皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
rintaroさん |
|
---|---|
平均点: 7.33点 | 書評数: 24件 |
No.4 | 9点 | 魍魎の匣- 京極夏彦 | 2009/03/05 18:42 |
---|---|---|---|
所謂読者に推理に必要な全ての情報を提供し、作者との知恵比べを楽しむ「本格」ミステリーでは無い。そもそも一般的なミステリーが物的証拠、アリバイなど細かなピースで「事件」解明するのに対し、この作品はそんな細かなことは無視して「事件」というピースで一連の現象の因果関係を解明するというスタンスを取っている。言うなれば一般的なミステリーを鳥瞰図的にした物がこの作品なのかもしれない。そういう点で見れば、確かに細部においては矛盾や非合理的部分があるにしても、個々の事件を一つのピースとしてみた場合、そのピースの嵌め込みは非常に緻密で、最終的に壮大な画が見えてきた所は「本格」ミステリーの醍醐味を感じた。ただ前作を未読の場合京極堂らのメンバーの関係性が解り辛いかも知れない。 |
No.3 | 7点 | 陰摩羅鬼の瑕- 京極夏彦 | 2008/09/10 22:14 |
---|---|---|---|
第一作「姑獲鳥の夏」で人間の知覚や世界認識の危うさを描いたのに対して今作は死というものの定義の危うさを描いた作品。犯人が最初に分かってしまうのもそんなに欠点にならなかった、ミステリーの分類をすればホワイダニットなんだろうけど、多分この作品をただミステリーとして採点するのは少々お門違いなのだろう。魍魎の匣だとか絡新婦の理のような「動」の魅力は無いが幻想的な「静」の魅力のある作品。 |
No.2 | 7点 | 邪魅の雫- 京極夏彦 | 2008/07/25 18:29 |
---|---|---|---|
全体的に淡々としているし、ストーリーの起伏もあまりないので少々退屈に感じる方も多いかもしれません。京極堂シリーズ特有の、謎解きと同時に今までの読者の世界認識を揺さぶるような感じもないです。ですが京極堂シリーズの中では「妖怪」が影を潜めたぶん、最も「殺人」というものに向き合った作品だと思います。京極堂シリーズのなかでは比較的ノーマルなミステリーだと思います |
No.1 | 8点 | 姑獲鳥の夏- 京極夏彦 | 2008/06/30 20:07 |
---|---|---|---|
この作品のトリックはむしろ普段からミステリー、特に本格物を読みなれた人のほうが意外性や斬新さを感じるのかもしれません。私としてはこの作品で下手な機械的トリックを使われる方がよっぽど興ざめしたかと思います。
作品全体を評価するのなら(そもそも作品からトリックを抽出してそこだけを語るなんて本末転倒なんですがね)京極堂シリーズの中でもコンパクトに纏まっているし、なによりあの作品全体に漂う読者に眩暈を催させるような妖しい雰囲気はある意味このシリーズの最大の魅力だと思います、この怪しい雰囲気が京極夏彦の言う「妖怪」なのかもしれませんね |