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[ ハードボイルド ] 猫とアリス |
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芦原すなお | 出版月: 2015年02月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
東京創元社 2015年02月 |
No.2 | 6点 | E-BANKER | 2016/12/11 21:07 |
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「雪のマズルカ」に続き、女探偵・笹野里子を主人公としたシリーズの連作短篇集。
「青春デンデケデケデ」で直木賞を受賞した作者のハードボイルド・ミステリー。 2015年発表。 ①「青蛇」=この連作短編の“影の主役”的存在の通称「青蛇」。決して目立たない風貌ながら、恐ろしい程の柔術を扱い、簡単に人を誌に至らしめる男・・・。本編は「青蛇」と里子との出会いが語られる。 ②「クリスクロス・六本木」=六本木交差点で突如巻き起こる殺人事件。謎多き「クラブ」へ潜入捜査する里子だが、そこにはまた「青蛇」の影が・・・ ③「猫とアリス」=①②とは若干時間軸が変わり、里子の同業者であり、長編「月夜の晩に火事がいて」にも登場するふーちゃんこと、山浦歩との出会いが語られる一編。一匹の猫を介した出会いなのだが、ふたりが行き着いた先にはあの男の影が・・・っていう展開。 ④「ディオニソスの館」=今度はいかにも怪しげな新興宗教の館に潜入捜査を行う里子。大方の予想どおり捕らえられてしまうのだが、そこにまた「青蛇」が現れて・・・。ここで黒幕がついに登場! ⑤「無間奈落」=連作の最終譚らしい一編。意味深なタイトルどおり、謎の男「青蛇」の正体がついに明らかにされる。そして、彼がここまで罪を重ねる理由も詳らかにされて・・・。何とも哀しく切ないラスト。 以上5編。 芦原すなおというと、どうしても「青春・・・」や「ミミズクとオリーブ」シリーズのような、ほのぼのした話を連想してしまうのだが、このシリーズだけは別。 何ともダークでドライ、そして虚無的な雰囲気をまとった作品。 (さすがに達者だね) 女ハードボイルドの主人公として描かれる里子の造形も、魅力的なのだが、何とも孤独で幸薄い感じ。 レギュラー的位置づけの登場人物も実に人間臭く、いい塩梅にアウトローだ。 前作「雪のマズルカ」はあまりパッとしない印象だったのだが、それと比較して本作は格段に面白かった。 それもこれも「青蛇」のおかげかも。 なかなか筋の通った連作に仕上がっていると思う。 続編にも期待。 |
No.1 | 5点 | makomako | 2015/08/29 21:11 |
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「雪のマズルカ」が私には合わないと評価しましたが、芦原氏のファンなので続編もやっぱり読んでしまいました。多少の免疫ができたのか、作者も前作よりは本来の姿を見せているのかわかりませんが、「マズルカ」よりは良かった。でも芦原氏のほかの小説のほうがずっと好きです。ほんわかとした話ばかり書いているとこんな話を書きたくなる気持ちは分からなくもないのですが。話として現実性に無理があるところは、はんわか物なら許せるのですが、こういったシリアスなものとなると傷として目立ってしまいます。
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