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kanamoriさん
平均点: 5.88点 書評数: 2474件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1974 5点 短刀を忍ばせ微笑む者- ニコラス・ブレイク 2013/09/16 23:41
ナイジェルと妻のジョージアは、ちょっとした偶然からファシスト派の秘密結社が英国政府の転覆を謀っていることを知る。ロンドン警視庁の幹部であるナイジェルの叔父から要請を受けたジョージアは、敵のアジトへ潜入し黒幕の正体を探るが------。

「野獣死すべし」に続く探偵ナイジェル・ストレンジウェイズ・シリーズの5作目。といっても今作の主人公は、かつての有名女性探検家でもあるナイジェルの妻ジョージアで、しかも冒険スリラーという異色作。ナイジェルは最初と最後に登場するだけなのでシリーズの番外編と言っていい内容です。
”トミー&タペンス”のような割と明るい内容のものを想像していましたが、軽妙な部分もあるものの、大戦前夜の英国の実際の政治情勢をある程度踏まえた設定のため、意外とシリアスで、後半のジョージアに迫る危機的状況や逃亡劇はスリリングです。ただ、謎解きの要素はほとんどないので、それを期待して読むと失望するかもしれませんが。
なお、タイトルは「カンタベリー物語」からの引用で、結社の黒幕の人物造形を示唆したもののようです。

No.1973 6点 水族館の殺人- 青崎有吾 2013/09/13 23:10
アニメオタクのダメ人間、高校生・裏染天馬を探偵役に据えた本格パズラー、「体育館の殺人」に続く”館”シリーズの2作目。

水族館のサメ水槽に落下する飼育員の死体という発端こそ派手ですが、今回も、現場近くに残された備品から細かい推理を次々とつなぎ合わせて地道に真相に迫っていくロジック中心の犯人当てパズラーです。
最終章の50ページにわたる、関係者を一堂に集めた天馬の精緻な消去法推理の開陳シーンに全てが凝縮されていて、この部分の読み応えは圧巻です。その反面、伏線を仕込む中盤はややダレる感じもしましたが。
レギュラー陣は前作よりキャラが立ってはいるものの、11人に絞られた容疑者の書き分けが弱く、犯人の存在感もいまいちなので、犯人に意外性がないのが難点かなと思います。
最後に明かされるホワイに関しては賛否が分かれるところかもしれませんが、肯定派です。

No.1972 7点 嫌疑- フリードリヒ・デュレンマット 2013/09/09 22:26
スイスの劇作家デュレンマットの、小説としては最初期の作品「嫌疑」と「裁判官と死刑執行人」という短めの長編2編を収録。

戦時中ナチス強制収容所で残虐な医療行為を行い、戦後は他人になりすましていた元親衛隊医師を、死の病で入院中の老警部が追及する「嫌疑」。
地方名士の屋敷に潜入捜査中の部下が殺されるが、老警部の捜査は終盤思わぬ構図の反転をみせる「裁判官と死刑執行人」。
いずれもスイス・ベルン警察の老警部ベールラッハという人物を主人公としているので、ジャンル登録は警察小説としたが、ミステリのプロパー作家が書くものとは一味違う、読み手の予想の斜め上を行くような枠を外した後半の展開が非常に面白かった。
ただ、収録作の並びがシリーズ2作目、1作目の順になっているのが解せない。1作目を先に読むほうが衝撃度がより大きいのではないかと思う。

No.1971 5点 赤い靴少女殺人事件- 梶龍雄 2013/09/06 21:45
元警視庁公安課所属の探偵・速水は、知り合いの富豪・貫端家の長男敏一から身辺警護を依頼され軽井沢に向かうが、直前に敏一は刺殺死体で発見される-------。

軽井沢にある資産家の別荘を舞台に遺産相続絡みの殺人事件を主題にしたフーダニット・ミステリ。
メインの人物トリックは途中で薄々察することができ、ストーリーも面白味を感じないが、関係者を一堂に集めた最終章の謎解きシーンは読み応えが有り、探偵が開陳する手掛かりの多彩さには驚かされた。このあたりは伏線を重視するカジタツらしさが出てると思います。ただ、犯人による偽の手掛かりも乱発されており、読者が推理しようがない側面がある。

No.1970 6点 懐かしい殺人- ロバート・L・フィッシュ 2013/09/03 22:44
時流に乗り遅れて売れなくなった老ミステリ作家3人組が結成したのが殺人請負業の”殺人同盟”。かつて自身が書いた古典的殺人テクニックを駆使して彼らの商売は順風満帆だったが-------。

”殺人同盟”シリーズの第1作。米国人作家ながら英国風のユーモアとウィットにあふれる、と書きたいところですが、菊池光氏の訳文が軽妙なプロットに合っていないように感じられ、老人3人が順繰りに依頼事案を実行する前半部は読んでいてもなかなか乗れなかった。
一転、法廷ミステリに転調する終盤になって、老獪なパーシヴァル弁護士というクセモノの本格的登場で面白くなる。決定的な証拠と思われたアレを逆手に取った法廷戦術の手際が鮮やかで痛快だった。

No.1969 6点 贋作展覧会- トーマ・ナルスジャック 2013/09/02 18:39
ナルスジャックがピエール・ボアローとコンビを組む前に発表した贋作作品集から7編をセレクトしたパスティーシュ短編集。

収録作品は、アルセーヌ・ルパン、ファイロ・ヴァンス、エラリー・クイーン、メグレ警視、ネロ・ウルフなどの名探偵ものが中心になっていて、いずれの作品も文体の雰囲気のみならず、キャラクター造形や物語展開もいかにもな内容で、模倣のテクニックはお見事です。(フランス語の原書での模倣の出来は判断がつきませんが、翻訳者の功績は評価できます)
なかでも、稲葉明雄が担当した「ルパンの発狂」は、堀口大學が翻訳したかのような古めかしい文体が凝っている上に、プロット自体も本物と遜色のない面白さで個人的に最も気に入っています。
本書収録作品以外にも、ホームズ、ブラウン神父、ポアロ、ピーター卿、チャーリー・チャンなどのパスティーシュもあるようなので、どこか第2弾を出してくれないものか。

No.1968 6点 強盗プロフェッショナル- ドナルド・E・ウェストレイク 2013/08/30 22:45
トレーラーハウスで仮営業中の銀行の臨時支店を丸ごと盗むという、奇想天外な強奪計画を企てたドートマンダーと小悪党の仲間たちだったが、そこに思わぬトラブルが発生して------といった調子の、天才犯罪プランナー・ドートマンダー、シリーズの第2弾。

疫病神の悪友ケルプがネタを持ち込み、運転役のスタン・マーチとおふくろさんが絡み、”O・J・バー&グリル”の奥の部屋で計画を練るという、これ以降の定型プロットが確立しています。
後半の間抜けな捜査陣とのやり取りなど笑わせてくれますが、後の木村仁良訳作品と比べると、訳文がやや堅すぎるきらいがあって、仲間のキャラクターを充分活かしきっているとは言えず、ドタバタ劇のノリも抑え目な感じを受けた。
また、タイトルは原題どおり、二つの意味を掛けた「バンクショット」のままでもよかったのでは。

No.1967 5点 六花の勇者 4- 山形石雄 2013/08/29 22:43
”剣と魔法”の異世界を舞台にしたライトノベル風の冒険ファンタジー第4弾。

今回は、勇者たちの中に紛れ込んだ「7人目」の正体につながる凶魔テグネウの切り札”黒の徒花”を巡る謀略&活劇が中心のストーリーとなっているが、本筋の物語は2作目以降いっこうに進展しないで、延々と”人狼ゲーム”ネタを続けているので、さすがにちょっと飽きてきた。
1作目のようなミステリ趣向や2作目のコンゲーム的な面白さも今回は減退していて、普通の冒険ファンタジーになっている。
思わせぶりなラストシーンで次作に興味をつなげてはいるが、さて------。

No.1966 6点 あの血まみれの男は誰だ?- サイモン・ブレット 2013/08/25 18:40
地方劇場での『マクベス』上演の稽古後の深夜、劇場に併設されたバーの貯蔵室で老優の変死体が発見される。ひさびさに端役の仕事をえて張り切っていた脇役俳優パリスだったが、警察から容疑者として目をつけられることに------。

売れない中年俳優チャールズ・パリスを探偵役としたシリーズの12作目。
作者は演劇界に長く携わっていただけあって、事件背景の演劇界の舞台裏はいかにもありそう。高慢で陰険な被害者の老俳優や、演劇理論にとことんこだわる新進女優、優柔不断な演出家など、クセのあるキャラクターたちのやり取りがシニカルでユーモアたっぷりに描かれています。とくに、パリスがベテランゆえ便利屋の俳優として扱われ、一人二役どころか最終的に10個の役を割り振られるくだりは笑えます。
その分、事件の発生を物語の半ばまで待たなければなりませんし、謎解きミステリとしては小粒な内容と言わざるを得ませんが、動機の隠蔽と伏線は巧妙です。

No.1965 5点 ペトロフカ、38- ユリアン・セミョーノフ 2013/08/23 11:50
巡査を殺害し拳銃を奪った二人組による強盗が続発する。モスクワ警察は特別捜査班を立ち上げ、三人の刑事が犯人グループを追うことになるが-------。

ロシア人作家による’60年代のソ連を舞台にした警察小説。タイトルはペトロフカ街38番地、モスクワ警察(民警)本部の所在地を表す。
粗筋からは緊迫の捜査小説のような感じを受けたが、それほどサスペンス性はない。特捜班の三人の刑事の私生活と、犯行に加担した少年との人間味あふれるやり取りなど、メグレものに似たテイストを感じた。犯人グループ側の行動を同時並行で描いているので犯罪小説的な面白さはあるが、そのぶん謎解きの妙味はない。
「ゴーリキー・パーク」や「チャイルド44」などの英米作家が書くような、KGBの暗躍とか共産主義体制の恐怖政治的な味付けがないのは当然と言えば当然のことながら、やはり物足りない感じがする。

No.1964 8点 冬のフロスト- R・D・ウィングフィールド 2013/08/18 17:49
連続少女失踪事件や連続娼婦惨殺事件など、例によって同時多発事件でモジュラーれ、不眠不休の捜査を強いられるデントン署のフロスト警部、シリーズの第5弾。(

基本プロットは毎度同じながら、訳出が数年おきのためマンネリを感じることがない。
今回は何度もドジを繰り返す部下のダメ刑事モーガンがいいアクセントとなって、フロストの下ネタ・ジョークも冴えわたっている。とくにマレット署長をネタにしたジョークは爆笑必死。
ユーモアだけでなくフロストの人情味溢れる意外な行為でホロリとさせたり、本来の警察小説としての構成も一級品の出来です。
上下巻1000ページを一気読みできる面白さ。

No.1963 4点 Another エピソードS- 綾辻行人 2013/08/18 17:23
あの夜見山北中学の見崎鳴が語るアナザー・ストーリー。

彼女が湖畔の屋敷で出合った、”記憶を失くした幽霊”の自分探しの物語ですが、アニメか何かのシナリオかと思うほどスカスカの内容でがっかりしました。300ページ余りを2時間で読めるし、短編でも充分書ける内容だと思う。
また、このような手法によるサプライズの演出は食傷気味であり、今更どうかと思うところがあります。

No.1962 6点 ムーンズエンド荘の殺人- エリック・キース 2013/08/13 20:04
雪の山荘に集められた探偵学校の卒業生9名が、密室状況で次から次へと殺されていく、”そして誰もいなくなった”型の本格パズラー。
三連発の密室トリックに関していえば、「君たち、探偵学校で”密室講義”を受講しなかったのかよ!」というツッコミを入れたくなるような安直で残念なレベルですが、クリスティの名作に挑戦したプロット上の仕掛けはまずまずかなと思います。(細かいことを言えば、気付かないのは不自然なような気がしますが)。
物語の前半は、多くの登場人物で視点がコロコロ変わるのと、過去の事件の回想&言及がたびたび挿入されるため乗れないところがありますが、残り人数が3名ほどになった終盤の展開がなかなかスリリングです。
ともあれ、現代の米国では絶滅危惧種と認定されるようなパズラーがいまどき書かれたこと自体が驚きであり、今後に期待してプラス1点を献上。

No.1961 5点 キルマスター①/スパイの城- ニック・カーター 2013/08/12 21:50
米国秘密機関”AXE”に所属する工作員ニック・カーターを主人公とするB級のスパイ冒険スリラー。”キルマスター”とは殺人許可書をもつスパイの意味、サブタイトルの①はシリーズの1作目ではなく邦訳の1冊目を表す。本シリーズも60年代に続々と書かれた007シリーズの亜流といえます。
世界征服を目論む狂信的大富豪という敵役がチープな設定ながら、ストーリーは核ミサイル施設を有する北海の孤島への”敵地潜入モノ”で、冒険スリラーのプロットとしてはそれなりに面白いです。ただ、いたずらに煽情的シーンを何度も挿入しているため興醒めの部分がかなりあります。とくに色情狂のペンドラゴン夫人というのが強烈すぎる。読者サービスとしてのサディスティック&エロチックなシーンは当時のスパイものの必須要素なんでしょうかね。

なお、”ニック・カーター”という筆名は19世紀末から何人もの作者によって書き継がれたハウスネームで、この作者名と同じ名前をもつ主人公は最初は名探偵役として登場しており、その短編集は「クイーンの定員」にも選ばれています。

No.1960 6点 わが名はアーチャー- ロス・マクドナルド 2013/08/11 13:35
私立探偵リュウ・アーチャー登場の短編集。デビュー作の「女を探せ」(1946年)をはじめ50年代半ばまでに発表された7作品が収録されています。女性が重要な役割をしている話ばかりなので、邦題全てに「女」が入っていますが、原題とかけ離れたタイトルのものは少し違和感がありました。

タフガイ探偵ぶりを前面に出した普通のハードボイルド風作品もあるものの、中期以降のものは、長編並みに複雑な人間関係と入り組んだプロットになっていて、意外性の追及とともに悲劇的な結末も用意されています。続けて読むと疲れてしまう濃さがありますが。
また、「雲をつかむような女」や「ひげのある女」など、EQMMに掲載された作品は本格ミステリ顔負けのトリックもあります。
ロスマクの短編はそれほど作品数も多くなく、長編に比べてあまり話題にもならないように思いますが、期待以上で満足です。

No.1959 6点 マッターホルンの殺人- グリン・カー 2013/08/06 12:01
シェークスピア劇俳優でアマチュア登山家アバーグロンビー・リューカー・シリーズの5作目。ただし、本名のスタイルズ名義で書かれた初期3作はリューカーが諜報部員を務めるスパイ冒険スリラーらしいので、探偵役としては2作目の登場になる。

本書も、先日読んだ6作目の「黒い壁の秘密」同様に、グリン・カー作品の魅力である登山・山岳描写を背景に、山の麓のホテルに滞在する旅行客内で発生した殺人を描くオーソドックスな本格ミステリになっていて、伯爵夫妻や好奇心旺盛な中年女性など登場人物はまさにクリスティ風で読み心地がいいです。
正直すぎる伏線の張り方で真相が分かりやすいのが残念ですが、雄大な作品舞台に相応した豪快なアリバイトリックが印象的です。

No.1958 5点 カメレオン- ウィリアム・ディール 2013/08/03 11:00
アラスカ沖の北極海に浮かぶ海底油田施設が何者かに襲撃され、世界各地で石油関連企業の重役らが次々と暗殺される。
幼いころ日本で古武術と禅の精神を会得した元CIA職員でジャーナリストのオハラは、事件の背後にある謀略計画と謎の人物”カメレオン”の正体をつかむため、同僚女性記者とともに京都へ飛ぶが-------。

このような粗筋になるが、物語の本筋が見えてくるのが残り80ページを切ったあたりから。場面転換も多く、新しい人物が登場し名前を覚えたところで殺されていくし、中盤までは誰が主人公かも判然とせず、無駄と思えるようなエピソードが頻繁に出てくるので、読み続けるのが苦痛なところがあった。終盤はスリリングな展開で盛り返しているが。
CIAに狙われる元CIA職員の主人公ということで、「グレイマン」+「シブミ」という趣きもあるものの、全体的にB級臭が漂う国際謀略スリラーという読後感でした。

No.1957 6点 骨董屋探偵の事件簿- サックス・ローマー 2013/07/28 20:41
事件現場で眠れば被害者や犯人の残留思念が読み取れるという特殊技能を使ったユニークな探偵、老骨董屋モリス・クロウの探偵譚10編を収録。原題は”The Dream-Detective”で、本書も「クイーンの定員」に入っている短編集です。

古代エジプトのミイラの首が連続して切断される事件や、幽霊屋敷で鳴り渡る哄笑の謎など、オカルト趣向が前面にでている作品が多いが、最終話を除いて合理的に解決される。また、密室状況からの美術品の消失などの不可能犯罪を扱ったものも多く、作風は思考機械シリーズに似ているように思う。
ただトリックは時代性ゆえに無茶なものが目につき、とくに等身大の彫像を密室から消失させた「象牙の彫像」のトリックなど、バカヤロー・レベルだけど思わず笑ってしまった。
枕がわりのクッションを携帯してクロウに同行する娘のイシスや、骨董店に飼われている悪態をつくオウムなど、脇役のキャラクターも印象的で、連作ものとしてはなかなか面白かった。

No.1956 6点 追憶の殺意- 中町信 2013/07/26 19:06
本書は昭和54年に作者通算3度目の江戸川乱歩賞最終候補作になった「教習所殺人事件」を改題しトクマノベルズから「自動車教習所殺人事件」と題して出版されたもので、来月創元推理文庫から「追憶の殺意」のタイトルで復刊される予定の作品。久々に再読してみました。

作者の代名詞である読者を誤誘導する叙述トリックは使われておらず、温泉バスツアーというお決まりのプロットも出てこない、密室+アリバイ崩しをメインにしたオーソドックスな、”ジス・イズ・ザ・昭和の本格ミステリ”といった内容です。
フーダニットを主軸とする通常の中町ミステリと違って、密室の謎が解けた後はアリバイ崩しが中心になっている点や、刑事が探偵役というところがこの作者にしては珍しく、作風としては鮎哲の鬼貫警部モノに似た味わいがありました。
二段構えのアリバイトリックのうち2つめが綱渡り的ですがユニークで、教習所を舞台にした意味が最後に浮かび上がってくるところが巧妙です。

No.1955 6点 ミステリガール- デイヴィッド・ゴードン 2013/07/23 18:58
働いていた古書店が潰れ、妻からは別れ話を切り出された小説家志望の「ぼく」は、探偵助手の仕事をみつけ、巨漢のひきこもり探偵から謎の美女の素行調査を命じられる-------。

「このミス」をはじめ一昨年のミステリランキング海外部門の三冠に輝いた「二流小説家」の作者による第2作。
謎の美女の正体とカルト映画フィルムに絡む殺人事件に巻き込まれる主人公は、前作の主人公とほとんど同じキャラクター。このダメ男・サムの自虐的な語り口が絶妙で、友人の映画オタクやネロ・ウルフもどきの巨漢の探偵など、個性的な脇役陣のキャラクターも面白い。(饒舌なウンチク部分が脱線ぎみなところもあるが)。
ただ、前作では弱いなりにも成功していた謎解き部分が今回は微妙な出来になっている。とくに終盤に入って、次々と真相が明かされる手段が、カギを握る三人の人物によるなが〜い独白という構成には疑問が残る。

ところで、本書も日本で映画化されるとして配役を考えてみた。
主人公のサムは「二流小説家」と同じ上川某、レスビアンの古書店主には剛力で(彼女にはミスキャストという言葉はない)。巨漢の探偵にはマツコデラックスを男装させてはどうか。

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