皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.121 | 6点 | ふたたび赤い悪夢- 法月綸太郎 | 2010/03/05 22:24 |
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全体としてみればよく練られたストーリーで悪くないと思います。今回は結末も救われる話なので読後感は悪くない。しかし作品の最初からぐだぐだと暗い話が続き、作者の根暗と気の滅入り方につき合わされうんざりしてしまう。以前に読んだときはさほど思わなかったが、10年以上たって再読した今回は変に教養があるために余計落ち込む作者に嫌気がさしたことは否めない。このあたりの話を削って長さを3分の2ぐらいにしたらきっとすばらしい本格推理小説となったに違いないのだが。 |
No.120 | 7点 | ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!- 深水黎一郎 | 2010/03/01 21:20 |
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すごいトリックだと思いますよ。読者が犯人といったものはまず無理なんだけどこれならまあ納得できるのではないでしょうか。作者の知力と能力にまず賞賛を。もちろんいろいろな点で無理もあるので減点もやむをえないけど最近無難にまとめた作品や無茶苦茶の作品が多いなかで出色の出来でしょう。こんな作品をもうひとつというのは難しそうだけど期待してしまいます。 |
No.119 | 7点 | 瑠璃の契り- 北森鴻 | 2010/02/27 22:27 |
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緋友禅につぐ冬狐堂宇佐見陶子シリーズの連作。相変わらず雰囲気がよくうまく仕上げてある。北森鴻は独特の世界を描き出すがそれが自分の好みと合っていればとても楽しめる。骨董は好きなのでこのシリーズは読めば必ず満足するが、ストーリーのインパクトはあまり強くない。黒髪のクピドが一番好きかな。 |
No.118 | 7点 | 緋友禅- 北森鴻 | 2010/02/27 22:18 |
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北森鴻の小説は主人公の魅力が大きな要素となっているように思える。冬狐堂こと宇佐見陶子はそのなかでも好きなキャラクター。深い情ときつい仕打ちが交差するところはなんともいえません。この連作はミステリーとしてはまずますていどだが、雰囲気と薀蓄を楽しむならとてもすばらしい。先日作者が若くしてなくなったことが惜しまれます。 |
No.117 | 5点 | カンナ 戸隠の殺皆- 高田崇史 | 2010/02/21 09:41 |
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カンナシリーズはいろいろな場所が舞台となっているが今回は戸隠。何度も訪れた大好きなところなので期待したが残念ながらあまりぱっとしなかった。こういった歴史推理は斬新な歴史アイデアがないと成立しにくいため、やはり量産は無理なのだろうか。推理物としても歴史物としてもインパクトに乏しくだれ気味。シリーズが出ると必ず買っていたがもう止めようかなと思えてくる。高田氏のひいきを入れてこの程度の評価です。 |
No.116 | 6点 | 死神の座- 高木彬光 | 2010/02/17 18:44 |
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30年ぶりぐらいに読み直してみた。ストーリーはすっかり忘れて再読という感じではなくそれなりに楽しめた。逆に言えばはじめて読んだときの感想がほとんど心に残らなかった作品とも言える。
占星術、かぐや姫のパロディー、さまよえるオランダ人、暗号解読と盛りだくさんそして舞台は昔懐かしい軽井沢とサービスがしてある割にはもうひとつ内容の濃さが感じられない。目だったトリックがなくストーリがやや単調だからなのかもしれない。推理小説としては正統的で読んでいて決して不愉快でもなく退屈でもないのでまずますといったところ。 |
No.115 | 8点 | 過ぎ行く風はみどり色- 倉知淳 | 2010/02/11 15:37 |
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きちんとした推理がありトリックもちゃんとしている。人物もそれなりに描いてあるしロマンチックなところにも過不足ない。猫丸先輩はあまり好きな探偵ではないが、でも嫌いでもない。霊媒やそれを暴こうとする超常現象の研究者など怪しげな人物も登場しなかなか面白い。読後感も悪くない。
要するによく出来た推理小説なのだと思う。今まで読んだ倉知淳の小説の中で一番よかった。なのに満点でないのはすべてに平均点以上といった優等生的なところでインパクトに少しかける気がするからかな。 |
No.114 | 6点 | 林檎の木の道- 樋口有介 | 2010/02/07 09:14 |
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「ぼくとほくらの夏」とほとんど同じ感じ。登場人物も名前は違うが原則的に同じ。もちろんストーリーは違うのだが続けて読むと何だか同じ小説を繰り返し読んでいるような感じになる。シリーズものならだんだん主人公や周辺の人たちに愛着を感じるてくることも多いのだが、違う小説で同じような内容だと作者の限界を感じてしまう。
読書感のよい小説なのだが二番煎じといった感じを受けたので評価はこの程度。 |
No.113 | 9点 | エコール・ド・パリ殺人事件- 深水黎一郎 | 2010/01/27 23:09 |
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面白かった。エコール・ド・パリの絵画と事件が密接に結びついていて、びっくりするような手段が用いられていたりして、そしてなによりエコール・ド・パリ派への主張のある解説にもなっていたりして、ちょっと得をしたような気分にさせられる。私は絵画が好きなのでとても楽しく読みました。
スーチンはどうかなあ。あんなへんてこな絵を飾っていつもみていたら頭が変になりそう。佐伯も個展で沢山の作品をみたときには暗くて重い訴えが強烈でぐったりしてしまった。家に飾るならやっぱりモジリアニのほうが良いが、といういのは素人の感覚なのでしょうね。 |
No.112 | 6点 | メビウス・レター- 北森鴻 | 2010/01/24 15:10 |
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入り組んだ構造でいろいろなトリックが盛り込まれたかなり複雑なストーリー。この頃の作者はまだ若く懸命に考えて書き込んだことは間違いないが、だからこそミステリー好きのなかでも好き嫌いが分かれそう。悪くはないと思うが、私としてはもっと後の北森の作品のほうが好きかな。 |
No.111 | 8点 | ぼくと、ぼくらの夏- 樋口有介 | 2010/01/20 21:07 |
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こういった青春春推理小説は何といっても爽快さと若さゆえのほろ苦さにどれだけ共感できるかが私にとって大切なところ。そういった観点からするとこの小説はとても共感できる。読み始めるとなかなか止まらず久しぶりに深夜まで読みふけってしまった。作者が同世代でもありそういった共感度が高いこともあるかもしれない。
多少の違和感は高校生でみんながタバコを吸うは酒は飲むわといったところと主人公が高校生なのに恋人に対して実にさめた冗談をしばしば口にするところ。こんなかっこいい表現はもう少し経験をつまないと出来ないような気がするのだが(まあできるひともいるかもしれない。きっとそんな子はもてたんだろうなあ)。 |
No.110 | 8点 | 螢坂- 北森鴻 | 2010/01/17 10:22 |
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香菜里屋シリーズはきれいな表題名が多いが、「蛍坂」とはまたきれいな表題で内容もそれに劣らず美しい。「雪待人」もとても素敵だ。このシリーズのなかで最も美しい作品と思う。残念ながらその他の作品がやや落ちるので採点はこのぐらい。 |
No.109 | 8点 | 桜宵- 北森鴻 | 2010/01/17 10:14 |
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香菜里屋シリーズで出てくる謎は殺人などのような大事件はほとんど無い。すべて店に来る人が持ち込む日常に起こりうるような出来事を常連さんたちがいろいろ推理していき、最後に名探偵の店の主人が解決するというパターンの話。連作となると途中で飽きて仕舞いがちであるが、読み進むにしたがって常連さんたちが親しく感じられ、暖かくそして孤独で寂しい世界へ引き込まれる。作者の力量が高いのだろう。ちょっとはまってしまった。
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No.108 | 9点 | 花の下にて春死なむ- 北森鴻 | 2010/01/13 21:49 |
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短編連作推理ものは謎解きにかけるスペースが少ないのでどうしても問題と回答といった小説となりがちであまり好みではなかったが、この小説はとても切れ味がよくしかもかくし味も効いていて作者の力量が並々ならぬものであることを知らされた。 |
No.107 | 7点 | 吾輩はシャーロック・ホームズである- 柳広司 | 2010/01/13 21:36 |
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パスティーシュは作者の思い入れがたっぷりと入るため、読むほうの感覚が一致しないとどうしてもしらけてしまう。この作品はよく出来ていると思うが、原作に対して私が抱いている感覚と多少異なるところもあるためかしっくりこないところもあった。面白いは面白いのですがね。 |
No.106 | 8点 | 深淵のガランス- 北森鴻 | 2009/12/31 09:28 |
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このシリーズの探偵佐月恭壱は作者の薀蓄がたっぷりと入っているにもかかわらずいやみでなく、何となく暖かくしかも覚めて孤独な興味深いキャラクター。文庫本では表題作と血色夢の二つの中篇と凍月という短編が入っているが、深淵のガランスがことに好きだ。ストーリーもよいが雰囲気も楽しめる素敵な小説だと思う。 |
No.105 | 7点 | 月夜の晩に火事がいて- 芦原すなお | 2009/12/29 19:16 |
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作者得意の讃岐の田舎が舞台。登場人物が素直で好感が持てる。主人公ふーちゃんはちょっと気弱で心も病んでいる(ここがミミズクとオリーブとちょっと違う)が、何とか解決にたどり着くストーリー。その内容について巻末の解説者は「Yの悲劇」との関連をあげていたが、私はむしろ映画「シェルブールの雨傘」の影響があるのではないかと感じた。結構込み入ったストーリーなのにさらりと読ませるのは芦原すなおの良い所だろう。なかなかよい推理小説と思うが、あまりにも不要と思われるところが多くて結果として長すぎる小説となってしまった。ことに推理に大切な部分でとてもへんてこりんな表現しか出来ないおばさんとの会話が延々と続くのにはちょっと閉口した。これが減点でこの評価です。 |
No.104 | 7点 | 人形はなぜ殺される- 高木彬光 | 2009/12/23 19:27 |
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30年以上前に読んだ小説だが、新装版が出ていたので懐かしく購入再読した。大分昔に読んだため犯人もトリックも大半は忘れてしまって新鮮な気持ちで読んでいたが、佳境に入ったところは覚えていてはじめて読んだ衝撃はやや少なかった。密室物のほうが時間トリックより好きなので刺青や能面のほうが好きではあるが、こちらのほうがさらによく出来た小説であることは間違いなく十分に楽しめた。 |
No.103 | 2点 | 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人- 倉阪鬼一郎 | 2009/12/23 19:17 |
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これはぜんぜん私の好みではない。トリックのみの小説は数学の問題集みたいなものだ。当然ながら登場人物の人間性など無くただの問題の数値のようなもの。トリックと伏線だけの小説とは私にとってはうそつきのいうこと長々と聞いているようなもので願い下げですな。この作者の評価が高い方もおられるがこういった小説はどうしても好みがはっきり分かれるところなんでしょう。 |
No.102 | 4点 | 『アリス・ミラー城』殺人事件- 北山猛邦 | 2009/12/15 21:00 |
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本来推理小説は作り物ではあるが、これはちょっとひどいのでは。
探偵たちはは人間らしい感受性なし。どうして殺されに集まってきたかも不明。 作者はトリックはそれ自体が美しいといっているそうだが、人間をばらばらにきざんだり顔を焼いて腹を割くのが美しいと思えるのだとしたらちょっと危ない人だなあ。 本格推理物が好みなので途中の推理などはまずまず楽しんだのだが、最後に来てまたむちゃくちゃの結論となりいやになってしまった。 |