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[ 本格 ]
ヨット船上の殺人
C・P・スノウ 出版月: 1964年01月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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弘文堂
1964年01月

No.2 5点 kanamori 2015/04/12 15:03
旧知のロージャ・ミルズ博士から招かれ、ヨット船上の仲間内パーティに参加した”わたし”こと退役老軍人のイアンは、翌朝、舵をとっている姿で射殺されたロージャの死体を発見する。イアンの依頼で駆け付けた友人の素人探偵フィンボウは、招待客である5人の男女の中から心理分析で真犯人を絞り込もうとする----------。

洋上の自家用ヨットを舞台にした船上ミステリだと思っていましたが、事件発生後はノーフォークの湖沼地帯にあるバンガローに舞台を移します。nukkamさんもご指摘のとおり、探偵フィンボウの推理法や振る舞いはファイロ・ヴァンスを思わせ、ハンス・グロス著「便覧」を参考にしたトリックは(ヒネリはあるものの)「グリーン家」で使用されたものと同じで、ヴァン・ダインの影響がうかがえるフーダニット作品です。
限定された容疑者との会話と人物観察で、犯人を絞り込むフィンボウの心理分析的探偵法が本書のキモではあるのですが、いまひとつ読者を納得させる明快さは乏しいように思います。自信家のヴァンスとは違って「推理は間違うこともある」と明言しているのは好感が持てるのですが、勘ぐればドンデン返しのためのエクスキューズでもあったのかと思えなくもありませんw

No.1 6点 nukkam 2014/09/03 10:00
(ネタバレなしです) 英国のC・P・スノウ(1905-1980)はは科学者として名高く、「二つの文化と科学革命」(1960年)という本は世界的に話題を集めたそうですが最初に出版された著作は1932年に発表された本書だそうです。ヴァン・ダインの影響が明らかで、探偵役のフィンボウの心理分析が推理の中心を占めていますが時に彼の説明が饒舌過ぎるところまでヴァン・ダイン風にならなくてもよいのにと思います(笑)。まあそれでもヴァン・ダインに比べれば知識教養ネタをやたら披露しない分まだ読みやすいし、手掛かりのカモフラージュにはジョン・ディクスン・カーばりの巧妙なテクニックが使われています。


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C・P・スノウ
1964年01月
ヨット船上の殺人
平均:5.50 / 書評数:2