皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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kanamoriさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 2460件 |
| No.1980 | 6点 | リバーサイド・チルドレン- 梓崎優 | 2013/09/24 18:02 |
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| カンボジアの貧民街近く川沿いの小屋で集団で暮らすストリート・チルドレン。親に売られかけて逃げ出しそのグループの一員となった日本人少年”僕”の周辺で、次々と仲間の少年たちが殺されていく------。
数年前のデビュー短編集「叫びと祈り」で年末ミステリランキングを賑わせ話題になった作者による第2作。 「叫びと祈り」の収録作にもあったが、”特殊な環境ゆえの歪んだ論理”によって動機の意外性を創出するというのが作者の得意とするところで、本書もそのパターンといえる。 人間扱いされず虫けら同然にみられているストリートチルドレンが、なぜ殺されるのかという”ホワイ”がミステリとしての中核の謎。たびたび挿入される殺された少年の”名言”フレーズや泥人形ゴーレムの逸話など、伏線も巧みに敷かれている。ただ、死体装飾の見立てなど全てがストンと腑に落ちるとはいえず、今回はミステリ的には弱いかなと思います。 それでも、透明感のある文章で語られる少年たちの生きざまは胸を打つ内容で心に残る物語となっている。あの”旅人”の再登場もうれしいサプライズだった。 |
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| No.1979 | 5点 | 日入国常闇碑伝- 詠坂雄二 | 2013/09/23 18:33 |
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| 群雄が割拠する戦乱の時代の、「日入国」という架空の国を舞台背景にした伝奇小説風の連作短編集。
本書は、5編の異世界ファンタジーというか英雄譚で構成されていて、思っていた内容ものとは随分違う。初期のミステリ作家・詠坂雄二からは想像できない歴史小説のようなものになっている。内容自体はつまらないことはないですが、歴史ものの謎解きミステリのようなものを期待していたので肩透かしの感がある。 (ジャンルを「本格」に投票されている方がいますが、本格ミステリの要素はないように思う。) ネタバレになるかもしれませんが、 作者らしい趣向は、巻末が「訳者後書」となっている点で、外国人作家の歴史小説を翻訳した体裁になっているところぐらいかな。 |
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| No.1978 | 4点 | 八王子七色面妖館密室不可能殺人- 倉阪鬼一郎 | 2013/09/22 18:03 |
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| 連続して密室殺人が起こる”謎めいた館”の意外な正体と、無駄に労力を使った馬鹿馬鹿しい文字組みの仕掛けで、読者の苦笑と脱力を誘う例のバカミス・シリーズ-------と思っていたら、後半に作者自身が登場しメタレベルの展開になってから、ガラリと作風が変調する変化球になっている。
正直、前半のネタは、これまでシリーズでやってきたことの劣化版コピーで新味は全く感じない。後半の展開も、作者の別作品(ホラー&恋愛もの)に耐性があれば許容できるかもしれないが、このタイトルで期待するものと差がありすぎ、たいていの読者は納得いかないのではなかろうか。 |
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| No.1977 | 5点 | 喪中につき- 結城昌治 | 2013/09/21 20:21 |
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| 昭和50年に角川から出たノン・シリーズの短編集。
初期のころはハードボイルドから、ユーモア本格、スパイ小説、悪徳警官もの、クライム・コメディなど、かなり幅広いジャンルを書き分ける芸達者ぶりを発揮していた作者ですが、本書収録作は犯罪小説に分類される作品が半分以上を占めている。 それも、愛人、不倫、三角関係など男女関係のもつれに起因する殺人を扱ったものが多く、結末はいずれも後味の悪いものばかりなので、後半は読んでいてやや食傷気味の感がある。 若干毛色の違ったものでは、刑事を主人公にしたノワール色の強い「寒い夜明け」や、サイコスリラー風でブラックなオチの「喪中につき」が印象に残った。 |
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| No.1976 | 5点 | 0番目の事件簿- アンソロジー(出版社編) | 2013/09/20 13:05 |
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| 11人の当代人気作家?のデビュー前の作品を披露しようというイロモノ企画的アンソロジー。
中学生時代の習作、大学ミス研時代の機関紙に投稿した犯人当てから新人賞応募作まで、書かれた状況はそれぞれ異なるものの、その作家の原点が垣間見れる。小説の技巧的にはアレでも、芸風は当時も今も同じである(初野晴だけはちょっと違うかな)。 特に、ミス研出身者の新本格第1世代、有栖川、法月、我孫子、綾辻などは、登場する探偵キャラ(江神二郎、法月林(綸)太郎、速水三兄弟妹、島田潔)からして当時から変わらない。綾辻氏の作品は「人形館の殺人」の原型なので当然ではあるけれど。 アマチュア時代の作品を披露する点に関して、綾辻氏いわく”羞恥プレイ”という側面が当然あるけれど、一方で、文章や小説構成力が稚拙でも、「アイデア自体は最近の作品より面白いんでないの」と評されるリスクもあるw たとえば、霞流一「ゴルゴダの密室」のバカミス的トリックや、霧舎巧「都筑道夫を読んだ男」の趣向とオチは、個人的にはかなり好みの部類にはいる作品でした。 (ところで、刑事コロンボのファースト・ネームはファンにとっては周知の事実なんだろうか?) |
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| No.1975 | 5点 | ライオンの棲む街- 東川篤哉 | 2013/09/18 21:39 |
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| 平塚で探偵事務所を開く若い女性コンビによる連作ミステリ。
このところ目先を変えて、次々と新しいキャラクターを創造してますが、いずれも本格ミステリにボケ&ツッコミのお笑いをまぶせた基本の構成は同じなので、あまり新味を感じないのが辛いところ。 収録作のなかでは、目張り密室にあるトリックを応用した5話目の「女探偵の密室と友情」がまずまずの内容で個人的ベストですが、全体的に既読感のあるトリックが多い印象。とくに第1話は海渡英祐の短編にほぼ同じのがあったような気がする。 なお、久々に広島カープ・ネタ(=コンタクトを捜す達川光男)があったので採点をやや甘めにしましたw |
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| No.1974 | 5点 | 短刀を忍ばせ微笑む者- ニコラス・ブレイク | 2013/09/16 23:41 |
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| ナイジェルと妻のジョージアは、ちょっとした偶然からファシスト派の秘密結社が英国政府の転覆を謀っていることを知る。ロンドン警視庁の幹部であるナイジェルの叔父から要請を受けたジョージアは、敵のアジトへ潜入し黒幕の正体を探るが------。
「野獣死すべし」に続く探偵ナイジェル・ストレンジウェイズ・シリーズの5作目。といっても今作の主人公は、かつての有名女性探検家でもあるナイジェルの妻ジョージアで、しかも冒険スリラーという異色作。ナイジェルは最初と最後に登場するだけなのでシリーズの番外編と言っていい内容です。 ”トミー&タペンス”のような割と明るい内容のものを想像していましたが、軽妙な部分もあるものの、大戦前夜の英国の実際の政治情勢をある程度踏まえた設定のため、意外とシリアスで、後半のジョージアに迫る危機的状況や逃亡劇はスリリングです。ただ、謎解きの要素はほとんどないので、それを期待して読むと失望するかもしれませんが。 なお、タイトルは「カンタベリー物語」からの引用で、結社の黒幕の人物造形を示唆したもののようです。 |
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| No.1973 | 6点 | 水族館の殺人- 青崎有吾 | 2013/09/13 23:10 |
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| アニメオタクのダメ人間、高校生・裏染天馬を探偵役に据えた本格パズラー、「体育館の殺人」に続く”館”シリーズの2作目。
水族館のサメ水槽に落下する飼育員の死体という発端こそ派手ですが、今回も、現場近くに残された備品から細かい推理を次々とつなぎ合わせて地道に真相に迫っていくロジック中心の犯人当てパズラーです。 最終章の50ページにわたる、関係者を一堂に集めた天馬の精緻な消去法推理の開陳シーンに全てが凝縮されていて、この部分の読み応えは圧巻です。その反面、伏線を仕込む中盤はややダレる感じもしましたが。 レギュラー陣は前作よりキャラが立ってはいるものの、11人に絞られた容疑者の書き分けが弱く、犯人の存在感もいまいちなので、犯人に意外性がないのが難点かなと思います。 最後に明かされるホワイに関しては賛否が分かれるところかもしれませんが、肯定派です。 |
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| No.1972 | 7点 | 嫌疑- フリードリヒ・デュレンマット | 2013/09/09 22:26 |
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| スイスの劇作家デュレンマットの、小説としては最初期の作品「嫌疑」と「裁判官と死刑執行人」という短めの長編2編を収録。
戦時中ナチス強制収容所で残虐な医療行為を行い、戦後は他人になりすましていた元親衛隊医師を、死の病で入院中の老警部が追及する「嫌疑」。 地方名士の屋敷に潜入捜査中の部下が殺されるが、老警部の捜査は終盤思わぬ構図の反転をみせる「裁判官と死刑執行人」。 いずれもスイス・ベルン警察の老警部ベールラッハという人物を主人公としているので、ジャンル登録は警察小説としたが、ミステリのプロパー作家が書くものとは一味違う、読み手の予想の斜め上を行くような枠を外した後半の展開が非常に面白かった。 ただ、収録作の並びがシリーズ2作目、1作目の順になっているのが解せない。1作目を先に読むほうが衝撃度がより大きいのではないかと思う。 |
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| No.1971 | 5点 | 赤い靴少女殺人事件- 梶龍雄 | 2013/09/06 21:45 |
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| 元警視庁公安課所属の探偵・速水は、知り合いの富豪・貫端家の長男敏一から身辺警護を依頼され軽井沢に向かうが、直前に敏一は刺殺死体で発見される-------。
軽井沢にある資産家の別荘を舞台に遺産相続絡みの殺人事件を主題にしたフーダニット・ミステリ。 メインの人物トリックは途中で薄々察することができ、ストーリーも面白味を感じないが、関係者を一堂に集めた最終章の謎解きシーンは読み応えが有り、探偵が開陳する手掛かりの多彩さには驚かされた。このあたりは伏線を重視するカジタツらしさが出てると思います。ただ、犯人による偽の手掛かりも乱発されており、読者が推理しようがない側面がある。 |
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| No.1970 | 6点 | 懐かしい殺人- ロバート・L・フィッシュ | 2013/09/03 22:44 |
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| 時流に乗り遅れて売れなくなった老ミステリ作家3人組が結成したのが殺人請負業の”殺人同盟”。かつて自身が書いた古典的殺人テクニックを駆使して彼らの商売は順風満帆だったが-------。
”殺人同盟”シリーズの第1作。米国人作家ながら英国風のユーモアとウィットにあふれる、と書きたいところですが、菊池光氏の訳文が軽妙なプロットに合っていないように感じられ、老人3人が順繰りに依頼事案を実行する前半部は読んでいてもなかなか乗れなかった。 一転、法廷ミステリに転調する終盤になって、老獪なパーシヴァル弁護士というクセモノの本格的登場で面白くなる。決定的な証拠と思われたアレを逆手に取った法廷戦術の手際が鮮やかで痛快だった。 |
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| No.1969 | 6点 | 贋作展覧会- トーマ・ナルスジャック | 2013/09/02 18:39 |
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| ナルスジャックがピエール・ボアローとコンビを組む前に発表した贋作作品集から7編をセレクトしたパスティーシュ短編集。
収録作品は、アルセーヌ・ルパン、ファイロ・ヴァンス、エラリー・クイーン、メグレ警視、ネロ・ウルフなどの名探偵ものが中心になっていて、いずれの作品も文体の雰囲気のみならず、キャラクター造形や物語展開もいかにもな内容で、模倣のテクニックはお見事です。(フランス語の原書での模倣の出来は判断がつきませんが、翻訳者の功績は評価できます) なかでも、稲葉明雄が担当した「ルパンの発狂」は、堀口大學が翻訳したかのような古めかしい文体が凝っている上に、プロット自体も本物と遜色のない面白さで個人的に最も気に入っています。 本書収録作品以外にも、ホームズ、ブラウン神父、ポアロ、ピーター卿、チャーリー・チャンなどのパスティーシュもあるようなので、どこか第2弾を出してくれないものか。 |
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| No.1968 | 6点 | 強盗プロフェッショナル- ドナルド・E・ウェストレイク | 2013/08/30 22:45 |
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| トレーラーハウスで仮営業中の銀行の臨時支店を丸ごと盗むという、奇想天外な強奪計画を企てたドートマンダーと小悪党の仲間たちだったが、そこに思わぬトラブルが発生して------といった調子の、天才犯罪プランナー・ドートマンダー、シリーズの第2弾。
疫病神の悪友ケルプがネタを持ち込み、運転役のスタン・マーチとおふくろさんが絡み、”O・J・バー&グリル”の奥の部屋で計画を練るという、これ以降の定型プロットが確立しています。 後半の間抜けな捜査陣とのやり取りなど笑わせてくれますが、後の木村仁良訳作品と比べると、訳文がやや堅すぎるきらいがあって、仲間のキャラクターを充分活かしきっているとは言えず、ドタバタ劇のノリも抑え目な感じを受けた。 また、タイトルは原題どおり、二つの意味を掛けた「バンクショット」のままでもよかったのでは。 |
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| No.1967 | 5点 | 六花の勇者 4- 山形石雄 | 2013/08/29 22:43 |
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| ”剣と魔法”の異世界を舞台にしたライトノベル風の冒険ファンタジー第4弾。
今回は、勇者たちの中に紛れ込んだ「7人目」の正体につながる凶魔テグネウの切り札”黒の徒花”を巡る謀略&活劇が中心のストーリーとなっているが、本筋の物語は2作目以降いっこうに進展しないで、延々と”人狼ゲーム”ネタを続けているので、さすがにちょっと飽きてきた。 1作目のようなミステリ趣向や2作目のコンゲーム的な面白さも今回は減退していて、普通の冒険ファンタジーになっている。 思わせぶりなラストシーンで次作に興味をつなげてはいるが、さて------。 |
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| No.1966 | 6点 | あの血まみれの男は誰だ?- サイモン・ブレット | 2013/08/25 18:40 |
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| 地方劇場での『マクベス』上演の稽古後の深夜、劇場に併設されたバーの貯蔵室で老優の変死体が発見される。ひさびさに端役の仕事をえて張り切っていた脇役俳優パリスだったが、警察から容疑者として目をつけられることに------。
売れない中年俳優チャールズ・パリスを探偵役としたシリーズの12作目。 作者は演劇界に長く携わっていただけあって、事件背景の演劇界の舞台裏はいかにもありそう。高慢で陰険な被害者の老俳優や、演劇理論にとことんこだわる新進女優、優柔不断な演出家など、クセのあるキャラクターたちのやり取りがシニカルでユーモアたっぷりに描かれています。とくに、パリスがベテランゆえ便利屋の俳優として扱われ、一人二役どころか最終的に10個の役を割り振られるくだりは笑えます。 その分、事件の発生を物語の半ばまで待たなければなりませんし、謎解きミステリとしては小粒な内容と言わざるを得ませんが、動機の隠蔽と伏線は巧妙です。 |
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| No.1965 | 5点 | ペトロフカ、38- ユリアン・セミョーノフ | 2013/08/23 11:50 |
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| 巡査を殺害し拳銃を奪った二人組による強盗が続発する。モスクワ警察は特別捜査班を立ち上げ、三人の刑事が犯人グループを追うことになるが-------。
ロシア人作家による’60年代のソ連を舞台にした警察小説。タイトルはペトロフカ街38番地、モスクワ警察(民警)本部の所在地を表す。 粗筋からは緊迫の捜査小説のような感じを受けたが、それほどサスペンス性はない。特捜班の三人の刑事の私生活と、犯行に加担した少年との人間味あふれるやり取りなど、メグレものに似たテイストを感じた。犯人グループ側の行動を同時並行で描いているので犯罪小説的な面白さはあるが、そのぶん謎解きの妙味はない。 「ゴーリキー・パーク」や「チャイルド44」などの英米作家が書くような、KGBの暗躍とか共産主義体制の恐怖政治的な味付けがないのは当然と言えば当然のことながら、やはり物足りない感じがする。 |
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| No.1964 | 8点 | 冬のフロスト- R・D・ウィングフィールド | 2013/08/18 17:49 |
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| 連続少女失踪事件や連続娼婦惨殺事件など、例によって同時多発事件でモジュラーれ、不眠不休の捜査を強いられるデントン署のフロスト警部、シリーズの第5弾。(
基本プロットは毎度同じながら、訳出が数年おきのためマンネリを感じることがない。 今回は何度もドジを繰り返す部下のダメ刑事モーガンがいいアクセントとなって、フロストの下ネタ・ジョークも冴えわたっている。とくにマレット署長をネタにしたジョークは爆笑必死。 ユーモアだけでなくフロストの人情味溢れる意外な行為でホロリとさせたり、本来の警察小説としての構成も一級品の出来です。 上下巻1000ページを一気読みできる面白さ。 |
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| No.1963 | 4点 | Another エピソードS- 綾辻行人 | 2013/08/18 17:23 |
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| あの夜見山北中学の見崎鳴が語るアナザー・ストーリー。
彼女が湖畔の屋敷で出合った、”記憶を失くした幽霊”の自分探しの物語ですが、アニメか何かのシナリオかと思うほどスカスカの内容でがっかりしました。300ページ余りを2時間で読めるし、短編でも充分書ける内容だと思う。 また、このような手法によるサプライズの演出は食傷気味であり、今更どうかと思うところがあります。 |
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| No.1962 | 6点 | ムーンズエンド荘の殺人- エリック・キース | 2013/08/13 20:04 |
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| 雪の山荘に集められた探偵学校の卒業生9名が、密室状況で次から次へと殺されていく、”そして誰もいなくなった”型の本格パズラー。
三連発の密室トリックに関していえば、「君たち、探偵学校で”密室講義”を受講しなかったのかよ!」というツッコミを入れたくなるような安直で残念なレベルですが、クリスティの名作に挑戦したプロット上の仕掛けはまずまずかなと思います。(細かいことを言えば、気付かないのは不自然なような気がしますが)。 物語の前半は、多くの登場人物で視点がコロコロ変わるのと、過去の事件の回想&言及がたびたび挿入されるため乗れないところがありますが、残り人数が3名ほどになった終盤の展開がなかなかスリリングです。 ともあれ、現代の米国では絶滅危惧種と認定されるようなパズラーがいまどき書かれたこと自体が驚きであり、今後に期待してプラス1点を献上。 |
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| No.1961 | 5点 | キルマスター①/スパイの城- ニック・カーター | 2013/08/12 21:50 |
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| 米国秘密機関”AXE”に所属する工作員ニック・カーターを主人公とするB級のスパイ冒険スリラー。”キルマスター”とは殺人許可書をもつスパイの意味、サブタイトルの①はシリーズの1作目ではなく邦訳の1冊目を表す。本シリーズも60年代に続々と書かれた007シリーズの亜流といえます。
世界征服を目論む狂信的大富豪という敵役がチープな設定ながら、ストーリーは核ミサイル施設を有する北海の孤島への”敵地潜入モノ”で、冒険スリラーのプロットとしてはそれなりに面白いです。ただ、いたずらに煽情的シーンを何度も挿入しているため興醒めの部分がかなりあります。とくに色情狂のペンドラゴン夫人というのが強烈すぎる。読者サービスとしてのサディスティック&エロチックなシーンは当時のスパイものの必須要素なんでしょうかね。 なお、”ニック・カーター”という筆名は19世紀末から何人もの作者によって書き継がれたハウスネームで、この作者名と同じ名前をもつ主人公は最初は名探偵役として登場しており、その短編集は「クイーンの定員」にも選ばれています。 |
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