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makomakoさん
平均点: 6.18点 書評数: 861件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.10 5点 風少女- 樋口有介 2012/04/21 18:45
 樋口氏のデビュー2作目の作品。最近発表された加筆修正版を読みました。
 作者は文章がうまく魅力的な会話が楽しめるのであるが、この作品はそういったところがやや乏しい。それほど長い話ではないが比較的登場人物が多く、人物の描きわけがもう一つうまくいっていないのが残念です。

No.9 8点 刺青白書- 樋口有介 2012/04/12 21:56
 なかなかよかった。主人公のスズメ君はいじめられていたことすら気がつかなかったという極めてのんびりしたキャラクターなのだが、だんだん読んでいくとこの娘とてもかわいらしい。作者もこんな女の子がいたらいつでも嫁にもらってやるなどとのたまっているが、同感ですなあ。
 柚木シリーズではあるが、いつもの憂鬱さが少なく名探偵ぶりを発揮しているのもよろしい。
 ストーリーはなかなか興味深く、私なんぞは登場する若者たちはとても考えられない(同年の作者はいつも私の考えられないような世界を描いてくれて非常に楽しい)のだが、こういった世界もあるのだろう。
 終わりは実に気分が良い。
 樋口先生へ。スズメ君の再度の登場はちょっと無理ですか?ぜひ読みたいのですが。

No.8 4点 楽園- 樋口有介 2012/03/17 22:49
 作者のマイベストなのだそうだが、私にはどうもいただけない。樋口氏の作品は洒落た会話が魅力の一つなのだが、これにはほとんどそういった趣向はない。
 多分楽園と銘打っているのだからとてもきれいな風景などがあるはずだが、小説にはそういったところはほとんど出てこない。暑苦しくて腐ったような臭いがただよい、住んでいる人たちは怠け者で愛想が悪い。
 大体日本人がほとんど出てこない日本人が書いた小説というのも珍しいのだが、作者がズック人たちに愛着を感じているようにもみえないので、読んでいてもなんだかつまらない。話自体もはっきり言って支離滅裂に近い。
 作者のファン投票なるものでも本書が最下位であるらしい。私も樋口氏の小説の中では最も面白くなかったくちです。

No.7 7点 誰もわたしを愛さない- 樋口有介 2012/03/05 21:10
 作者の小説では素敵な女性がたくさん登場する。いつも思うのだが作者とは同世代なのに何故かであったこともない女性が多いので、ある面でとても興味が湧く。
 今回もとんでもない女子高生が出てくる。
 めちゃくちゃな生活をしているのに、これほど覚めた人生観を持っている高校生はさぞかしつらいのであろう。もうちょっと自分を大切にしたらと言いたくなってしまう。逆にその子の友達はまじめで人生観もしっかりしていると思ったら、実はとんでもない金儲けをしていたりする。ショックだなあ。
 どんでん返しもあり犯人も意外で(作者によると初出版時の帯には犯人が分かってしまうようなことが書いてあったそうですが)、私はきっちりだまされました。まあ大体はだまされて読んでいるおめでたい読者なのですけどね。

No.6 6点 初恋よ、さよならのキスをしよう- 樋口有介 2012/02/27 22:11
 作者の小説はいずれも主人公の女性との軽妙なセリフがある面での読みどころで、柚木シリーズにももちろんそういった嗜好はあるのだが、彼が中年のせいか物語が暗くて重い。
 こんなにいい加減にやっていると、若いうちはよいが次第にいろんなしがらみが増えてだんだんつらくなってくるのだろうか。
 ことに本作品はともに青春を過ごした高校の同級生があつかわれており主人公はさらに陰鬱になってしまったのだろう。
 推理小説としてはちょっと弱い。意外な犯人といえるが、なんか突然に真相が暴かれてしまい、どこでこんな推理をしていたのかがはっきりしない。作者によると一人称で書いてあるのでトリックの仕掛けができににくいのだそうだが、それにしてもこんな唐突な展開はもう少し何とかならないのかなあ。

No.5 6点 彼女はたぶん魔法を使う- 樋口有介 2012/02/19 09:26
 作者が初めてシリーズものを書くということで作り上げた柚木草平のある意味で個性で読ませる小説のようだ。
 柚木はもと刑事で中年の別居中の妻と子供があり、キャリアの警視と不倫しており等等、結構複雑なシチュエーションとなってはいるが、おしゃべりや行動様式は「ぼくと、ぼくらの夏」以来の主人公とほとんど同じなのだ。
 ある意味で安心して気取ったせりふを楽しめるのだが、新しい作品の出発といった雰囲気が少ない。
 こんなことならいっそのこと初期の作品の主人公をそのまま流用してもよかったと思えるぐらい。
 初めて氏の作品を読んだとしたら主人公のしゃれた話しぶりに感心するかもしれないが。 

No.4 7点 海泡- 樋口有介 2012/02/03 19:56
 小笠原を舞台にした青春小説であるとともに推理小説でもある。ただ本格推理としてはちょっと甘い。樋口氏の主人公はれいによってかっこいい受け答えをするし、何故かとてももてる。いいなあ。
 こんなふうに暮らせたらいいな。でもある面つらいのかな。同世代の人間としてこの作者の作品はとても気になる。あまりに違う青春を送ってしまったからかもしれないけど、ぜんぜん違う人間にいやみなくこんな青春を読ませてしまうところに作者の力量を感じます。
 

No.3 7点 ピース- 樋口有介 2012/01/07 20:43
 無口な店員とマスター、そして食事のレシピなどなんだか北森鴻の世界みたいだなと思っていたら、途中からしっかりミステリーとなる。
 連続ばらばら殺人が起きるが、被害者にまったく関連性がなく登場するおじん刑事もぜんぜんさえないなあと思っていたら、警察とは無縁の人物から急遽犯人が指摘される。なるほどこういったこともありかな、でもまだ大分ページが残っているのに解決というもの変だなあと思っていると、話はさらにひねくれて意外な結論(だいたい私はこういった展開は推定できていません。だから面白く読んでもいるのですが)となる。ただ最後にいたってもマスターの八田やバーテンダーの梢路にはまだ謎の影が残る。
 なかなか楽しめました。

No.2 6点 林檎の木の道- 樋口有介 2010/02/07 09:14
 「ぼくとほくらの夏」とほとんど同じ感じ。登場人物も名前は違うが原則的に同じ。もちろんストーリーは違うのだが続けて読むと何だか同じ小説を繰り返し読んでいるような感じになる。シリーズものならだんだん主人公や周辺の人たちに愛着を感じるてくることも多いのだが、違う小説で同じような内容だと作者の限界を感じてしまう。
 読書感のよい小説なのだが二番煎じといった感じを受けたので評価はこの程度。

No.1 8点 ぼくと、ぼくらの夏- 樋口有介 2010/01/20 21:07
こういった青春春推理小説は何といっても爽快さと若さゆえのほろ苦さにどれだけ共感できるかが私にとって大切なところ。そういった観点からするとこの小説はとても共感できる。読み始めるとなかなか止まらず久しぶりに深夜まで読みふけってしまった。作者が同世代でもありそういった共感度が高いこともあるかもしれない。
 多少の違和感は高校生でみんながタバコを吸うは酒は飲むわといったところと主人公が高校生なのに恋人に対して実にさめた冗談をしばしば口にするところ。こんなかっこいい表現はもう少し経験をつまないと出来ないような気がするのだが(まあできるひともいるかもしれない。きっとそんな子はもてたんだろうなあ)。

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makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
採点傾向
平均点: 6.18点   採点数: 861件
採点の多い作家(TOP10)
高田崇史(34)
樋口有介(30)
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アガサ・クリスティー(29)
東野圭吾(28)
太田忠司(27)
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