皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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まさむねさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 1282件 |
| No.922 | 7点 | 安達ヶ原の鬼密室- 歌野晶午 | 2020/11/28 11:05 |
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| 時期も舞台も異なる4つの事件?を一つの紐で結びつけた作品。見せ方を変えたり、他の要素も組み合わせることで、なるほど、面白く仕上るものですね。ある意味で、贅沢な作品と言えるのかも。(逆の評価もあり得るか。)マトリョーシカ的な構成も良かった。
ちなみに、本編とも言うべき戦時中の事件については、最も大がかりではあるのだけれども、大人の登場人物にとっては、痕跡から分かる、少なくとも不信感は抱くような気がしますね。何かは残っていたはず。見過ごすかな? |
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| No.921 | 5点 | 病弱探偵 謎は彼女の特効薬- 岡崎琢磨 | 2020/11/22 21:54 |
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| 病弱で学校を休みがちな高校生・貫地谷マイ(患者+病)が、幼馴染の同級生・山名井ゲンキ(病まない+元気)が持ち込んできた、校内の謎を解き明かすという短編集。探偵役がいつもベッドに臥せっているので、「安楽椅子探偵」というよりも「寝台探偵」とでも言うべきか。
ネーミングを含め、突っ込みたいココロが疼きます。でも、このキャラ設定とラブコメ感からして、実はアレなんでしょ、心の準備はしてますよ、で、最後にどんな反転が…って思っていたら、そのままかい!…というのが個人的な最大の突っ込みどころでしたね。個々の短編のネタとしても軽め。好き嫌いは分かれそう。採点はギリギリこの辺りか。 |
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| No.920 | 6点 | バック・ステージ- 芦沢央 | 2020/11/14 22:39 |
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| 連作短編集。本筋のストーリーがあり、その合間に4つの短編が挟み込まれているといった構成です。
4つの短編の中では、第二幕の「始まるまで、あと五分」がベストかな。本筋のストーリーについては、痛快ではあったけれども、あっさり纏めすぎのような気もしましたね。「へぇ、芦沢さんって、こういうタイプの作品も書くんだなぁ」というのも、率直な感想。読後感は良いです。 |
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| No.919 | 5点 | 猫色ケミストリー- 喜多喜久 | 2020/11/08 16:03 |
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| 「化学+ラブコメ+ミステリー」といったところ。男子→女子→猫と人格(?)が移転するから、SFも入るのか。
私が化学に疎いせいなのか、中盤は多少冗長に感じた面も。ミステリーとしても弱い。一方で、軽快に読ませる力は評価したいと思います。 |
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| No.918 | 7点 | 強欲な羊- 美輪和音 | 2020/11/03 23:47 |
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| 連作短編集。グイグイ読ませた上での反転。巧いです。①と④が特に印象に残りそうかな。
①強欲な羊:浅はかな私の想定を軽々と超える結末。ジワッと怖い。 ②背徳の羊:これも私の想定を超えていった。女性って怖い。 ③眠れぬ夜の羊:この作品集の中では目立たないかもしれないが、複数のネタ配置など、心憎い。 ④ストックホルムの羊:あまり多くは語りますまい。反転がお見事。 ⑤生贄の羊:これまでの4作と繋がるお話。ホラー感は最も強いけど、この短編に限っては消極的な評価。 |
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| No.917 | 6点 | 名探偵なんか怖くない- 西村京太郎 | 2020/10/25 18:28 |
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| 国内外の名探偵4人が登場。それはそれとして、「3億円事件の類似事件を起こさせる」という出発点は、なかなか面白かったですね。スイスイと読まされました。西村御大の初期作品群は、バラエティに富んでいるし結構好きなんです。
ちなみに、講談社文庫の新版で読んだのですが、収録されていた綾辻行人との特別対談も興味深かったですね。 |
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| No.916 | 5点 | 化学探偵Mrキュリー5- 喜多喜久 | 2020/10/22 22:27 |
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| シリーズ第5弾。
個人的には、忙しくて疲れているときに便利な?シリーズとなっています。ガツンとはこない辺りが丁度よかったりします。 第一話「化学探偵と無上の甘味」のネタは楽しかったのだけれど、登場人物が専門家だけに即刻気付くのではないかな。最終話「化学探偵と冷暗の密室」は、何やら新しい展開になりそう。続編は果たしてどうなるのだろう。出版社と作者の思惑に嵌ってる? |
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| No.915 | 5点 | 黄色館の秘密- 折原一 | 2020/10/13 22:59 |
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| 黒星警部シリーズ第3弾。
結論としては、かなり馬鹿馬鹿しい。でも嫌いじゃない・・・ってことになるかな。本格ド直球の設定でこの結末。これがシリーズの持ち味なのだと割り切って、楽しむことにしましょうか。 ちなみに、竹内刑事のご紹介のシーンはどうなのだろう。これ、必要? それと、2つ目の密室の真相についてはどうなのだろう。雑すぎない? いずれも「まぁ、いいか」って思わせられていることが、「嫌いじゃない」という所感に繋がっているということで、ご理解ください。 |
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| No.914 | 5点 | 君に読ませたいミステリがあるんだ- 東川篤哉 | 2020/10/04 23:22 |
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| 「鯉ヶ窪学園シリーズ」ということで、懐かしさとともに手にしたのですが、まぁ、舞台が同じということだけで、少し残念。逆に、シリーズ作を読んでいなくても支障はないということになりますね。
各短編は小粒。特筆するとすれば「作者が作中作を用いることは珍しいなぁ、初めてかもなぁ…」というくらいか。連作短編としての仕掛けについても、「ああ、そう」といった印象に留まりました。使い方も中途半端で、作品全体に効果的に作用しているとは言い難いかな。とは言え、楽しくは読ませてもらいました。 |
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| No.913 | 5点 | その旅お供します 日本の名所で謎めぐり - 綾見洋介 | 2020/09/27 22:13 |
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| 「旅・謎・酒・人好きなら読まなきゃ損!」という帯に魅かれ、手にした次第です。デビュー作(前作)「小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録」が個人的に悪くなかったことも影響したかな。
ちなみに、帯にあった「旅・謎・酒・人」。私は全部好きなのだけれども、登場するお酒はカクテルのみでした…。自分は日本酒・焼酎派で、旅すれば地元のいずれかの酒を嗜むことにしているので、カクテルではちょっと…いや本筋とは関係ないか。 内容としては、神楽坂のバー「トラベラー」の常連たる歴史学者が、バーで知り合った客の旅に同行し、客が抱えていた謎を解決する…という流れの連作短編。ベストは二話目(舞台:奈良)で、伏線を含めて嫌いじゃない。でも、ミステリとしては総じて軽めなので、肩透かしに感じる方も多いかも。 |
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| No.912 | 5点 | こうして誰もいなくなった- 有栖川有栖 | 2020/09/22 21:47 |
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| 掌編から中編まで、ノンシリーズの14作品を収録。「有栖川小説の見本市」との謳い文句については、そういった面を否定するつもりはないのだけれども、有栖川ファンとしては、いやいや、本物(これまでの発表作品)と比べて「見本」が見劣り過ぎでは…という気もいたします。
ベストは表題作の中編だと思うのですが、好き嫌いは分かれそう。そもそもラジオ朗読用として書かれた複数の短編については、活字となってどうかは措いておくとして、確かにラジオで聴いたとすれば、雰囲気も倍増して楽しめそうでしたね。 |
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| No.911 | 6点 | 静かな炎天- 若竹七海 | 2020/09/21 11:04 |
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| 6編から成る、葉村晶シリーズの短編集。それぞれの短編で葉村の活躍が楽しめます。メインの事件(?)の調査の進展、広がり、転換など、安定的な面白さがありますね。
一方で、短編の途中で2~3日空いてしまうと、登場人物名や人間関係が分からなくなっちゃたりも。まぁ、自分のせいなのだけれども、本作の収録短編については、通しで一気に読んだ方がより楽しめると思います。それだけ、各短編が「濃い」ということなのかな。 |
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| No.910 | 6点 | さよならの手口- 若竹七海 | 2020/09/12 21:40 |
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| 葉村晶シリーズの長編。前作「悪いうさぎ」から13年ぶりで、彼女も40代という設定。何か親近感が湧きます。
ミステリ専門古書店でのバイト生活の中、白骨死体を発見。そして負傷のため入院。退院後に探偵稼業を復活することに。探偵小説の定番である「失踪人捜し」がメインの流れとはいえ、これと並走するストーリーや謎も次々に絡んで、なかなかに贅沢。結果的には、暗澹とした内容なのですが、軽快かつユーモラスな葉村の語り口もあって、グイグイ引っ張られましたね。葉村は今回もたくさん怪我をして、可哀想だけど。 |
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| No.909 | 6点 | きみのために青く光る- 似鳥鶏 | 2020/08/31 22:30 |
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| 心の不安に根ざして発症する「青藍病」。能力が発動すると身体が青く光る(ただし他人には見えない)から名付けられたのでしょうが、その具体の能力は人によって様々。生物を殺せる能力とか、死期が近い方を判別する能力、これらは一定想定しやすいのだけども、個人的には、動物から攻撃されてしまう能力がツボでしたね。それは能力と言えるのだろうか、というか、迷惑で嫌すぎる。一方で、年収が分かる能力は何気に欲しかったりして。
全体としては嫌いではない内容でした。ラブストーリーとしての色が濃く、結果として「いかにも」といった展開ではあるのだけれども、伏線も含めて、そこに至る過程は楽しく読ませていただきました。文庫化に際して「青藍病治療マニュアル」から改題。確かに、改題後の方がしっくりきますね。 ちなみに、青藍病を研究している「静先生」が各短編に共通して登場するものの、各短編の繋がりが強い訳ではありません。先生の詳細も謎のままだし、続編があってもよい流れのような気がするのですが・・・。続編はないのかな? |
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| No.908 | 5点 | ミステリー作家の休日- 小泉喜美子 | 2020/08/23 23:35 |
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| 単行本未収得の2短編を加えた、光文社文庫版を読了。
ミステリーとしては、表題作がベストか。個人的には「青い錦絵」や「パリの扇」などの妖しさが印象に残りそう。「紅い血の谷間」の切なさも悪くはない。一方で、全体的に結末が見えやすく、あくまでも雰囲気で読ませられている、といった面は否定できないかな。読みやすいし、嫌いではないけど。 |
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| No.907 | 5点 | 琴乃木山荘の不思議事件簿- 大倉崇裕 | 2020/08/20 23:40 |
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| 標高2200mにある山小屋「琴乃木山荘」を舞台にした短編集。「山と渓谷」に掲載された短編が大半で、山や自然に対する愛情を感じることができます。こんな山荘でアルバイトしながら過ごせたら心が洗われるだろうなぁ、何より、今は下界と違って熱帯夜ではないのだろうなぁ…と羨ましくはなりました。
ちなみに、ミステリとしてはかなり緩めの内容。連作短編としての転換はあると思いきや…期待外れだったかな。オマケしてこの採点といったところ。 |
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| No.906 | 5点 | 猿島館の殺人~モンキー・パズル~- 折原一 | 2020/08/15 23:07 |
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| 黒星警部シリーズの第2弾。
うーん、どうなのだろう。読中は、オーソドックスかと思っていたのですがねぇ。「○○じゃが仕方がねえな」を楽しめるか(許せるか?)否か。ちなみに密室の真相は、正直いただけない。 個人的には、脱力感の後に「たまにはコッチ系もいいか…」という気になったので、この採点で。 |
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| No.905 | 5点 | ルパンの娘- 横関大 | 2020/08/14 17:59 |
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| 泥棒一家の娘と警察一家の息子との結婚騒動。これに殺人事件も絡みます。現に連続ドラマ化されているのですが、確かに、ドラマ化or映画化に適したストーリーではあります。主演・深田恭子も違和感ないですね。ドラマは観ていないのですが。
展開も早く、リーダビリティも高いので、読書としては楽しめたかな。この作家さんの作品は何冊か読んでいますが、物語の紡ぎ方が達者です。その反面、印象に残りにくいような気もしていたのですが、この作品で広くアピールできたのでは。 |
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| No.904 | 6点 | いけない- 道尾秀介 | 2020/08/11 11:22 |
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| 「『ここ分かった!? 』と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説」、らしい。
確かにそうかもしれない。どこで、どうやって気付くか…ってのはあるけど。あまり1編ごとに深追いしないで、最後まで読みきった方が楽しめるのかも。いや、人によるか。 とてつもない大技がある訳ではないのだけれども、趣向自体はいかにもこの作者らしく、印象に残りそうです。語弊があるかもしれないけど、作者の「遊び心」をどう受け取るか…ということなのかな。 |
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| No.903 | 7点 | 眼の気流- 松本清張 | 2020/08/04 22:33 |
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| やっぱり清張短編はいいですねぇ。作者の女性不信が端々に表れている気がするのですが、単なる不信では言い切れない深みを感じます。④がベストで、②が続くか。
①「眼の気流」 序盤からグイグイ引っ張られます。後半は急ぎまとめた印象も。 ②「暗線」 語り手が馳せる想いと、最後の心情の変化が印象深い。短い作品の中に複数の人生を感じさせる手腕。 ③「結婚式」 男の幸せって何だろう。 ④「たづたづし」 これも印象深い。絶妙な後味を残す好短編。真実はどうだったのか非常に気になる。 ⑤「影」 現在の二人が作中で直接接触しない深さ、その余韻。 |
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