皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
simo10さん |
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平均点: 5.69点 | 書評数: 193件 |
No.6 | 5点 | 螢坂- 北森鴻 | 2010/05/18 23:35 |
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香菜里屋シリーズ第3弾。5つの短編で構成されています。
①「蛍坂」:蛍に込められた切ないメッセージ。ロマンチックなんですがマスターに解読してもらわない限り伝わらないような難しいメッセージというのも困るだろうに。 ②「猫に恩返し」:作中作が良かった。しかしそううまく事が運ぶのかなと思ってしまう。 ③「雪待人」:託された絵に雪が降るのを待ち続ける。ロマンチックですが周囲の迷惑を考えたほうが良いのでは、と無感動に思ってしまった。 ④「双貌」:作中作による叙述トリック(?)によって構成されており、正直混乱した。時系列も分かり辛かった。 ⑤「孤拳」:孤拳に託されたメッセージ。切ないですが、そんな難しい真意を汲み取るマスターの推理がちょっと強引な感じが‥。 今作の登場人物達は何だか婉曲的な表現を好むのが多いようで、メッセージを紐解く事に重点が置かれているような作品群でした。 シリーズ中、これまで以上に詩的で綺麗な文章だったのですが、今作の趣向は個人的にはイマイチでした。 |
No.5 | 7点 | 桜宵- 北森鴻 | 2010/05/05 22:33 |
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香菜里屋シリーズ第2弾。5つの短編で構成されています。
①「十五周年」:まあ特に裏のない、暖かいお話です。 ②「桜宵」:最期を予期した人は大切な人のために何を残してあげられるのか。中々出来る事ではないです。 ③「犬のお告げ」:様々な悪意が交錯しており、正に「歪んでいる」の一言。 ④「旅人の真実」:献身的なお話と思いきや、これまた歪んだ話。 ⑤「約束」:切々と語られる独白文が重い。予想外のダークなお話。 読み終わってから気がついたのですが、話が後半に進むほどに登場人物の歪み具合、悪意が深くなっているような気がします。 しかし、第一弾「花の下にて~」に続き、文章が非常に綺麗でした。 個人的には②、⑤が好きです。 |
No.4 | 7点 | 花の下にて春死なむ- 北森鴻 | 2010/04/26 00:12 |
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マスター工藤哲也が営むビアバー「香菜里屋」シリーズ。6つの短編で構成されています。
①「花の下にて春死なむ」:句人片岡草魚の静かな最期に秘められた過去に迫る。作中の句「人のいぬ道選びて繰り返すその町の名」が良かった。 ②「家族写真」:駅の本棚の各本に挿まれている白黒の家族写真の謎に対して「香菜里屋」の客達が推理を披露。ちょっと皮肉な作品。 ③「終の棲み家」:多摩川沿いの小屋に住む老夫婦の弱々しさが非常に切ない。綺麗な作品で好きです。 ④「殺人者の赤い手」:推理クラブ化した雰囲気が好かない。いくら赤いっつっても限度があるでしょう、と言いたくなる。 ⑤「七皿は多すぎる」:これまた推理クラブ化現象。提示された謎のインパクトの割りにイマイチな真相。 ⑥「魚の交わり」:①の続編。再び草魚の悲しい過去に迫るが予測もつかなかった恐ろしい推理が…。 ミステリ的には普通ですが、非常に「綺麗な作品」という印象があり、質の良い文学作品を読んでいるかのような心地良さを覚えました。(セリフ部分がちょっとぎこちないところもあるけれど。) 次に読む作品を探して、作者の訃報を知りました。非常に惜しまれます。 |
No.3 | 5点 | 凶笑面- 北森鴻 | 2009/10/08 22:08 |
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5つの短編「鬼封会」、「凶笑面」、「不帰屋」、「双死神」、「邪宗仏」から成ります。
どの作品も、調査依頼で『現地に向かう→調査中に殺人事件→那智が解決』と良い意味でパターン化されています。 しかし興味は惹かれるけど、なじみのない民俗学の話が解らないと苦痛でしかない。難しい漢字もふりがなをたまにしかふってくれないし。 助手は立場上、頭悪く設定するわけにはいかないからしょうがないとして、読者のためにもう一人、詳しい説明をうながす素人役が欲しいと思いました。 「双死神」で語られる「だいだらぼっち」の話が、島田荘司の「出雲伝説~」と共通していたので、かろうじてついていけて良かった。 |
No.2 | 7点 | 狐闇- 北森鴻 | 2009/09/07 23:37 |
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冬孤堂シリーズ第一策「狐罠」ではかなり読み辛い文章だったのですが、
この第二策では非常に読み易くなっておりました。 下手に細々としたトリックに手を出さずに、歴史上のミステリを扱うこと一本に集中しているために非常に壮大な作品に仕上がっていると思います。 この作家にはこういう作品を書いて欲しいなと思っていたのですが、バッチリ嵌まっていると思います。 しかしやっぱり話が難しい。 |
No.1 | 6点 | 狐罠- 北森鴻 | 2009/06/11 12:36 |
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古美術を題材とした作品を初めて読みました。
私には全く未知の領域の話でしたが、結構興味を持てました。 結構薀蓄を語るので苦痛な人も多いかも知れません。 初期の頃の作品のせいか、場面転換が分かり辛い表現が多かったです。 事件の面白さはイマイチですが話の流れは面白かったと思います。 登場人物もみんな一癖あって面白い。 |