海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
岡田鯱彦探偵小説選 Ⅱ
岡田鯱彦 出版月: 2014年08月 平均: 6.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


論創社
2014年08月

No.1 6点 kanamori 2016/03/02 21:08
国文学者で、平安朝ミステリ「薫大将と匂の宮」(別題「源氏物語殺人事件」)で知られる作者の作品集。2巻目の本書には、昭和27年初出の長編「幽溟荘の殺人」を目玉に、8つの短編と評論・随筆が収録されています。前巻と比べると、犯人当て、密室トリックなど、本格寄りの作品が多いという印象。

手掛かり索引と”読者への挑戦”付きの長編「幽溟荘の殺人」は、伊豆半島・石廊崎にある別荘を舞台にした連続殺人モノ。犯人当てとしては、”読者への挑戦”の段階で、容疑者二者択一状態なのがアレですが、殺人トリックがユニークで、その伏線もよく考えられている点は評価できます。また、”名探偵の定義”を問われた探偵役が「探偵が登場してから何人も殺されるようでは名探偵とはいえない」(大意)と、金田一耕助やファイロ・ヴァンスをdisるような発言wをしていて、それが最後の演出に効いています。
短編で印象に残ったものをいくつか挙げると、「52番目の密室」と「あざ笑う密室」の2編が、同じ密室がテーマの短編でも、その扱いが対照的なのが面白い。昭和20年代に発表された前者は、トリックのユニークさありきで小説としては面白みに欠ける。一方、30年代の後者は、トリックのオリジナリティに欠けるが、ストーリー運びが格段に上手くなっていて面白く読めました。
探偵作家クラブの前身である土曜会での余興の”犯人当て”として書かれた「夢魔」は、犯人を特定する決め手にキレがないのが物足りないですね。「妖婦の宿」や「達也が嗤う」レベルを期待するのは酷でしょうけど。


キーワードから探す
岡田鯱彦
2014年08月
岡田鯱彦探偵小説選 Ⅱ
平均:6.00 / 書評数:1
2014年07月
岡田鯱彦探偵小説選 Ⅰ
平均:6.00 / 書評数:1
2001年11月
岡田鯱彦名作選
平均:6.00 / 書評数:1
1957年01月
樹海の殺人
平均:6.00 / 書評数:1
1955年01月
幽溟荘の殺人
平均:5.00 / 書評数:1
薫大将と匂の宮
平均:6.00 / 書評数:5