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[ ホラー ] ラヴクラフト全集 (2) クトゥルフの呼び声 エーリッヒ・ツァンの音楽 チャールズ・ウォードの奇怪な事件 |
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H・P・ラヴクラフト | 出版月: 1976年08月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
東京創元社 1976年08月 |
No.2 | 10点 | クリスティ再読 | 2020/05/03 14:30 |
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評者お気に入りの「チャールズ・ウォード」収録の巻である。まずは「クトゥルフの呼び声」。いうまでもなく「神話」という見地では必読中の必読で、これ読まないとラヴクラフトの「神話」の一番「らしい」あたりが未体験になる。悪い作品じゃなくて、彫刻家が見た夢、ニューオリンズ奥地の奇怪な儀式..ときて、ルルイエ浮上と遁走、とくるのだけど、最後が怖くないんだなあ。やはり「絵にも描けないほどの恐怖」は、描いちゃうとどうしても言葉は空疎。これが恐怖小説の最大の逆説というか、ラヴクラフトの創意工夫は「描かずに体験させる」ということに収斂していくように思うんだよ。
次の短編「エーリッヒ・ツァンの音楽」はまあ、シンプルな出来で結構だけど、ラヴクラフトでなくても書ける。 問題の「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」。難点はただ一つ、妖術師を扱った作品で「神話作品じゃない」ために、ラヴクラフトでも神話作品に比べて知名度が低い、というだけ。「描かずに体験させる」ラヴクラフトの流儀が徹底していて、気を持たせて盛り上がったところで中断し、別な切り口で成り行きを知り、「何があったか?」はあくまで推測、だから読者は自身の想像力で「恐怖」を感じる。この「恐怖」はあくまで読者の中にあるものだから、絶対に古くもならないし、衝撃も弱まることもない。ラヴクラフトが技巧の限りを尽くして構築した大傑作だと思う。この技巧たるや、そこらのミステリの記述技巧も真っ青な精緻極まりないものだから、ミステリ・ライターこそ本作を研究する価値だってあるだろうね。「結末でこうなった」を冒頭で明示して、しかも全然バレにならずに「読者の想像の上手を行く」なんて趣向さえ見せているんだよ。 まあ、本作だと「描かずに体験させる」からだろうけど、会話描写さえ完璧に地の文に畳み込んだ描写が続き、最後の最後の直接対決で会話体での会話になる、なんて仕掛けもある。隅々まで神経の行き届いた「彫琢」ってこういう作品なんだと、評者は思うんだ。 ミステリ的なミスディレクションも、一応あったりする作品なので、ミステリ読者ほど読むことをお勧めする作品である。 |
No.1 | 2点 | ムラ | 2012/10/25 03:15 |
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この作品の中では「エーリッヒ・ツァンの音楽」が一番まとまってて面白かった。クトゥルフの呼び声も面白かったけど。 チャールズ・ウィードの奇妙な事件は流れとしては最後医者が覚醒したりでよかったんだけど、全体的にるるぶな感じが続いたせいで、連続して読むとこっちまで気を失いそうになった(主に眠気が襲ってきて) |