皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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kanamoriさん |
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| 平均点: 5.88点 | 書評数: 2475件 |
| No.1235 | 7点 | 女刑事の死- ロス・トーマス | 2010/10/21 18:16 |
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| 車に仕掛けられた爆弾による女刑事の死という幕開けこそ派手ですが、妹の死の謎を突きとめるため故郷へ帰った兄ベンジャミンの調査が語られる序盤の展開は地味です。途中からもう一つの帰郷目的である政府関係の仕事に物語の重心が移り、関係者の連続殺人が起こるあたりからスリリングな展開となりますが、結末は、これまでのB級感のあるクライム小説とはちょっと違う大人のハードボイルドという感じでした。
物静かで妹の死に対しても感情を表わさない主人公というのも作者の作品では珍しいですが、それを最後のページで一気に表現させた手際には唸るしかありません。泣けます。 |
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| No.1234 | 6点 | 動機、そして沈黙- 西澤保彦 | 2010/10/20 18:10 |
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| ノン・シリーズのミステリ短編集。
初期のものから書き下ろし作品まで、発表年代が幅広いですが、いずれもグロテスク&エロチックなテイストで統一されています。 表題作の「動機、そして沈黙」が、刑事と妻によるロジックのこねくり回しというプロットで一番作者らしい力作。オチも良く出来ていると思います。ホワイ・ダニットに意外性のある「未開封」や「死に損」も印象に残りました。 |
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| No.1233 | 7点 | エコー・パーク- マイクル・コナリー | 2010/10/20 17:47 |
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| ハリー・ボッシュ刑事シリーズ最新作の第12弾。
前作「終決者たち」でロス市警に復帰、今回も未解決事件班として過去の事件に対峙します。 前半は、逮捕された連続殺人犯の自供の真偽が焦点となる、比較的おとなしめのプロットが終盤は怒涛の展開に。検察による証拠の改竄という日本の読者にとってタイムリー過ぎるミスディレクションが図らずも効いています。 本格パズラー並みの伏線の張り方は、年々巧くなり文句はないのですが、初期の”ハード・ボッシュ”が懐かしい気も。しかし、ベトナム従軍が40年前という記述で愕然、ボッシュも60歳近い年齢になったということか。 |
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| No.1232 | 6点 | 空想オルガン- 初野晴 | 2010/10/19 18:15 |
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| 学園ものの連作ミステリ、”ハルチカ”シリーズ第3弾。
高校の吹奏楽部メンバーが遭遇する”日常の謎”が4編収録されていますが、「序奏」として前2作のエピソードのおさらいがあり、主要部員の紹介がされていて本編に入りやすい。 収録作のなかでは、幽霊アパートの謎を扱った「ヴァナキュラー・モダニズム」が好み。ある個性的な人物の登場と島荘的奇想が楽しめる。最終話の「空想オルガン」は、連作特有の仕掛けもあるが、哀切で美しい結末が印象に残る作品でした。 |
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| No.1231 | 6点 | 踊る黄金像- ドナルド・E・ウェストレイク | 2010/10/19 17:45 |
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| 南米某国の博物館から盗まれた黄金のアステカ像を巡って、ニューヨーク市中で悪党どもが争奪戦を繰り広げる。某復刊ドットコムではドートマンダーシリーズと紹介されていますが間違いで、ノンシリーズのスラップスティック・ミステリです。
レプリカの黄金像が多数混入し収拾がつかない大騒動が面白いですが、70年代半ばの流行「ハッスル」ダンスから派生した数々のスラングのニュアンスは、時代性とともに日本人読者には分かりずらいところがあります。 「このミス」で上位に入り、ウエストレイク再評価のきっかけとなったという点では意義のある作品だと思います。 |
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| No.1230 | 3点 | 長弓戯画- 滝田務雄 | 2010/10/18 18:31 |
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| 漫画家とその担当女性編集者コンビが探偵役を務める軽本格ミステリ長編。
きもいキャラの主人公でいきなり萎えます。前作「田舎の刑事」はギャグや文章は酷いなりに、ロジックには感心する点もありましたが、本書はロジックにも見るべきものがありませんでした。 |
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| No.1229 | 6点 | レスター・リースの冒険- E・S・ガードナー | 2010/10/18 18:13 |
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| 怪盗レスター・リースもの中編4編収録のシリーズ第1弾。
まず、リースに仕える従僕で警察のスパイでもあるスカットルがいい。リースには手玉にとられ、本来の上司アクリー部長刑事には手柄を横取りされたり、失敗の責任転嫁を受ける苛められキャラで、ある意味このシチュエーション・コメデイの主役といえます。 ミステリ的には、新聞記事から事件の真相を見抜く安楽椅子探偵ものであり、真犯人からどのように物品を横取りするかというハウダニット趣向もミスリードと伏線が充実していて楽しめました。 |
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| No.1228 | 6点 | 逃亡者- 折原一 | 2010/10/17 18:30 |
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| 殺人を犯した女性主人公が、整形で姿を変え各地を転々としながら時効まで逃げ延びようとする逃亡サスペンス。
最近は惰性で読んでいる感じの折原一ですが、本書は福田和子事件をモチーフにしたような数々の逃亡劇のエピソードがスリリングでなかなか読ませます。途中に挿入されるいわくありげなモノローグがなければ、危うく”折原=叙述トリック”ということを忘れさせる程です。結末もサプライズがあり、最近の作品の中では比較的楽しめました。 |
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| No.1227 | 5点 | 脱獄九時間目- ベン・ベンスン | 2010/10/17 18:04 |
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| 看守を人質にして監獄内に籠城した脱獄犯たちと州警察の対峙を描いた警察小説。
いやあ、渋い警察小説とは聞いていましたが、この設定でここまで地味な内容になるとは思いませんでした。いくらでもサスペンスを盛り上げることが出来るのに、ほとんど動きがない。主人公の刑事部長パリスと脱獄犯らの交渉の過程と心理状態をていねいに描写するうちに9時間が経過したという感じです。 入手したあと2冊、当分積んどく状態だなこれは。 |
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| No.1226 | 4点 | プラチナデータ- 東野圭吾 | 2010/10/16 20:37 |
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| 登録されたDNAデータによって殺人捜査が容易になった近未来を舞台にしたサスペンス小説。
主人公である男性研究員の特異な病症など、扱われているネタがいずれも陳腐で、中盤以降のあまり意味のないような逃亡劇も単なる水増しのためのエピソードとしか思えなかった。 人気作家ゆえのやっつけ仕事という感じを受けました。 |
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| No.1225 | 5点 | 怪盗ゴダールの冒険- フレデリック・アーヴィング・アンダースン | 2010/10/16 20:23 |
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| 「百発百中のゴダール」ほか、怪盗ゴダールシリーズ6編収録の連作短編集。
アンソロジーで1編を読んで興味がわいたシリーズですが、1914年刊ということもあって、新訳のわりに状況が分かりずらい描写があり、とっつきにくい感じがする。ただ、第1話から順に並べて読むと、ゴダールの存在が語り手の作家アーミストンの想像上の人物ともとれるメタ構成になっているところは面白い。 |
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| No.1224 | 7点 | 粘膜蜥蜴- 飴村行 | 2010/10/15 18:35 |
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| エログロ・ホラーという評判もあって若干及び腰ぎみに読み始めましたが、滅法面白いジャンルミックス小説でした。
たしかに、地下の死体処理場のシーンとか退いてしまう描写もありますが、主人公の大病院の御曹司・雪麻呂少年の比類ないエゴ、爬虫人・富蔵のとぼけた造形、東南アジア某国での秘境冒険譚など思わず引き込まれ、リーダビリティは抜群。鬼畜系のエピソードが博愛の物語になってしまうというエンディングも予想外でした。 |
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| No.1223 | 6点 | 氷の天使- キャロル・オコンネル | 2010/10/15 18:03 |
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| NY市警のクールな女刑事マロリーシリーズの第1作。
だいぶ前に竹書房というマイナーな版元から文庫で出た「マロリーの神託」の改題・新訳版。「クリスマスに少女は還る」の評判がよくて、急遽再販されたのでしょう。 元ストリート・キッドが養父母に引き取られ、刑事である養父同様に刑事(探偵)になるという経緯は、ニール・ケアリーの女性版という感じですが、クールでストイックな美貌の天才ハッカーという造形はニールとだいぶ異なります。 正直、本筋の事件の真相はあまり憶えていないが、マロリーと彼女を見守る周辺の人々との交情(特に養父の旧友3人組がいい味)が読み心地のいい物語にしています。 |
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| No.1222 | 7点 | 隻眼の少女- 麻耶雄嵩 | 2010/10/14 18:27 |
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| 因習が支配する人里離れた寒村を舞台に、村の現人神の後継者候補である娘たちが次々と首切り死体となっていく連続殺人事件に、隻眼の少女探偵が対峙するというフーダニット・ミステリ、という横溝正史(最近では三津田信三)ワールドの構図自体をミスディレクションにしてしまった異端の本格編。
次々と繰り出される犯人特定のロジックや、二転三転する真相などオーソドックスなパズラーとしてもそこそこ面白い。事件の構図がひっくり返る最後の仕掛けには驚いたが、腹話術と影武者には唐突な感じも受けました。 |
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| No.1221 | 5点 | 快盗タナーは眠らない- ローレンス・ブロック | 2010/10/14 18:02 |
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| 主人公は頭部に銃弾を受け眠りを必要としなくなった語学の天才という設定、スカダーや泥棒バーニィよりも10年以上前に書かれた初期シリーズの第1作です。
巻き込まれ型のスパイ冒険小説で、舞台のヨーロッパ各地をめまぐるしく変転させながら、テンポよく読ませます。これ1作だけでは判断が難しいですが、後の作品群と比べると、しゃれた会話や文章にブロックらしさが見られなかったのは残念。 |
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| No.1220 | 7点 | 恋の通し矢 人形佐七捕物帳- 横溝正史 | 2010/10/11 22:35 |
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| 神田お玉が池の岡っ引き・人形佐七捕物帳、14編収録。
本書は傑作選で、佐七ファミリーの面々がそれぞれ初登場する作品を時系列を追って収録しており、入門書に最適です。 以前読んだ角川文庫の自選傑作集3冊からは、探偵小説作家が書いた捕物帳らしくトリッキィな作品が多い印象を受けましたが、本書はキャラ立ちの人情ものも多く含まれていました。 二人の子分・辰五郎と豆六の漫才風のやり取りが楽しい「双葉将棋」や、プロットが錯綜した力作でパズラーながら伝奇風味もある「ほおずき大尽」が印象に残りました。 |
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| No.1219 | 7点 | 天使と罪の街- マイクル・コナリー | 2010/10/11 22:16 |
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| ハリー・ボッシュシリーズの10作目は、まず発端から驚かす。
「わが心臓の痛み」の元FBI心理分析官マッケレイブの死、「ザ・ポエット」の連続殺人鬼”詩人”の再登場という、過去のノンシリーズ2編の登場人物を全てボッシュの世界に合流させる荒業をやっています。 本筋は「ザ・ポエット」の続編という感じで、サスペンス重視のため、本格パズラーの側面がやや弱いかなと思いますが、それでも読者の予想を裏切る終盤の展開は健在で、やはりコナリーに凡作なし。 |
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| No.1218 | 6点 | 謎解きはディナーのあとで- 東川篤哉 | 2010/10/10 16:21 |
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| 富豪で社長令嬢の女刑事と執事のコンビを探偵役にした連作ミステリ。
短編でも持ち味のシュールなギャグは健在で、令嬢刑事に対して毎回ていねいな言葉で暴言を吐きながら、結局最後に真相を披露する毒舌執事がいい味を出しています。 ミステリ的には、各編とも伏線と気付きのオーソドックスなフーダニットで、最終話は、「Yの悲劇」のマンドリンのロジックを借用したような推理でニヤリとさせてくれます。 |
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| No.1217 | 5点 | 探偵は絹のトランクスをはく- ピーター・ラヴゼイ | 2010/10/10 16:02 |
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| ヴィクトリア朝ミステリ、クリッブ巡査部長シリーズの2作目。
前作の競歩もどきに続き、今回は賭博対象の素手の拳闘競技という当時の風俗を取り入れて、首なし死体事件に取り組みます。 クリッブとサッカレイ巡査のやり取りも適度なユーモアがあり面白いのですが、並行して描かれる若い巡査の潜入捜査の模様が楽しめた。本格度は高くないけれど、さりげない伏線が光るまずまずの作品だと思います。 |
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| No.1216 | 6点 | 闇の喇叭- 有栖川有栖 | 2010/10/09 18:37 |
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| 戦後に北海道が独立し現在でも徴兵制度が継続している”もう一つの日本”を舞台にした青春ミステリ。
私的探偵行為が禁じられた世界で、隠れキリシタンの如く田舎で隠棲する探偵父娘がシリーズの主人公となる。本作は娘の高校生が級友とともに殺人事件に対峙する本格ミステリの側面が強いですが、余韻の残るラストといい青春ミステリとしても良く出来ていると思います。 版元があんなことになってしまいましたが、ミステリーYA!で出す必要もない作風なので、続けて第2弾を出してほしいものです。 |
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