皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 河原町ルヴォワール |
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円居挽 | 出版月: 2012年11月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 4件 |
講談社 2012年11月 |
No.4 | 6点 | メルカトル | 2017/04/06 21:54 |
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なかなか面白かったですよ。少なくともシリーズ最終作として掉尾を飾るにふさわしい作品といえるでしょう。
『烏丸』などのように焦らすことなく、双龍会にすんなり突入するので、イライラすることもなくストレスを感じません。そこからの加速ぶりは、ややもすると目まぐるしく変化する展開についていくのがやっとという感覚を覚えるかもしれません。 果たして本当の敵は誰なのか、誰と誰が結託しているのか、そして裏ではいったい何が起こっているのかと興味は尽きません。大技小技を織り交ぜての攻防戦は、実に読みごたえがあり、第一作以来の興奮を味わえるのは間違いないと思います。よくこれだけややこしい話を考え付くものだと感心しますね。 ただシリーズを追うごとに書評数が減っているのは、いい加減同じシステムに飽きてくるからでしょうかね。 【ネタバレ】 冒頭でシリーズ中最重要人物が死亡します。これはその犯人を巡っての物語であり、意外な事実が次々と明らかになります。 反則スレスレの記述が多々ありますが、そこは大目に見るとしてほぼ全員が騙されるのではないでしょうか。 |
No.3 | 6点 | 風桜青紫 | 2016/01/27 02:07 |
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落花さん脂肪という結構ショッキングな出だしからスタート。ダラダラとしたやり取りもなく一気に双龍会に入ってくれて、スラスラと読める。やっぱり、円居挽は仕掛けで見せてくれたほうがいいなあ……。大袈裟になっていく推理合戦はなんだか少年マンガっぽいけど、なかなか燃えました。大仕掛けなトリックもそれなりに満足。途中で出てきた「神の声的な何か」はちょっといただけないけども。しかし、このシリーズ終えて、まどばんはどこに向かおうというのか。とりあえず、また何か話題作を出すまでは様子見しておきます。 |
No.2 | 9点 | 505 | 2015/10/29 14:04 |
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『ルヴォワール・シリーズ』の第4作にして、完結編。
冒頭から、シリーズを支えていた龍樹落花が死亡という実にシリーズのファンならば目を疑うような展開が待っている。前作の『今出川ルヴォワール』では、本シリーズの骨格でもあるシステムの〝双龍会〟を前座に据え、賭博大会の〝権々会〟をメインにすることでシリーズの分岐点を示したが、本書では原点に帰るかのように〝双龍会〟をメインにすることで、作者の円居挽特有のエネルギッシュな〝どんでん返しに次ぐどんでん返し〟を見事に表現している。落花の不可解な死の状況を巡って、敵がコロコロと入れ替わる目まぐるしい展開が用意されており、〝誰が真の敵なのかどうか〟といった黒幕的な真相に対してミスディレクションを効かせることで、巧妙にはぐらかしているところがミソだと言える。 また、本書ならではの〝大仕掛け〟として、〝同時進行的にもう一つの双龍会〟が描かれている。暴論詭弁なんてザラであった本シリーズであったが、本書ではクローン人間といったSF的要素を盛り込むことで、〝もう一つの双龍会〟を技巧的に配置し、本シリーズのファンを喜ばせる作者からの巧妙の罠(サービス)を堪能できる作品となっている。その仕掛けは第1作目の『丸太町ルヴォワール』を彷彿とさせるのと同時に、シリーズ作品すらもミスディレクションに使用するという作者の貪欲な仕掛けが心憎い演出である。 当然、やや無理のある表現であることには変わりないが、それでも随所に伏線を張る事で、クライマックスに鮮やかな〝落花戻し〟を表現。外連味たっぷりな本シリーズの中でも白眉と言える大仕掛けに、ファンであれば納得の溜息を吐くことになるだろう。 最後まで見逃せない〝どんでん返しに次ぐどんでん返し〟によって、敵味方の立ち位置が移動することで、手に汗握る作風はそのままになっており、隙を見ては追撃する怒涛の様を楽しむことが出来る。 更には青年達の成長といったドラマ部分にも力を入れている。その象徴としてある〝双龍会〟後のエピローグは、感慨深いものがあり、詩情豊かなシリーズの終わらせ方である。散々に読者を振り回し、引っ張ってきたキャラクター達との別れは叙情的であり、『丸太町ルヴォワール』から始まった本シリーズの〝ルヴォワール〟に相応しい傑作だと言えるだろう。まさに天晴れな大団円であった。 |
No.1 | 7点 | 蟷螂の斧 | 2014/09/15 08:52 |
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シリーズ4の最終章。少なくとも第1作目を読んでいないと背景がわからない。落花の死というシリーズを読んでいる人にとってはショッキングな場面からスタート。撫子(主人公)は元恋人と兄を敵に回し、私的裁判で孤軍奮闘する。裁判での違和感、落花の死の真相はラストで判明する。伏線の妙であった。アンフェアと思われる点もありますが、完全に騙されました(苦笑)。 |