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simo10さん
平均点: 5.69点 書評数: 193件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.23 6点 深泥丘奇談・続- 綾辻行人 2013/09/21 23:18
(個人的に)待望の癒し系怪奇小説、深泥丘奇談の続編の文庫化です。
前作と同様の流れを汲みつつも、表世界と裏世界の関連を暗示する作品もあります(正直、解説読むまで意味が解らなかったが)。
「ホはホラー映画のホ」なんかは設定からして笑える。
ミステリではないが前作に引き続き、特別に6点あげちゃいます。

No.22 5点 奇面館の殺人- 綾辻行人 2012/08/31 23:08
--ネタばれ含みます--

館シリーズ第十段。いよいよラスト一作を残すのみ。
内容はここにきてある意味まさかの大雪クローズドサークル。さらに主要人物が全員顔をすっぽりと覆う仮面をかぶらされてしまうという、漫画をも超えるベタな本格ミステリの展開です。
しかし何故かいつものオドロオドロ感は影を潜め、殺人もなかなか起きず、退屈な展開が続く。やっと事件が発生、期待通りの猟奇的殺人ではあったがなぜか登場人物達は大人しく、盛上がらない。検証も進み、いよいよ犯人、トリック、数々の動機が明らかに。おお、非常に論理的だ(というか細かいな)。さらに綾辻氏得意のアレも炸裂。おお、そういうことか(でも騙された~って感じじゃないんだよな)。
‥う~ん、評価が難しい。しっかり本格はしてるし猟奇的だし叙述もあるしバランスも取れているんだけど。ここまでページをめくる指が重かった館シリーズは初めてかもしれません。やはり館シリーズの根源ともいうべきオドロオドロ感が全く感じられなかったのが一番効いてるかな。あと登場人物が背格好の似たオッサンばっかてのも痛いかな。

No.21 6点 深泥丘奇談- 綾辻行人 2012/06/05 21:45
タイトルからしてホラーものっぽい、だけど綾辻作品だからミステリ要素もあるかも、と思いましたが、純粋なホラー小説というか怪奇小説でした。
内容としては深泥丘(みどろがおか)に住む主人公の日常とその土地にまつわる不可思議な現象、慣習を描くというもので全10話の連作短編集です。
主人公は怪奇現象であると認識する→妻を含めた周りの人物達にとっては当たり前のことらしい→主人公も慣らされていく、というのが大まかなパターンですがこれが何とも言えず、不気味な世界をまろやかに仕立て上げているような気がします。
各作品の中では「悪霊憑き」がお気に入りです。
本書は自分にとっては忙しい中での一服の清涼剤の様な位置付けと言えそうです。読み易さも抜群で、続編の文庫化が待ち遠しいです。ミステリではありませんが特別に6点つけちゃいます。
ちなみに眼球綺譚の怪ヒロイン咲谷(由衣?)が本書でも登場、活躍するのでファンの方は必読です。

No.20 7点 Another- 綾辻行人 2012/02/02 22:10
--ネタばれ含みます--

文庫化されたので購読してみました。ジャンルとしては学園ホラーもの。ある程度読み進んでから、これは「最後の記憶」と同様の、超常現象が成立することを前提とした作品だなと分かりました。なので数ある突っ込みどころも割り切って受け入れることができ、楽しく読めました。
色々と超常現象のルールがありますが良くできていると思います。増えたもう一人が死者であるというのが良い(?)ですね。恐怖というより悲哀を感じてしまいます。
ホラー部分で一番のインパクトやっぱ久保寺先生かな。
一応ミステリ部分もあり、「死者は誰?」というちょっと変則的なフーダニットです。「誰」の正体に関しては、ちゃんと伏線も与えられており、綾辻氏らしい仕掛けもあります。ページ数の多さが全く気にならない読み易さもさすがです。
面白かったのですがラストの解決方法は減点要素です。不可抗力ならともかく、あれはないでしょう。ホラーだからといったらそれまでですが、読後の気分はかなり悪いです。

(図らずも麻耶氏の「隻眼の少女」に続いての義眼萌え系美少女の登場にちょっと辟易。義眼で真実を見る等も被ってるし、これは後発の麻耶氏が意図的にパクったんですかね?)

No.19 5点 霧越邸殺人事件- 綾辻行人 2011/02/26 23:22
館シリーズとは異なる、邸を舞台とした長編を再読。
意外にも館シリーズには存在していなかった、まさに「雪の山荘」の設定です。
しかしながらその中身はミステリ性に重きを置いたものではなく、幻想性の色が強い作品です。
一応連続殺人やトリック等もあり、確実にミステリの部類には入るんですが、
著者特有のおどろおどろしさや叙述トリックもないので私的には何とも物足りない印象です。
まあ綺麗な作品なので、そういうのが好きな方には向いていると思います。

No.18 5点 鳴風荘事件- 綾辻行人 2011/02/10 21:27
殺人方程式シリーズ第二弾を再読。
当時読んだ時と変わらず、ストーリー、登場人物のインパクトは薄かったです。
しかしながら、トリック自体は今も覚えていたため、そこはインパクトはあったのかなと思います。
伏線、ミスリードの張り方と回収後のロジック展開もしっかりしており、やはり一段目と同様、良くも悪くも本格ミステリの教科書的な存在と思いました。
しかしTV版は偶然ラストの15分程見たけれど、あれはひどかった。

No.17 5点 殺人方程式- 綾辻行人 2010/12/10 23:08
「館」以外の本格ミステリシリーズものである「殺人方程式シリーズ」第一弾です。
メインは急加速問題を理論的に解消する方程式の部分でありながら、まず大技トリックを看破しない限り、その問題に到れすらしない構成がなんとも勿体ない思いです。
犯人は意外ではあったけれどインパクトに欠ける、というか登場人物全員のキャラが薄いと思ったのは昔読んで感じた印象と変わりませんでした。しかし、犯人当ての論理展開は法月作品に似た印象で、好きな人は堪らないかも。
他の方も評される様に、良くも悪くも純粋な本格ミステリの教科書的な出来映えだと思います。
S川を境としたM市とS市に馴染みのある私にとっては思い出深い作品です。

No.16 7点 フリークス- 綾辻行人 2010/12/10 23:00
綾辻氏のホラー中編集を久々に再読。以下の三作から構成されます。

①「夢魔の手 三一二号室の患者」:日記の中だけでもミステリが出来上がっているのがニクい。ラストのどんでんが解り辛かったけど、解った時はなるほど。三作の中で一番怖かった。
②「四0九号室の患者」:愛人の方の可能性には多くの人が早々に思い付くだろうが、さすがにその一歩先は一筋縄ではいきませんね。見事に騙されました。医師と看護師の語りが上手い。
③「フリークス 五六四号室の患者」:作中作にてミステリを仕上げつつ、作中作と現実の接点にミステリ性を仕込ませる構造が上手い。強いて言えば構造が①と被ってしまっているのが痛い。ホラー度は低目です。

No.15 6点 眼球綺譚- 綾辻行人 2010/11/13 18:46
綾辻氏のホラー短編集を再読。以下の7作で構成されます。

①「再生」:グロ系ホラー。ラストシーンのグロさは今でも印象に残っています。
②「呼子池の怪魚」:子宝に恵まれない夫婦への不気味な贈り物。珍しくホッとするラスト。
③「特別料理」:ゲテモノ料理のオンパレード。嫌でも想像力をかき立てられてしまう筆力は見事。ある意味心理的負担は一番大きいかも。
④「バースデイプレゼント」:綾辻氏らしい囁き系ホラー。グロな怖さとサイコな怖さを併せ持っています。
⑤「鉄橋」:怪談ものホラー。テレビ化しやすそうな、解りやすくグロくない話です。
⑥「人形」:恐怖のツボがちょっと異色の作品。生まれ変わる度に彼はパワーアップしてきたのだろうか?
⑦「眼球綺譚」:作中作構成と例の仕掛けが迷路館を連想させます。神の偶像の描写が怖かったですね。

ホラーの中にも若干のミステリ性を持たせており、この分野での著者の才能を堪能できる作品集だと思いました。それにしても全国の咲谷由衣さんはいい気分はしないでしょうね。

No.14 5点 びっくり館の殺人- 綾辻行人 2010/10/30 13:49
ミステリーランドものがどういう傾向の作品なのか分かっていたので、構えずに読みました。
序盤にいきなり密室殺人を発生させ、その後で事件発生までの過程を綴るという流れで、ターゲットの読者をまずは飽きさせないようにしようという意図を感じました。(さすがに首切り等のように生臭い表現はなかったです)
トリックに関しては部屋のからくりをうまくミスリードとして利用しているなと思いました。
その他、探偵島田潔(鹿谷門実)を謎めいた人物として扱い、初読者に他のシリーズに興味を持たせる作りになっています。
番外扱いではないとは言いますが、読んでみてやはり、あくまでも子供達をターゲットにした作品なのだなという印象は拭えなかったです。
ミステリーランドなので甘目に6点つけようと思ったのですが、番外ではないというので厳しくマイナス1点します。

No.13 5点 最後の記憶- 綾辻行人 2010/10/30 13:20
初めてこの作品を読んでみました。
新しい記憶から失っていくと言う難病にかかってしまった母の最後に残る記憶は、バッタと白い閃光にまつわる凄惨な事件の記憶なのか、それとも…といった流れでした(他にも色々ありますが)。
また、この重い設定と綾辻氏のダークな描写がマッチして良い(?)雰囲気を醸し出していました。
しかし、物語の終盤に入ると、説明のつかない幻のような描写が延々と続き、どうやって現実での解決に持って行くのか不安が膨らむばかりだったのですが、結局異空間世界をそのまま受け入れる形での解決でした。
ミステリ要素が無い訳ではないのですが空間転移、時間転移が出て来るとは…(暗黒館と並行執筆だったと言うので納得)
拍子抜けしましたが超常現象を受け入れて再読すれば楽しめるかも。

No.12 6点 黄昏の囁き- 綾辻行人 2010/10/15 23:26
囁きシリーズを三作続けて再読しました。
この作品は綾辻氏ならではの良い意味での(?)ジメジメとした雰囲気で、私好みだったのを覚えており、再読した今回も変わらずに楽しく読めました。
ミステリ的にはフーダニットに属しますが、メインとして驚くべき真相が用意されています。(結構インパクトが強く、そこだけは強く覚えています)
真犯人の正体に関してはあまり伏線も張られておらず、ちょっと唐突な感じだったのが惜しいところです。
前二作との微妙なリンクが読者には嬉しいところです。
第四弾が出れば読みたいですね。

No.11 5点 暗闇の囁き- 綾辻行人 2010/10/15 23:23
久々に再読しました。
この作品はミステリ性があまりなく、謎解きの観点ではあまり楽しめないです。
雰囲気はかなり幻想的に描かれているので霧越邸が好きな人は楽しめると思います。(私は人形館のようなオドロオドロ系が好きなので少々肌に合いませんでした。)
美しい双子や事件性など、設定が暗闇館にかなり近いように思えます。(雰囲気は逆ですが)
非常に読み易いのですが、登場人物が双子以外は印象が薄く(ドラ息子はなかなか良かったが)、全体的にインパクトの弱い作品でした。

No.10 6点 緋色の囁き- 綾辻行人 2010/09/29 22:45
久々に読み返してみました。
女学園モノ、連続殺人モノ、アレに関する生々しい描写、カリスマ的美少女とその実態、といった記憶が残ってはいましたが、ミステリ要素に関してはほとんど覚えておらず、真犯人すら覚えていなかったので、懐かしさと新鮮さを味わいながら読むことができました。
ミステリ要素はやはり少なめで直感勝負のフーダニットものといったところでした。
ホラー的要素が強く、綾辻氏らしい陰鬱とした雰囲気が私的にはナイスでした。

No.9 2点 殺人鬼2- 綾辻行人 2010/03/04 21:11
殺人鬼シリーズ第二弾。
さすがにどんな作品かわかっていたので、やめておけば良かったのですが、読んでみるとやっぱりやめときゃ良かったという結果に終わりました。
一作目のインパクトに比べれば、どうにも小粒だし、何よりも真相(?)が読めてしまったのが痛い。
そうなると後はただ惨殺シーンの傍観に終始し、後悔と吐き気のスパイラルに陥るばかり。

No.8 6点 殺人鬼- 綾辻行人 2010/03/04 21:03
当時館シリーズにはまり、綾辻氏の他の作品も見てみようと手を出してみたものの、こんなグロいモノだとは予想しておらず、かなり気分が悪くなったことを覚えています。
違和感を感じつつも、その正体に気付かずに読み進んでいったら衝撃の真相が待ち構えていました。
あの衝撃はなかなかでした。
今読んだら気付いてしまうかもしれないけど、まああんな気持ち悪いモンはもう読みたくもないし、記憶の中に留めておくだけにしておこう。

No.7 7点 どんどん橋、落ちた- 綾辻行人 2010/02/22 22:13
-ネタばれ含みます-

第一話を見て、これは推理クイズ物だなと割り切ることで楽しめました。
「ぼうぼう」には脱帽でした。
犬は確か色盲だったよなと思い、さてはこれは「水車館」の二番煎じだなと思い至り解決編を読むと、とどめを刺すシーンにあの『』があるじゃないかと突っ込まれる…。作中の綾辻氏と正に同じリアクションになってしまいました。
「どんどん」では騙されたが「ぼうぼう」ではそうはいかないぞという意気込み、思考パターン、真相を知ったときのリアクション等、完全に術中にハマったと言ったところです。
前二作が良すぎて、残り三作は騙しのインパクトがイマイチだったかな。伊園家は笑えたけど。
綾辻氏がこういう作品を書いたのが意外ということで評価しますが、こういうのに高めの評価をするのもこれっきりです。

No.6 6点 黒猫館の殺人- 綾辻行人 2009/06/05 23:39
--ネタばれ含みます--

かなり地味な作風で、少々退屈な展開が続きますが「あっ!」と驚く仕掛けは十数年経った今も忘れません。
綾辻作品らしく「違和感」を基にしたヒントがあちこちに散らばっており、これまたフェアな一作です。
つーか目次でいきなり仕掛けが一つ解ってしまい楽しみが減ってしまったので、そこはもう少し解り辛くして欲しかった…

No.5 10点 時計館の殺人- 綾辻行人 2009/06/05 23:24
閉ざされた空間での連続殺人、犠牲者の視点から語られる迫りくる恐怖、壮大なトリック装置とその理由付け等々、素晴らしい出来だと思います。
ヒントもかなり初期の段階から頻繁に与えられており、解決編では「なるほど!」の連続です。逆にきちんと推理すれば解けるように出来ている非常にフェアな作品でもあります。
難点を言えば、犠牲者が多過ぎて犯人が絞られ過ぎてしまうことと、犯人自体も地味で意外性に欠ける人物だったことかな。
その他、細かく突っ込みたい点はいくらかあるけれど、これだけ完成度が高ければ10点です!(でも意外とみんな評価低いのね)

No.4 8点 十角館の殺人- 綾辻行人 2009/06/05 23:18
十数年前に初めて読んだ時は、「十角館」という名称の割にちんけなコテージでがっかりしたこと、「エラリィ」や「アガサ」など読むだけで恥ずかしくなるようなあだ名の呼び合い等で気分が萎えたせいか、あの一行を見ても「ふうん」と思っただけで、評価は低かったです。
十角館の名称や構造を全く活かしてない点が一番がっかりでした。
しかし先入観もなく、「あだ名」の免疫もできている状態で久しぶりに見てみると、とても良く出来ている作品だと関心しました。
二回目とか久しぶりに読むと面白い作品なのかもしれません。

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simo10さん
ひとこと
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高配点の基準は
①物理モノにしても叙述モノにしても「うまい」と思わせるトリックがある...
好きな作家
綾辻行人、島田荘司
採点傾向
平均点: 5.69点   採点数: 193件
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