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[ 社会派 ] 蟻の木の下で |
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西東登 | 出版月: 1964年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
講談社 1964年01月 |
講談社 1976年07月 |
講談社 1999年03月 |
No.1 | 6点 | 空 | 2015/03/07 11:20 |
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1964年の乱歩賞受賞作ですが、論理やトリックを期待して読むと、がっかりするでしょう。序章は一応伏線になっていますが、情報不足で読者にはその意味は絶対わかりません。その後第1章から登場する人物は素人探偵役のように見える展開ですが、途中であっけなく覆されます。新興宗教の会員が付けているバッジが手がかりになりそうなのですが、これも事件とは全く無関係で、ただその新興宗教を出してくるために無理やり現場近くで発見させただけのご都合主義です。ヒグマが殺したのかどうかなんて、偶然の土砂降りがあっても、検死でわかるはず。
とまあ、ミステリ構成上の欠点はずいぶんありますが、作者の狙いは戦時中の軍隊での非人間的な軍曹と、金こそご本尊としか思えない新興宗教を描くことにあったわけで、社会派的な事件の骨格自体は悪くないですし、そのテーマを描く中盤は迫力があります。最後が駆け足になり過ぎたことが残念。 |