皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
まさむねさん |
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平均点: 5.87点 | 書評数: 1226件 |
No.766 | 6点 | ダリの繭- 有栖川有栖 | 2018/08/03 22:59 |
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有栖川作品は、心穏やかに(?)安心して読めるので好きです。今回の火村シリーズ長編も安心して読める、手堅い長編と言えると思います。
決して派手なトリックがある訳ではないのですが、複数の容疑者を用意し、それぞれに容疑を高めつつも、一定の説明を経て圏外としていく丁寧な姿勢には好感を持ちました。(単に容疑だけ強めて、最終的に投げっぱなしにする作品も、世の中に多数ありますからねぇ…)。 【以下、微妙にネタバレっぽいかな?】 ただ1点だけ意見を。殺意を持っていた方(ある種の真犯人)が、死体を移動させ、殺害現場を偽装できると考えていたことに強い違和感。科学捜査で簡単にばれるよねぇ。「(真犯人が)慎重さによってカバーできる自信を持っていたのだろう」というフォローだけでは弱いような気がしましたねぇ。 |
No.765 | 6点 | 海のある奈良に死す- 有栖川有栖 | 2018/07/25 20:53 |
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以前から、有栖川作品にしては当サイトでの評価が随分と低いなぁ…と思っておりました。むしろ読みたくなっちゃいますよねぇ。
で、結論から言えば、個人的にはそれほど悪い印象は抱かなかったですね。確かに、2つ目の殺人については、トリック自体がアレですし、効果も疑問。また、そこまでして実行する意義も理解しがたい等々、指摘したい点は複数あります。 一方で、全体構成としては、伝説等の絡ませ方も含めて、比較的綺麗に纏まっているのではないかと感じました。終盤の絵解きもなかなか楽しかったし、記憶に残りそうではあります。 このサイトの平均点の低さは、有栖川作品への一般的な期待値の高さの裏返しなのであろうと、ファンとしては捉えたいと思います。 |
No.764 | 6点 | レタス・フライ- 森博嗣 | 2018/07/17 23:31 |
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文庫版で読了。10の短編・掌編で構成されています。うち、収録作品の中では長めの2短編の感想を。
「ラジオの似合う夜」は、それ単体でも読めるのですが、Vシリーズを読まれてからの方が「ああ、あの方ですね」という付加価値があって、より楽しめると思います。 「刀之津診療所の怪」も同様に、それ単体でも読めます。で、登場人物からして、こっちはGシリーズを読んでからなのでしょうね…と思わせておきながら、実はVシリーズとの関係が重要だったりするパターン。いや、正確にはVシリーズというよりも、これまで発表されてきた短編集の中の1編が重要なのかも。でもコレって、個人的には終盤1ページで「ん?何だっけ。記憶にあるような、ないような…」と気になり、最終的には他の方のブログで判明できたもの。確かに判明した後は「!」となりましたが、普通はソコまでは把握していないのではないかなぁ。真に楽しめるのは、コアな森ファン限定のような気がします。 他の短編&掌編は、如何にも作者らしい作品で、人によって好き嫌いが大きく分かれると思いますが、個人的には積極的な評価は控えたいかな。ちなみに、最終話の「ライ麦畑で増幅して」は、私が未読の作品(Xシリーズ?)と関連がありそうなのだけれども、現時点ではよく分からなかったですね。 |
No.763 | 6点 | ライオンは仔猫に夢中- 東川篤哉 | 2018/07/14 16:06 |
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近年、複数のシリーズによる短編を書き続けている作者。各シリーズの使い分けというか、シリーズの特徴について、作者はどこまで拘っているのか、微妙なところがあるのですが、ついこの間読んだ「探偵少女アリサ」シリーズと比べてみると、本書は、本格度はやや高め、ギャグは低めといったところでしょうか。短編自体の練り具合も、本書の方が堅実かも。気軽に読む分には、いいかな。 |
No.762 | 4点 | ホテル・カリフォルニアの殺人- 村上暢 | 2018/07/14 13:41 |
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「このミステリーがすごい!」対象の「超隠し玉」として刊行された作品。で、この「超隠し玉」というのは、「このミス」大賞15周年記念として、これまで応募された未刊行作品の中から、受賞には及ばなかったものの、編集部が「今こそ世に出したい」と選び抜いた作品だそうです。
まぁ、つまりは過去の応募作の中から掬い上げた(拾い上げた?)作品でして、私はこの点に興味をそそられて本書を手にしたわけですが、読後は「なるほど、その年に受賞等の栄誉に浴しなかったのは妥当というべきなのだろうなぁ…」と妙に納得したというのが率直な感想です。 このミス大賞としては珍しいド本格路線で、密室も含めて複数のトリックを詰め込んだ姿勢は、確かに一定評価するべきなのだろうと思います。 しかしながら、簡潔に述べるとすれば「全体的に荒く、そしてイタい」。まずは、トリックが荒い。現実味がなさすぎます。何でも音楽と結びつけようとする姿勢も個人的にはイタかった。登場人物の設定にも無理が目立ち、かつ、魅力も薄い。それと、作者には酷かもしれませんが、そもそもの文章力が・・・。 色々と書いてしまいましたが、本格愛を感じたのも事実。次作が発表されれば、何気に読んでしまう可能性はあります。 |
No.761 | 5点 | 探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます- 東川篤哉 | 2018/07/08 18:16 |
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探偵をやりたくて仕方がない10歳の美少女・有紗(アリサ)。しかも両親ともに名探偵で、国内外で活動中。なんか某アニメ作品の少女版って感じもしますねぇ。そして両親不在の際、アリサの子守役を依頼される「なんでも屋」の橘良太(31歳独身)。この2人のコンビによる連作短編集第2弾ですね。
正直、各短編のネタ自体は、どれも小粒です。何かに使えるかも…とネタ帳にメモっておいたヤツを引っ張り出してきました…ってところか。何気にテレビを見ていて思いついたネタもありそう。まぁ、軽く読む分には悪くないのだけれどもね…。 ちなみに、この2人のコンビって、アリサの両親の設定も含めて、結構使い勝手がいいような気がするので、大事に(?)使うって手法はないものかなぁ。逆に使い勝手がいいからこそ、軽い短編にフィットするものなのかな。 |
No.760 | 6点 | 御手洗潔のダンス- 島田荘司 | 2018/07/05 20:59 |
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ミタライ感全開(?)の短編集。好き嫌いは結構別れるのかも。
①山高帽のイカロス:これぞ島荘といった短編。この味を楽しめるかどうか。 ②ある騎士の物語:伏線が分かりやすいかも。ちなみに、実際に実行するのは難しいと思うなぁ…。 ③舞踏病:前2作ほどの「大技」はないのですが、何気に好き。 ④近況報告:石岡による、御手洗の近況報告。ここで触れられた分野がその後、御手洗作品のテーマになってくる。その意味でも、この短編は純粋に御手洗ファンに向けた作品と言えるのでは。 |
No.759 | 6点 | 少女キネマ- 一肇 | 2018/07/01 19:05 |
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どのように分類すればよいのだろう。全編にわたり完全に青春小説であって、一部ミステリー要素も含むってところか。
作者の情熱を感じさせつつ語り口は軽妙で、癖のある登場人物たちも含めて、楽しませてはもらいました。青春小説として様々な要素を混ぜ込んだ姿勢も嫌いではない。 しかし、読中に何とも言えない暑苦しさと青臭さを感じたことも事実。例えば、「自分探しをするのは結構だけど、迷惑かけちゃだめだよね」とか、とある真相に対して「え?それだけのこと?」などと感じてしまったりね。嗚呼、私にとって青春はどんどん遠いものになっているのだなぁ、何とも面倒な中年になったものだなぁ…と、少し悲しくなったりして。 |
No.758 | 7点 | ブルーローズは眠らない- 市川憂人 | 2018/06/24 19:06 |
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鮎川賞受賞作「ジェリーフィッシュは凍らない」に続く、シリーズ第2弾。
二つのストーリーが交互に語られるスタイルの、正統派本格作品。トリック・プロットともに実に良く考えられています。色彩的な要素の絡ませ方にも好感。 一方、犯人として、目的を果たしたいのであれば、自分以外の第三者を巻き込まない、さらに安全で効果的な手法があったのではないか…との疑問が残ったのも事実ですね。 |
No.757 | 6点 | チョコレートゲーム- 岡嶋二人 | 2018/06/18 22:36 |
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リーダビリティが高く、グイグイと読まされました。ほぼ一気読みに近かった。トリック自体に特筆すべき点はないのですが、伏線の配置や転換も含めて、巧く纏めている印象です。
他方、もっと根深い組織的な闇があるのかと思いきや…うーん、事件後になぜ同級生たちが揃って口を閉ざそうとしたのか、違和感も残りました。親父と警察が「チョコレートゲーム」に関して、しっかりと情報共有するべきであったろうに。ミステリとは直接関係ないけれども、何とも切ない話ではあります。 |
No.756 | 6点 | εに誓って- 森博嗣 | 2018/06/16 18:29 |
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Gシリーズ4作目。今回は、どのシリーズでも作者が1度は仕掛けてくる、あっち系でございました。ストレスなく読み進められたし、個人的には好印象。ミステリーの中身としては、これまで読んだ4作品の中で最も整っていたような気がします。 |
No.755 | 5点 | 漱石先生の事件簿 猫の巻- 柳広司 | 2018/06/10 22:42 |
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「吾輩は猫である」のパスティーシュとしては優れているのだと思います。原典の雰囲気を十分に醸し出していますし、久しぶりに原典を再読してみたくなりましたしね。
一方、ミステリーとしては、制約も多いのでしょうが、正直今一つか。「矯風演芸会」の捻りは好きなのですがねぇ。 |
No.754 | 7点 | 猫丸先輩の推測- 倉知淳 | 2018/06/06 23:24 |
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猫丸先輩の何とも言えないほっこりとした雰囲気が、まずはイイですね。作者の作風に極めてフィットしたキャラですよねぇ。「たわしと真夏とスパイ」における商店街の旦那衆のやり取りですとか、「カラスの動物園」における女性デザイナーの妄想的思考ですとかの、決して押しつけがましくないユーモアも好印象。
まぁ、真相自体に驚くべき何かがある訳ではなく、むしろ想定できでしまう短編もあったりはするのですが、それも含めて受け入れたくさせる描き方が、やはり作者の技量なのでしょうね。こういう、全体的な優しさを感じる作品って好きだな。 |
No.753 | 6点 | メビウス・レター- 北森鴻 | 2018/06/02 21:48 |
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ぐいぐい読ませる引力がありますし、練られたプロットでもあります。作者の意欲も感じましたし、総合的には楽しめたと言えます。
一方で、判り易いものも含めて、随分詰め込んでいるなぁ、その詰め込み具合が積極的な評価に繋がるかは別なような気がするのだけれどもなぁ…とか、最終的には、とある犯人の動機がどうにも理解しがたいなぁ…等々の感想もございましたね。 |
No.752 | 4点 | 子どもの王様- 殊能将之 | 2018/05/30 22:03 |
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ミステリーランド作品。小野不由美「くらのかみ」、島田荘司「透明人間の納屋」とともに、ミステリーランド第一回配本の一角を占めた作品です。私は文庫版で読んだのですが、ノベルス版の作者あとがきによれば、当初は第二回配本の予定で依頼を受けていたものの、「某先生」が原稿を落としたために、第一回配本に回ったようです。へぇー、それは知らなかったなぁ。ちなみに「某先生」って誰なんでしょうね。
内容としては、純粋なジュブナイルとして読めば、まぁ、悪くはないのだろうなぁ…といったところ。しかし、他のミステリーランド作品の多くは、(摩耶雄嵩の「神様ゲーム」のように、かなり突っ走った感のある作品もあるけれども、)大人が読んでも十分に楽しめる作品であることと比較すると、多少物足りなく感じたことも事実ですね。 |
No.751 | 8点 | アルファベット・パズラーズ- 大山誠一郎 | 2018/05/27 22:43 |
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これは、面白かった。私は好きです。
何といっても、この連作短編の約半分を占める、最終話「Yの誘拐」が印象的です。賛否両論あるのだと思うのですが、誘拐サスペンスからの、終盤の怒涛の展開は純粋に楽しめましたねぇ。隠れた(?)名作と言ってもいいのでは? (文庫版の)前半3短編も、個人的には、パスラーとして実は好きなタイプ。「いやいや、気づくだろ!」的な突っ込みも楽しみの一つということで…ダメですか? 総合的に、この採点としましょう。 |
No.750 | 7点 | 最後の命- 中村文則 | 2018/05/22 23:32 |
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少年時代の、ある事件を共有する幼馴染から、7年ぶりに突然の連絡があった。「お前に会っておきたい」。その後、“私”の自室で馴染みのデリヘル嬢の死体が発見される。当初疑われる“私”。しかし、部屋の指紋から幼馴染が最有力容疑者となり…という流れ。作者として初めて映像化された作品でもあります。
「ミステリー的要素の色濃い文学」なのか「文学的要素の色濃いミステリー」なのか、その境界線上にあるような作品なのでしょう。でも、自分としては、これは実は精巧に意図された「藪の中」的作品なのではないかと思っています。 読み返してみますと、なかなか細やかな伏線が配置されています。で、とある人物が辿り着いた一定の推論も示されます。ここで、その裏まで推論(妄想?)したくなる私は、少数派なのか否か。深読みし過ぎなのかなぁ? 勿論、文学としても読ませる内容ですし、時にはこういう読書もいいよなぁ…と思わせてくれた作品でした。 |
No.749 | 6点 | 小説X あなたをずっと、さがしてた- 蘇部健一 | 2018/05/19 21:46 |
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中編「あなたをずっと、さがしてた」(表題作)と短編「四谷三丁目の幽霊」で構成。
表題作は「衝撃の恋愛ミステリー」という触れ込み。”衝撃”のレベル感も含め、敢えて多くは語らないけれども、まぁ、小奇麗に(?)まとめていると思います。 ・・・というような一般的な感想は聞きたくないという声がこのサイト閲覧者から聞こえてきそうな気がします(空耳ですか?) では、率直な感想を。「どうしちゃったんだよ、蘇部センセ!『六とん』系をもっと読ませてくれよ。事情もあるんだろうし、時にはソッチ系に行ってもいいけど、また戻ってきておくれよ。俺、本当は脱力系が好きなんだよ!」 そういう視点では、短編の「四谷三丁目の幽霊」の方が、多少なりとも(私の思う)作者らしさが表れているような気がします。それと、全般にわたる拙い文章にも、作者らしさを感じざるを得ず、何故かほっとします。 まぁ、短時間で読めてしまうし、隠れ蘇部ファンは読んでみてもいいかも。 |
No.748 | 6点 | 人間動物園- 連城三紀彦 | 2018/05/17 23:41 |
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事件の経過は、なかなかスリリングで楽しめました。違和感というか、疑問がどんどん広がっていく流れの中で、終盤まで持っていかれます。構図の転換(正確に言えば、1つ目の転換)も、さすがは連城と感心。
一方で、2つ目の転換というか、端的には犯人の動機ということになるのでしょうが、ちょっと理解しがたい面がありました。エピローグはちょっと読み疲れを感じたりも。 |
No.747 | 6点 | 象と耳鳴り- 恩田陸 | 2018/05/12 21:20 |
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2000年版の「本格ミステリ・ベスト10」で第5位を獲得した短編集。恩田作品の中でも、ミステリ度が高い作品なのであろうということで、手にした次第です。
しかし、ロジックというよりも、感性で読むべき作品も多かったかなぁ …という印象。スッと引き込ませてくれるリーダビリティの高さもあって、好短編集であることは間違いないと思うのですが。 |