皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
まさむねさん |
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平均点: 5.87点 | 書評数: 1230件 |
No.610 | 3点 | 101号室の女- 折原一 | 2016/09/10 21:24 |
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9篇からなる、ノンシリーズ短編集。
うーん、ちょっと自分とは合わなかったかな。伏線が判りやす過ぎ、又はこねくり回し過ぎ、いずれにしても興ざめなタイプの作品が多いなぁ…といった印象。同パターンを並べられるのも辛い。私が捻くれているからなのかなぁ? |
No.609 | 5点 | 正三角形は存在しない 霊能数学者・鳴神佐久に関するノート- 二宮敦人 | 2016/09/10 21:12 |
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イマイチ馴染めないなぁ…というのが、前半の正直な印象だったのですが、第三章以降はグイッと盛り上がり、巧く収束させています。個人的には不得手な雰囲気の作品だけれども、終盤の展開は結構好きかな。 |
No.608 | 6点 | 0の殺人- 我孫子武丸 | 2016/08/31 22:44 |
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速水三兄弟妹シリーズ第2弾ですね。
全体像としては、相当に偶然性に頼った展開と言わざるを得ないものの、最終的に巧く纏めていると思います。個別に見れば小技の範疇でも、組み合わせによって面白味がアップできるという典型ですね。無駄にダラダラ長くせず、コンパクトに収めたことも好印象。個人的には「8の殺人」よりもこの作品の方が好み。 |
No.607 | 4点 | 紙魚家崩壊 九つの謎- 北村薫 | 2016/08/27 12:15 |
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9編の短編&掌編で構成。
最終話「新釈おとぎばなし」は楽しめたけれど、他の作品の中には、ちょっとピンとこないものもあったかな。 |
No.606 | 6点 | 被害者は誰?- 貫井徳郎 | 2016/08/20 10:35 |
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4短編のタイトル「被害者は誰?」「目撃者は誰?」「探偵は誰?」「名探偵は誰?」のとおり、広く解釈すればフーダニットと言えなくはないのですが、厳密なフーダニットではないところがミソ。貫井作品には珍しい(?)軽妙なタッチの中に、巧みな仕掛けが施されています。
個人的には、仕掛け自体は極めて典型的ながら、あっさりと嵌ってしまった表題作「被害者は誰?」が良かった。「探偵は誰?」の、作中作の登場人物から作者を捜すという趣向も面白かったかな。 |
No.605 | 6点 | 股旅探偵 上州呪い村- 幡大介 | 2016/08/14 20:05 |
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本格時代小説(メタ)ミステリとでも呼びたくなる「猫間地獄のわらべ歌」が、個人的にツボだったため、早速続編も手にした次第。(舞台や登場人物は全く異なるので、「続編」というのは語弊があるかもしれませんが)
前作同様、時代小説らしい書きぶりからの突然のメタ転換が楽しい。「時代劇」という言葉が定着しているとおり、読者としては舞台が江戸時代というだけで、登場人物の「役者化」を自然に受け入れてしまう訳で、その結果、突如として現れるメタ展開も違和感なく楽しめるのだと思います。時代小説とメタ・ミステリ、実は親和性が極めて高いような気がします。 あの手この手で攻めに攻めた前作に比してインパクトは落ちるかもしれませんが、横溝ワールド全開の舞台設定、そして探偵役は「木枯し紋次郎」もどきの渡世人、その状況で時折見せるメタ展開とくれば、楽しめる方も多いと思うなぁ。(合わない方はとことん合わない気もしますが。) 個人的には、第3弾があれば、是非読んでみたいですね。 |
No.604 | 6点 | 8の殺人- 我孫子武丸 | 2016/08/10 20:05 |
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評価は分かれそうですが、私は結構好きなタイプの作品。確かにトリックの一つは分かりやすいのだけれども、綺麗にまとめていると思います。何気に、第二の殺人の方が、バカミスとしての面白味も含めて好きだったりします。木下刑事の存在も、個人的には嫌いになれない。
文庫版に収録されている島田荘司氏の「本格ミステリー宣言」も、その主張の全てに賛同できるかは別として、かなり興味深かったですね。 |
No.603 | 7点 | 猫間地獄のわらべ歌- 幡大介 | 2016/08/06 20:11 |
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時代小説と本格ミステリが絶妙に融合した怪作。
しかし、詰め込みますねぇ。密室、首なし殺人に見立て殺人、アリバイ崩し、館モノならぬ屋形船モノ…などなど、あまり多く書くのもアレなので控えますが、何よりも作者が楽しみながら書いたのだろうなぁ…という印象。 時代劇的シーンからの突然のメタ化ですとか、脱力系「読者への挑戦状」等、結構笑える要素も多く、個人的にはかなり好きなタイプの作品。 |
No.602 | 6点 | ノエル: -a story of stories-- 道尾秀介 | 2016/08/03 23:01 |
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3編から成る連作短編集…と言うべきでしょうねぇ。
最初の「光の箱」は、結構イイ。作者の企みに見事にハマった訳ですが、読後笑顔で「ちくしょう、やられたよ」って呟いてしまうタイプの作品。(逆にこのタイプが好きではない方もいらっしゃると思いますが。)これ単体であれば、もっと高得点。 で、他の2作品ですが、最初の作品から概ねパターンが想像できてしまうこともあり、インパクトは相当に落ちます。勿論、各話とも、また各話を繋ぐ全体構成としても、綺麗に収束させているのですが、優等生的すぎて、イマイチ引っかからない印象もありました。 「光の箱」は好きなんだけどなぁ…。 |
No.601 | 6点 | 幽霊列車- 赤川次郎 | 2016/08/03 22:39 |
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随分前に読んだような気もするが、全く記憶がないし、是非改めて読んでみたいものだなぁ…と思っていたのですが、今年新装版が出ていたのですねぇ。今年は作家デビュー40周年、その間の著作数は580冊超だそうでございます。
で、この短編集の表題作「幽霊列車」は、氏の処女作品。女子大生・永井夕子と宇野警部の名コンビ誕生の作品でもあります。走行中の列車から乗客が消失するという謎が魅力的。 二作目「裏切られた誘拐」、三作目「凍りついた太陽」、四作目「ところにより、雨」も、興味深い謎や終盤の捻り、そしてストレスのない軽妙な語り口で楽しめました。最終話「善人村の村祭り」については、何となく量産体制に移行しつつあるなぁ…といった印象も。 肩ひじ張らずに、気軽に読みたい気分の時には、丁度良い短編集だと思いますね。 |
No.600 | 8点 | 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 | 2016/07/24 19:02 |
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第一部は、マジック愛好グループの発表会が舞台。ここで事件が発生。第二部は、マジックに関する11の掌編で構成される作中作。第三部は、世界国際奇術家会議が舞台で、犯人を含め、種々の謎が解明されていきます。
まずは、構成がお見事。第二部の作中作だけでもなかなか楽しめるのですが、当然、ストーリー全体に重要な意味を持たせています。捻りも効いていて、ラスト直前まで目が離せません。泡坂マジックを堪能させていただきました。 犯人が行なった現場への細工については、合理的に考えればリスクが大きすぎてやらないのではないか…といった疑問もないではないのですが、それは野暮な感想なのかもしれません。 個人的には、乱れからくりよりも好印象。 |
No.599 | 5点 | 先生、大事なものが盗まれました- 北山猛邦 | 2016/07/18 22:29 |
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いやぁ、何の事前情報もなく読み進めた者としては、1作目の「盗まれたモノ」の真相には、驚愕というか、脱力というか…。設定としては、本当に何でもアリ、やりたい放題なのだなぁ、大丈夫なのかなぁ…と様々な想いが錯綜した次第です。何といっても、精神的なモノも含めて何でも盗める可能性がある訳ですからねぇ。
しかし、読み進めていきますと、不思議な読感ながら、軽妙な語り口もあって、面白味がじわじわと浮き出てきました。このシリーズ、何気にイケそうな気もします。次作も手に取ることになりそうです。 |
No.598 | 6点 | 倒叙の四季 破られたトリック- 深水黎一郎 | 2016/07/16 23:16 |
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タイトルどおり、倒叙形式の4短編で構成。
犯人4人とも、元警視庁の刑事が作成したという裏ファイル「完全犯罪完全指南」を入手して殺人を企て…というスタイルなのですが、結構わかり易い「手がかり」を残してくれちゃっています。倒叙形式としては、極めてオーソドックスな展開と言えましょう。無難とも言えるし、何となく物足りないとも言えます。2つのエピローグは、いかにも作者らしくて好きですが。 (以下、未読の方は注意) ちなみに、とある短編についての率直な感想。ダイイングメッセージ隠ぺいに係る「ミス」の発覚については、「なるほどねぇ」と感心したのですが、ダイイングメッセージの発覚如きで心が折れてしまう犯人が解せない。状況証拠以外の何物でもないだろうに。まぁ、そういう心理になるかもしれないという、工夫はしてあるのだけれども…。 |
No.597 | 7点 | 亜愛一郎の転倒- 泡坂妻夫 | 2016/07/12 21:56 |
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亜愛一郎シリーズ第2弾。
個人的なベストは、転換の妙を堪能できる「病人に刃物」でしょうか。見立て殺人の理由が秀逸「意外な遺骸」、なるほどと納得「珠洲子の装い」、死体消失ド本格「三郎町路上」も好みのタイプでした。「藁の猫」のホワイも、現実味はともかくとして、捨てがたい。 高水準な短編集であることは間違いないですが、前作「狼狽」の方が、より粒がそろっていたかな…というのが率直な感想です。 |
No.596 | 6点 | サブマリン- 伊坂幸太郎 | 2016/07/04 23:16 |
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「チルドレン」の続編。「チルドレン」の発刊から12年が経っていたのですねぇ。ちょっと驚きです。
家裁調査官の陣内のキャラが相変わらずイケています。後輩調査官、武藤との掛け合いも絶妙。その中で、少年犯罪について押しつけがましくなく、考えさせる構成も流石であります。 まぁ、人物設定も含めて、都合の良過ぎる展開と言えなくもないのですが、それを言っちゃあオシマイですよねぇ。 伊坂サンらしい作品で、「チルドレン」を読んだことのある方は、是非。(ちなみに、「チルドレン」を読んでいなくても、特段の支障はないと思います。) |
No.595 | 6点 | ノッキンオン・ロックドドア- 青崎有吾 | 2016/06/30 22:46 |
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裏染シリーズでお馴染みの作者の新シリーズ。
How専門とWhy専門の2人の探偵を主役に据えた設定なかなか面白く、推理の反転に巧く結びつけています。また、考えられたプロットで、どの短編も非常にコンパクトながら、伏線、反転が綺麗に織り込ませています。ストレスなく読み進められると思います。 個人的には、「髪の短くなった死体」、「十円玉が少なすぎる」、「限りなく確実な毒殺」が好みかな。 |
No.594 | 6点 | 誰も僕を裁けない- 早坂吝 | 2016/06/26 19:51 |
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上木らいちシリーズの第3弾。
個々の仕掛けの組み合わせは、なかなか巧いと思います。2視点で交互に語られていくスタイルもいい。 でも、らいちの得意技があまり見られなかったことがちょっと残念かな。デビュー作が衝撃すぎたので、その印象に追いつくのはかなり大変だと思いますが…。 |
No.593 | 7点 | 「このミス」が選ぶ!オールタイム・ベスト短編ミステリー 黒- アンソロジー(出版社編) | 2016/06/19 19:28 |
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「このミステリーがすごい!2015年版」に掲載された「オールタイム・ベスト国内短編ミステリーベストテン」作品を、5作品ずつ、『赤』と『黒』に分けて刊行したもの。ちなみに、ランキングは以下のとおりで、私は未読作品があった『黒』を手にしたもの。(第2位・第3位・第4位・第9位・第10位の作品を収録)
第1位 戻り川心中(連城三紀彦) 第2位 天狗(大坪砂男) 第3位 達也が嗤う(鮎川哲也) 第4位 赤い密室(鮎川哲也) 第5位 押絵と旅する男(江戸川乱歩) 第6位 妖婦の宿(高木彬光 第7位 桔梗の宿(連城三紀彦) 第8位 DL2号機事件(泡坂妻夫) 第9位 第三の時効(横山秀夫) 第10位 心理試験(江戸川乱歩) まぁ、いずれも名作中の名作なので敢えて語る必要もないと思うのですが、批判を覚悟して言わせていただければ、「天狗」の良さが正直よく分からないのですよねぇ。ダメな読者かなあ? |
No.592 | 9点 | 湖底のまつり- 泡坂妻夫 | 2016/06/09 22:34 |
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第1章の時点で妖しい香りが漂っています。第2章まで読みますと、何がどうなっているのか、私はいったいどこに連れていかれるのかと、完全に作者の掌で転がされてしまいます。真相については、確かに「普通はアノ方が気付くだろうなぁ。ちょっと無理があるかなぁ」といった思いはございますが、真相を知った瞬間の眩暈感の方がはるかに強かった。
私にとっては、めちゃめちゃ好きなタイプの作品。ストーリー、プロットともに秀逸で、文体も含めて印象に残りそうです。複数の現役作家が、好きな作品の一つとして本書を挙げるのも、分かる気がします。(一方で、好き嫌いが分かれそうな作品でもあります。) |
No.591 | 5点 | ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 | 2016/06/04 23:19 |
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日本語に関する薀蓄だとか、それはそれで面白かったのだけれども、吉敷シリーズの中での小粒感は否めないかな。 |