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メルカトルさん |
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平均点: 6.04点 | 書評数: 1835件 |
No.18 | 7点 | 狂乱家族日記 拾弐さつめ- 日日日 | 2023/11/22 22:26 |
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驚愕の展開となった「世界会議」が終了し、大日本帝国は新たに帝位に就いた不解宮の「正義」の下、急激に変わりつつあった。乱崎家も、凰火が超常現象対策局に復帰し、凶華様も働き始める!?など、家族それぞれが新しい世の中での生き方を模索していた。そんな中、蘇った黄桜乱命は、排除されていく「悪」を結集し帝都の正夢町に巨大カジノを作りあげ、不解宮の「正義」に対して真っ向から反旗を翻すのだった!!新エピソード「裏社会編」開幕。
『BOOK』データベースより。 約一年ぶりの拾弐さつめ。記憶の問題といつもより長尺の為、若干の不安を抱きながらの読書となりました。新たな出発点となるので、これまでのキャラを交えつつ新キャラも少々登場しますが、読み進めるのに支障はありませんでした。と言うか、すぐに物語にのめり込んでいく事が出来、久しぶりに血沸き肉躍る戦いの連続に好感触です。かつて勝負の世界に身を置いていた私(今ではただのおっさん)としては、この様な命懸けの博打は願ってもない展開となりました。 今回は実直で誰にでも丁寧語で話す、メガネが特徴的(それしかない)な父親凰火と、あまり目立たなかった感のある長男でオカマの銀夏が主役です。 中盤で活躍するのは凰火で、どこまであるのかイマイチ掴めなかった戦闘力を遺憾なく発揮し、囚われた凶華を取り戻すため本気を出します。今までで一番カッコよかった、そして見たかった父親の戦いを存分に堪能出来ます。 そして終盤は銀夏の出番で、あとがきにも書かれている様に、これまで持て余していた彼の扱い方を漸く見出すことが出来たらしく、こちらは頭脳を駆使した作戦で、カジノ最大の敵に挑みます。千花との微妙な関係性や銀夏の出自も見逃せません。 |
No.17 | 5点 | 狂乱家族日記 拾壱さつめ- 日日日 | 2022/11/19 22:25 |
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各国の要人を乗せた都市型飛行船マスカレイド号の船内で起こった、衝撃の不解宮ミリオン暗殺事件。その犯人も不明のまま、神聖合衆国に到着した凶華たち乱崎家一同は、得体のしれぬ不安と緊張の中にいた。そして、ついに開催された『世界会議』当日、彼らの眼前で展開される驚愕の出来事とは!?千年の時を経て、歴史の闇に葬られてきた『閻禍伝説』の真実の姿がついに白日のもとに!馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語。シリーズ白眉の巻。
『BOOK』データベースより。 壱さつめを読んだ後途中飛ばしてこれを読んだら、どう思うんだろう。きっと何が何だか分からなくて、混乱するのではないでしょうか。そう、本作では最早狂乱家族の手を離れ、見知らぬ世界にまで到達してしまった感があります。 今回のメインは「世界会議」ではあります。しかし、これだけ大規模な会議を開きながら一体何をしたかったのか判然としませんねえ。暗殺されたはずの不解宮ミリオンが復活した時は驚きましたけど。 一方閻禍の物語も並行して語られますが、こちらも一向に面白くなく、なんだかがっかりしました。乱崎一家の面々も今回ばかりはほとんど出番がなく、一話から読んでいる身としては淋しい限りですよ。 結局シリーズを引っ張り過ぎてあらぬ方向へ行ってしまった様な気がしてなりません。 |
No.16 | 5点 | 狂乱家族日記 拾さつめ- 日日日 | 2022/08/23 22:52 |
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『なごやか家族作戦』スタートから一年。人類獣化現象やら宇宙人の来襲やら数々の事件で露わになった家族たちの過去の傷跡や疑念も、凶華率いる乱崎家の絆を揺るがすことはないように見えた―。しかし、不解宮の傀儡后ミリオンが呼びかけた『世界会議』に、観光旅行気分で出かけた彼らが遭遇したのは、その絆をも揺るがす驚天動地の出来事だった!そして、千年前のもうひとつの家族の物語にも永遠に塞がらない傷跡が―。「閻禍伝説編」驚愕の展開。
『BOOK』データベースより。 世界会議に参加する道中で狂乱家族に起こる、家族バラバラ事件と、本作の元凶でもある閻禍の物語が交互に語られる構成となっています。家族の方はいつも通りワイワイガヤガヤと賑やかで、それなりに楽しめます。一方閻禍伝説は面白みに欠けます。死神と呼ばれる割には案外良い人で、インパクトが足りない感じがします。 登場人物がどんどん増えても、あれ?この人誰だっけとはならないのが本シリーズの特徴とも言えそうです。ちょっとしたブランクがあっても直ぐに思い出せるのは、やはり作者の力量なのでしょう。でもこれだけ続くと流石にマンネリ化してきますね。そこを何とか発想力で乗り越えようと尽力しているのは伝わってきますが、もう何が起こっても驚かない耐性のようなものが出来てしまっている気がします。 |
No.15 | 6点 | 狂乱家族日記 九さつめ- 日日日 | 2022/07/15 22:44 |
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『来るべき災厄』で力を使い果たし、赤ん坊となった月香。しかしこの赤ちゃん、お腹が減っては泣いて電撃、おむつが濡れては泣いて電撃、と凶華も凰火も子育てなのに命懸け。父はいても乳はでない狂乱家族、さすがにお手上げ状態!?そんな中、優歌に異変が…。そして、月香の成長と交互に語られる、すべての始まり、千年前の「家族」の真実の物語とは―。待望の「閻禍伝説編」ついに開幕。まだまだ続く、馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語。
『BOOK』データベースより。 今回は月香の成長日記的な、前作までの大騒動とは真逆なほのぼの系の物語。久しぶりに家族が一致団結する本シリーズらしい話です。特に優歌以外の家族がそれぞれこれまで登場した知己たちに助けを求めて、行方不明となった優歌を探して奔走するくだりはとても私好みで面白く読めました。一方で物語の根幹となる閻禍の若き日のエピソードが描かれており、こちらも興味深いものがありました。 シリーズとしては作者の言う通り新章に突入した感はあります。私としては第二部かなと思っていましたが、第三部、起承転結で言うところの転の始まりらしいです。つまり、ミステリで言うと伏線を回収し推理する段階に入ったそうです。でも結局こんなんで良いんですよね。優歌と月香のいがみ合いを家族がオロオロしたり結束したりしてワイワイやっている感じがいかにもな雰囲気で、仮初であっても家族って良いもんだなと思わせます。 |
No.14 | 6点 | 狂乱家族日記 八さつめ- 日日日 | 2022/06/11 23:00 |
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予言された『来るべき災厄』とは、月香に恋する最強宇宙人の来訪だった!?強欲王と人類の戦いが膠着状態に陥る中、「ナス子さん。ご飯食べようね!」破壊神なのにすっかり懐柔?された月香の「妹」は凰火たちと夕餉の最中だった。そんな楽しい団欒の中、月香は強欲王の求婚に応えると爆弾発言をするのだった。騒然とする一同。どうするSYGNUSS!どうする凰火?ついでに地球の運命は?馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語最大の山場。
『BOOK』データベースより。 いやーいけませんねえ。二ヶ月間空いただけでかなり前作の終盤辺りを忘れていて・・・ダメじゃん自分。それでも読み進むうちに徐々に思い出してきました。そう言えばかなり混沌としながら内容テンコ盛りだったなあとか。兎に角再三再四シリーズを通して語られてきた来るべき災厄の正体が判明し、しかしそれが又大した事でもなくて拍子抜けの感が否めませんでした。それに加え、凶華がある意味不在で何だか話が締まらないです。 中盤まではそんな感じであちこち飛んで、最早収拾が付かない様相を呈しています。終盤漸く凶華が復活し、鶴の一声で決着を付ける方法が決まります。やっぱり混乱を一刀両断するのは彼女以外にいないですね。ここからかなり面白くなりいつもの調子を取り戻します。 最後はやはり愛なんですね。ここでは家族愛ではなく、男女の愛ですが。作者によればここまでがミステリで言うところの問題編、伏線を張り謎を散りばめていくパートで、次巻からいよいよ解決編らしいです。 尚、前作の書評で次回は番外編を読むと書きましたが、予定変更、順次本編を読み進めることにしました。出来ればもう少し間を詰めて。 |
No.13 | 5点 | 狂乱家族日記 七さつめ- 日日日 | 2022/04/11 23:20 |
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2063年11月21日。宇宙より無数の「卵」が落下した。宇宙人襲来が現実のものとなる中、買い出し中の凰火の眼前に落ちてきたのは「恋とはなんぞや?」と問いかけるヘンテコな女の子、OASISだった。彼女を連れ、我が家へ戻った凰火は、凶華とともに家族の避難を決定するが、三女・月香だけはなぜか忽然と姿を消してしまう。そして、そのころ死神三番と花山は、最強宇宙人「強欲王」と対峙していた―。前後編構成で贈る『来るべき災厄』の幕開け。
『BOOK』データベースより。 新キャラが続々登場し、狂乱と言うより混乱、って言うか混沌としております。あまりにも色々事件が起こり過ぎて、少々頭の中で整理して読まないとダメな本だと思います。新たな登場人物の中で最も重要と思われるoasisの全体像のイラストがないのが残念です。まあそれは良いとして、遂にこれまで語られながら正体が掴めなかった『来るべき災厄』が起こりつつあるのか、後編に続くって感じで終わっていて何とも言えませんが、物語が大きく動き出したことは確かです。 今回は宇宙クラゲで十二単の美女に変身する存在として、謎のベールに包まれていた月香の正真正銘の本性が現れます。今後どんな役割を果たしていくのか非常に注目されるところです。狂乱家族の母親である主役の凶華の秘められた過去も明かされ、とにかく内容がびっしり詰まった一冊になっています。これまで出ていた脇役達も出番がなくなる程の急展開に唖然とさせられました。取り敢えず次巻の前に番外編そのいちが先に刊行されているので、そちらから先に読まねばなるまいと思っているところです。 |
No.12 | 6点 | 狂乱家族日記 六さつめ- 日日日 | 2022/02/03 22:42 |
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人類完全獣化現象から逃れて、雷蝶と共に鳥哭島に避難した凶華たち乱崎家一行は、連行したDr.ゲボックと共に中和剤の製造にとりかかった。一方、獣化現象で混沌とする帝都では、狂気にかられて人間を襲い始めた動物たちを抑えるため、マダラが褐色皇帝の血族の「力」を発動させる。「従え!俺が王だ!」マダラの悲痛な叫びが帝都に響きわたる―。「来るべき災厄」を目前に、馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語は佳境を迎えますますヒートアップ。
『BOOK』データベースより。 ちょっと間が空くとすぐ忘れるなあ、ダメですね。まあ本作、助走が長い分、その間に徐々に前作(前篇に当たる)を思い出せたので良しとしますか。ほぼ半分程が帝架とマダラの物語に重点を置き、それに乱崎一家の各キャラ達を絡めるという、本シリーズ全般に準ずる構成になっています。物語が動き出すのが鳴りを潜めていた凶華の一言。やはり個性豊かなキャラの中でも主役級の言動は一味違います、良い意味でどうかしています。 そこからは俄然面白くなり、漸く本領を発揮してきたなと思いました。その凶華のアイディアにより、物語がヒートアップするだけではなく、二頭のライオン帝架とマダラの間に新たな関係性が生まれ、本筋に変容が出てきます。そして本件が落着したかと思いきや、又しても次巻に繋がる不穏な前兆が・・・。 良くもまあ次から次へと色んな事件、変節が思い付くなと感心しますね。しかし、これくらい変化に富んだストーリーなくしては、このような長いシリーズを保たせるのは難しいかも知れませんね。 |
No.11 | 5点 | 狂乱家族日記 伍さつめ- 日日日 | 2021/12/10 22:59 |
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不可思議な結末を迎えた「半獣化事件」は、超常現象対策局局長となった平塚雷蝶の謎めいた言葉「来るべき災厄」と共に、凰火の危機感を否が応にも高めたのだが、そんな凰火の不安など毛ほども気にせず、凶華様は、能天気に「動物園に行きたいのだが」と宣うのだった。しかし、動物園で久々の休日を楽しむ乱崎家が帝架の同胞マダラと出会ったとき、すでに次なる危機は目前に迫っていたのだ―。馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語ついに佳境に突入。
『BOOK』データベースより。 今回は乱崎家の一員である百獣の王帝架とその幼馴染みであり、動物園で飼育されているライオンのマダラの物語を中心とした、小ネタ集的作品です。そしてあとがきにもあるように、前後編の前編という立ち位置となっています。ですので、後半敵か味方か分からない平塚雷蝶や死んだと思われていたDr.ゲボックが登場してさあこれからというところで終わっていて、次巻に期待させはするものの、本書としてはこの程度の評価にならざるを得ません。 ラノベとしてのぶっ飛び具合は相変わらずですが、家族愛という点に於いてこれまでよりも描かれていない為、全体の印象としては今一歩と感じてしまいます。しかし、次に繋げるための序奏としては盛り上がりに若干欠けるけれど、その役割を十分果たしているのではないかと思います。 |
No.10 | 6点 | 狂乱家族日記 四さつめ- 日日日 | 2021/08/24 22:50 |
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凶華が遊園地で大騒動を繰り広げる少し前のこと、雹霞はパチンコ屋の娘さんに「恋」をした。そして、そんなこととは少しも関係なく凶華は母親?に目覚め、千花は転校した学園で番長?となった。乱崎家のそんな平和?な日々の中、死んだはずのDr.ゲボックが現れ、周辺にはしだいに不穏な空気が漂ってくる―。千花の学校が麻薬汚染!?現象対策局に新局長就任!?新展開だった前巻を超える予測不能の『四さつめ』!怒涛のボリュームで登場。
『BOOK』データベースより。 今回の主役は殺人を目的に造られた生物兵器の雹霞であり、準主役が最後に乱崎家に参入した千花です。それぞれ独立したストーリーが微妙に関連を持ってきて、相乗効果を生み大いに盛り上がります。更に新キャラが続々登場し、物語の根幹に関わる案件が勃発します。そんな中凶華だけは相変わらずのマイペースで己を貫き、何事にも動じることはありません。 他にも遂に宇宙クラゲの月香の変身後の姿もさりげなく明かされたり、最も影の薄い感のある銀夏がやはりあまり活躍しなかったり、とにかく内容盛り沢山の乱れぶりであります。 新たな展開を迎えようとしている本シリーズ、次は何をやらかしてくれるのか楽しみでもあり不安でもあります。おそらく次作ではまた違った物語が始まるのだと思われます。 |
No.9 | 5点 | 狂乱家族日記 参さつめ- 日日日 | 2021/05/12 22:55 |
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「素敵に顔面破壊しますぅ!」対策一課行動部副隊長であり、凰火の“恋人”でもある死神三番さんが帰国!出張中に、凰火があんな幼児体系ネコミミ娘と「結婚」したとは夢にも思わない戦闘狂の死神と、「夫=己の所有物」と公言して憚らない人外・凶華が出会えば、これが血を見ずにすむ訳もなく―。凰火をめぐる三角関係?はヒートアップ!乱崎家の絆は!?なごやか家族作戦の行方は!?馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語。怒涛の新展開突入。
『BOOK』データベースより。 前二作は乱崎家の家族の絆を描いており、勿論その中心には母親で猫耳少女の凶華が中心にいたのは確かですが、本作では完全に主役に躍り出ています。凶華の過去が明らかになり、それと共に凰火と幼馴染みだった死神三番との思い出も語られ、夫婦の知られざる一面を知ることになります。ただ、その分他の家族の出番が少なく、ほのぼのとした家族の絆が描かれることはありません。それとスピード感が有りすぎてついて行くのが精一杯な感じで、その二点が今回は不満でした。 ぶっ飛んだ狂乱ぶりは相変わらずですが、これまでとはやや毛色が違い、個人的にはその方向転換があまり好きになれませんでしたね。まあ収穫としては凶華の視点で物語が進行する場面もかなりあり、三作目で初めて彼女の内面が描かれた点ですかね。たまには主人公目線もアリだとは思いますが、今後軌道修正していくことを願っています。 |
No.8 | 7点 | 狂乱家族日記 弐さつめ- 日日日 | 2021/03/25 23:10 |
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世界を救うため、今日も破壊神閻禍の「子供たち」と「なごやか家族作戦」を遂行する、超常現象対策一課行動部隊長・乱崎凰火27歳。そのまったりとした朝のひと時を狂乱へと変えたのは「新婚旅行をしてみようと思うのだが」というネコミミ人外少女、凶華のひと言だった。相も変わらず傲岸不遜、非常識な凶華のこと、これが普通の旅行になるはずもなく…。南の島を舞台に乱崎一家が繰り広げる、馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語。弐さつめ登場。
『BOOK』データベースより。 愉快、愉快。楽しい、楽しい「さっぱり」楽しいです(笑)。 前作は一作目という事もあり、家族の面々の紹介の意味合いもありましたが、その狂乱ぶりは凄まじいものがありました。本作もそれを継承してさらにパワーアップしている感が強いです。今回の主役は「子供たち」のうちの殺人兵器黒の十三番雹霞ですかね。彼は人を殺すために生み出されたロボットですが、人の心は持っています。しかし顔がない為涙を流すことすら出来ないのです。そんな雹霞の過去が語られます。 新婚旅行でパリに行くはずだった一家はなんと孤島に不時着。ここで優歌がさらわれ・・・。 勿論狂乱家族を率いる母親の凶華の活躍は物語を牽引する原動力になっているのは間違いありません。傲慢で後先考えていないようでいて、なかなかの策士ですね。でもこの一家は基本的にみんな優しいんです。それぞれ暗い過去を抱えたり悩んだりしながらも。 又、宇宙クラゲの三女月香の謎めいた言動にも注目されるところです。最終章ではその謎の一端に触れられます。この家族、増々目が離せません。そして本シリーズは番外編を伴ってまだまだ続きます。当分楽しませて貰えそう、ああ、幸せですー。 |
No.7 | 5点 | 蟲と眼球とダメージヘア- 日日日 | 2021/02/16 22:28 |
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不思議な林檎の力を持つ孤独な少女・眼球抉子、通称グリコが生きる世界は、全知全能の「神」の力で、平穏を取り戻したはずだった―。グリコは林檎の力を失い、ごく普通の少女として過ごしていたが、ある日、この世界にいないはずの宇佐川鈴音と再会する。なぜまたこの世界に戻ってきたのか、彼女にもわからないという。しかし、鈴音との再会と前後して、町では「人食い鬼」と呼ばれる不審な人物が事件を起こし始めた。「ダメージヘア」と名乗る彼女は新しい敵なのか!?せつなくも深い絆で結ばれた鈴音とグリコ、そして賢木は、再び一緒に事件解決に乗り出す。殺原姉妹やブレイクサンたちも活躍(?)の特別番外編、期待に応えて登場。
『BOOK』データベースより。 私の中では前作『白雪姫』で物語は完結していましたので、本作は言わば蛇足、付け足しみたいなものとしか感じられません。一つ意味があるとすれば、それは今まで名前だけで登場していなかった欠片の一人神蟲天皇が出てくることでしょうね。それがダメージヘアです。今回の敵は主に彼女一人で、これまでの様にバトル中心でありません。 終わった後の話ですから、何だか抜け殻のようにも思えて、個人的にはあまり感心しませんでした。読んでいる途中でおそらく編集者にお願いされて番外編的に描いたのだろうと想像しましたが、あとがきではっきりとその事が書かれていていました。Amazonの評価などを見る限り歓迎されており、余程のファンなのだろうなと思いながら苦笑せざるを得ませんでしたね。私としては殺原姉妹やブレイクサンの活躍よりも、刑事嘆木狂清とその恋人のエピソードの方が印象に残りました。この憂鬱刑事は私のお気に入りですので。 |
No.6 | 7点 | 蟲と眼球と白雪姫- 日日日 | 2021/01/25 22:29 |
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エデンの林檎の不思議な力で人知を越えた存在となった少女・眼球抉子―通称グリコ。不死身の彼女は、千余年の時の中で初めて、「大切な存在」宇佐川鈴音と出会ったが、林檎を狙う者たちとの戦いのなか、鈴音は意志のない生ける屍・肉人形となってしまった。グリコは、「仲間」になった殺菌消毒・美名、不快逆流・蜜姫とともに、鈴音をもとに戻せる人物―『一人部屋』を探し出すが、あと一歩のところで、宿敵『最弱』に鈴音を奪われてしまう。鈴音を助けだそうと、グリコたちは奔走するが、街にはバケモノが溢れ出し始めていた…。本当の幸せを取り戻すための戦いがついに終結!不器用な優しさを秘めたグリコたちの物語、最終巻。
『BOOK』データベースより。 プロローグとエピローグのみで構成されており、いわば後日譚の様相を呈しています。戦いで亡くなった者、生き残った者達の鎮魂歌であり、最終巻に相応しいエピソードで満載です。最終的にはグリコと鈴音と賢木の三人がその後どうなっていくのかが興味深く描かれていて、その意味でもこれだけ広げ過ぎた物語をどう収束させるのかという問いに、十分応えるものだと思います。 ここに至るまでの道中は、神話が絡んだり欠片、蟲、林檎、能力者などの複雑な要素がない交ぜになってかなり分かりづらくなってしまい、結局第一作で完結していた方が良かったのではないかとも思えましたが、結果的にはシリーズ化もアリだったかと今は考えています。エピローグの後のプロローグには唖然としました。まあしかし、エンディングとしては大いに感心させられました。ただ、これには賛否両論あろうかとは思います。個人的にこういう形でしか完結できなかった作者に同情しますし、憐れみすら覚えます。しかし、読後感の爽やかさは何物にも代えがたい愛しさを感じたのでした。 |
No.5 | 6点 | 蟲と眼球と愛の歌- 日日日 | 2021/01/23 22:53 |
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エデンの林檎の不思議な力で人知を越えた存在となった少女・眼球抉子―通称グリコ。不死身の彼女は、千余年の時の中で初めて、「大切な存在」宇佐川鈴音と出会ったが、林檎を狙う者たちとの戦いのなか、鈴音は意志のない生ける屍・肉人形となってしまった。鈴音の恋人・賢木愚龍は彼女につきそい、献身的に世話をするが、それだけでは鈴音は救えない。グリコは、「仲間」になった殺菌消毒・美名、不快逆流・蜜姫とともに、鈴音をもとに戻せる人物―『一人部屋』を探しはじめた。一方『一人部屋』は、自分を助け出したとある人物と、奇妙な同居生活を送っていた。“幸せ”を取り戻すための戦いは佳境へ。新感覚ファンタジー。第四弾。
『BOOK』データベースより。 最早タイトルの蟲はほとんど関係なくなっています。序盤は前作から名前だけ出ていた通称一人部屋と初登場の破局の二人で進行していくため、物語にあまり馴染めませんでした。第一作目で主人公と思われていた宇佐川鈴音と賢木愚龍の出番は少なく、やはり当初のラノベ感が失われてしまっています。そして、読み所はグリコを始め林檎を体内に持った異能者同士のバトルという事になります。これは言ってしまえば『ワンピース』の能力者たちの命懸けの戦いに似ています。そこまで派手ではないかも知れませんが、腕がちぎれようが内臓が抉られようが、死なない者たちならではの死闘となっています。 本シリーズも次回で最後となります。本作の興奮が冷めぬうちに次作も続けて読みたいと思います。又、その次に番外編的な『ダメージヘア』もありますので、そちらも順次読んでいきます。 はてさてどんなラストが待ち受けているのやら。シリーズを通して一定の水準をクリアしていると思いますので、一応期待はしています。 |
No.4 | 6点 | 蟲と眼球とチョコレートパフェ- 日日日 | 2021/01/02 22:45 |
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エデンの林檎の不思議な力で人知を越えた存在となった少女がいた。眼球抉子―通称グリコである。不死身の彼女は、千余年の時の中で初めて、「大切な存在」宇佐川鈴音と出会ったが、林檎を狙う者たちとの戦いのなか、鈴音は意志のない生ける屍―肉人形となってしまった。鈴音、賢木、グリコの三人で過ごした幸せな日日を取り戻そうと、鈴音を救う方法を探してさまよい続けるグリコは、ある人物の言葉を信じて、ここ観音逆咲町へ戻ってくる。おりしも町には怪しげな人物が集結し始めており…はたしてその目的とは何か?大切なものを守るため心を閉ざすグリコ。その優しさが胸を打つ、シリーズ第三弾登場。
『BOOK』データベースより。 第一作が閉じた世界なら三作目は開かれた世界です。新キャラが続々登場し総勢10人以上のキャラが敵味方入り乱れてのバトルを繰り広げます。当然ストーリーも分散し、かなり複雑なものになっており、更に神話が随所に出てきて物語全体の骨格のようなものが見えてきます。しかし、どうしてもシリーズ化の予定がなかったものを無理して話を繋げている感は拭えませんね。 中盤までグリコの敵側からの視点で描かれていて、本作から読んだ読者は一体何がどうなっているのか全く意味不明となるでしょう。ですからくれぐれも順番に読まなければいけない構造になっています。しかし、敵同士が必ずしも戦わなければならない道理もなく、最終的には・・・な展開に。まるで最初から最後までジェットコースターのように激しく乱高下します、全てが読みどころですね。ただ今回も鈴音の出番が少なく、その意味ではやや不満が残ります。前作から登場した憂鬱刑事の顛末もしっかりと描かれていました。そして、次回に繋がるエピソードで終わって、四作目が気になる訳ですね。あざといです。 |
No.3 | 6点 | 蟲と眼球と殺菌消毒- 日日日 | 2020/12/08 22:07 |
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あれからひと月―。「エデンの林檎」の不思議な力を手に入れながらも、仲間の鈴音や愚龍と共に日々平穏に暮らそうとするグリコのもとへ、賢木財閥から二人のエージェントが送りこまれて来る。その使命はなんと、「グリコの両親になること」!?慣れぬ「家族生活」にすっかり調子が狂うグリコ。一方その頃、町では手長鬼と名乗る怪人が残虐な事件を起こしていた。その犯行に超常のものを感じたグリコは、手長鬼と対決する決心をするが…。グリコの不器用な優しさが読む者の胸を打つ!未曾有の学園ファンタジー再開。
『BOOK』データベースより。 一作で完結するはずだったとあとがきで作者が書いている通り、やや無理やり感が無きにしも非ずのシリーズ第二弾。もう完全に主役はグリコになってます。鈴音や賢木の出番が少なすぎてやや不満ではありますが。それにしても色々詰め込みすぎて、その後はどうなったのか気になる、中途半端で終わっているエピソードもあって、所謂続編に続くって感じな終わり方ですね。 今回はグリコが擬似家族に馴染んで、うまく家庭生活をやっていけるのかがテーマとなっているのかと思いきや、それはほんの味付けに過ぎず、結果バトルがストーリーの中心になっています。手長鬼が最強の相手だと思っていたら大間違い、その後に更に強力な化け物を相手にすることに・・・。 ラノベなのにこれがラノベかと思うような、重くて暗い救いのない話に終始しており、かなり異色です。手長鬼の残酷すぎる過去や、憂鬱刑事嘆木の登場、次々に惨殺される少女たちといった魅力的な要素を孕みながらも、テンポが速すぎてじっくり腰を落ち着けて読む状況になりませんでした。 前作が面白過ぎた為、嫌でも期待が高まりましたが、やはりそれに比べると一枚劣る感は否めません。でも、エピローグには心揺さぶられるものがあり、半端に終わったエピソードも含めて、とても次回作が気になります。 |
No.2 | 7点 | 狂乱家族日記 壱さつめ- 日日日 | 2020/11/22 22:55 |
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「その醜くも穢れきった指先で凶華様のたおやかな御腕を掴むという冒涜行為を今すぐやめろこのユダ的背徳者」ある日、凰火が出会ったのは、罵詈雑言をまき散らすネコミミ、シッポつきの可憐な少女だった。食べ物を掠め取り、大勢の警官に追われるこの人外少女・凶華は一体何者? そして――凰火を襲う最悪の運命とは!? 超常現象対策一課行動部隊長・乱崎凰火と奇天烈な「家族」との馬鹿馬鹿しくも温かい愛と絆と狂乱の物語!!
Amazon内容紹介より。 作家日日日(あきら 注 文字検索するとちゃんと出てきます)はやはり本物なのか。本シリーズは番外編併せて24作でやっと完結しています。それだけ人気があったのかは分かりませんが、取り敢えずコンプリートを目指しています。アニメ化もされていますし、本作を読む限りこの人の書く文章とは相性が良さそうなので、まあ何とかなるでしょう。これは最早文字で読む漫画(褒めています)です。随所で笑えるし、いじめ(またか)なんかもヘッチャラ、敵も味方も救ってしまう凶華の無茶苦茶な作戦など読みどころ満載です。 今回含めおそらく今後も、家族愛を描いたものとなっていくであろうと想像されますが、かりそめ家族或いは即席家族の中で果たして誰がクロなのかという命題はそっちのけで、様々な事件が起こりそうな予感がします。 もうキャラが立っているとか云う次元を超えて、それぞれが個性の塊で性格描写もきっちりなされていますし、ラノベもこんなのばっかりだと楽しいなと思いますね、ええ。 |
No.1 | 7点 | 蟲と眼球とテディベア- 日日日 | 2020/11/07 22:54 |
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貧しいながらもケナゲに生きる高校生・宇佐川鈴音には愛する人がいた。知力、体力、財力、ルックスすべてに完璧な教師―その名は賢木愚龍。ある日あるとき鈴音が見た「林檎の夢」をきっかけに、二人は有象無象の輩にその純愛を邪魔されることとなる。それは「虫」という「個」を持たぬ謎の存在だったり、スプーンで武装(?)した「眼球抉子」なる名の猛き少女だったり―。魑魅魍魎を相手に二人は生き残れるのか?未曽有の学園ファンタジー開幕!第1回MF文庫Jライトノベル新人賞編集長特別賞受賞。
『BOOK』データベースより。 私が読んだラノベ史上一二を争う面白さ、楽しさ、心地よさでした。 世間ではグリコグリコ(眼球抉子・がんきゅうえぐりこ)と騒いでいますが、最初はそれほどでもないなと思っていました。しかし、次第にグリコに心惹かれていく自分に気付きました。シューズの蝶々結びが出来ず延々と格闘し、結局団子になったまま履く姿やファミコンの腕が一向に向上せず苦戦する姿など、細かなディテールが堪りません。誰にも関心を持たず心を開こうとしない、口の悪いグリコが結局美味しいところを浚ってしまい、主役の二人が霞みます。本作は彼女の為に書かれた物語と言っても良いでしょう。 物語としては新味がないものの、その筆捌きは見事の一言で、ここでそういう表現を持ってくるかと云う、その安心感はどの作家にも負けていないと個人的には思います。編集長特別賞受賞との事ですが、大賞でも良かったのではとないかと。 読み終わってもしばらく余韻が続き、頭の中でリフレインしている滅多にない体験をしてしまいました。自分にとってこの人が特別な作家になってくれることを今は祈るばかりです。 |