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[ 社会派 ] 流転山脈 道原伝吉シリーズ |
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梓林太郎 | 出版月: 1997年11月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
幻冬舎 1997年11月 |
幻冬舎 1999年11月 |
No.1 | 5点 | 臣 | 2013/08/02 13:59 |
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発端はタクシー運転手殴殺事件。その運転手は客との応対をテープに録音していた。この重大な手がかりをもとに、群馬、長野両県の捜査員が聞き込みをしながら、点が線につながっていき、真相が少しずつあきらかになっていく。そして、さらなる事件も起きる。
こんな捜査過程の描写が物語の大半を占めます。トリックや凝った殺人手段などはありませんが、この地味な捜査主体のストーリーには結構楽しませてもらいました。 タイトルの「流転山脈」は、もちろん比喩です。山が舞台というほどではなく、登山が少し背景にある程度であって、「山脈」も内容にほとんど関係ありません。実は山岳物を期待していて、肩透かしになりましたが、まずまずの満足度でした。 後半にさしかかったあたりで、犯人の目星がつきます。その動機は最後に背景とともにきれいにあかされます。この動機には理解しがたい面もありますが、こういう経験をしていれば、そうなんだろうなぁという感じもします。 事件の背景には、近年でも十分に通じる社会性がありました。永遠不滅なテーマかもしれません。 真相は悲しく、暗鬱な気分になりそうですが、たまにはこういう小説もいいでしょう。 |