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[ クライム/倒叙 ]
占領都市 TOKYO YEAR ZERO 2
TOKYO三部作
デイヴィッド・ピース 出版月: 2012年08月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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文藝春秋
2012年08月

No.1 7点 kanamori 2013/01/20 12:39
日本在住の英国人作家デイヴィッド・ピースが、終戦直後の日本の暗黒事件を題材に描く”TOKYO三部作”の第2弾。
昭和23年1月、帝国銀行椎名町支店で発生した大量毒殺事件、いわゆる「帝銀事件」が本書の主題です。芥川龍之介の「藪の中」からヒントを得たという、独白、手紙、手記、捜査メモなどで語られる12人の関係者による12のエピソードのなかに、”死者の叫び”のようなフレーズが繰り返し挿入されるなど一種異様な構成で、「ドグラ・マグラ」を連想させる幻想風の序盤の数章などはかなり読者を選びそう。途中で投げ出す人もいるでしょうね。
日本の能「隅田川」に見立てて犠牲者の母親の心情を表わす最終章など、多くの日本文化の趣向を取り入れているのには、”あんた本当に外国人か?”と言いたくなるほどで、非常に刺激的な読書でした。ただし、帝銀事件と石井731部隊との関連など、事件の「真相」は参考文献に挙げられている松本清張「小説帝銀事件」や森村誠一「悪魔の飽食」などに依存するもので、あまり新味はなく、本書は謎解きを主眼とするものではないです。


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