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ロビンさん
平均点: 6.56点 書評数: 130件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.9 7点 人の死に行く道- ロス・マクドナルド 2009/10/25 18:33
お決まりの失踪人探しに、ギャングが絡んでくる進行は、典型的なハードボイルド。やはり初期の作品だけあって、ロスマク的な家庭内悲劇の色は薄い。分かってはいたけれども、どうしてもそこを望んでしまうので多少の物語的「深み」不足を感じてしまう。

しかし、興味深いのはこの母娘像。なんだか後期の家族造形に相通じるものがあるように感じました。

No.8 8点 象牙色の嘲笑- ロス・マクドナルド 2009/06/28 01:25
あの事実が明らかになった時は、思わずゾッとした。ハードボイルドという冷徹な文体が成せるインパクト。
ある意味、この作品でロスマクはアーチャーというキャラクターの動かし方、彼が直面する悲劇の原形を掴んだのではないかと思います。

No.7 8点 ブルー・ハンマー- ロス・マクドナルド 2009/01/21 23:05
ロスマク最後の作品。富豪の家から盗まれた一枚の絵画を探し出して欲しいという依頼を受けて、事件に乗り出すアーチャー。今までの「人捜し」と違い、絵を捜し出すという目的でアーチャーは動き出すが、この絵の存在が一つのクッションになっている。今回は頭の中での真相の構築力が及ばないほど、物語は四転五転と様相を変え続けてこちらに提示されてくる。
その真相自体は、ロスマクの一つのパターンではあるが、変わらない中でも驚くべきものをシリーズファンは求めているので、満足です。

アーチャーもいつのまにか五十代に突入かぁ。
しかし、彼の最後の台詞とその場面は、胸を打ちます。

No.6 9点 ドルの向こう側- ロス・マクドナルド 2008/12/15 22:18
お馴染みの、失踪者の捜索という依頼を受けてアーチャーが悲劇の歯車を回し始める。
本書は、後期ロスマクには希少な、冷静沈着なアーチャーが激昂し感情を露にする場面がある。思春期の(ちょいと年はいきすぎだけど)少年を通じて、ロスマクの思想や哲学が伺える。そういった意味でも、他にはない貴重な作品。
ラストでようやく事件の全景を眺められ、その犯人もまた、予想の及ばない人物だった。
今回のアーチャーはカッコいい。

No.5 5点 兇悪の浜- ロス・マクドナルド 2008/11/20 19:51
うーん、いまいち。あまりにも正統派すぎたハードボイルドって感じ。プロットも単純で謎にそれほど魅力がない。
そして相変わらず初期のアーチャーはヘマが多い。それにロスマク作品に暴力は合いません。

No.4 8点 縞模様の霊柩車- ロス・マクドナルド 2008/11/14 23:57
娘の婚約者の素性を調べてほしいという依頼をその父親から受けて、捜査に乗り出したアーチャー。その人物には二重、三重の殺人容疑があることが徐々に判明し、お決まりの「質問者」として過去に起こった殺人事件の真相を暴いていく……。
今回はかなり意外な犯人だった。あまりに突然で、ちょっとドンデン狙いが感じられてしまったかな。
それにしても、こんな愛情は狂気だな。『容疑者Xの献身』というタイトルが当てはまりそうな、いやそれ以上の悲劇です。

No.3 6点 動く標的- ロス・マクドナルド 2008/10/21 17:33
私立探偵リュウ・アーチャーの初登場作品。正直、ロスマクの初期作品はあまり期待していなかったのですが、結果予想通りなものに落ち着いたかなという印象。悲劇の訴求力も、中~後期の作品に比べて全然足りない。
っていうかアーチャーのキャラがなんか違う。スタートはこんな情けない奴だったのか。後の「質問者」というスタイルもまだ確立されていない感じ。それでも終盤の展開はそれなりに満足できるものでした。

No.2 10点 ウィチャリー家の女- ロス・マクドナルド 2008/10/18 22:32
『さむけ』と並ぶロスマクの傑作。失踪した娘フィービ・ウィチャリーを探し出して欲しいと、父親である大富豪のホーマー・ウィチャリーから依頼を受けたアーチャー。
非常に複雑に入り組んだアメリカ上流家庭の悲劇。終盤に向かって転がり続ける事件の中で、徐々に判明していく事実はあまりにも救いがない。ラストに犯人が漏らした、「過去のちょっとした過ち」それが徐々に大きく育っていって、このとんでもない悲劇へと発展していく様が非常に非情に描かれている。唯一、彼女の生存が小さな希望を抱ける要素かなあ。だけど、このどうしようもなく物悲しい感じがまた好きで。
個人的には本格とハード・ボイルドを見事に融合させた『さむけ』よりも本書のほうが好きです。

No.1 8点 眠れる美女- ロス・マクドナルド 2008/10/09 04:03
石油が漏出した海岸でアーチャーが心惹かれて出合った女性が、彼の家から致死量の睡眠薬を盗んで失踪。彼女は石油流出事故を起こした石油王の孫であることが後に判明。夫から失踪した彼女を探す依頼を受けたアーチャーは捜査を開始。しかし、彼女の両親の元に、彼女を誘拐し身代金を要求する脅迫電話がかかってくる……。

お得意の家庭内悲劇と、石油漏出という社会的悲劇が混ぜ合わさって、前者の悲壮感を盛り上げている。
本当に二転三転するラストの真相は、複雑なプロットのわりには分かりやすいものだったけど、最後の最後まで転がるので油断できません。

ロスマクの作品を読んでいると、法月さんはクイーンよりもこっちのほうの影響を強く受けているんじゃないかな、と思わずにはいられない。

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ロビンさん
ひとこと
好きな作家
エラリー・クイーン、有栖川有栖、法月綸太郎、赤川次郎。
採点傾向
平均点: 6.56点   採点数: 130件
採点の多い作家(TOP10)
ロス・マクドナルド(9)
ジョン・ディクスン・カー(7)
島田荘司(7)
ウィリアム・アイリッシュ(4)
カーター・ディクスン(4)
若竹七海(4)
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