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[ 本格 ] 霧に包まれた骸 コーンフォード警部&素人探偵ジョン・メリマン |
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ミルワード・ケネディ | 出版月: 2014年11月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
論創社 2014年11月 |
No.2 | 6点 | kanamori | 2014/12/31 20:34 |
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霧深い深夜、ロンドンのパレード広場でパジャマ姿の変死体が見つかる。状況から被害者はブラジルから帰国したばかりのヘンリー・ディル老人と見做されたが、死体は付け髭をしており、指紋などの物証から別人だという疑惑が浮かぶ。コーンフォード警部の捜査は矛盾する多くの手掛かりに振り回され、事件の真相はまさに五里霧中に--------。
英国ディテクションクラブの初期メンバーで、バークリイやセイヤーズとともに中心的役割を務めたミルワード・ケネディの(単独では)第2長編です。コーンフォード警部と好奇心旺盛な素人探偵ジョン・メリマンは前作(未訳)に続き再登場らしい。 多くの手がかりが提示されるが、被害者の身元が終盤近くになるまではっきりしないため、警部と同様に読む側もモヤモヤ感を抱えたまま読み進めることになります。容疑対象者が少ないため、真犯人を直感で当てることは比較的簡単だと思いますが、その人物の行動は合理的とは言えず一貫性に欠けるところがあり、数々の謎の真相をロジカルに推理するのは難しい面があります。 それでも、コーンフォード警部の繰り出す妄想的推理や、メリマン夫妻とのやり取りなど、主要キャラクターは立っており面白かったので、ぜひ前作も訳出してもらいたいですね。 |
No.1 | 5点 | nukkam | 2014/11/21 12:01 |
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(ネタバレなしです) 英国の評論家として有名でしたがあまりにも激辛の評論が多くてミステリー作家と衝突することもしばしばだったミルワード・ケネディ(1894-1968)はミステリー作家としては20作ほどの作品があります。本格派推理小説の書き手ですが前衛的な作品と伝統的な作品を書き分けていたそうで、1929年発表の本書は後者タイプです。もっともデビュー作に引き続き登場のコンフォード警部が名探偵役ではないところは少し風変わりです(本書以降はコンフォード警部の登場作品はないようです)。論創社版の巻末解説が非常に充実しており(ネタバレしているので事前に読まない方が吉です)、私の感想は全部カバーされてしまいました(笑)。単純そうな事件で指紋を始め色々と手掛かりがあるのに捜査が進むほどわけがわからなくなり、死体の身元さえはっきりしなくなる不思議なプロットは結構読みにくかったです。最後はすっきりと締めくくっており随所でユーモアも見られますが、中盤まではじれったい展開でした。 |