皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
nukkamさん |
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平均点: 5.44点 | 書評数: 2755件 |
No.4 | 5点 | 火刑法廷- ジョン・ディクスン・カー | 2011/01/07 18:29 |
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(ネタバレなしです) 1937年発表の本書(シリーズ探偵は登場しません)は評価が大きく分かれている本格派推理小説で、なぜ賛否両論なのかは最終章のどんでん返しによるものです。このどんでん返しは意表を突かれることは間違いないのですが非常に型破りなため受け入れられない読者がいるのもごもっともで、少なくとも万人受けはしないでしょう。逆にマニア系や評論家からは絶賛されることが多いでしょう。マニア読者レベルに程遠い私はわかる人にはわかるよりは誰にでも受け入れられる方を好むので6点評価になりました。カーを初めて読む人には本書以外から始めることを勧めます。 |
No.3 | 9点 | 死者はよみがえる- ジョン・ディクスン・カー | 2010/12/21 12:42 |
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(ネタバレなしです) 1938年発表のフェル博士シリーズ第8作の本書は典型的な「巻き込まれ型」サスペンス小説のような出だしで始まりますが、死体を発見する羽目になったケントが警察に追い詰められることもなくあっさりフェル博士のもとに辿り着いているのはちょっと物足りなかった(笑)。怪奇趣味もなく不可能犯罪でもなくユーモアやロマンスも控え目で終盤まではとても地味な展開ですが、結末で待ちかまえていたのは驚愕の大仕掛けでした。この仕掛けは反則だという感想も少なくないし、その気持ちもよくわかります。ただ反則であってもこれほどの劇的効果をあげていることはやはり評価に値すると思います。そして最後の最後に明かされる、皮肉に満ち溢れた人間関係が何ともいえない後味を残します。 |
No.2 | 7点 | 眠れるスフィンクス- ジョン・ディクスン・カー | 2010/09/07 19:01 |
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(ネタバレなしです) 1947年発表のフェル博士シリーズ第17作で、カーの作品の中ではそれほど有名ではないようですがなかなかの出来栄えの本格派推理小説だと思います。納骨堂のトリックなどはトリックのためのトリックで終わったような感もありますが、本書の成功要因はTechyさんのご講評で指摘されているように物語性だと思います。大切に思う人が犯人ではないかという疑惑がどんどん増していく展開とどんでん返しの推理が生み出すサスペンスが出色の傑作です。皮肉たっぷりのエンディングも印象的です。それから本筋とは関係ありませんが、過去にフェル博士がもみ消した事件のことが紹介されています。あのもみ消しはしっかりばれていたんですね。フェル博士、立場がやばいんじゃないですか(笑)? |
No.1 | 8点 | 連続殺人事件- ジョン・ディクスン・カー | 2009/04/23 16:13 |
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(ネタバレなしです) 1941年発表のフェル博士シリーズ第13作の本書はカーの特色がてんこ盛りでカー入門書としてお薦めです。つまり不可能犯罪、ユーモア、歴史の薀蓄(うんちく)、オカルト色などが一通り揃っているわけです。スコットランドを舞台にしているからかウイスキーの一気飲み合戦まであるし、時代色(戦時色)も濃厚です。確かアイザック・アシモフだったかが本書のメイントリックは実現不可能だと批判したそうです。もっとも本書を読んだ当時の私はそんなこと全く知らず、面白いトリックだなと感心してました。トリックに減点要素があるにしても傑作のユーモア本格派推理小説だと思います。どたばたとお笑いの連続の中に謎解き手掛かりを巧妙に隠す手段はさすが巨匠ならではです。 |