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makomakoさん
平均点: 6.18点 書評数: 861件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.24 5点 天鬼越- 北森鴻 2016/06/04 18:57
 北森氏は好きな作家なのですが、唯一蓮杖那智シリーズはあまり好みではありません。主人公の人を人と思わない冷たい感じと、民俗学者のくせにきちんと敬語がしゃべれない(しゃべらない?)のがどうも気になるのです。でも北森氏の最後の作品となるとやはり読まねば、と思って読みました。良いのと悪いのが混在した短編集のようです。
 作品を追加した浅野氏は北森氏のために一生懸命書いてくれたのでしょう。ただ主人公の蓮杖那智は、男が書かないとこんな態度でなぜ許されるのかがうまく出せないのでしょう。美人で頭もよく、でも傍若無人。女からはどうしてこれで許されるのかが多分わからないのかも。

No.23 5点 邪馬台- 北森鴻 2014/05/03 08:06
 北森氏逝去により未完となった作品を浅野里沙子氏が書き継ぎ完成させた大作。邪馬台国と忽然と消失した村に伝わる文献の謎解きという魅力的なテーマに果敢に挑んだ野心作ではある。しかし完成に持ち込んでくれた浅野氏には申しわけないが、途中からえらくご都合主義となり腰砕けとなってしまったのは残念です。
 北森氏は好きな作家ですが、蓮杖那智が好きでないのでこのシリーズのみ読み残していました。魅力的な内容なのにやたらな暴君の主人公にペコペコの助手というのが面白くない。読んでいるとだんだん腹が立ってきて、とても主人公に肩入れできないのです。他のシリーズのメインキャラクターで本作にも出てくる性悪の冬狐や越間なんかは大好きなんですがねえ。

No.22 8点 虚栄の肖像- 北森鴻 2011/09/21 12:01
佐月シリーズの第2弾。3つの短編が連作のように絡み合い、花氏であり絵画修復師という魅力的な主人公の過去が少しずつ明らかになっていく。物語の謎のに伴って大変興味深い。少し暗い感じもしますが個人的には非常に好きな短編集です。

No.21 6点 暁英- 北森鴻 2011/09/12 21:20
 北森氏の最後の長編。完成すれば大長編となったのだが。それでも大体のなぞについての手がかりは書き残してくれているので結末は想像がつく。もっとも氏の事だから大どんでん返しがあるのかもしれなかったが。
 鹿鳴館のなぞについて深く掘り返すだけでなく、西南戦争や大久保の暗殺に対しても極めて特異な解釈がされており作者の並々ならぬ歴史観が伺える。ところが話はあんまり面白くないのだ。北森鴻ならもっといくらでも面白くかけただろうに。氏の小説としては珍しく読んでいて退屈になってしまった。読者に対するサービス精神旺盛な作者であったが、最後の長編となったこの小説では自分が書きたいことのみを書いていったのだろうか。

No.20 7点 なぜ絵版師に頼まなかったのか- 北森鴻 2011/07/31 07:42
北森氏得意の連作。話は明治初期の東京大学雇われ外国人に仕える冬馬が中心となって周囲におきる事件を順々に綴っていく。はっきり言って推理小説としては若干弱いところがあるが、作者の巧みな筆により昔学校で習った(と記憶する?)有名外国人たちがそれぞれが極めて特徴的でもあり、日本と日本文化とんでもなく愛していたことがほほえましく描かれている。愛すべき小説でした。

No.19 5点 ちあき電脳探偵社- 北森鴻 2011/02/28 18:24
北森鴻の幻の美少女探偵小説と銘打ってインターネットで販売されたので迷わず購入した。届いてみるとえらく大きな活字であとがきを見ると、ななんと小学3年生に連載されたとあるではないか!。本屋で見たら買わなかったなあ。インターネットは便利だが、本の中まで見えないのでこういうこともあるのだ。子供向きなのですらすらと読めるしまあ面白いのだろうが、探偵小説好きのおじさんにはちょっともの足りない。小学生の親戚の子にあげよう。きっと喜びそう。

No.18 4点 共犯マジック- 北森鴻 2010/07/11 17:47
北森鴻は好きな作家であるがこれは私にはあわなかった。悪いことのみが当たる占いのお話なんてだいたいがいやな感じがする上に結末ももうひとつすっきりしない。

No.17 6点 冥府神の産声- 北森鴻 2010/07/04 13:23
北森鴻らしくよく出来た小説と思うが、このお話はどうもすっきりしないところがある。物語があちこちの部分ですこしずつあいまいになっており本格推理といった感じは薄い。それでも十分に楽しめることは楽しめる。ただ医学系の話は自分がかかわりがあるせいかどうしても穴が見えてしまい楽しみが半減する。そういった穴を気にせずに読めば結構面白いと思うのだが。それにしても解剖学者が先端の移植医に突然なるのは無理なんじゃないかなあ。

No.16 8点 闇色のソプラノ- 北森鴻 2010/05/05 16:26
 二転三転する複雑なストーリー。こんなに込み入った話だと読み難くなってしまうところをさらさらと読ませる。作者の能力が高いのだろう。北森鴻は短編の名手として知られるが長編を書くと時々こんな複雑なお話を作り出す。単に推理小説としても優秀なだけでなく詩情もあふれてすばらしい。好みの小説です。
 減点は消化器外科教授の下に精神科医がいるという大学医学部では絶対ありえない設定と最後がちょっとつらいこと。

No.15 7点 顔のない男- 北森鴻 2010/04/25 10:54
連作のような長編のような複雑な形態の上読み進むにつれ話が二転三転と込み入ってくる。文章がうまいのでさらさらとは読めるが、複雑な話なので途中で意味がよく分からなくなって読み返すこととなった。作者の仕掛けに注意を払いつつじっくり読めばミステリー好きなら面白いと思う人も多いだろう。最後のどんでん返しもなかなかすごい。

No.14 6点 屋上物語- 北森鴻 2010/04/19 21:32
なかなか凝ったいかにも北森鴻らしい作品。文章も雰囲気もよいので後味はあまり悪くないような錯覚を受けてしまうが、結構救われない話や残酷な結末なのでしばらくしてちょっと待てよといった感じとなる。北森氏は好きな作家であるがこの作品はどちらかというと好きなほうではない。でも奇抜なアイデアで違った主人公の視点からこのような連作を作ってちゃんと読ませることが出来る作者の力量は相当なものだと感心する。

No.13 5点 支那そば館の謎- 北森鴻 2010/04/10 20:10
「ぶぶ漬け伝説の謎」を先に読んだので馬鹿っぽいキャラクターに慣れたせいかすらすら読めた。それなりに面白いが、ミステリー度は低く主人公の魅力で読ませる北森作品としてはあまり評価できない。ストーリーも読んだ傍らから忘れてしまいそうなお話でインパクトに乏しい。

No.12 5点 ぶぶ漬け伝説の謎- 北森鴻 2010/04/03 07:31
北森鴻の短編集は謎を解くというより登場人物の会話と雰囲気や薀蓄を楽しむといった要素が大きいので、読者にとって登場人物がいかに気に入るかによって作品の楽しみが大きく変わる。このシリーズは魅力的な登場人物が多い北森作品の中ではちょっと馬鹿っぽいキャラクターに振りすぎており残念ながらあまり好みではない。美意識と孤独感を内に備えた人物の小説を書いているとこんなタイプのも書きたくなったのだろうか。

No.11 5点 写楽・考- 北森鴻 2010/03/11 22:56
 北森のシリーズはほとんどが読み進むにつれて興味深くなる傾向にあるのだが、この蓮丈那智シリーズは残念ながらだんだんつまらなくなってしまった。主人公にシンパシーがわかないせいであろうか。それとも歴史や民俗学はなまじ興味を持っている分野だけにあらが見えてしまうためなのか。
 物語としての出来はそんなに悪くないと思うのですが。

No.10 6点 触身仏- 北森鴻 2010/03/08 21:58
北森のメインキャストはいずれも魅力的でそれが彼の作品を好む大きな理由となっているのだが、残念ながら蓮丈那智はあまり好きなキャラクターではない。他のキャラクターがかもし出す孤独感や隠れた愛情が薄いからかもしれない。古典も民俗学も好きなテーマなので期待できそうなのだが、かなり強引なストーリー展開にはちょっとついていけないところがある。これだけの話を短編で比較的短い時間に何編もかくのは大変だったのだろう。北森の才能からすればもう少し推敲して長編にしてくれたらもっとすばらしいものとなったのではないかと思うが、若くして亡くなられたのでもはや望むべくもない。残念。

No.9 7点 瑠璃の契り- 北森鴻 2010/02/27 22:27
緋友禅につぐ冬狐堂宇佐見陶子シリーズの連作。相変わらず雰囲気がよくうまく仕上げてある。北森鴻は独特の世界を描き出すがそれが自分の好みと合っていればとても楽しめる。骨董は好きなのでこのシリーズは読めば必ず満足するが、ストーリーのインパクトはあまり強くない。黒髪のクピドが一番好きかな。

No.8 7点 緋友禅- 北森鴻 2010/02/27 22:18
北森鴻の小説は主人公の魅力が大きな要素となっているように思える。冬狐堂こと宇佐見陶子はそのなかでも好きなキャラクター。深い情ときつい仕打ちが交差するところはなんともいえません。この連作はミステリーとしてはまずますていどだが、雰囲気と薀蓄を楽しむならとてもすばらしい。先日作者が若くしてなくなったことが惜しまれます。

No.7 6点 メビウス・レター- 北森鴻 2010/01/24 15:10
入り組んだ構造でいろいろなトリックが盛り込まれたかなり複雑なストーリー。この頃の作者はまだ若く懸命に考えて書き込んだことは間違いないが、だからこそミステリー好きのなかでも好き嫌いが分かれそう。悪くはないと思うが、私としてはもっと後の北森の作品のほうが好きかな。

No.6 8点 螢坂- 北森鴻 2010/01/17 10:22
 香菜里屋シリーズはきれいな表題名が多いが、「蛍坂」とはまたきれいな表題で内容もそれに劣らず美しい。「雪待人」もとても素敵だ。このシリーズのなかで最も美しい作品と思う。残念ながらその他の作品がやや落ちるので採点はこのぐらい。

No.5 8点 桜宵- 北森鴻 2010/01/17 10:14
 香菜里屋シリーズで出てくる謎は殺人などのような大事件はほとんど無い。すべて店に来る人が持ち込む日常に起こりうるような出来事を常連さんたちがいろいろ推理していき、最後に名探偵の店の主人が解決するというパターンの話。連作となると途中で飽きて仕舞いがちであるが、読み進むにしたがって常連さんたちが親しく感じられ、暖かくそして孤独で寂しい世界へ引き込まれる。作者の力量が高いのだろう。ちょっとはまってしまった。
 

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makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
採点傾向
平均点: 6.18点   採点数: 861件
採点の多い作家(TOP10)
高田崇史(34)
樋口有介(30)
有栖川有栖(29)
アガサ・クリスティー(29)
東野圭吾(28)
太田忠司(27)
東川篤哉(25)
北森鴻(24)
今邑彩(17)
米澤穂信(17)