: 6.22点 | 書評数: 1848件 |
No.268 | 8点 | 掟上今日子の挑戦状- 西尾維新 | 2015/08/24 10:37 |
---|---|---|---|
「アリバイ証言」がなんか変だ。登場人物の台詞通り、“そんな仕掛けは必要ない”のでは。お湯をちょろちょろ流しても、ドライヤーを直接湯船に浸けても、後始末する人間がいるなら最終的に公開される事件現場は同じでしょう? |
No.267 | 8点 | ヒトクイマジカル- 西尾維新 | 2015/08/19 10:33 |
---|---|---|---|
いの字がみいこさん相手に切れる場面が痛くて好き。剣玉の場面も微笑ましくて好き。
少年漫画みたいな世界観ゆえにOKなトリックを持ち出すあたり、自分が何をやっているかはちゃんと判っていますよ、という感じで良い。 |
No.266 | 8点 | サイコロジカル- 西尾維新 | 2015/08/07 09:37 |
---|---|---|---|
《堕落三昧》斜道卿壱郎博士の存在感が弱いというかそんな化け物のようには感じられないところが物足りない。博士への畏怖、忠誠、反動、といったものが登場人物の言動に大きく影を落としている割に、本人はこの程度の老人? 研究施設も例えば鴉の濡れ羽島のような異常な場という感じではないし、“特異性人間構造研究”もイメージしづらいので兎吊木垓輔や玖渚友が拘束されることの重さがピンと来ない。全体として、具体的な切迫感があまり感じられないのに、一部の人間だけが妙にテンパっているような印象。
いーちゃんが犬を殺すシーンが好き。 |
No.265 | 5点 | 黒猫の三角- 森博嗣 | 2015/08/03 09:30 |
---|---|---|---|
読者から犯人を隠す叙述トリックは上手いが、犯人の行動そのものには説得力が感じられず評価半減。特に7月7日を6月6日に変えた件。 |
No.264 | 6点 | 命に三つの鐘が鳴る Wの悲劇’75- 古野まほろ | 2015/07/28 11:38 |
---|---|---|---|
衒学趣味を排して、意外なほど骨太な警察小説。濃密な思いのぶつかり合いが描かれていて読み応えがある。ただ個人的には、結末で明かされる雄人と和歌子の関係にさほど抵抗は感じないので、ホワイダニットとしての衝撃には欠けた。あと東京ディズニーランド行での“差額精算”の手掛かりはわざとらしいというか、その場で未緒ちゃんが気付きそうなものだが。 |
No.263 | 8点 | クビツリハイスクール- 西尾維新 | 2015/07/28 11:37 |
---|---|---|---|
いくら好きでもこれをミステリとして高く評価するのは難しいが、贔屓目に見るなら小うるさい約束事で自縄自縛になるミステリに対する批評として機能していると言えなくもない。面白いんだからいーじゃん。子荻ちゃんが好きです。 |
No.262 | 10点 | クビシメロマンチスト- 西尾維新 | 2015/07/22 14:31 |
---|---|---|---|
何度目の再読か。ミステリ部分は小粒かもしれないが、ストーリーとキャラクターにガツンとやられたこの作品。私のミステリ生涯ベスト10に選びます。巫女子ちゃんは印象深かったミステリ登場人物ベスト5に入ります。何度読んでも後半1/3は指が痛いよ~。
“X/Y”についての色々な考察をネットで読んだがすっきりしない。あれが瑕と言えば瑕かな。 |
No.261 | 5点 | パズル崩壊- 法月綸太郎 | 2015/07/22 14:30 |
---|---|---|---|
音楽関係の無粋なネタバレを幾つか。タッカー、リード、モリスン、ケイルはいずれもザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(米バンド)のメンバー名。「トランスミッション」で“僕”が思わず言う“「ルー・リード?」”も同じひと。
ニール・ヤングの未発表曲を歌うシーンがあるが、レコード店の試聴室から漏れ聴こえる「ヘルプレス」も彼のナンバー。 「GALLONS OF RUBBING ALCOHOL FLOW THROUGH THE STRIP」はニルヴァーナ(米バンド)のアルバム『イン・ユーテロ』の最後にボーナス・トラックとして収録されているナンバー。原典に三点リーダは付いていない。 巻末の JASRAC 出願済み表示で、ジョイ・ディヴィジョン(英バンド)の「TWENTY FOUR HOURS」なんて作中に出て来たっけと思ったが、巻頭の4行の詩(というか歌詞)がそれである。 「SHADOWPLAY」の表記の仕方について、“acting out your own death”でひとかたまりの意味であって、行換えの位置が適切ではないと思う。 |
No.260 | 5点 | 身元不明 特殊殺人対策官 箱崎ひかり- 古野まほろ | 2015/07/22 14:29 |
---|---|---|---|
相変わらず必要以上に読みづらい書き方。もはやそれを如何に読み解くかも含めて古野まほろを読む醍醐味となっている。が、もう少し伝わり易くしたほうが、例えば加害者のやむにやまれぬ心情とかが感じ取れる気はする。
ところで、この犯人隠匿のトリックは、島田荘司『占星術殺人事件』の変奏である。純粋に自分で謎が解けたのではなく、“あの話に似ているなぁ~”という形でなんとなく見当が付いてしまったのは勿体無かった。 |
No.259 | 5点 | 太宰治の辞書- 北村薫 | 2015/07/16 08:21 |
---|---|---|---|
『六の宮の姫君』よりは判り易かったけど……北村薫にはもっと純粋なミステリを書いて欲しい。 |
No.258 | 5点 | チャイナ蜜柑の秘密- エラリイ・クイーン | 2015/06/30 09:14 |
---|---|---|---|
エラリーは見当違いな推理で必要以上に捜査を引っ掻き回していないか。殺人の謎そのものよりも、それをきっかけに発生するコメディ、を楽しむべきなのだろうか?
この事件最大の不思議は、“家具をドタバタ動かしているのに、隣室にいた人間は気付かなかったのか?”だと思うのだ。解決してみれば、その謎は確かに解けている……。 |
No.257 | 5点 | 天国ゆきカレンダー- 西本秋 | 2015/06/24 09:01 |
---|---|---|---|
基本設定がああである以上、最後に本当に死んではオチにならないのであって、その“転向”の説得力の如何が作品の出来を決めるわけだが、畑野の仕掛けた罠はシンプルながら有効打で合格点と言える。ミステリというよりは青春小説。 |
No.256 | 3点 | スウェーデン館の謎- 有栖川有栖 | 2015/06/24 08:59 |
---|---|---|---|
何か変だ。大いにネタバレするが、遺体移動のトリックに関して。
母屋にいた犯人は、どうやって離れに眠り込んだ酔っ払いがいることを知ったのか? (また、重りの代わりなんて何でもいいわけで、いつ目を覚まさないとも限らないリスキーな人間を使う必然性は乏しいのでは?他人の眠りの深さを外側から測ることは出来ないのだから) |
No.255 | 6点 | 暗闇・キッス・それだけで- 森博嗣 | 2015/06/16 14:38 |
---|---|---|---|
またぞろ近年の森博嗣作品によくある、面白いフレーズが散見されるものの、ミステリとしての責任を途中で放棄したような、尻切れ蜻蛉の物語、かな? と途中までは思ったのだが、あにはからんや結末ではそれなりに納得出来るところに着地し、所謂パズラー的な良さではないにしても、微妙な切なさを後味で残す佳作であった。森博嗣はこのあたりを最低ラインに設定して欲しい。 |
No.254 | 4点 | スペイン岬の秘密- エラリイ・クイーン | 2015/06/11 08:32 |
---|---|---|---|
訳文が古いせいかなんだか読みづらいし、謎のサイズの割に話が長過ぎる。“最も犯人らしくないものが犯人”という勘でこのひとかなと思ったら当たってしまった。なんだかなぁ。“キッド船長のとほうもない失策”などといった文言はアンフェアではないのだろうか。 |
No.253 | 6点 | ビブリア古書堂の事件手帖6- 三上延 | 2015/05/20 10:43 |
---|---|---|---|
謎の構造としては面白い。が、私には稀覯本を求めて右往左往したり刑事事件を起こしたりするキャラクターが愚者にしか思えない。割に合わないことしてるな~という感じ。
古書店は稀覯本に価値があるという価値観を率先して支えている筆頭なわけで、栞子さんも広義の共犯者というか、自縄自縛に陥り気味、といった印象である。 |
No.252 | 6点 | 化石少女- 麻耶雄嵩 | 2015/05/20 10:42 |
---|---|---|---|
私もこんな、生徒会役員がこぞって殺人を企てるような高校で青春を謳歌してみたかった。自分が被害者にならない限り。
エピローグでの語り手のショックは上手く伝わってきたので、作者の意図は成功していると思う。 難を言うなら、第六章で、隠滅されずに“痕が残っていた”のは恣意的なミスではないか。 |
No.251 | 8点 | 掟上今日子の推薦文- 西尾維新 | 2015/05/07 09:10 |
---|---|---|---|
登場人物が4人(うち2人は探偵と語り手)という、ミステリとしてはなかなか挑発的な構造で、しかもストーリー自体は結構単純で、紆余曲折で引っ張るわけではない、にもかかわらずこのサイズの長編に仕立て上げて面白く読めてしまうのだから作者の筆力恐るべし。
ところでこのシリーズで私の印象に最も残るのは、一見萌えキャラのような今日子さんの“忘却探偵”ゆえの深い孤独(前作の語り手・隠館くんが影も形も無い)。そしてそれを平然と飲み込んでいるっぽい彼女のメンタリティの不気味さ、である。 |
No.250 | 6点 | 地球儀のスライス- 森博嗣 | 2015/04/13 07:34 |
---|---|---|---|
ミステリ度の高いものは面白かったが、そうでないものはそうでもなかった。「僕に似た人」はなんだかさっぱり判らん。何か裏の意味があるの……? |
No.249 | 5点 | 恋と禁忌の述語論理- 井上真偽 | 2015/03/10 18:25 |
---|---|---|---|
ただややこしくしているだけ……という思いが半分。一方で、こういう味付けを加えることで、割と古典的なミステリのネタを上手く転がすのはそれはそれでアリかとも思う。
ただ、カヴァーイラストが『ビブリア古書堂の事件手帖』と同じ越島はぐ、というのはあざとい。これちょっと反則では? |