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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1154件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.19 6点 恋する殺人者- 倉知淳 2023/07/10 20:38
 「基本に忠実な作品だなぁ」というのが、読後の第一印象。
 作者としては珍しいラブコメタッチ。中編と言ってもいいくらいの文量で、複雑な展開でもないので、登場人物たちの軽快な会話もあいまって、スラスラと読み進められます。気軽な気持ちでガンガン読み進めていくのが「正しい」読み方だと思います。評価は分かれそうな気がしますし、突っ込みどころ(mozartさんに同意)もあるのだけれど、私としては、時に欲するタイプの作品ではあります。

No.18 7点 大雑把かつあやふやな怪盗の予告状: 警察庁特殊例外事案専従捜査課事件ファイル- 倉知淳 2023/05/23 20:23
 3つの中編で構成。タイトルと表紙の印象から、緩い感じの中編集かと勝手に思い込んでいたところ、ユーモラスな舞台・人物設定の裏で丁寧に作りこまれた作品が揃っていました。論理的に多少無理を感じるところもなくはないのだけれども、猫丸先輩っぽくて嫌いではない。得手勝手な探偵たち(特に勒恩寺探偵)と、警察庁に入庁したての気弱な官僚・木島クンの掛け合いも楽しい。続編があるような締め方だったし、今後も楽しみ。
①古典的にして中途半端な密室
 犯行現場には、糸と針による密室トリックの仕掛けが使われないまま残されていた。でも密室は中途半端ながら成り立っているようにも…。何かワクワクしますよねぇ。
②大雑把かつあやふやな怪盗の予告状
 怪盗が予告した犯行日時は、3週間以内の水曜日15時から20時までの間のいずれかというもの。ごみ収集っぽくて何か可笑しい。動機と犯人の特定が読みどころ。
③手間暇かかった判りやすい見立て殺人
 見立てを利用したロジック。その簡潔かつ明快さに感心。

No.17 6点 月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言- 倉知淳 2021/03/06 18:26
 猫丸先輩シリーズの短編集。このシリーズらしく、軽妙な語り口で楽しめたのですが、ちょっと小粒な印象も残ったかな。謎自体は魅力的なのですがねぇ。ベストは「ついているきみへ」かな。

No.16 6点 猫丸先輩の空論 超絶仮想事件簿- 倉知淳 2020/06/13 16:25
 タイトルどおり、まさに「空論」って感じの短編集。猫丸先輩シリーズらしく、スルスルと楽しく読んだのですが、「普通、そこまではしないだろう…」とか、「いやいや、途中で気付くだろう…」とかの突っ込みどころも。それと、繰り返しが多く、間延びしてる印象を受けた短編もあったかな。

No.15 6点 占い師はお昼寝中- 倉知淳 2019/08/19 22:48
 霊感はないけど推理は鋭いぐうたら占い師と、その姪っ子のコンビによる短編集。
 安楽椅子探偵モノに分類されるのでしょうが、占い師が推理した内容が真実なのかは最終的に不明であること、さらには、占い師として推理(推測)した事実をそのまま顧客に提示するものではない(敢えて全てを提示しない)ことに、作者らしさを感じますね。特に後者は、真相(と思われること)自体の驚きは決して多くない中で、占い師がなぜ顧客にそのような回答をしたのかという点を含めて、この短編集の面白味を形作っているような気がします。マイベストは、収束具合にほっこりとした「ゆきだるまロンド」でしょうか。

No.14 5点 幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート- 倉知淳 2019/06/16 16:38
 アルバイト中の猫丸先輩が遭遇した5つの事件を扱った短編集で、脱力系ネタが多めの仕上がりです。一方、猫丸先輩のコミカルさは相変わらずで、このバランスを楽しめるか否かがポイント。好き嫌いは分かれそうだけれども、全体的に作者の優しさが現われた短編集とは言えそうです。
 マイベストは、これも脱力系だけれども、何気に爽やかな「たたかえ、よりきり仮面」でしょうか。

No.13 5点 作家の人たち- 倉知淳 2019/05/25 22:23
 出版社や編集者、そしてミステリ作家の内幕を描いた短編集。「内幕を描いた」なんて書いたけれど、シリアスなものではなくスラスラ読めます。倉知さんらしいとも言えるし、物足りないとも言える、そんな印象。
 正直、積極的におススメしたい短編集とは言えないのですが、出版社が幻冬舎という点は、ポイントになるかも。最近話題の出版社ですしねぇ。勿論、今回の案件を踏まえて各短編が書かれた訳ではないのでしょうが、ソレを念頭に置いて読む分には面白い短編もありましたね。この採点は、読んだ時期が今だったからこそのものですので、お含みおきください。

No.12 5点 皇帝と拳銃と- 倉知淳 2019/01/02 12:48
 作者初の倒叙形式の短編集(だと思う)。
 個人的に倒叙モノはあまり好みではないということもあるのだけれども、印象としては、よく言えば手堅い、一般的に言えば普通の短編集といったところかな。死神を彷彿させる風貌の警部とイケメン刑事というコンビの設定が効果的であったかも微妙。同時期の作者の短編集であれば「ドッペルゲンガーの銃」の方が好き。
 好みの作者さんだけにちょっと厳し目の書きぶりになってしまいましたが、水準以上には楽しめましたよ。

No.11 6点 ドッペルゲンガーの銃- 倉知淳 2018/12/14 22:31
 女子高生ミステリ作家の妹とキャリア官僚(捜査一課在籍)の兄というコンビ、そして彼らのご先祖が…という設定については、個人的にはちょっとアレだったのだけれども、内容自体は本格度が高く、良質であると思います。
 第三話の「翼の生えた悪意」はストレートな密室モノで、途中で気付く方も多いような気がしますが、第一話の「文豪の蔵」は同じ密室モノながら捻りがあり、また、第二話(表題作)の謎も興味深かった。第二話までの評価であれば、7点を付けたかも。

No.10 5点 豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件- 倉知淳 2018/11/25 22:03
 短編集で、うち1編に猫丸先輩が登場。
 全般的に読みやすく、いかにも作者らしい短編集と言えるのですが、脱力感はやや強めで、どの短編も真相自体は想定の範囲内。でも、それぞれの作品でちょっとした”良さ”を感じることができる、その按配は悪くないと思います。個人的には表題作のバカバカしさが好きかな。

No.9 7点 猫丸先輩の推測- 倉知淳 2018/06/06 23:24
 猫丸先輩の何とも言えないほっこりとした雰囲気が、まずはイイですね。作者の作風に極めてフィットしたキャラですよねぇ。「たわしと真夏とスパイ」における商店街の旦那衆のやり取りですとか、「カラスの動物園」における女性デザイナーの妄想的思考ですとかの、決して押しつけがましくないユーモアも好印象。
 まぁ、真相自体に驚くべき何かがある訳ではなく、むしろ想定できでしまう短編もあったりはするのですが、それも含めて受け入れたくさせる描き方が、やはり作者の技量なのでしょうね。こういう、全体的な優しさを感じる作品って好きだな。

No.8 7点 ほうかご探偵隊- 倉知淳 2017/08/06 16:15
 ミステリーランド作品。これまでミステリーランド作品は10冊位読んでいると思うのですが、それらの中で、この作品は、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」という、ミステリーランドのコンセプトに最も忠実だと思いますね。本格作品の楽しみを次世代に伝えたいという想いが伝わってきて好感が持てます。ミステリ入門編としても、極めて正しい作品と言えましょう。
 とは言っても、内容としては、入門編として安易に纏めているものではなく、このサイト愛好者も十二分に楽しめると思います。舞台は基本的に小学校内、登場人物も無暗に増やさない、読みやすく温かな筆致、その中での捻り具合…巧いなぁ、と感心いたしました。
 ちなみに、読後にふと考えてみたら、この作者さんの作風って、ミステリーランドにすごくフィットしていますよねぇ。

No.7 5点 シュークリーム・パニック Wクリーム- 倉知淳 2014/04/19 23:10
 あまり考えずに気軽に楽しむのが一番!って感じの短編集。
1 限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件
 非常に馬鹿らしい結末だけれども,途中のロジック展開も含めて,嫌いではないタイプ。
2 通い猫ぐるぐる
 この作者さんはホントに猫が好きなんだなぁ…という以上の感想はないですね。
3 名探偵南郷九条の失策
 読中に感じた違和感がそのまま伏線でしたか…。確かに作者らしい作品ではあります。

No.6 5点 シュークリーム・パニック  生チョコレート- 倉知淳 2014/01/05 23:22
 3作品で構成される中短編集。
 作品ごとに雰囲気が異なるので,人それぞれ一定楽しめるとは思うのですが,いずれももうワンパンチ欲しかったような気がします。
 特に「夏の終わりと僕らの影と」は,青春ミステリとして綺麗な流れだけに,もう一捻りあれば更に良かったかなぁ…と。

No.5 7点 日曜の夜は出たくない- 倉知淳 2013/07/28 12:53
 猫丸先輩のデビュー連作短編集。
 いやぁ,最後の最後まで楽しめましたね。
 さらに特筆すべきは,決して「最後」に頼ることなく,バラエティに富んだ7短編それぞれが単独で十分に面白いこと。(特に「海に棲む河童」と「163人の目撃者」が良かったかな。)
 お買い得…というか「お読み得」な作品と言えましょう。

No.4 5点 なぎなた- 倉知淳 2011/01/03 21:02
「こめぐら」と同時刊行の短編集。
個人的には,こちらの方が出来の良い作品が多いような気がします。
「闇ニ笑フ」は,確かに道尾氏の某短編のネタと被ってますね。そうですか。こっちが先だったのですか・・・

No.3 5点 こめぐら- 倉知淳 2011/01/03 20:17
「なぎなた」と同時刊行の短編集。
同じ短編集でも,こちらは,バカミス度の高い作品が揃ってます。
で,多分バカミスを読みたい気分ではなかったんでしょうねぇ(じゃあ読むなよって自分で突っ込みたくなるけど),ビビッとくる作品はなかったですねぇ。
あっ!あとがきは結構良かったですよ。
悪くはない短編集なんでしょうけどね。

No.2 4点 まほろ市の殺人 春- 倉知淳 2010/12/13 22:46
いや,サラサラ読めたし,決して楽しめなかった訳ではないのです。最低限のポイントは押さえてますしね。
でもなぁ…相当に微妙なトリックですよねぇ。ちょっと力が抜ける感じですよねぇ…ということで,この点数。

No.1 7点 星降り山荘の殺人- 倉知淳 2010/09/19 11:22
作者の思惑に,まんまと嵌りました。

(以下,未読の方は注意)
確かに,よくよく見れば,ある意味分かりやすいとも言えるヒントが「そこ」にあったのですよね。まあ,読後はある種の爽快感すら覚えました。
結局,肝となる「そこ」のトリックに嵌るか否か・嵌った後にニヤリとできるか否かで評価は分かれるのでしょうね。
私はニヤリ派であり,もっと高得点でもいいのですが,途中までの展開が冗長に感じたこともあって…まあ,これも作者の思惑の一部なのでしょうけど。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1154件
採点の多い作家(TOP10)
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