皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
nukkamさん |
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平均点: 5.44点 | 書評数: 2814件 |
No.474 | 5点 | 高慢と偏見、そして殺人- P・D・ジェイムズ | 2014/08/31 23:53 |
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(ネタバレなしです) 2011年発表の本書がP・D・ジェイムズ(1920-2014)の最後の作品になりました。作者が90歳を過ぎての作品ということも驚きですが、内容がジェーン・オースティンの「高慢と偏見」(1813年)の続編であったことに驚かされました。「高慢と偏見」を読んでなくてもある程度の粗筋は作中で紹介されていますので問題はありませんが、やはり事前に読んでおいた方がどれだけジェイムズがオースティンの作風に近づいているかを楽しめたでしょう(私はオースティン作品を未読なのでできませんでした)。人物や舞台そして時代性の丁寧な描写はさすがですが、犯人が誰かという謎解きよりもある家族問題とその結末の方に重点を置いた物語になっています。これをミステリーと純文学の高度な融合と評価するか、どっちつかずの中途半端な作品と評価するか微妙です。ミステリーばかり読んでいる俗物の私にはミステリーとしては薄味な作品に映りましたが。 |
No.473 | 6点 | 眠りをむさぼりすぎた男- クレイグ・ライス | 2014/08/31 14:06 |
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(ネタバレなしです) マイケル・ヴェニング名義で1942年に発表された本格派推理小説です。ヒッチコックの映画版でも有名なジャック・トレバー・ストーリィの「ハリーの災難」(1949年)に影響を与えたかと思うようなユニークなプロットが印象的です。不安を抱えたまま何事もなかったかのように振舞う登場人物描写がじわじわとサスペンスを盛り上げ、どこで破局点を迎えるのか読者をはらはらさせます。謎解きは読者には知らされず探偵役だけが事前に承知していた伏線があって、通常は作品の弱点になるのですが本書は例外で、この技巧的なプロットでは仕方ないと弁護します。 |
No.472 | 8点 | フォークランド館の殺人- ケイト・ロス | 2014/08/31 13:54 |
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(ネタバレなしです) 1995年発表のジュリアン・ケストレルシリーズ第3作で、何かが凄いというのではないのですが、物語と謎解きのバランスが非常にすばらしい本格派推理小説です。トリックや手掛かりといった個別ポイントでは高くなくとも総合ポイントでは高く評価できます。人物描写も米国作家とは思えぬほど(失礼)きめ細かいです。最後の2章で描かれた、二つの後日談の対照が強く印象に残ります |
No.471 | 4点 | 蛹たちは校庭で- 釣巻礼公 | 2014/08/31 13:26 |
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(ネタバレなしです) 電機メーカーで技術系社員として20年以上勤務した釣巻礼公(1951年生まれ)の1996年発表の長編デビュー作ですが理系要素は全くなく、子供から大人への過渡期である中学生を主人公にした青春小説要素を含む本格派推理小説です。リアルな人物描写とまでは思わないまでも多感な性格描写はそれなりの出来栄えだと思います。残念ながら謎解きには不満点があります。将棋のパズルは事件の謎解きに関係あったのかよくわかりませんでした。まあそれは私の理解力不足もあると思うし、大きな問題点ではありません。(個人的に)大いに不満なのが第5図から第6図への変化。視点を変えるのはいいのですけど、「描きなおし」は感心できません。証拠に手を変えるのがありならいくらだって作者都合で好き勝手な解決を創り出すことができ、読者に対してアンフェアな謎解きの印象を与えてしまいます。 |
No.470 | 6点 | 跡形なく沈む- D・M・ディヴァイン | 2014/08/29 17:38 |
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(ネタバレなしです) 「三本の緑の小壜」(1972年)から久しぶりの1978年に発表された本書がディヴァインの生前に発表された最後の本格派推理小説となりました。創元推理文庫版の巻末解説で指摘されているように謎解きの完成度は(ディヴァインとしては)粗削りと思いますが、多彩な人物描写と彼らが織り成すドラマで読ませます。ルース、ケン、ジュディ、そしてハリー(部長刑事)と視点が何度も切り替わります。後半登場の脇役ながら実は安楽椅子探偵的な役割を果たしている女性の存在感も印象的です。この人に全部の謎解き説明をさせていれば一本芯の通った謎解きになったと思いますが。 |
No.469 | 6点 | チャーリー・チャン最後の事件- E・D・ビガーズ | 2014/08/29 17:26 |
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(ネタバレなしです) 1932年発表のシリーズ第6作となった本書がE・D・ビガーズ(1884-1933)の最後の作品となりました。英語原題は「Keeper of the Keys」で、別に最終話的な演出はありません。登場人物はそこそこ多いですが、通常は最後まで容疑者は容疑者として扱うところを何人かは早い段階でチャンが容疑者から外していくのが珍しいプロットでした。後味のいい締めくくりはこの作者ならではです。しかしオリジナル小説はわずか6作しか書かれなかったのに、作者の死後も映画が作り続けられてその数は40本近いというのですから今では想像できないほどの人気があったのですね。 |
No.468 | 5点 | 水平線の男- ヘレン・ユースティス | 2014/08/29 16:56 |
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(ネタバレなしです) 米国のヘレン・ユースティス(1916-2015)は本書の他にもう1冊しかミステリーを書かなかったそうですが、1946年発表のデビュー作である本書は発表当時、その大胆なアイデアが大変な騒動を巻き起こしたことでミステリ-史に名を残しました。一般的には本格派推理小説として評価されていますが、心理サスペンス的な味付けもあります。特定の主人公を置かないプロットは結構読みづらく、殺人事件なのに警察が全く登場しないのも違和感を感じさせます。最後に明かされる真相は確かに当時としては前衛的でさえあったでしょう。とはいえ前衛は前衛、一般受けは難しいと思います。 |
No.467 | 6点 | 死のバースデイ- ラング・ルイス | 2014/08/29 16:29 |
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(ネタバレなしです) 1945年発表のタック警部補シリーズ第4作の本格派推理小説です。miniさんの講評通りで、舞台がハリウッド、登場人物に脚本家、映画プロデューサー、女優などを揃えていれば大仰な表現や派手なやり取りがありそうなものですが、それほど派手さはありません。しかし静かな会話中心の展開ながらドラマチックな要素をたっぷり含んでいて全く退屈させず、謎解きのサスペンスもちゃんと維持しています。人物の性格描写に優れており、タック警部補の推理も心理分析に重きを置いたものです。論創社版の翻訳に誤字が散見されたのが残念(「夫人」を「婦人」、「余談」を「予断」と記述しています)。 |
No.466 | 5点 | 黄金の灰- F・W・クロフツ | 2014/08/29 16:14 |
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(ネタバレなしです) 1940年発表のフレンチシリーズ第20作の本書はタイトルに黄金を使っていますが豪華絢爛な場面など微塵もなく、地味なクロフツ作品の中でも屈指の地味な作品だと思います。何しろ失踪事件と出火事件がメインの謎なのですから。前者については生存が絶望視されているとはいえ、その結果がはっきりするのは終盤近くというもどかしい展開です。事件性がなかなか見えてこないためフレンチの捜査も手探り感が強いのももどかしさに拍車をかけています。第19章でフレンチが謎解きの手掛かりは全てフェアに提示されているかのような発言をして本格派好き読者の心をくすぐりますがその説明は犯行の再現に終始しているばかりでどうやってその結論を導き出したかについては説明不足な気がします。 |
No.465 | 8点 | エッジウェア卿の死- アガサ・クリスティー | 2014/08/29 15:38 |
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(ネタバレなしです) クリスティーはプライヴェートの問題(謎の失踪事件)の後、精彩を欠いていたともいわれますが1933年に発表されたエルキュール・ポアロシリーズ第7作の本書では完全に復調していると思います。どんでん返しの連続で容疑が転々とするスリリングな謎解きを堪能できます。ちょっとなじみにくい手掛かりもありますが全体の中では大きな問題ではありません。なお米国版(創元推理文庫版)は「晩餐会の13人」というタイトルで出版され、こちらの方が魅力的なタイトルではありますが13人をきっちり描き分けていないので地味ながら英国版の「エッジウェア卿の死」の方が適切なタイトルかと思います。 |
No.464 | 6点 | 死への落下- ヘンリー・ウエイド | 2014/08/28 19:08 |
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(ネタバレなしです) ウェイド後期の作品である本書(1955年発表)は、シリーズ探偵の登場しない本格派推理小説です。本格派ではありますが大勢の容疑者から犯人を絞り込むオーソドックスなタイプでなく、ある有力容疑者は果たして犯人なのかどうかが謎の中心になっています。サスペンスには乏しいし、終盤になると数字が沢山出てきてちょっと頭が痛くなりますが、それでも意外とテンポよく読める作品でした。登場人物の心理描写はそれほど細かくはないのですが、ちゃんとキャラクター分けができているところにウェイドらしい手堅さが発揮されています。意味深な最後の一行は賛否が分かれるかもしれません。 |
No.463 | 5点 | 死の信託- エマ・レイサン | 2014/08/28 18:06 |
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(ネタバレなしです) ニューヨーク・タイムズが「ウォール街のアガサ・クリスティー」と賞賛したエマ・レイサンは2人の米国人女性メアリー・J・レイティス(1927-1997)とマーサ・ヘニッサート(1929年生まれ)によるコンビ作家で、1961年に本書でデビューしてからレイティスが亡くなる1997年までに30冊以上のミステリーを書いています。二人とも専業作家ではなくレイティスは政府機関、ヘニッサートは民間企業に勤務し、しかも両者とも経済学に通じていたこともあってか創作の中心を占めるサッチャーシリーズ(24冊書かれました)は探偵役が銀行家という珍しいタイプの本格派推理小説です。各章のタイトルが「元利」に始まり「支払い請求書」に終わる経済用語構成だったのにはぎょっとしましたが物語の内容には全く関係ありませんでした。経済用語は使われてはいますが状況把握できないほど多くはないし、軽妙で洗練された文章のおかげで案外と読みやすいです。ぎりぎりまで真相を明かさないプロットになっていますが結末はやや唐突感が拭えません。サッチャーが真相にたどりつく決め手にしたと思われる、現場から持ち去られた手掛かりの正体を読者が事前に推理するのが難しいからではないかと思います。 |
No.462 | 5点 | テンプラー家の惨劇- ハリントン・ヘクスト | 2014/08/28 17:35 |
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(ネタバレなしです) ハリントン・ヘクストはイーデン・フィルポッツ(1862-1960)の別名義です。本書は1923年発表の本格派推理小説でフィルポッツ名義の「赤毛のレドメイン家」(1922年)との類似点もありますがテンペラー家の人々の描写にかなりのページを割いている点は本書の特色でしょう。もっとも内容は人生観や価値観の主義主張が多く、普通の意味での家族の会話を期待すると肩透かしを食らいます。国書刊行会版の巻末解説にもある通り、犯人当てとしてはアンフェアです。但し最後に残った容疑者数が少ないため犯人は当てやすいです。評論家がよく誉めている「風変わりな動機」は人によって感じるところは色々でしょうが珍しいことは確かです。kanamoriさんのご講評の通り、この内容で本格派推理小説として仕上げたのが作者の失敗かもしれません。 |
No.461 | 5点 | いつ死んだのか?- シリル・ヘアー | 2014/08/28 17:25 |
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(ネタバレなしです) 1958年、シリル・ヘアー(1900-1958)の死の年に発表された遺作の本格派推理小説です。結局長編ミステリーはマレット警部単独作品3作、ペティグルー単独作品2作、両者共演作3作、非シリーズ作品1作の9作のみしか残しませんでした。本書は両者共演作品でマレット警部は既に警察を引退しています。この作者らしくゆったりした展開で、そこにペティグルーの思い出のもやもや感が重なって前半はやや退屈でした。しかし法廷場面あたりから盛り返しています。作中で言及されているように某古典ミステリーのプロットを下敷きにしながらも更にもう一段仕掛けが用意してあるのが作品としての個性になっています。 |
No.460 | 5点 | 殺意- ビル・プロンジーニ | 2014/08/28 16:56 |
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(ネタバレなしです) アメリカのビル・プロンジーニ(1943年生まれ)は名無しの探偵シリーズで有名なハードボイルド作家ではありますが謎解きにも配慮した作品もいくつかあるそうで、1973年発表のシリーズ第3作の本書は作者自身も出来栄えに満足した初期代表作とされています。私は本格派推理小説を偏愛していてサスペンス、ハードボイルドを敬遠している読者なので、本書を読んだのも謎解きに配慮した作品だからという、いささか不純な理由です。もっとも本書に本格派推理小説を期待するのはやはり誤りで、古い(架空の)探偵小説の手掛かりがなかなか魅力的に映りましたが、結局推理に頼らずに解決されてしまいました。犯人当ての謎解き伏線は用意されているとはいえ、やはり本書はハードボイルドだと思います。暴力シーンがほとんど描かれないので、ハードボイルドをアクションスリラーと(勝手に)思い込んでいる自分にはそれなりに新鮮でした。 |
No.459 | 6点 | 切り裂かれたミンクコート事件- ジェームズ・アンダースン | 2014/08/28 16:32 |
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(ネタバレなしです) 「血染めのエッグ・コージイ事件」(1975年)の続編にあたる1981年発表の本格派推理小説です。前作のネタバレはありませんが登場人物の一部が共通しているので先に前作を読んでおくことを勧めます。前作のような大トリックこそありませんが黄金時代の本格派推理小説を髣髴させる、絢爛たる謎解きが楽しめるのは本書も一緒。名前だけながら先人作家の名探偵が作中で引き合いに出されるぐらいですから。ユーモアも健在で、23章の終わりでは思わず笑ってしまいました。 |
No.458 | 5点 | チベットから来た男- クライド・B・クレイスン | 2014/08/28 15:54 |
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(ネタバレなしです) クライド・B・クレイスン(1903-1987)は米国本格派推理小説の黄金期に活躍した作家の一人で、わずか6年の間に10作のウェストボロー教授シリーズを残しましたが1938年発表の本書はその代表作とされるシリーズ第5作の本格派推理小説です。トリックメーカーとして評価されているようですが、トリックメーカ-として名高いジョン・ディクスン・カーやクレイトン・ロースンが犯人当てを補完するためのトリックであることが多いのに対して本書は犯人の正体については駆け足気味に説明が終わり、密室トリックの解明にクライマックスを持ってきているのがユニークです。結構大掛かりなトリックで苦心の跡がみられますが、感銘するかは読者によってまちまちかもしれません。チベットにまつわる知識が豊富に盛り込まれ、異国情緒と神秘性に溢れているのも特色になっています。ただ雰囲気演出はいいのですが物語としての起伏に乏しく人物描写も上手くないので読みやすくはありませんでした。 |
No.457 | 6点 | 百万長者の死- G・D・H&M・I・コール | 2014/08/28 13:09 |
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(ネタバレなしです) 経済学者としても有名でその方面の著書もあるG・D・H・コール(1889-1959)と、その妻で労働研究所やフェビアン協会(100年以上の歴史を持つ、イギリス労働党に影響の大きい社会主義団体)などで働いたマーガレット・コール(1893-1980)は本格派黄金時代に夫婦共著で30作近いミステリーを発表しました(デビュー作の「ブルクリン家の惨事」(1923年)は例外的に夫の単独執筆単独名義です)。夫婦名義の第1作となる本書は1925年に発表されたウィルスンシリーズ第2作で、代表作とされています。kanamoriさんの講評通りで、舞台がロンドンからフランス、ポーランド、シベリアと色々変わるのですが旅情を感じさせる描写になっていません。展開が遅い上にウィルソンが目立たない第一部は少々退屈です。事件が経済界に与えた影響やそれを巡っての駆け引きが描かれているのは作品の個性ですが、一般読者受けするかというと微妙な気がします。第二部は充実しており、サスペンス豊かとは言えませんが複雑かつスケールの大きな事件背景は独創的です。それ以上に結末のつけ方はマニア読者向けかと思えるほど異色でした。あとウィルスンが本書で警察を辞職して私立探偵になるというのも驚きで、レオ・ブルースのビーフ巡査部長やピーター・ラヴゼイのダイヤモンド警視の先駆けだったのですね。 |
No.456 | 7点 | セイレーンは死の歌をうたう- サラ・コードウェル | 2014/08/28 12:16 |
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(ネタバレなしです) 前作「黄泉の国へまっしぐら」(1984年)から5年ぶりの1989年に発表されたティマー教授シリーズ第3作です。900万ポンド以上の財産を巡って管財人ばかり揃って肝心な受益者不在(不明)という珍しい設定で物語が始まります。信託財産に税法という私には難解な専門知識になじめませんでしたが、それは些細な問題でした。ユーモアと冒険色の濃厚なストーリーの流れに身を任せるとあっという間に読み終えました。特にカントリップの叔父さんが実にいい味を出していて、痛快極まりないです。kanamoriさんの講評の通りで、ミスディレクションが効果的な謎解きにも満足できました。 |
No.455 | 5点 | ドリームタイム・ランド- S・H・コーティア | 2014/08/28 12:06 |
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(ネタバレなしです) 日本ではほとんど無名に近いシドニー・ホブスン・コーティア(1904-1974)はあのアーサー・アップフィールドと共にオーストラリアの本格派推理小説家の雄と評されています。1959年発表のヘイグ警部シリーズ第2作の本書はオーストラリアの先住民の神話の世界を再現するテーマ・パークを舞台にしての事件捜査を描いた本格派推理小説です。犯人当てとしてはちょっと気に入らない点がありますが神秘的かつ原始的な雰囲気が独特の個性を生み出しています。 |