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kanamoriさん
平均点: 5.89点 書評数: 2426件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.11 5点 きまぐれ砂絵- 都筑道夫 2010/06/09 20:20
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第5弾。
収録作は、「長屋の花見」「舟徳」「高田の馬場」「野ざらし」「擬宝珠」「夢金」と並んでいて全編が落語を元ネタとした異色編です。
作者が楽しんで書いたことはわかりますが、ミステリの趣向としてはあまり大した出来のものがありませんでした。
落語好きなら、もう少し楽しめたかもしれませんが。

No.10 6点 魔海風雲録- 都筑道夫 2010/06/05 15:40
初期の伝奇時代小説で「かがみ地獄」の改稿・改題版。
戦国時代末期を時代背景にして真田の若さまを主人公に魔鏡の争奪戦を描いたオーソドックスな冒険譚になっています。
忍者の佐助、密偵の才蔵や南蛮人など、取巻きの登場人物も個性豊かで、舞台も木曾の山中から駿河沖の大海原まで、スルリングに展開する物語は手慣れた創りになっていると思います。
ただ、岡本綺堂などの先行の伝奇物の範疇から抜け切ったものでないため、斬新さに欠ける気もしました。

No.9 5点 全戸冷暖房バス死体つき- 都筑道夫 2010/06/02 22:26
「退職刑事」の娘・滝沢紅子やライター猿紘一らミステリ好きの仲間が、豪華マンション・メゾン多摩由良周辺で発生した事件を解決する連作ミステリ、シリーズ第1弾。
不可解なシチュエーションの死体や事件をロジックをこねくり廻して解決しますが、往年のキレは見られず、軽めの本格という感じでした。

No.8 6点 悪魔はあくまで悪魔である- 都筑道夫 2010/05/31 21:31
初期のショートショート系短編集(角川文庫版)。
ホラーとか恐怖小説と呼ぶのが一番近いと思いますが、単純なジャンル分けが難しい奇妙な不思議小説が19編収録されています。よくある悪魔との契約ものに捻りを利かせた表題作をはじめとして、独特の軽妙な語り口ゆえに、内容の割に恐怖感があまりないのが共通しているテイストです。

No.7 7点 あやかし砂絵- 都筑道夫 2010/05/11 21:44
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第4弾。
発端の不可解な謎の提示は、過去のシリーズ同様に魅力的ですが、解釈にやや捻りが不足するものが目立つように思いました。
なかでは、絵に描いた虎が人を喰い殺す「人喰い屏風」が謎の突飛な所がずば抜けています。動機の隠蔽もなかなかでホワイダニットの秀作だと思います。

No.6 8点 からくり砂絵- 都筑道夫 2010/05/11 21:33
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第3弾。
解説によると、「むっつり右門」シリーズが元ネタになっている話が数編含まれているそうですが、不可解性を追求するテンションは落ちていません。
ベストは、座敷で隠居が大きな庭石によって圧死する不可解な謎が魅力的な「小梅富士」。からくり人形が竹光で斬殺する「血しぶき人形」が準ベストでしょうか。

No.5 8点 くらやみ砂絵- 都筑道夫 2010/05/11 21:16
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズの第2弾。
準レギュラーである岡っ引きの下駄常への助太刀の体裁を取りながら、ダミーの解決を提示する多重解決がパターン化しています。
棺桶の中の死体の入れ替りトリック「天狗起し」と、死人が泥棒に入るという謎の「地口行灯」が不可解性で双璧の秀作だと思います。後者は江戸時代の文盲があたりまえという常識を活かしたダイイングメッセージも唸りました。

No.4 9点 血みどろ砂絵- 都筑道夫 2010/05/11 20:49
砂絵のセンセーを中心に「なめくじ長屋」のアウトローたちが奇怪な事件を解決する捕物帳、シリーズ全11作中の第1弾。
軽妙洒脱な文体で江戸の風物を楽しめると共に、奇想天外な謎と論理のアクロバットが光る傑作パズラーでもあります。
渡し船からの人間消失トリック「よろいの渡し」、見立て連続殺人もの「本所七不思議」、密室の蔵からの人間消失「三番倉」、心中した女が一瞬にして老婆に変わる「心中不忍池」など、物のけや神隠しの存在が信じられていた時代だけに、それぞれの設定が効果的で動機にも説得力がある点が秀逸です。

No.3 6点 三重露出- 都筑道夫 2010/05/06 00:12
著者初期の作品全般に言えることですが、今作も捻った趣向を凝らしたメタ風ミステリです。
2つの物語が交互に進行します。ひとつは、忍者に憧れ来日したアメリカ人が奇天烈な忍術を使う女忍者たちとスパイ戦に巻き込まれるという、山風の忍法帖にジェームズ・ボンドを登場させたようなアクションもの。もうひとつの物語は、その小説の翻訳者が小説のなかに現実の記述がある謎に戸惑い調査を始めるというもの。
この二つの物語がどのように結びつくのかが肝のはずなんですが、結末はちょっと肩透かしの感じでした。狙いはよかったけど着地に失敗というところでしょうか。

No.2 6点 キリオン・スレイの生活と推理- 都筑道夫 2010/04/27 18:22
詩人の外国人を探偵役とした連作ミステリの第1弾。
各編の表題がすべて「なぜ・・」で始まる事から分かるように、不可能犯罪ものとして成立できる物語でも、あえて不可解犯罪もののミステリに仕上げていて、ホワイダニットにこだわっています。
作者の提唱する<論理のアクロバット>の実践として書かれたようなミステリで、探偵役を外国人にしたのも合理性を重んじる西洋人がふさわしいという考えからでしょうか。なかには、強引すぎる机上の空論めいた推理もありますが、まずまず楽しめました。

No.1 6点 捕物帳もどき- 都筑道夫 2010/03/13 23:53
「名探偵もどき」に続く連作短編「もどき」シリーズ第2弾。
探偵役の吉原遊女屋の若旦那が、半七、人形佐七、銭形平次、むっつり右門、若さまの5大捕物帳プラス顎十郎に扮し大騒動。
捕物帳フアンにとってたまらない設定です。本格ミステリの趣向が弱いのが難点ですが、私的には全然問題ありません(笑)。
第3弾の「チャンバラもどき」までオススメです。

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kanamoriさん
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