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[ ハードボイルド ] 動機は問わない 私立探偵・相良治郎シリーズ |
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藤田宜永 | 出版月: 1996年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
徳間書店 1996年12月 |
No.1 | 6点 | 臣 | 2012/10/27 13:57 |
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私立探偵・相良治郎シリーズ連作短編。
家出人捜索、素行調査、浮気調査などをきっかけに、たいてい殺人が絡んでくる。そんな話が6編、収録されている。 手がかりらしいものを少しずつ見つけながら、最終的には、それらの手がかりに加えて、相良がちょっとした気付きで犯人や真相に到達する。ミステリー的にはみな似たようなパターンといえる。犯人当て要素はあるが、それよりもむしろ、全作、愛憎がらみなので、人間の感情がからみあった人間くさいミステリーを楽しめる。 主人公の相良は、かなりキャラクタを抑えた感がある。元暴力団組長の息子という設定だが、凄みを利かせる場面もなく、気取った科白を吐くこともなく、人物的にはごくごく普通。 ホームズのような強力なキャラではなく、スペンサーのような健康的な探偵でもない。もちろん、御手洗潔みたいなやつでもないし、マーロウでもない。原りょうの沢崎ともちょっとちがう。 短編ミステリーとして、ホームズ短編、有栖川・カー・ホック等の本格短編、北森等の安楽椅子系短編、横山・連城等の変格短編、阿刀田等の奇妙な味系短編、高村薫の「地を這う虫」系短編のどれに似ているかというと、探偵が登場しない奇妙な味系とは絶対にちがうし、「地を這う虫」系とは雰囲気は似ているがやはりちがう。本格モノや安楽椅子系のように解決に論理性があるわけでもなく、変格のようにあっと驚かすような要素もない。ということは、キャラは抑えてあるが短編ミステリー的には結局、ホームズ物に近いのかな? このサイトではあまり読まれていない作家さんですが、気に入ったので、ちょっと紹介してみました。自分が読んだ数少ない小説との比較で、かなりメチャクチャな分析かもしれません。 なお、長編には、哀愁のパリを舞台にしたノワール調の鈴切信吾シリーズや、冒険物の大長編・鋼鉄の騎士などがあります。いまは恋愛小説の書き手となっています。 インターネットで著者の画像を検索すると、林真理子さんとのツーショット画像が見られます。同じ「真理子」でも奥さんとはずいぶんちがいますね(笑)。 |