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[ 警察小説 ] ゴーリキー・パーク アルカージ・レンコ |
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マーティン・クルーズ・スミス | 出版月: 1982年08月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1982年08月 |
早川書房 1990年11月 |
早川書房 2008年09月 |
No.2 | 7点 | tider-tiger | 2017/07/18 21:04 |
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ゴーリキー公園で顔のない男女三名の死体が発見された。事件の背後にカゲベ(KGB)の影も仄見える中、民警の捜査官レンコは真相を追及していく。そして、ソ連社会の闇と対峙することになる。
ハンガリーが当時自殺率世界第一位を誇っていたのは(元々の民族性もあるようですが)、ソ連の闇に呑み込まれていたからではないかと。 なぜか本作を中井英夫氏がボロクソに貶していた。曰く「本当にこれほどつまらない小説は昨今、後にも先にも読んだことがない」 いやいや、面白いじゃないですか。 上巻は閉塞を感じさせる気候風土社会状況のソ連をリアルに描いている点は興味深いが、それ以外は水準作といった印象。下巻は想定外の展開でかなり面白い。うねうねと手元から逃れていく鰻のような作品。徐々に話のスケールが大きくなったかと思えば、うねうねっと後半でわけのわからない方向へ歪む展開は好み。ジャンル分けし難い点は個人的に好印象。 レンコの上司の一貫性の無さ(敵なのか味方なのか?)や犯人が判明しても……などなど、共産主義体制下だからこそ起こる数々のエピソードが興味深い。 作者は本当にアメリカ人なのか? ちなみに本作に出てくる人物で一番醜いのはアメリカ人だったような気が……。 ※悪口は『中井英夫――虚実の闇に生きた作家』より。関係ないけど同じ本の中で仁木悦子にもかなり酷いことを言ってました。 |
No.1 | 7点 | mini | 2013/01/15 09:57 |
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冬のモスクワ市内ゴーリキー・パーク、雪の下から男女3人の射殺死体が見つかる、死体から顔と指が切り取られていて身元を隠そうとしたようだ
人民警察のレンコ主任捜査官が捜査を始めるとある女性と出会う・・・ 昨年に引き続き私的マイブームの1つ、”スミス姓の作家を漁る”の一環 旧ソ連が舞台という事で、これもスミス姓の作家だが後のこのミス話題作トム・ロブ・スミス「チャイルド44」の先駆的作品がこのマーティン・クルーズ・スミスの「ゴーリキー・パーク」である 名作との噂は前々から聞いていたので私としては「チャイルド44」の前哨戦に是非読んでおきたかった作品だ 文庫上巻の前半は私好みのゆったりとした捜査小説そのものなのだが、下巻の後半に入ると物語・舞台は一変し、当初からは想像出来ない方向へと向かう おそらくはこの定型を外した不思議なプロットが魅力なのだろう、CWA賞受賞もそうした要素が評価されたのではないかな ジャンル投票に於いては他にしっくりくるジャンルが無いので仕方なく警察小説に投票したが、全編通して見ると厳密には警察小説とは言い難く、さりとて”諜報情報小説”というのもちょっと違うようなほとんどジャンル分類不能な話である |