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[ 日常の謎 ]
萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ
お草さんシリーズ 旧題『紅雲町ものがたり』
吉永南央 出版月: 2008年01月 平均: 5.67点 書評数: 3件

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文藝春秋
2008年01月

文藝春秋
2011年04月

No.3 5点 まさむね 2016/11/13 22:31
 65歳にして、雑貨屋を建て替え、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を出したおばあちゃん・杉浦草さんを中心とした物語集。御年数えで76歳という設定であります。
 正直、短編ごとに一定の反転はあるものの、ミステリーと言ってよいものか迷うところです。必ずしも草さんが探偵役を務めているものでもないですしね。
 しかし、「老い」や人生の「負い」を、綺麗事ではなく真正面から捉えているため、ご都合主義的な側面をさほど気にさせず、物語として読ませる作品であるとは思います。主人公の草さんは勿論のこと、脇を固める面々、特に小蔵屋唯一の従業員である久実さんが魅力的だったので、続編も読んでみようかな。

No.2 5点 メルカトル 2012/10/07 22:35
この作品は果たしてミステリと呼べるのだろうか、私の感覚では文芸作品のような気がするが。
小粋な下町のお婆ちゃんが安楽椅子探偵よろしく、日常の謎を鮮やかに解き明かす、みたいに思っていたら大いに肩透かしを喰らう。
確かに事件は起こるのだが、このお婆ちゃん探偵は自らの足を使って、まるでハードボイルドの探偵のように多分に危ない橋を渡りながら、最後には解決に導いていく、みたいな感じである。
自らの年齢から来る苦難や、苦労などを的確に描く作者の姿勢は容赦ない。
しかし、だからこそリアルな70歳を超える女性像を確実に捉える事に成功しているのではないだろうか。
文章もしっかりしているし、ミステリとしてよりも文学作品として読めばなかなかの良作なのかもしれない。

No.1 7点 ボンボン 2012/09/23 14:46
紅雲町珈琲屋こよみ・・小粋なおばあちゃんが解き明かす「日常の謎」・・と帯にある。しかし、その実態は、かわいい表紙の「おばあちゃん探偵ほのぼの事件簿」的なイメージと違い、人間の人生や老いが誠実に丁寧に表現されている。地に足が着いた、とてもしっかりした作品。
扱われる事件も奇抜さはなく、日常、我々がニュースや身の回りで見るもので、現実的な分、リアルに問題だ。
日常よくあるように辛いことが次々と起こり、その都度、まっすぐにショックは受けるが、次には、また前向きに進んでいく。弱過ぎず、強過ぎず、珈琲の香りと愛すべき脇役キャラクターたちに囲まれて、てくてくと歩いて行く、理想の現実的おばあちゃん探偵だ。
事件性としては、やはり第一話「紅雲町のお草」が怖くて読み応えがあった。
続編があるそうなので、楽しみ。


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吉永南央
2012年11月
その日まで 紅雲町珈琲屋こよみ
平均:5.50 / 書評数:2
2012年10月
リペア RE*PAIR
平均:8.00 / 書評数:1
2009年10月
Fの記憶
平均:4.00 / 書評数:1
2008年01月
紅雲町ものがたり
萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ
平均:5.67 / 書評数:3