皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 時代・歴史ミステリ ] エジンバラの古い柩 ジェレミー・ファロ警部補シリーズ |
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アランナ・ナイト | 出版月: 2012年07月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
東京創元社 2012年07月 |
No.2 | 5点 | nukkam | 2016/03/07 00:22 |
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(ネタバレなしです) 1989年発表のファロ警部補シリーズ第2作ですが、シリーズ前作の「修道院第二の殺人」(1988年)が本格派推理小説だったのに対して本書ではスリラー小説というべき内容になっています。ブルース・アレグザンダーの「グッドホープ邸の殺人」(1994年)と「グラブ街の殺人」(1995年)がやはりそんな作風の変化を見せてましたね。創元推理文庫版の巻末解説でほめている「イギリスの歴史をくつがえすような大胆なお話」については歴史に疎い私には残念ながらぴんとこなかったのですが、ファロ自身につきつけられた(ある意味)究極の選択にはどきどきしました。これはこれで面白いというか、作者の本領が発揮された作品だと思うのですが謎解きとしては楽しめなかったので正直複雑な読後感です。 |
No.1 | 6点 | kanamori | 2015/05/24 14:33 |
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身元不明の男の死体が見つかったエジンバラ城の岩山を捜査していたファロ警部補は、見覚えのあるカメオのブローチを拾う。そのブローチは、巡査だった父親が最後に手掛けていた事件に繋がるもので、さらには、そこから英国史を覆しかねない秘密が浮かび上がる--------。
英国ヴィクトリア朝時代のエジンバラを舞台にした歴史ミステリ、ジェレミー・ファロ警部補シリーズの2作目。 フーダニットが主眼の本格ミステリだった前作とは異なり、今回は英国王室に関わる陰謀もののスリラーになっています。30年前にエジンバラ城の壁の中から見つかった”柩に入った赤ん坊のミイラ”と一対のブローチから、16世紀のメアリー女王を巡る秘密が浮かび上がってくるというもの。 テーマ的には、最初はジョセフィン・テイの「時の娘」などの歴史ミステリを思わせるものの、関係者たちの連続する不審死やファロ警部補の家族が事件に巻き込まれるスリラー要素が前面に出てきていて、歴史の謎は背景に留まっているのがやや消化不良な感じを受けました。 犯人像はおおよそ予想がつく構成になっていますが、最後に明らかになる陰謀のスケールの大きさには驚かされました。シリーズの2作目でこんな局面を迎えて、今後の展開がどうなるのか?という興味がありますね。 |