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[ 短編集(分類不能) ] 虹をつかむ男(早川書房) 異色作家短篇集 |
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ジェイムズ・サーバー | 出版月: 1962年01月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 早川書房 1962年01月 |
![]() 早川書房 1976年01月 |
![]() 早川書房 2006年09月 |
![]() 早川書房 2014年01月 |
No.2 | 7点 | クリスティ再読 | 2025/02/26 09:33 |
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評者前から感じていることだけど、「ハードボイルド」って小説とくに御三家を読んでいるだけじゃ、わからないことが多すぎると思うんだ。
こんな風にサーバーを読むと実感もしてしまう。え?って思う人も多かろうがね。「ザ・ニューヨーカー」で活躍したユーモア作家&漫画家というイメージだと、ハードボイルドとの接点が何か、見当がつかないかもしれない。しかし「ホテル・メトロポール午前二時」「一種の天才」などが、リアルに犯罪事件とその裁判を巡る成り行きを客観的な筆致で描いているさまを見ると、そういう風にも感じてしまうのだ。映画での「スクリューボール」の世界(キャプラとかワイルダーとか)、あるいはウイージーの写真、小説ならデイモン・ラニヨン、マンガならディック・トレーシー。そんな20年代30年代のアメリカ・サブカルの宇宙からやはり「ハードボイルド」は生まれ育ったということが実感させられるのだ。 だから広義のミステリに属する作品も結構多い。「世界最大の英雄」は世界無着陸一周を達成した飛行家(リンドバーグとか皮肉ってる)が、紳士どころかならず者だったらどうか?というアイデアから、ジャーナリスト・政治家がよってたかって飛行家を殺害する...これ「トンデモ動機」として秀逸だと思う。偶然凶悪犯と人相が共通する小市民の悩みを描いた「プルーフ氏異聞」。シェイクスピアのマクベスをミステリとして読んで真犯人を推理してしまう「マクベス殺人事件」なら、パズラーの流行を皮肉ったものとしても読めるだろうね。 そして代名詞的作品の「虹をつかむ男」。いわゆる「ユーモア」として分類される作品だけど、冒険小説というものの読者論としても秀逸だったりするわけだ。いやそういう「冒険」というものを、「日常生活の冒険」として解釈しなおすサーバーの視点というものが、都市生活者の「解放」めいたものを示唆するように感じられる。 ハードボイルドをこういう風に評価しなおしたら、実に魅力的だと思うんだ。 |
No.1 | 6点 | mini | 2014/03/19 09:53 |
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本日19日に映画「LIFE !」が日本公開となる、本国アメリカでは昨年末に公開になっていたが、日本が世界で最も遅い封切り日らしい
監督兼主演はベン・スティラー、日本語吹き替えは何とナインティナインの岡村隆史 さてこの映画、実は過去に映画化された「虹をつかむ男」のリメイク版なのだが、原作となった短編が「ウォルター・ミティ氏の秘密の生活」、その原作者が異色短編作家の1人ジェイムズ・サーバーなのである 早川書房では映画公開に先立ち、短編集『虹をつかむ男』を1月に文庫化もしている 異色作家短篇集全集の文庫化は寂しいが、過去に文庫化されたのはラングラン1冊しかなく、今回も映画化という事情に鑑みた例外的措置だろう、こういう全集は安易に文庫化しても魅力が薄れるしねえ 異色短編作家数多いと言えど、ジェイムズ・サーバーほどそのジャンルにドンピシャで当て嵌まる作家はそうは居ない 例えばホラー寄りのマシスンやR・ブロック、SF寄りのF・ブラウンやシェクリイ、ファンタジー寄りのスタージョンやフィニイやブラッドベリ、本格風のエリン、純文学風味のデュ・モーリア、雰囲気型のボーモント、奇妙な味系のコリアやダールやS・ジャクスン 大抵の異色短篇作家にはそれぞれの特色というものが存在するが、サーバーはちょっと説明が難しいのだ、当サイトのジャンル投票でも、”分類不能”という言葉が如実に当て嵌まる短編集である 強いて言えば奇妙な味系かも知れないが、ダールなどとは全く作風が異なっており奇妙という語句は似合わない 全体にショートショート的な短めの短編が多いが、さりとてオチだけを重視したワンアイデア型ショートストーリーとも違う う~ん、どう説明したらいい?、私の印象では”落語っぽい”と思ったのだが、落語的という形容に賛成してくださる読者は居られませんか? ところでこの短編集、全集の中で最も挿絵の数が多いのだが、それもそのはずで全ての挿絵イラストは作者自身が描いているのだ、絵はアマチュアなんだろうけど流石はサーバー芸達者な奴 |