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江守森江さん
平均点: 5.00点 書評数: 1256件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.356 7点 厭魅の如き憑くもの - 三津田信三 2009/06/22 08:15
ホラー物に怖さを感じない体質な為に純正ホラーには全く興味がない。
そんな人間がホラーと本格ミステリの融合した傑作と評される作品を読んでも、あくまで本格ミステリとして接してしまう。
ホラーテイストに馴染ませた伏線の数々を、残り少ないページ数の解決編で回収しつつ何度も反転させ、最後に“大仕掛け”を持ってきた素晴らしい本格ミステリだった。
但し、大仕掛けに気付くかは兎も角、読み始めて直ぐに犯人の目星がつき、反転させる前のダミー推理の方が意外性やシックリした感があるのが残念。
更に、ホラー色が薄まる危険はあるが、村の地図や屋敷図を添えた親切設計な本にすれば、最後の大仕掛けに驚く度合いが増したと思える。
面倒くさいので、読みながら地図作成しなかったが、よりこの作品を楽しみたければ地図作成を勧めたい。

No.355 2点 ガーディアン- 石持浅海 2009/06/21 17:51
論理を転がし展開がスリリングな事が作者の長所。
初期作品は、長所で動機面等の欠点をカバーしていた。
最近は長所を削ってレベルダウンした感が漂う。
このレベルの作品を続けたら読者が逃げていくだろう。
作者も生き残れるのだろうか?

No.354 5点 T型フォード殺人事件- 広瀬正 2009/06/19 17:40
埋もれた名作との評判だったのだが・・・。
過去の事件(密室)を推理するパーティーで事件が起こる二重構造。
(ネタバレ)
問題編と解決編を分離しての仕掛け。
オチは'某'初期東野圭吾の二作品と同じ(この作品のキモではないので東野のパクリ疑惑は不問で)
書かれた当時は斬新だったかもしれないが、今読むとトリックも仕掛けも色褪せてしまった感が強かった。
期待せず読めば水準レベルとは思うが、探してまで読む必要はない。

No.353 6点 シャドウ- 道尾秀介 2009/06/18 08:55
「ラットマン」が候補にノミネートされず、この作品が大賞を受賞する本格ミステリ大賞ってなんなんだ!!(作品を貶している訳ではないので誤解無きよう)

「ラットマン」を先に読んでしまった為に、手の内を知った上で見せられた手品になってしまった。
伏線やミスリーディングは素晴らしいのだが、同じ手品を二度見れば察してしまう可能性が高まる。
細かい設定に突っ込み所が多々あり微妙な採点になった。
それでも、テンポ良く楽しい読書は保証できる。

No.352 7点 ラットマン- 道尾秀介 2009/06/18 02:07
歌野「葉桜〜」、東野「容疑者X〜」に続き論理的パズラーから本格ミステリの主流を奪った決定打的な“道尾”作品。
どんなに人間が描かれていようと、結末に何重にも捻りがあろうと“解決編の前で立ち止まり推理する楽しみ”が薄い「この手の一連の作品群」は好みからズレている。
それでも、決定打と云えるレベルの作品で、現在の本格ミステリを知る為には必読であり、読んで損はない!!

No.351 3点 このミステリーがすごい!2009年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2009/06/17 03:29
年刊ランキング誌としてなら立ち読みで済ませたい。
毎年集めるなら半年後に古本屋の百円棚で・・・。
唯一の新刊時購入理由は海堂尊のシリーズ短編をゆっくり読みたい場合。
そんな“雑誌”です。
※追記(’10・06・20)
この頃はすでにランキングはネットの雑談ネタで楽しむものになっていたが、国内ランクイン作品を12作も読了していて、このサイトでも高評価している作品も多く年度レベルは高い。

No.350 4点 冬の旅人- 赤川次郎 2009/06/16 23:32
量産化全盛期の短編を4作集めたが各作品の繋がりはない。
犯人当て懸賞短編も推理クイズレベル。
量産化の影響と本来の作風から全編共内容は薄い。
ただ、ホームズと永井夕子の夢の競演は嬉しい。

No.349 6点 玻璃の家- 松本寛大 2009/06/16 03:37
"島荘"が一人で選考する賞の初回受賞作らしく、現在の島荘が主張する本格を体現した作品。
その為、無駄に重厚になった現在の島荘から離れた読者には合わない可能性大。
過去から現在まで(4つの時代)謎が散りばめられている。
現在の事件の目撃者である主人公の特異性は丁寧に説明されている。
各事件の謎や繋がりは論理的に解決し、更に"決め手の一撃"まで用意されデビュー作としては高水準にある。
しかし
アメリカが舞台で時代幅もありカタカナ名の登場人物が多数錯綜し読書体力を要する。
"決め手の一撃"で落とすべき人物=この作品本来の犯人が読み始めて直ぐに察せる。
※(ネタバレ)
過去の事件の解明が双子=入替トリックのバリエーションと古臭く、その為に錯綜した相関関係を紐解く解決編がクドい。
そして、疲弊(読み疲れ)して"決め手の一撃"での驚きが相殺されてしまった。
以上をふまえ必読とまで推せない。

No.348 7点 弁護側の証人- 小泉喜美子 2009/06/15 03:32
"驚き"の一冊との評判と再刊行を期に読んでみた。
この手の仕掛けによる"一撃"で読者に驚きをもたらす作品自体が好みから少しズレているのと、少々読みずらかったので7点に据え置いた。
・数多のこの手の作品に先駆けて書かれている。
・(私の読んだ)出版芸術社版ではカバー裏の作品紹介から仕掛けが始まっている。
・仕掛けを上手く隠蔽し文章で違和感を感じさせない。
・この手の仕掛けは先にやった者勝ちで、色褪せない。
以上の点から、好みに合うなら最高点でもおかしくない。
ミステリ好きには必読と思う。

No.347 3点 本格ミステリー・ワールド 2009- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 2009/06/13 20:25
一応はガイド的であるが、あくまで年刊雑誌に過ぎない。
発売時に本屋で立ち読みして読みたい本リストに追加すれば充分。
贔屓の作家が掲載されていたらお薦め作品のチェックや近況も立ち読みしましょう!
発売後半年経てば古本屋の百円棚に並びますので購入するならそれからでも遅くない。
※追記
所蔵しようと思うマニア以外には売れなかったのか?「このミス」・「本ミス」・「早ミス」と違い古本屋の特売棚に並ばない事に最近気付いた(図書館にも所蔵されにくいので、立ち読みも含めて時期を逃すと眺める事すらできない)
それでも所詮、二階堂のオナニー本な「俺ミス」でしかない!

No.346 7点 赤い密室 名探偵星影龍三全集(1)- 鮎川哲也 2009/06/13 16:28
どの作品も書かれた当時には驚きをもたらしたに違いない。
しかし、最近になって読むと既読(視)感が拭えない。
それだけ本格ミステリの手本として至る所で応用されているのだろう。
名作揃いであるが故に、バリエーション作品が溢れる現在に於いて"この作品集"を読む事により楽しさが半減するであろう作品が多々ある点を考慮して読むべきだろう。
新刊をメインに読書を楽しみたい方はこの手の作品集はスルーした方が良いかも・・・。

No.345 6点 白馬館九号室- 鮎川哲也 2009/06/13 12:20
作者の埋もれていた読者挑戦短編を3冊で網羅するシリーズの2冊目。
問題編(8作品)と解答編にキッチリ別れて読者に推理する楽しみを満喫させてくれる。
解説及び作品ノートも楽しい。
古本屋か図書館で見かけたら是非とも手にしたい。

No.344 5点 強奪箱根駅伝- 安東能明 2009/06/11 22:59
箱根駅伝をテーマにしたアスリート小説に誘拐サスペンスを絡めた。
正月の箱根駅伝中継好きならより楽しめる。
テンポ良く読みやすいが、映像化されたら更に楽しめそうな作品。
ネタバレ
想像どうりの結末でなくエグい結末の方が傑作になったと思え残念。

No.343 7点 孤島パズル- 有栖川有栖 2009/06/11 22:46
タイトルに相応しく一つのピースから犯人を特定する論理は読者挑戦物として素晴らしい。
その一方で、ハウダニット面ではトリックらしいトリックすら無く驚きがなく残念。
シリーズキャラも実質二人欠場で盛り上がりにかける。
長短併せ持つが本格好きなら必読。

No.342 5点 龍の館の秘密- 谷原秋桜子 2009/06/10 13:25
シリーズ2冊目
ちゃんと館物になっている。
ジュヴナイルなので大人は手を出しずらいが、偶には本格をサラッと読むのも気分転換によい。

No.341 5点 A先生の名推理- 津島誠司 2009/06/10 11:38
鎌倉在住のA(鮎川?)先生が安楽椅子探偵の連作短編集にデビュー短編を加えた作品集。
不思議な謎を論理的に解決する本格の手本的スタイルだが、今一つ解決編でスカッと出来なかった。
その辺りにこれ一冊で消えた?原因がありそう。
実現不能そうな大技トリックを使うなら“島荘”ばりにシリーズ探偵物で長編に挑戦すれば良かった気がする。

No.340 4点 リッターあたりの致死率は- 汀こるもの 2009/06/09 19:24
メフィスト賞に一度に5作応募したらしいのでこのシリーズもまだ続く。
執筆順と発売順が交差してミステリ度合いの落差が激しい。
今回はミステリ色も濃い目。
更に蘊蓄部分も結構楽しく読める。
デビュー作くらいのレベルには戻った。

No.339 7点 綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー- アンソロジー(国内編集者) 2009/06/09 12:43
これは「アンソロジー」+「ガイド」+“楽屋話”の一粒で三度美味しい企画を本にした。
選ばれた短編も選者達のミステリ論議のネタとして融合し楽しさが増している。
読み手としての自分を見つめ直すのにもよい(ミステリ道のふるさとが同じ乱歩だったのがチョイと嬉しい)

No.338 4点 大穴- ディック・フランシス 2009/06/09 12:25
賭博小説好き競馬マニアでミステリも・・・な自分。
いくら翻訳物とはいえ条件が揃い過ぎ手を出した。
日本で馬券を楽しむ普通な競馬ファンには馴染みがない古い英国の競馬事情に加え「翻訳の壁」は厚かった。
更には、ハードボイルド&アクションなのでNHKで吹き替え放送した本場英国制作ドラマの方が格段に馴染めた記憶がある。
ファジーに楽しむなら、ドラマだけ観て原作をスルーしても何ら問題ない(今ではドラマの方が原作より格段に入手困難なので、古本屋の店頭特売文庫棚にゴロゴロある原作の方がファジーになってしまった)
ドラマでは他作も主人公をシッド・ハレーに改変している。

No.337 6点 蜃気楼博士- 都筑道夫 2009/06/09 06:40
少年向け本格探偵小説集。
初出版は全3話。
少年小説コレクション版はオマケ的推理クイズ小説12話が加わる。
全3話読者挑戦物で、特に“表題作”は少年向けだからとスルー出来ない本格テイスト全開な作品。
作者のあとがきも本格ファンには嬉しい。
少年時代に“これ”に出会っていたら宝物になっていたと思わせる懐かしさがあった。

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江守森江さん
ひとこと

※「読書(ミステリ)は趣味で娯楽」「相容れない主張(嗜好)は、どこまでも平行線」を標榜している。
※多くの作品に接する努力として、映像化作品で済ます等々、ファジーな方法を常に模索している(本質的...
好きな作家
高木彬光、天藤真、平石貴樹、古野まほろ (ミステリーに限定しなければ一番は梶山季之...
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平均点: 5.00点   採点数: 1256件
採点の多い作家(TOP10)
雑誌、年間ベスト、定期刊行物(52)
高木彬光(32)
アガサ・クリスティー(30)
梶山季之(30)
東野圭吾(28)
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